《8/26読了 文藝春秋 2011年刊 【ノンフィクション】 すずき・ともひこ(1966~)》
地域にひとたび原発が建つとなると、ヤクザは大活躍だそうです。
地主や漁協を説得し、地域の代表として電力会社やゼネコンと交渉し、地元の建設業に仕事を振り、選挙になれば票をまとめ、補償問題が起これば仲介役にもなる、そして、今回のような大事故の際は構成員や一般の求職者を人夫として派遣し、その上前をはねて資金にします。
世界的にも有名になった「フクシマ50」のメンバーが明らかにされない理由のひとつがここにあるようです。
すでに数名の死者を出している「東電の協力企業」ですが、その経営者の一人は事故当初、東電から「死んでもいい人間を用意してくれ」と言われたそうです。
実は本書でヤクザと原発の関わりについて書かれているのは主に序章と終章だけで、中身のほとんどは福島原発潜入ルポ。
だから、タイトルに惹かれて手にすると若干「あれ?」というかんじは否めないんですが、
それはともかく、福島第一原発内の作業の様子が生々しく描かれていて、放射能より何より、そういう危険に対してどんどん麻痺していく感覚が怖かった。
作業員に線量計をつけなかったり、線量計に鉛のカバーをしたりしたことがニュースになりましたが、大した説明もないまま、労働ではなく被曝と引き換えに賃金を渡すようなやり方は、東海村の臨海事故当時と全く変わっていません。
その賃金も最初こそ高額だったけど、すぐに普通の土木作業員並みになったというのも考えられられない。
筆者はかなり被曝したようで、その辺も気になります。
ヤクザが原発と関わって経済的に潤うことはよくないのかもしれないけど、
彼らは結局、電力会社や地域に寄生するものでしかないし、持ちつ持たれつという側面もある。
それより本当の悪玉(っていうか巨悪)の影がずっと見えているじゃないか、そっちの方も追及してほしいというのが感想です。
/「ヤクザと原発 福島第一潜入記」鈴木智彦
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地域にひとたび原発が建つとなると、ヤクザは大活躍だそうです。
地主や漁協を説得し、地域の代表として電力会社やゼネコンと交渉し、地元の建設業に仕事を振り、選挙になれば票をまとめ、補償問題が起これば仲介役にもなる、そして、今回のような大事故の際は構成員や一般の求職者を人夫として派遣し、その上前をはねて資金にします。
世界的にも有名になった「フクシマ50」のメンバーが明らかにされない理由のひとつがここにあるようです。
すでに数名の死者を出している「東電の協力企業」ですが、その経営者の一人は事故当初、東電から「死んでもいい人間を用意してくれ」と言われたそうです。
実は本書でヤクザと原発の関わりについて書かれているのは主に序章と終章だけで、中身のほとんどは福島原発潜入ルポ。
だから、タイトルに惹かれて手にすると若干「あれ?」というかんじは否めないんですが、
それはともかく、福島第一原発内の作業の様子が生々しく描かれていて、放射能より何より、そういう危険に対してどんどん麻痺していく感覚が怖かった。
作業員に線量計をつけなかったり、線量計に鉛のカバーをしたりしたことがニュースになりましたが、大した説明もないまま、労働ではなく被曝と引き換えに賃金を渡すようなやり方は、東海村の臨海事故当時と全く変わっていません。
その賃金も最初こそ高額だったけど、すぐに普通の土木作業員並みになったというのも考えられられない。
筆者はかなり被曝したようで、その辺も気になります。
ヤクザが原発と関わって経済的に潤うことはよくないのかもしれないけど、
彼らは結局、電力会社や地域に寄生するものでしかないし、持ちつ持たれつという側面もある。
それより本当の悪玉(っていうか巨悪)の影がずっと見えているじゃないか、そっちの方も追及してほしいというのが感想です。
/「ヤクザと原発 福島第一潜入記」鈴木智彦
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