4月3日(金)
最近、「昔の人はこう言ってたよ」とか「昔の人の言うことに間違いはない」とか言う人少ないですよね。
生活習慣や常識は時代と共に変わりつつ、でも普遍的なものを残しつつ(それが“昔の人の知恵”として残る)、我々の暮らしにそのまま流れ込んで生き続けているわけです。
たとえば、「紀ノ川」(有吉佐和子 新潮文庫)を読みながら、「ああ、昔の人はこう考えてたんだ、新鮮だ」とか「これは今も昔も同じだわ、共感」とか感じて、じ〜んと来る。
古典からちょっと前のものまで、わたしたちが読めるのは常に過去のものですが、
そこに不易流行みたいなものを見て、昔の人とつながるから未来も見えてくる。
それこそが、昔のものを読む醍醐味だと思いました。
「紀ノ川」の主人公・花は明治10年ころの生まれ。
彼女を育てた祖母・豊乃はたぶん幕末生まれ。
娘の文緒は大正モガ、そして孫の華子ちゃんと続く紀州の女たちの話です。
まず、紀州の古い言葉や風習がおもしろい。
そこに連綿と受け継がれたものの考え方にグッと来る。
そして、花を中心とした登場人物の心の中の描かれ方は繊細です。
今「紀州の女たちの話」と書いたけど、幕末から明治・大正・昭和という“時代”が主人公だとも読める。
ってことは、橋本治は「草薙の剣」で「紀ノ川」を書こうとしたのかもしれません。
「紀ノ川」の豊さやダイナミックさに比べて、橋本治の描く男たちの紀ノ川は切なくてなんだか心細かった。
最近、「昔の人はこう言ってたよ」とか「昔の人の言うことに間違いはない」とか言う人少ないですよね。
生活習慣や常識は時代と共に変わりつつ、でも普遍的なものを残しつつ(それが“昔の人の知恵”として残る)、我々の暮らしにそのまま流れ込んで生き続けているわけです。
たとえば、「紀ノ川」(有吉佐和子 新潮文庫)を読みながら、「ああ、昔の人はこう考えてたんだ、新鮮だ」とか「これは今も昔も同じだわ、共感」とか感じて、じ〜んと来る。
古典からちょっと前のものまで、わたしたちが読めるのは常に過去のものですが、
そこに不易流行みたいなものを見て、昔の人とつながるから未来も見えてくる。
それこそが、昔のものを読む醍醐味だと思いました。
「紀ノ川」の主人公・花は明治10年ころの生まれ。
彼女を育てた祖母・豊乃はたぶん幕末生まれ。
娘の文緒は大正モガ、そして孫の華子ちゃんと続く紀州の女たちの話です。
まず、紀州の古い言葉や風習がおもしろい。
そこに連綿と受け継がれたものの考え方にグッと来る。
そして、花を中心とした登場人物の心の中の描かれ方は繊細です。
今「紀州の女たちの話」と書いたけど、幕末から明治・大正・昭和という“時代”が主人公だとも読める。
ってことは、橋本治は「草薙の剣」で「紀ノ川」を書こうとしたのかもしれません。
「紀ノ川」の豊さやダイナミックさに比べて、橋本治の描く男たちの紀ノ川は切なくてなんだか心細かった。