快読日記

日々の読書記録

「未解決 封印された五つの捜査報告」一橋文哉

2012年07月08日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《7/2読了 新潮文庫 2011年刊 【ノンフィクション 事件】 いちはし・ふみや》

五つの“未解決”事件:住友銀行名古屋支店長射殺事件/八王子スーパー強盗殺人事件/豊田商事会長惨殺事件/ライブドア「懐刀」怪死事件/神戸連続児童殺傷事件

八王子スーパーの事件、この本に書かれていることが真相だとするなら、アルバイトの女子高生2人が気の毒すぎます。
そして、本当は完治しないまま娑婆に出てきちゃっているという神戸の犯人や、実は実行犯を操った黒幕は捕まらずに今ものうのうと暮らしているという豊田商事事件の話まで来ると、ほとんど現代の怪談です。

…なんて言いつつ、こういう実録モノに目がなくて困る。
しかも、一橋文哉みたいなケレン味が強いものに特に弱くて。

いろんな人のドロドロした欲望や、愚かで浅はかな計算が交錯するこの種の本は、わたしにとって一服の清涼剤です。あまり賛同を得られない性癖だという自覚はあります。

このおもしろさ(=怖さ)、「事実は小説より奇なり」と言ってしまえば確かにそうかも。
結局、フィクションに登場する人物って“作者”という“1人の人”が作り出したものなので(モデルがいたって、それを“作者”のフィルターで濾すんだから)、そんなにバラエティに富むことはまずない。
そこへ行くと、普段接することのない、ピンからキリまでさまざまな種類の人間が読める(筆者による味付けが多少は為されたとしても)ルポはおもしろいに決まってる。
まるで見てきたような書きっぷりに、「ほんとかよ」と突っ込みながら読むのもまた楽し。

そう言えば、どこかで“一橋文哉という人物は存在しない。あれはユニット名だ”というのを読んだんだけど、そういう胡散臭さも魅力ですね。

/「未解決 封印された五つの捜査報告」一橋文哉
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