あまいろ
Challenge 2 友達になろうよ その1
亜衣がバレー部のレギュラーを相手に勝利したという話は、瞬く間に学園中を駆け抜け、誰もが知ることとなった。
そのせいで、亜衣のいる1年3組は大賑わいだ。「どんな子だろう?」と興味本位で訪れえる者、その才能を高く評価し、「是非、我が部へ」と勧誘に訪れる幾多の運動部など休み時間になるとごった返しになる始末である。
亜衣は、その対応に追われ、教室の外に出ることもままならない。
「ふう……授業中が一番落ち着く時間てどうなのよ?」
理科室での授業の中、亜衣は溜め息を付きながら、隣の席にいる友人の来生美代にぼやいた。
「仕方ないでしょ自分が蒔いた種なんだし。それに当初の計画からいけば、宣伝成功ってところなんじゃないの?」
「それはそうなんだけど。これじゃあの子のところに行けやしない」
「あの子?」
「うん。バレー部の子なんだけどね、凄い子見つけたの!」
「その子のところに行ってどうするの?何を言いたいのかよくわからないんだけど」
美代には事情が飲み込めない様子。
「もちろん、友達になるの!」
亜衣は満面の笑みを浮かべながら、手に持っていたシャープペンシルをくるりと回した。
「亜衣が自分から友達になるって言い出すなんて。よっぽど気に入ったんだねその子のこと」
美代はまるで無邪気にはしゃぐ子供を見つめる母親のような優しい目で亜衣を見つめていた。
そして、待ちに待った昼食の時間がやってきた。
亜衣は、素早く弁当の包みを取り出すと、
「ごめん美代。今日はわたし外で食べるから!」
一方的に告げて脇目も振らずに教室を出る。
亜衣が向かった先は1年5組だった。クラスのバレー部員に尋ねたところ、七瀬麻巳が5組の生徒であることを教えてもらったからだ。
1の5の札が架かった教室の前へ来た亜衣は、そっと中を覗き込みながら辺りを見回す。
すると、窓側のちょうど中央付近の席に座っている七瀬麻巳の姿を発見することができた。
(いた!)
亜衣は小躍りする気持ちを抑えながら、そっと5組の教室に入り、七瀬麻巳の席へと近付いた。
「こんにちは!」
弁当箱の包みを解こうとしていた七瀬麻巳に向かって亜衣はまず挨拶から入ることにした。
亜衣の登場に七瀬麻巳は一瞬、驚いたような顔を見せたが、すぐに
「こんにちは」
と、か細い声で返してきた。
「ごめんね突然で。ちょっとあなたに話があってさ。今から外で一緒にお弁当食べよう!」
「え、外で?」
「ほら早く早く」
亜衣は強引に七瀬麻巳の手を取ると、駆け足気味に教室を出て、中庭へと向かった。
朝霞学園の中庭は、桜の他に菜の花やパンジーといった花壇もあり、校内で最も落ち着く場所として生徒たちから愛される憩いの場所になっていた。
「この辺にしよっか」
亜衣は適当に芝生へと腰を下ろした。
七瀬麻巳も、倣うように腰を下ろす。
「あの、お話って?」
「まあ、まあ。それは食べた後でいいじゃない」
いきなり本題を切り出すよりも、まずは打ち解けた方がいい。そう考えた亜衣はまず軽い雑談から入ることにした。
「あ、そうだちゃんと自己紹介してなかったよね。わたし皆原亜衣。白ヶ嶺中出身なんだ。七瀬さんはどこ中なの?」
「わたしは富士岡中……」
七瀬麻巳は先ほどと同じようにか細い声で答えた。まるで引け目でもあるかのようなそんな声に聞こえた。
「えー、じゃあ隣の中学だったんだ。結構近いところに住んでるんだね」
亜衣は、これでなんとか会話が作れると思ったのだが、七瀬は押し黙ったままになってしまった。
何がまずかったのだろう?考えてみたがわからない。ただ一つわかったのは七瀬麻巳と打ち解けるには想像以上に骨が折れるかもしれないということだった。
今回はその2で終わらせるよ(`・ω・´)
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Challenge 2 友達になろうよ その1
亜衣がバレー部のレギュラーを相手に勝利したという話は、瞬く間に学園中を駆け抜け、誰もが知ることとなった。
そのせいで、亜衣のいる1年3組は大賑わいだ。「どんな子だろう?」と興味本位で訪れえる者、その才能を高く評価し、「是非、我が部へ」と勧誘に訪れる幾多の運動部など休み時間になるとごった返しになる始末である。
亜衣は、その対応に追われ、教室の外に出ることもままならない。
「ふう……授業中が一番落ち着く時間てどうなのよ?」
理科室での授業の中、亜衣は溜め息を付きながら、隣の席にいる友人の来生美代にぼやいた。
「仕方ないでしょ自分が蒔いた種なんだし。それに当初の計画からいけば、宣伝成功ってところなんじゃないの?」
「それはそうなんだけど。これじゃあの子のところに行けやしない」
「あの子?」
「うん。バレー部の子なんだけどね、凄い子見つけたの!」
「その子のところに行ってどうするの?何を言いたいのかよくわからないんだけど」
美代には事情が飲み込めない様子。
「もちろん、友達になるの!」
亜衣は満面の笑みを浮かべながら、手に持っていたシャープペンシルをくるりと回した。
「亜衣が自分から友達になるって言い出すなんて。よっぽど気に入ったんだねその子のこと」
美代はまるで無邪気にはしゃぐ子供を見つめる母親のような優しい目で亜衣を見つめていた。
そして、待ちに待った昼食の時間がやってきた。
亜衣は、素早く弁当の包みを取り出すと、
「ごめん美代。今日はわたし外で食べるから!」
一方的に告げて脇目も振らずに教室を出る。
亜衣が向かった先は1年5組だった。クラスのバレー部員に尋ねたところ、七瀬麻巳が5組の生徒であることを教えてもらったからだ。
1の5の札が架かった教室の前へ来た亜衣は、そっと中を覗き込みながら辺りを見回す。
すると、窓側のちょうど中央付近の席に座っている七瀬麻巳の姿を発見することができた。
(いた!)
亜衣は小躍りする気持ちを抑えながら、そっと5組の教室に入り、七瀬麻巳の席へと近付いた。
「こんにちは!」
弁当箱の包みを解こうとしていた七瀬麻巳に向かって亜衣はまず挨拶から入ることにした。
亜衣の登場に七瀬麻巳は一瞬、驚いたような顔を見せたが、すぐに
「こんにちは」
と、か細い声で返してきた。
「ごめんね突然で。ちょっとあなたに話があってさ。今から外で一緒にお弁当食べよう!」
「え、外で?」
「ほら早く早く」
亜衣は強引に七瀬麻巳の手を取ると、駆け足気味に教室を出て、中庭へと向かった。
朝霞学園の中庭は、桜の他に菜の花やパンジーといった花壇もあり、校内で最も落ち着く場所として生徒たちから愛される憩いの場所になっていた。
「この辺にしよっか」
亜衣は適当に芝生へと腰を下ろした。
七瀬麻巳も、倣うように腰を下ろす。
「あの、お話って?」
「まあ、まあ。それは食べた後でいいじゃない」
いきなり本題を切り出すよりも、まずは打ち解けた方がいい。そう考えた亜衣はまず軽い雑談から入ることにした。
「あ、そうだちゃんと自己紹介してなかったよね。わたし皆原亜衣。白ヶ嶺中出身なんだ。七瀬さんはどこ中なの?」
「わたしは富士岡中……」
七瀬麻巳は先ほどと同じようにか細い声で答えた。まるで引け目でもあるかのようなそんな声に聞こえた。
「えー、じゃあ隣の中学だったんだ。結構近いところに住んでるんだね」
亜衣は、これでなんとか会話が作れると思ったのだが、七瀬は押し黙ったままになってしまった。
何がまずかったのだろう?考えてみたがわからない。ただ一つわかったのは七瀬麻巳と打ち解けるには想像以上に骨が折れるかもしれないということだった。
今回はその2で終わらせるよ(`・ω・´)
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亜衣ちゃんの性格好きだな~なんか
見てて勇気もらえるっていうか・・・
麻已ちゃんと上手く仲良くなれるのか心配です・・・^p^
続きまってます!
人物像がわかりやすいし読みやすいです!
2人ちゃんと仲良くなれるかな…ドキドキです><
きゅんきゅんしてます←
>あひぃさん
いや、そんなの気にしなくていいですよ~。
僕がこういう性格の子好きなんで。
そう感じ取っていただけたら幸いです。
さてさて、どうなりますかね。
>小夏さん
話自体は考えるの好きなんですよ。
上手く表現できない場合のが多いんですけど。
そうえいば、読みやすいとはよく言われるんですよね。
なぜかわかりませんけど。
今日か明日にはその2を載せようかと思っています。
>夜美羽さん
ちょっとツンツンしてるとかそういうのを想像していました?
こういう大人しい子が実は凄いプレイヤーってのもなかなかよくないですか?