今日の一言

日々の生活の中で見つけた「なぜ・なに」について書いています。

Last Days

2024-05-28 12:45:03 | Weblog

先日NHKで放送された『Last Days 坂本龍一 最期の日々』を見ました。

まず放送を見終えて、様々な思いが頭の中で嵐のようにうごめき、私はしばらくテレビの前から離れる事ができませんでした。そして改めてこのような貴重な映像を提供して下さった遺族の方たちに心より感謝と畏敬の念を持ちました。

私が初めて担当患者さまを看取ったのは、医師になって3年目の時でした。患者さまは、放射線治療と化学療法を幾度と繰り返した後に病状が悪化して最後はICUで逝去されました。私はその時に涙を流しました。そして医学の力がいかに無力であるかを思い知らされた瞬間でもありました。今回の番組を見て、まさにその時の気持ちが数十年ぶりに沸き上がってきました。なぜこの人に、なぜこんな時に、神はこのような試練を与えなければならなかったのか、何とかできなかったのか。あの時のように、私は自分に問い続けましたが答えは見つかりませんでした。

余命を告げられてからの坂本さんの生きざまには考えさせられる事が多くありました。その考えを敢えてここには書きません。なぜなら感じ方は人それぞれ違うからです。もし自分がこの立場にあったら一体どうしただろう、何を考えるだろう、思考を巡らせても いつも深い森に迷い込んだようになって先が見えず諦めてしまいます。

命には必ず始まりと終わりがあります。だからこそ、生を受けている間は精一杯に悔いのないように生きる、それは紛れもなく重要な事だと思います。そしていつか終わりを告げる時が来たとしても、自分の事をいつまでも心にとめておいてくれる人が、1人でも多くこの世にいてくれれば何も怖い事はないと思います。坂本さんも、多くの人々の心の中で今も生き続けているはずです。