快読日記

日々の読書記録

「BUTTER」柚木麻子

2020年07月11日 | 日本の小説
7月11日(土)

「BUTTER」柚木麻子(新潮文庫 2020年)を読了。

あちこちで絶賛されてるのも納得です。

ざっくりいえば、木嶋佳苗の事件が発覚したとき、多くの女性がよくも悪くも引き付けられた、無視できなかったのはなぜか、という話です。

同時期に、同じように数人の男性を殺害したとされた上田美由紀もなかなかだと思うんですが、世の中の女性は圧倒的に木嶋佳苗が気になって仕方なかった。
その理由を象徴するのが“バター”です。

男女雇用機会均等法という建前が当たり前のように存在する中で大人になった彼女らが、
実は“女は決して男を凌駕してはいけない”という不文律が世間にあることを思い知らされ、もがき苦しむ中で、
“なんておばかさん。こっち側に来ればいろんなものを手に入れられるのに。”と艶然と微笑むのが木嶋(作中では梶井)だったのかも。


週刊誌の女性記者である主人公や〇〇(登場人物)が、拘置所の梶井と面会する場面は映画「羊たちの沈黙」みたいでゾクゾクするし、
ふんだんに登場する食べ物に関する描写のうまいことといったらありません。
たらこスパゲッティが食べたくなります。