快読日記

日々の読書記録

「タイガー理髪店心中」小暮夕紀子

2020年07月27日 | 日本の小説
7月26日(日)

「タイガー理髪店心中」小暮夕紀子(朝日新聞出版 2020年)を読了。

表題作ともうひとつ(「残暑のゆくえ」)が収められていて、
前者はおじいさん、後者はおばあさん(といっても70代半ばだけど)目線の話。

どちらも、とぼけた味わいがあって、近所にいたらたまには立ち話の相手をしてもおもしろそうな年寄りなのに、
(あ、おじいさんはそうでもないか、町の歴史を教わりに来た子供に地球誕生の演説から始める人だから)
その皮膚をぺろっとはがした中に潜む恐怖との落差がすごいです。

笑ったり怯えたりしながら読んだので、へろへろになりました。

ちょっと吉田知子のような雰囲気もあるし、「タイガー」の方は「夢十夜」の「こんな晩だったな」っていうあれを思い出しました。

今年はまだ5ヶ月残ってるけど、今年いちばん面白かった本になる気がします。
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