快読日記

日々の読書記録

読了『若山富三郎・勝新太郎 無頼控 おこりんぼ さびしんぼ』山城新伍

2016年04月08日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
4月7日(木)

名著との誉れ高い『若山富三郎・勝新太郎 無頼控 おこりんぼ さびしんぼ』(山城新伍/廣済堂出版)が文庫で復刊してたのに、うかつにも知らずにいた。

「噂の兄弟 トミーとカツ」、若山富三郎の天然ぶりと勝新の天才ぶりもさることながら、それ以上に彼らを見つめる山城新伍のまなざしがいい。
水道橋博士のような「誰かを好きになりすぎる」(byビートたけし)盲目的な好意(それはそれでおもしろいんだけど)とは違う。
この兄弟(とくに兄)にほとんど慈愛みたいな気持ちや恋心に近い憧れを抱きながらも、どこか芯の部分で醒めていて、熱くなりきらないところがせつない。
山城新伍って頭がよすぎたのかも。
生まれつき貼り付いているさびしさみたいなものを感じる。
天然でも天才でもない、医者の息子(だったよね確か)、山城新伍って近代文学に例えたら谷崎潤一郎じゃなくて太宰治なんじゃないか。
自分の口先の巧みさに自己嫌悪を感じているふしもある。

山城新伍がこの兄弟を見つめたような目で、山城新伍を見てくれる人がいたらよかった。

吉田豪の解説はもちろん文句なしだ!
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