快読日記

日々の読書記録

「日本衆愚社会」呉智英

2020年04月07日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
4月6日(月)

タイトルに“衆愚”とはあるけど、
呉智英が昔からずっと批判しているのは、わたしたち庶民ではなくて、いわゆる知識人とか文化人とか言われる人たちでした。

発端のひとつは彼らの言葉遣いが不正確なこと。
そして、その背景には、ちょちょっと辞書を見たらすぐわかるその確認すら怠る横着ぶりがあり、
それでも少しでも難しめの言葉を使って文章をかっこよくみせてやれという見栄がある。
そういうのが大嫌いなんですね。

それから、自己の言動の矛盾に無自覚な人にも厳しい。
たとえば、“反戦運動家”たちが、関ヶ原古戦場を観光資源としてお祭りさわぎをすることには大賛成なのはなぜだ、とか。

そう批判されたらほとんどの“大人”は苦笑いをして、たしかにそうだね〜でごまかすでしょう。

そう。呉智英はそういうごまかしが我慢できない、中島義道に通じるものがある。


そして、世の中の欺瞞や偽善をガンガン攻撃してくれる呉智英に対して、
20年前には「スカッとする〜!」と感じていた自分が今はいないことに気づいて、
あ、わたしも愚かに年をとってしまったんだなあ、とため息をつく今日このごろです。
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