快読日記

日々の読書記録

「目玉の散歩」村田喜代子

2008年06月25日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
《キュートなおばさん》



村田喜代子の小説は、おばあさんがいてトイレがあって草木がうごめいて、
生暖かい風に土や経血や煮物の匂いが漂います。
ひっそりしていてちょっと怖い。

それじゃ作家本人もさぞやミステリアスな人だろうと思ってエッセイを読んでみると、
意外にそそっかしくて、その鋭い感性に自分自身が振り回されているようなかんじで、
そこがとてもかわいいです。

特に終盤、いくつかの短編ができあがる過程について書いてあって、
ああ、小説家ってそういう風にものを見て、小説ってそういう風に生まれるのかと感心しながら、
その生々しく匂い立つ言葉に少し酔ってしまいました。

■6/25読了 文藝春秋社 1991年刊 【日本のエッセイ】 村田喜代子(1945~)
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