今日の一言

日々の生活の中で見つけた「なぜ・なに」について書いています。

まるしん

2017-09-06 15:15:44 | Weblog
 旧医院の物品を整理している時に、かつて小学生の頃に通っていた絵画教室で私が使っていたスケッチブックが出てきました。

 その絵画教室は西新町のビルの3階にあり、絵の先生は父の友人でした。丸い眼鏡を掛けたその先生は、いつもパイプを燻らせていました。「絵は画用紙いっぱいに描くこと」 「色は自分のイメージ従って大胆に塗ること」 先生はそう教えてくれました。1枚の絵が描きあがると、その出来具合によって先生はご褒美にシールをくれるのでそれを絵の下に貼るのが楽しみでした。先生が自由に絵を描くことを許してくれたおかげで、私は楽しく絵画教室に通うことができました。

 さてそのスケッチブックを見ていると、1枚の絵に私の目が留まりました。



 これは絵画教室の窓から外を見た風景を描いた絵なのですが、おそらくこれを見ただけでは何を描いているのかわからないと思います。そこでこの場所の現在の写真がこれです。



 ここは東新町のアーケードの北側入り口です。私がこの絵を描いたのが昭和48年頃なので、当時は右側に丸新デパートがありました。左側のビルの2階にはシャークという名前の喫茶店があったので、私はその看板名を書きこんでいるようです(ちょっと字がおかしいですが?)。

 ところで今はもうなくなってしまった丸新デパートの姿が見たくて少しネットで調べてみました。しかしその建物は私が描いたものとはやや異なっていました。子供だったから勝手に自分で想像して窓や階段を描いたのかなとずっと思っていたのです。ところが徳島市立図書館のサイトに昭和30年代の丸新デパートの写真が載っているのを見つけました。


(「旧丸新デパート」昭和32年:徳島市立図書館提供)


 よく見るとデパートの側面にはたくさんの窓が見えます。もしかすると私が絵を描いた丸新デパートはこれだったのかもしれません。そう言えば丸新は途中で一部を新しく改装したように記憶しています。

 さらに私の絵にはデパートの屋上に三角の旗と何か丸いものが描かれています。そこでもう一度デパートの写真を見ると旗を立てる棒と、その横に明治チョコレートと書かれた柱が見えます。おそらくこれを私は絵に描いたようです。

 子供の頃の自分が思いのままに自由に描いたこの絵は私にとっての宝物です。今の自分では決してこのような絵は描けないと思います。そしてこの絵の下にはシールがたくさん貼られていました。おそらく先生がいっぱいいっぱい褒めてくれたのだと思います。その先生は既に他界されています。できることなら天国にいる先生に、もう一度この絵を見てもらいたいと思いながら私はそっとスケッチブックを閉じました。

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