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(岩井沢からの旧道を上がる)
注意:ときがわ町路線バスは4月1日以降大きく縮小され、竹の谷・日向根・都幾川四季彩館行きは廃止となっています。ときがわ町乗合タクシーをご利用ください。
古い地形図で檥(ぶな)峠周辺を見ると、飯能市方面へ下る峠道は現在林道が通っている鞍部から二つの道へと分かれている。一つは鞍部から林道柏木線を利用しているもので、現在はつながっていないようだ(林道柏木線は直接奥武蔵グリーンラインに通じていると思われる後日踏査したところ、鞍部から林道柏木線へと道がつながっていました 2021年6月13日追記)。もう一つは尾根伝いに進んで松尾山を西から巻くルートで、下部は岩井沢・藤原の各集落へと延びていたという。これまで岩井沢の集落からグリーンラインへと上がるルートとして松尾山を越えるものと岩井沢林道の二つを歩いてきた。今回は歩き残している松尾山を西から巻くルートを歩いてみたい。グリーンラインへ出た後は飯盛峠から延びる林道の花ノ木平線を使って大築山方面へと下る。山入の集落まで行ったら慈光道(じこうみち なお慈光道については飛騨観光陽山亭の「古の巡礼道・慈光道」という記事に詳しく載っている)を使って慈光寺入口バス停へと下りる予定だ。また慈光道の途中にある宮尾根集落の東に364m峰(飯盛山)があり、登れそうならこちらも登ってみたい。
三田久保峠を越えて岩井沢
西吾野駅のすぐ下を流れる北川沿いの集落の中で一番奥まった所にあるのが岩井沢だ。西吾野駅からだと舗装路を2時間弱歩く必要がある。それよりも一つ先の正丸駅から尾根を越えていったほうが遥かに早い。これまで正丸駅から岩井沢へは様々なルートで歩いてきたが、今回は最も一般的なルートである三田久保峠を越える道を使う。まずは駅の駐車スペースから橋を渡り、信号機のない横断歩道がある国道へと出る。ここは何度も使っているが、坂の途中にあるせいか止まってくれるクルマはほとんどいない。十数台をやり過ごした後、格好の良いスポーツカーが止まってくれたおかげでようやく渡ることができた。横断歩道を渡ろうとする歩行者の存在を無視するクルマがこれほど多いことには呆れるばかりで、この国の民度の低さがよくわかる。
国道沿いにある正丸の集落は大半が高麗川沿いにあり、国道を挟んだ山側には少ない。特に見どころもないので黙々と歩き、三田久保峠への入口でもある北川正丸林道の入口に着く。林道のすぐ側に舗装された小道があり、山の斜面に作られた集落の中を通っている。最初にここを訪れた時は民家の敷地を抜けていくのにびびって引き返したのだが、奥武蔵登山詳細図(吉備人出版 以下登山詳細図と記す)の著者である池田和峰氏のブログによると集落内に道標があり、通ってよいのだという。小道を上がり農地を抜けると民家の建物の前に確かにツツジ山と書かれた道標がある。古い地形図を見た限りではどうやらこの小道は三田久保峠への峠道の一部だったようだ。道標にしたがって進むと道は民家のガレージのような所を抜けて延びている。通ってよいとはいえ、ここを抜けるには勇気がいる。
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(奥の小道を上がって集落内を抜けていくことができる)
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(集落に入るとツツジ山を示す道標がある)
舗装された林道に出て少し登ると沢沿いに付けられた峠道が分かれる。ここは2015年に初めて歩いて以来の訪問でほとんど記憶に残っていない。沢沿いの道はそれなりに急な傾斜ではあるが、踏み跡は明瞭だ。2度渡渉して左岸を九十九折に上がる。以前の記録を見るとこの九十九折で不明瞭な所もあったようだが、現在では良い道が三田久保峠の頂上まで続いている。峠道の越える細い尾根には明瞭な道が延びており、ここからツツジ山へ向かう人が多くなっていることが窺える。しかし小都津路山・大都津路山南面の急斜面を考えると積極的に歩きたいというルートではない。
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(峠道の入口に咲く花)
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(まずは沢沿いを上がる)
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(九十九折を上がる 尾根が見えてきた)
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(三田久保峠 一応天久保山方面の踏み跡も明瞭)
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(三田久保峠周辺地図 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに赤文字を追記して掲載)
峠から岩井沢へ向かって木で補強された道が下っている。時間にして5分と短い区間だが、よく整備された道だ。最初に訪れた時は岩井沢側の入口がわかりにくい感じがしたのだが、整備が入ってかなり明瞭になった。車道を15分下って岩井沢の集落に入る。3週間前は気付かなかったドウドウという岩井沢のせせらぎが聞こえてくる。集落内の斜面にはそこかしこに射干(シャガ)が自生しており、沢山の白い花を付けている。沢沿いの舗装路を登り、もう馴染みとなった岩井沢観音堂で朝食を含めた休憩を取る。
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(右下へ岩井沢への道が下る)
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(よく整備された峠道)
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(岩井沢の集落はシャガの花が多い)
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(岩井沢観音堂裏の岩屋)
岩井沢からの旧道を歩く
登山詳細図を見ると岩井沢からの旧道はこの先の岩井沢林道を少し登った所から延びているようだ。昨年歩いた道だが、そんなものがあったかよく覚えていない。観音堂を出るとすぐに鳥久保林道が分かれ、岩井沢林道には通行止めのロープが掛けられている。おそらく道の修理がまだ済んでいないのだろう。今日は林道を歩き通すわけではないので、あまり心配する必要はないはずだ。林道に入り、右手に水道施設らしきものが見えると立派な道が東へ延びている。これは岩井沢と藤原を結ぶ中腹道にあった民家へと通じている道だ。この道を上がると民家の敷地に入る手前で更に上へと広い山道が延びる。池田和峰氏のブログ記事(岩井沢観音堂への古道)の画像とも一致するし、これが旧道なのは間違いない。
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(岩井沢林道からこの道を上がる 民家へ通じている)
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(これが檥峠へ向かう旧道の入口)
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(岩井沢からの旧道 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに赤文字を追記して掲載)
林道のような道を上がるとすぐに掘割となり、藪の中に埋もれている。登山詳細図に書かれた藪とはこれのことだろう。ただ藪はごく短い区間だけで、それを回避する踏み跡もある。藪を過ぎた後も掘割の道が続く。池田和峰氏のブログ及び「画廊天地人」の「北川尾根にリベンジ 古道メインで歩いてみる」にはシャガの藪があるとの指摘があるが、歩いてみた感じでは特段気になる所はない。この5年ほどの間に山仕事のための整備が入っているのかもしれない。道は岩井沢観音堂の東にある比較的傾斜が緩い尾根を登っていく。時折尾根を横切る形でジグザグに登っていく所もあるが、道が広いせいで作業道か旧道なのかがわかりにくい。
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(林道を上がると藪に埋もれた掘割道が延びる 左手に迂回路あり)
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(意外やしっかりとした掘割道が続く)
道は尾根から右に外れていく。尾根から外れるのは不安だが、割としっかりとした踏み跡なのでこれを信じたほうが良さそうだ。正面の急斜面に差し掛かると大きく九十九折に登っていく。この辺り作業道が交錯していてわかりにくい。北西へ向かって長いトラバース道となると旧道を歩いているという安心感が出てくる。相変わらず林道のような広さの道だが、かつて荷駄が行き交ったと考えればさほど不思議ではない。途中左手の斜面に大きな岩が見える。岩の上に踏み跡もあり、先ほど見かけた作業道らしきものはこの岩場への道だったようだ。
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(左手に尾根が見えるが道は右へと逸れていく)
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(トラバース道からこの岩場を見下ろせる)
トラバース道は緩やかに高度を上げていく。体力的には楽な道だ。右手に見えていた尾根がだんだんと低くなり、大きく湾曲した杉を回り込むと松尾山と650m峰との鞍部に出る。地理院地図に載っていない旧道としてはかなり歩きやすい部類に入る道であった。650m峰の山頂へ向かって尾根道が延びるが、ここも旧道と思われる掘割が所々あり、せっかくなので時間をかけてジグザグに登っていく。山頂に差し掛かる手前に可愛らしい石仏があり、東へ巻き道が延びる。今日はこの巻き道を進む。
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(広いトラバース道が続く かなり歩きやすい)
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(大きく湾曲した杉 この杉を回り込んで右手を上がると尾根に出る)
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(旧道から尾根に出た所 以前は古いプラ製の道標があったような…)
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(可愛らしい石仏が置かれている 右の道が旧道)
巻き道は最初こそ広く明瞭だが、すぐに細い踏み跡へと変わる。蔓性の枝や倒木に行く手を阻まれる所もあり、これまでに比べると歩きやすいとは言い難い。再び林道のような広い道へと変わると道が交錯する広い鞍部に出る。右下に林道のような広い巻き道が北へ延びていて、先の鞍部で尾根道と合流しているらしい。巻き道を進むと林道が乗り越す鞍部に出た。檥峠入口と書かれた手製の看板が立っているため、当ブログでは「檥峠入口(鞍部)」と記してきたが、少々わかりにくい表現かもしれない。今後は岩井沢林道・旧道分岐と追記することにする。
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(巻き道は不明瞭だったり倒木があったりと若干歩きにくさもある)
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(650m峰をそろそろ巻き終わる頃)
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(一旦鞍部に出る 右の道を行っても尾根上を行っても同じ)
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(檥峠入口の立て札がある鞍部)
鞍部からこれまでは馬頭観音の碑の脇から延びる道を登っていたが、今日は柵で入口が塞がれた九十九折の道に入る。入口が藪っぽいせいでわかりにくいのだが、一旦上がってしまえば馬頭観音から尾根を直登する道よりすっと歩きやすい。只管九十九折を登り、グリーンラインへ通じるダートの林道に出る。昨年訪れた時は2019年の台風によって大きく削られていたが、すっかり綺麗に補修されていた。そのまま林道を進み、グリーンラインに出る。
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(ここから九十九折の道に入れる)
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(林道開削によっていくらか見晴らしが得られる 子の権現辺りが見えている)
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(台風で抉られた林道は綺麗に埋め戻されていた)
飯盛峠から林道を下る
2019年の台風19号によって通行止めの措置が取られていた奥武蔵の林道も高麗川左岸の主要なルートはほぼ復旧し、歩く分には特に支障はない。奥武蔵グリーンラインと名付けられた奥武蔵2号線を歩いていくと若い男性トレイルランナーとすれ違う。広い舗装路ということもあり、男性はマスクをしていなかった。ボクはというと今年に入ってからは山中にいる間もほぼマスクを着けっぱなしにしている。自分の吐息で他人に感染させないのが目的である以上、屋外であっても狭い山道ならマスク着用がエチケットだろう。
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(奥武蔵グリーンラインに出る 画像左に道標がある)
ヘアピンカーブ手前のカーブでクルマ一台通れそうな広い砂利道が下っている。立ち木にオフロードバイク等一般車両通行禁止の張り紙がある。この張り紙の書体は3週間前に藤原集落を歩いた際に林道柏木線で見たものと同じだ。地理院地図では林道柏木線はセンズイへ向かって延びているように描かれているが、実際にはこの道につながっているのではないだろうか。というのも以前間違えてこの道を下った時、だいぶ西へ向かっているように感じたからだ。
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(車両通行禁止の張り紙がされた林道 柏木線につながっているのではないだろうか)
センズイ(飯盛山 816.3)を越え、飯盛峠までやってくる。池田和峰氏のブログによると地元の人は「いいもり」と呼んでいるとのこと。まあ峠から南東にあるもう一つの飯盛山である龍ヶ谷富士は遠くから見ると飯盛り形なので、「めしもり」でも間違いではなさそうにも思える。さて峠から北西へ砂利道の林道が下っている。埼玉県のHPによると花ノ木平線という作業道とのこと。林道と異なり、作業道については一般車両の通行は認めていないというのが埼玉県の方針だ。ただこの道は他の道路には通じていないから好き好んで入り込むオフロードライダーもいないだろう。
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(センズイの山頂)
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(かつては飯盛峠の近くにあった馬頭観音と石造りの道標)
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(飯盛峠 今回は左手前の道に入る)
2018年に柏木尾根から弓立山へと歩いた際、この道を使う予定だったのだが、その時は道が崩落しているとの注意書きがあって結局利用しなかった。今日は立入禁止を示すロープが地面に落ちており、特に注意書き等もないので、歩いて下る分には問題なさそうだ。綺麗に整備された砂利道が続き、のんびり歩くのになかなか良い。気分良く下っていると前方からトレイルランのカップルがやってくる。こんなルートを歩くとは珍しい。どこからこの林道に入ったのだろう?地形図を見てもわかるくらいの九十九折に差し掛かると男性の大きな声が聞こえてくる。おそらく飯盛峠の峠道である尾根道に人がいるのだろう。そう考えていると突然カーブでトレイルランナーが現れる。そういえば尾根の掘割道に横道があったことを思い出した。ここにつながっていたのか。ランナーは中国の人だったらしく、仲間と大声を上げながら駆け上がっていく。中国語は日本語と発声の違いもあって張り上げるように話す特徴があるのだが、あの大声にはどうしても驚いてしまう。
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(作業道の花ノ木平線 よく整備されている)
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(九十九折を下る)
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(花ノ木平線周辺地図 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに赤文字を追記して掲載)
九十九折が終わると再び長いトラバース道を進む。周囲は終始樹木に覆われ、見晴らしが得られるルートではないが、時折木の間越しに遠くの街が見える。古い峠道を歩くのと同じように遠くの景色が見えることが多く、その度に安心感や寂しさの入り混じった感傷的な気分にさせられる。それは近代以降に造られた立派な林道を越えたときでも変わらない。峠越えは特別なものなのだ。進路を南に変える辺りで大きな岩が見えてくる。狼岩と書かれた看板が立っているところを見ると、観光ルートとしての利用も予定されていたのかもしれない。せせらぎも聞こえるほどの水量がある沢を横切ると山頂部が伐採された山が見える。中腹に集落もあるので、おそらく弓立山だろう。周囲に落葉樹が多くなると道が急に狭くなる。小道を上がり、岩場を越えると猿岩峠へと向かう尾根道に出る。
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(この辺りからときがわ町辺りの街が見えた)
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(狼岩)
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(弓立山が見える)
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(この木が見えてきたら終わりも近い)
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(この先、道が細くなる)
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(ここで尾根道に合流)
大築山と山入の庚申塔
尾根を下り始めるとすぐに道は東側斜面をトラバースする。この道を歩くのは2018年以来だが、当時かなり歩きやすかったと記憶している。その記憶通り緩やかな道が下っていく。547m峰の南側にある広い鞍部が馬場と呼ばれる所だ。山と高原地図には「あしっこ」とも書かれているが、飛騨観光陽山亭のHPによると地元の人がダイダラボッチの足跡(あしっこ)と呼んでいるためだという。確かに道の西側には広い窪地がある。道の脇で休憩を取っていると若い男性のトレイルランナーが通り過ぎていく。この後小築山を過ぎるまで十数人のトレイルランナーとすれ違うことになる。この時、皆マスクを着けていないことも気になったが、それ以上にトレイルランナー以外の登山者に全く出会わないのが解せなかった。
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(馬場)
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(左手に窪地があり、それが足跡に似ているのだろうか)
馬場を過ぎると道は掘割となり、また斜面もやや急な所を横切っていく。道が二重になっている所で大きく下り、麦原分岐に出る。麦原への道は崩落地点があるとのことなので、当ブログでは難路と注意書きしておくことにする。分岐より先は再び緩斜面の歩きやすいトラバース道が続く。傾斜が急になる辺りが硯水で、そこを下りきると道標が立つ尾根に下り立つ。道標は馬場方面しか示していないのでややわかりにくいが、尾根を進まずに更にトラバースしていけばよい。トラバースが終わって尾根を下るようになると猿岩峠に着く。細い尾根の小さな鞍部だが、明瞭な峠道が横切っている。
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(掘割の道 古道っぽさがある)
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(どちらを下っても同じなので、右のほうが楽だろう)
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(麦原分岐 通行注意との張り紙もある)
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(歩きやすいトラバース道)
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(硯水 水はすっかり枯れている)
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(硯水のすぐ下に尾根が分岐している 猿岩峠へ行くには左へ入る)
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(猿岩峠 明瞭な峠道が横切っている)
猿岩峠から尾根に上がるとしばらくは緩やかな登り坂だ。道標の立つモロドノ郭への道を分けると徐々に急になる。途中椚平一望見晴台があるが、手前の木に邪魔されてほとんど見晴らしは得られなくなっていた。山頂直下はかなり急な斜面でハイキングコースと考えれば厳しい部類に入る。事実「山と高原地図 奥武蔵・秩父 2018年版」(昭文社)だと山頂から南西へ下る道が描かれていないくらいなのだ。急斜面を登り切れば大築山(おおづくやま 466)の頂上だ。東西方向に広い山頂で、中間辺りに大築城址の案内板が設置されている。案内板の裏からは木の間越しに展望が得られ、レンズ形の弓立山の左隣にこんもりと小さく盛り上がった西平の飯盛山が見える。飯盛山の左背後に見えるのは慈光寺のある都幾山かと思ったのだが、弓立山との位置関係を考えると雷電山だろう。
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(中央辺りに道標がある 大築山へは尾根を直登する)
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(見晴台からの眺め かつてほどの展望は得られない)
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(大築山の頂上)
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(山頂は道の部分以外はやや藪っぽい)
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(山頂の案内板)
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(案内板の裏からの眺め 中央の山が飯盛山 右は弓立山 左は雷電山)
山頂から東へ下り、小築山へ向かう。大築城の遺構である空堀を見つつ鞍部へ下り、新緑美しい尾根を緩やかに登り返す。途中雷電山と宮平の集落が見える見晴らしがある。最後はあの宮平まで下るのだ。小築山(現地看板だと448)は丸い山頂で、ここも結構広い。2018年に訪れた時はこの山頂から山入方面へ下る道がわからなかったのだが、やや古びた道標に西行杉が示されており、それに従えば明瞭な道がある。小築山の東は広い緩斜面になっていて、この道が無いと若干わかりにくいかもしれない。420m峰を右から巻く辺りはやや急だが、ここを下りきってしまえばなだらかな尾根道が続く。飛騨観光陽山亭や画廊天地人の記事によるとこの辺りの緩やかな坂道をウージー坂というそうだ。
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(大築城の遺構である空堀)
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(小築山へ向かう途中雷電山と宮平・宿の集落が見える)
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(小築山の頂上)
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(小築山東の広い鞍部)
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(420m峰を巻く やや急な道)
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(この辺りの緩やかな坂をウージー坂というそうだ)
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(大築山周辺地図 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに赤文字を追記して掲載)
西行杉への尾根道を見送り、なだらかな小ピークを悉く南に巻くと竹林に覆われた分岐に出る。陽山亭の記事によると山入からこの分岐を広見越へと抜ける道が慈光道だという。つまり六万部塚・弓立山を訪れた際に一部については既に歩いているのだ。今回は前回見落とした山入の庚申塔を探すため竹林を抜けて山入の集落に入る。ベンチの置かれた展望地の先には舗装路が乗り越している。ここを左に行くと上谷の大クス、右へ下れば麦原方面へと出られる。さて庚申塔はどこにあるのだろう。山と高原地図にも書かれているのだがどこなのかわからない。陽山亭の「古の巡礼道・慈光道」の記事をもう一度確かめてみると古木の側に石仏が置かれた画像が載っている。う~む、前にどこかで見たような気がする。ベンチの向かいに小さな丘があり、柵で仕切られた向こうに何かある。柵の前まで上がると件の庚申塔がある。以前訪れた時も気になって覗いてみたのだが、そのときはこれが山入の庚申塔とは知らなかったのだ。
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(西行杉・麦原への分岐)
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(尾根を南から巻きつつ進む)
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(広見越への分岐 ここから慈光道に入る)
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(山入の庚申塔前のベンチからの眺め)
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(奥の尾根の真ん中の尖った山が龍ヶ谷富士 鉄塔が立つのはセンズイ)
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(右は麦原、左は大クスへと下る)
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(山入の庚申塔)
慈光道を下る
往路を戻り、竹林の分岐から広見越を目指す。竹林の中は掘割の道が延び、如何にも古道といった雰囲気がある。332m峰を西から巻いた辺りからやや細い尾根道を進む。地形図上では広くフラットな尾根に見えても、実際は細かなアップダウンがあることが多い。大きな馬頭観音像が置かれた広見越は地理院地図では三叉路だが、北へ明瞭な道がもう一本延びている。地理院地図を見ると西川原から大附への道が載っており、おそらくこれにつながっているのだろう。ただ大附への道はゴルフ場の中を通っているので、これを利用するのは問題がありそうだ。
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(竹林の中の慈光道を行く)
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(広見越に近づくと尾根が細くなる)
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(広見越)
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(大きな馬頭観音像 忿怒の表情には迫力がある)
広見越から西へ下る小道も掘割となっている所があって古道らしさがある。舗装された車道に出た辺りは西川原集落の最上部に当たる。山と高原地図ではここを広見越としている。車道の周囲は檜が植えられ、日差しを遮ってくれる。大附へ下るものと思われる山道を見送るとゴルフ場の敷地の脇を進む。2018年に訪れた時はゴルフ場が管理する原っぱから見晴らしが得られたが、新緑の時期では枝葉が邪魔してよく見えない。ゴルフ場のクラブハウスへの道を分け、宮尾根方面へ下る。ここからは未踏のルートだ。
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(西川原へ下る道 小道だが掘割もある)
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(舗装された慈光道脇にある石仏)
相変わらず檜に覆われた車道が続く。途中山道があり、西平の飯盛山へと通じていないかと入ってみるが、上へ向かう道は無いようだ。再び車道を下ると開けた農地が広がる宮尾根の集落に入る。立派なお宅を過ぎると西へ下る山道がある。地理院地図を見る限り、これは清水の集落へ下る道で、向かいには飯盛山方面への道があるはずだが、痕跡らしきものは全くない。次の民家の向かいにはときがわ町乗合タクシーの宮尾根バス停と名付けられた共通乗降所がある。登録さえすれば観光でも利用できるとのことだが、土休日・祝日は運行していない(4月1日以降は土休日も利用できるようになっていました)。共通乗降所のある民家の脇からは何となく飯盛山方面へ向かう道があるようなのだが、道標も無いような所を入っていくのは避けたい。
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(舗装された慈光道 宮尾根林道と名付けられている)
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(宮尾根の集落に入る)
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(清水集落へ下る道 トレランコースとなっているらしい)
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(ときがわ町乗合タクシーの共通乗降所j)
結局道を見つけられず、車道をどんどん下る。すると車道が西へ延びる尾根にぶつかる所で大カヤへの道が分岐する。地理院地図を見た感じではこの道を使えば飯盛山の頂上直下の急坂に差し掛かる前の緩斜面までは登れそうだ。大カヤへは整備された木段の道が続く。傾斜はそれほど急ではないが、疲れた身体には厳しい。木段が終わると伐採地が見えてくる。伐採地の上部にあるのが大カヤだ。ここは飯盛山から下りるときにじっくり見ていくことにする。大カヤから先も踏み跡があり、まだ登っていけるようだ。順調に登っていけるものと思いきや、道は次第にトラバースしながら下っていく。そこでコンパスで方向を定めて踏み跡の無い斜面を上がっていく。緩斜面に出ると山頂を巻く踏み跡があり、飯盛山遊歩道と書かれた標識もある。踏み跡を辿ってみるが一向に山頂へ向かう気配はない。かといって山頂へ直登しようにも常緑の灌木に覆われた急坂が待ち受け、登れそうにない。ここで諦めて引き返すことにした。
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(大カヤへの道 土留めの木段があるが歩きにくさは無い)
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(飯盛山北の緩斜面 あと60mほど登り切れば山頂だが…)
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(飯盛山遊歩道の標識 道はあるが山頂へ向かっているかは不明)
大カヤへ戻って休憩を取っているとトレイルランナーの男性とすれ違う。やけに多いなと思って調べてみると小江戸大江戸トレニックワールドというNPO法人がこの辺りの山道をルートとして設定しているとのこと。山道を走ることの是非はともかく、人が入ることで山道が整備されるのは素直に有難いと思う。車道に出て下り始めるとすぐに萩日吉神社の裏手に出る。拝殿も立派なものだが、それ以上に驚くのが入口にある鳥居の側にある杉の古木だ。児持杉と呼ばれているという。
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(大カヤ)
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(萩日吉神社 拝殿を水平に撮れていない かなり疲れていたんだな…)
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(児持杉)
宮平の集落を抜け、都幾川を渡ると宿という集落に入る。宿の交差点を曲がれば間もなく慈光寺入口バス停だ。さてバスは何時にやってくるかなと時刻表を見ると土休日は運休と書いてある。これはどういうことなの…?イーグルバスのHPにアクセスするとせせらぎバスセンターから日向根・都幾川四季彩館・竹の谷を結ぶバスは廃止になったという。そして平日の早朝のみ竹の谷からせせらぎバスセンター行きが出ているとのことだ。う~ん、これには参った。乗合タクシーも土曜は運休だからもはや歩くしかない(前述のとおり4月1日以降は土休日も運行しています)。以前弓立山から下りてきた際に桃木の集落から明覚駅まで歩いたことがあった。ただ地図上からでも軽く倍の距離がありそうだ。バス停で少し長めの休憩を取り、家に予定より遅くなるとの連絡を入れる。
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(都幾川)
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(慈光寺入口バス停)
慈光寺入口バス停から明覚駅までは約1時間の長い車道歩き。駐在所を過ぎると都幾本という和菓子店があり、羊羹と柏餅を買っていく。高齢の店主に路線バスのことについて尋ねるとあまり詳しいことは知らなかったようだ。この辺りの人は高齢でもバスを使うことなどほとんどないのだろう。都幾川のつくった谷を下り、市街地を抜けてようやく明覚駅に着く。列車は5分ほど前に行ってしまったか…。周囲に売店も無いので、ホームのベンチでのんびり待つことにする。それにしてもときがわ町のバスがこれほど廃止になってしまうとは予想できなかった。明覚駅から直接歩けるルートや周辺自治体の路線バスに乗れるルートはともかく、椚平地区や慈光寺周辺はかなり訪問しにくくなってしまった。今後は平日の山歩きも検討する必要がありそうだ(この記事を書いた段階ではときがわ町のHPでは乗合タクシーは土休日運休となっていた。4月28日以降は土休日も利用できると変更されている)。
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(明覚駅 駅舎の奥に見えるのは弓立山)
DATA:
正丸駅6:40→6:56北川正丸林道入口→7:16三田久保峠→7:44岩井沢観音堂7:50→8:20松尾山と650m峰との鞍部→8:34檥峠入口(岩井沢林道・旧道分岐)→8:57奥武蔵グリーンライン→9:10飯盛山(センズイ)→9:16飯盛峠→9:35狼岩→9:50花ノ木平線終点(尾根への取り付き地点)→9:55馬場→10:02麦原(難路)分岐→10:10硯水→10:16猿岩峠→10:22椚平一望見晴台→10:27大築山→10:46小築山→11:01麦原・西行杉分岐→11:09山入の庚申塔11:20→11:29広見越→11:34西川原→11:51宮尾根→12:12大カヤ入口→12:17大カヤ→(飯盛山で迷う)→12:43萩日吉神社→12:57慈光寺入口バス停→14:13明覚駅
地形図 正丸峠 越生
トイレ 萩日吉神社 慈光寺入口バス停
交通機関
西武池袋・秩父線 小手指~正丸 409円 飯能~小手指 242円
JR八高線 明覚~東飯能 330円
関連記事:
平成24年(2012年)6月30日 越生あじさい山から大築山
平成27年(2015年)5月6日 ツツジ山から丸山
平成28年(2016年)5月1日 天久保山から松尾山を経て顔振峠
平成30年(2018年)2月17日 柏木尾根から六万部塚を経て弓立山
2020年9月22日 正丸から上大満
岩井沢集落から檥峠入口(岩井沢林道・旧道分岐)までと飯盛山周辺を除き全て一般ルートです。ただ岩井沢集落から檥峠入口までについてもほぼ一般ルート扱いで問題ないかと思います。
ときがわ町路線バスについては山岳路線(竹の谷・日向根・慈光寺など)に関しては事実上の廃止となりました。代替交通機関としてときがわ町乗合タクシーが利用できます。詳しくはこちらをご参照ください。
注意:ときがわ町路線バスは4月1日以降大きく縮小され、竹の谷・日向根・都幾川四季彩館行きは廃止となっています。ときがわ町乗合タクシーをご利用ください。
古い地形図で檥(ぶな)峠周辺を見ると、飯能市方面へ下る峠道は現在林道が通っている鞍部から二つの道へと分かれている。一つは鞍部から林道柏木線を利用しているもので、
三田久保峠を越えて岩井沢
西吾野駅のすぐ下を流れる北川沿いの集落の中で一番奥まった所にあるのが岩井沢だ。西吾野駅からだと舗装路を2時間弱歩く必要がある。それよりも一つ先の正丸駅から尾根を越えていったほうが遥かに早い。これまで正丸駅から岩井沢へは様々なルートで歩いてきたが、今回は最も一般的なルートである三田久保峠を越える道を使う。まずは駅の駐車スペースから橋を渡り、信号機のない横断歩道がある国道へと出る。ここは何度も使っているが、坂の途中にあるせいか止まってくれるクルマはほとんどいない。十数台をやり過ごした後、格好の良いスポーツカーが止まってくれたおかげでようやく渡ることができた。横断歩道を渡ろうとする歩行者の存在を無視するクルマがこれほど多いことには呆れるばかりで、この国の民度の低さがよくわかる。
国道沿いにある正丸の集落は大半が高麗川沿いにあり、国道を挟んだ山側には少ない。特に見どころもないので黙々と歩き、三田久保峠への入口でもある北川正丸林道の入口に着く。林道のすぐ側に舗装された小道があり、山の斜面に作られた集落の中を通っている。最初にここを訪れた時は民家の敷地を抜けていくのにびびって引き返したのだが、奥武蔵登山詳細図(吉備人出版 以下登山詳細図と記す)の著者である池田和峰氏のブログによると集落内に道標があり、通ってよいのだという。小道を上がり農地を抜けると民家の建物の前に確かにツツジ山と書かれた道標がある。古い地形図を見た限りではどうやらこの小道は三田久保峠への峠道の一部だったようだ。道標にしたがって進むと道は民家のガレージのような所を抜けて延びている。通ってよいとはいえ、ここを抜けるには勇気がいる。
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(奥の小道を上がって集落内を抜けていくことができる)
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(集落に入るとツツジ山を示す道標がある)
舗装された林道に出て少し登ると沢沿いに付けられた峠道が分かれる。ここは2015年に初めて歩いて以来の訪問でほとんど記憶に残っていない。沢沿いの道はそれなりに急な傾斜ではあるが、踏み跡は明瞭だ。2度渡渉して左岸を九十九折に上がる。以前の記録を見るとこの九十九折で不明瞭な所もあったようだが、現在では良い道が三田久保峠の頂上まで続いている。峠道の越える細い尾根には明瞭な道が延びており、ここからツツジ山へ向かう人が多くなっていることが窺える。しかし小都津路山・大都津路山南面の急斜面を考えると積極的に歩きたいというルートではない。
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(峠道の入口に咲く花)
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(まずは沢沿いを上がる)
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(九十九折を上がる 尾根が見えてきた)
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(三田久保峠 一応天久保山方面の踏み跡も明瞭)
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(三田久保峠周辺地図 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに赤文字を追記して掲載)
峠から岩井沢へ向かって木で補強された道が下っている。時間にして5分と短い区間だが、よく整備された道だ。最初に訪れた時は岩井沢側の入口がわかりにくい感じがしたのだが、整備が入ってかなり明瞭になった。車道を15分下って岩井沢の集落に入る。3週間前は気付かなかったドウドウという岩井沢のせせらぎが聞こえてくる。集落内の斜面にはそこかしこに射干(シャガ)が自生しており、沢山の白い花を付けている。沢沿いの舗装路を登り、もう馴染みとなった岩井沢観音堂で朝食を含めた休憩を取る。
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(右下へ岩井沢への道が下る)
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(よく整備された峠道)
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(岩井沢の集落はシャガの花が多い)
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(岩井沢観音堂裏の岩屋)
岩井沢からの旧道を歩く
登山詳細図を見ると岩井沢からの旧道はこの先の岩井沢林道を少し登った所から延びているようだ。昨年歩いた道だが、そんなものがあったかよく覚えていない。観音堂を出るとすぐに鳥久保林道が分かれ、岩井沢林道には通行止めのロープが掛けられている。おそらく道の修理がまだ済んでいないのだろう。今日は林道を歩き通すわけではないので、あまり心配する必要はないはずだ。林道に入り、右手に水道施設らしきものが見えると立派な道が東へ延びている。これは岩井沢と藤原を結ぶ中腹道にあった民家へと通じている道だ。この道を上がると民家の敷地に入る手前で更に上へと広い山道が延びる。池田和峰氏のブログ記事(岩井沢観音堂への古道)の画像とも一致するし、これが旧道なのは間違いない。
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(岩井沢林道からこの道を上がる 民家へ通じている)
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(これが檥峠へ向かう旧道の入口)
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(岩井沢からの旧道 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに赤文字を追記して掲載)
林道のような道を上がるとすぐに掘割となり、藪の中に埋もれている。登山詳細図に書かれた藪とはこれのことだろう。ただ藪はごく短い区間だけで、それを回避する踏み跡もある。藪を過ぎた後も掘割の道が続く。池田和峰氏のブログ及び「画廊天地人」の「北川尾根にリベンジ 古道メインで歩いてみる」にはシャガの藪があるとの指摘があるが、歩いてみた感じでは特段気になる所はない。この5年ほどの間に山仕事のための整備が入っているのかもしれない。道は岩井沢観音堂の東にある比較的傾斜が緩い尾根を登っていく。時折尾根を横切る形でジグザグに登っていく所もあるが、道が広いせいで作業道か旧道なのかがわかりにくい。
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(林道を上がると藪に埋もれた掘割道が延びる 左手に迂回路あり)
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(意外やしっかりとした掘割道が続く)
道は尾根から右に外れていく。尾根から外れるのは不安だが、割としっかりとした踏み跡なのでこれを信じたほうが良さそうだ。正面の急斜面に差し掛かると大きく九十九折に登っていく。この辺り作業道が交錯していてわかりにくい。北西へ向かって長いトラバース道となると旧道を歩いているという安心感が出てくる。相変わらず林道のような広さの道だが、かつて荷駄が行き交ったと考えればさほど不思議ではない。途中左手の斜面に大きな岩が見える。岩の上に踏み跡もあり、先ほど見かけた作業道らしきものはこの岩場への道だったようだ。
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(左手に尾根が見えるが道は右へと逸れていく)
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(トラバース道からこの岩場を見下ろせる)
トラバース道は緩やかに高度を上げていく。体力的には楽な道だ。右手に見えていた尾根がだんだんと低くなり、大きく湾曲した杉を回り込むと松尾山と650m峰との鞍部に出る。地理院地図に載っていない旧道としてはかなり歩きやすい部類に入る道であった。650m峰の山頂へ向かって尾根道が延びるが、ここも旧道と思われる掘割が所々あり、せっかくなので時間をかけてジグザグに登っていく。山頂に差し掛かる手前に可愛らしい石仏があり、東へ巻き道が延びる。今日はこの巻き道を進む。
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(広いトラバース道が続く かなり歩きやすい)
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(大きく湾曲した杉 この杉を回り込んで右手を上がると尾根に出る)
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(旧道から尾根に出た所 以前は古いプラ製の道標があったような…)
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(可愛らしい石仏が置かれている 右の道が旧道)
巻き道は最初こそ広く明瞭だが、すぐに細い踏み跡へと変わる。蔓性の枝や倒木に行く手を阻まれる所もあり、これまでに比べると歩きやすいとは言い難い。再び林道のような広い道へと変わると道が交錯する広い鞍部に出る。右下に林道のような広い巻き道が北へ延びていて、先の鞍部で尾根道と合流しているらしい。巻き道を進むと林道が乗り越す鞍部に出た。檥峠入口と書かれた手製の看板が立っているため、当ブログでは「檥峠入口(鞍部)」と記してきたが、少々わかりにくい表現かもしれない。今後は岩井沢林道・旧道分岐と追記することにする。
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(巻き道は不明瞭だったり倒木があったりと若干歩きにくさもある)
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(650m峰をそろそろ巻き終わる頃)
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(一旦鞍部に出る 右の道を行っても尾根上を行っても同じ)
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(檥峠入口の立て札がある鞍部)
鞍部からこれまでは馬頭観音の碑の脇から延びる道を登っていたが、今日は柵で入口が塞がれた九十九折の道に入る。入口が藪っぽいせいでわかりにくいのだが、一旦上がってしまえば馬頭観音から尾根を直登する道よりすっと歩きやすい。只管九十九折を登り、グリーンラインへ通じるダートの林道に出る。昨年訪れた時は2019年の台風によって大きく削られていたが、すっかり綺麗に補修されていた。そのまま林道を進み、グリーンラインに出る。
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(ここから九十九折の道に入れる)
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(林道開削によっていくらか見晴らしが得られる 子の権現辺りが見えている)
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(台風で抉られた林道は綺麗に埋め戻されていた)
飯盛峠から林道を下る
2019年の台風19号によって通行止めの措置が取られていた奥武蔵の林道も高麗川左岸の主要なルートはほぼ復旧し、歩く分には特に支障はない。奥武蔵グリーンラインと名付けられた奥武蔵2号線を歩いていくと若い男性トレイルランナーとすれ違う。広い舗装路ということもあり、男性はマスクをしていなかった。ボクはというと今年に入ってからは山中にいる間もほぼマスクを着けっぱなしにしている。自分の吐息で他人に感染させないのが目的である以上、屋外であっても狭い山道ならマスク着用がエチケットだろう。
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(奥武蔵グリーンラインに出る 画像左に道標がある)
ヘアピンカーブ手前のカーブでクルマ一台通れそうな広い砂利道が下っている。立ち木にオフロードバイク等一般車両通行禁止の張り紙がある。この張り紙の書体は3週間前に藤原集落を歩いた際に林道柏木線で見たものと同じだ。地理院地図では林道柏木線はセンズイへ向かって延びているように描かれているが、実際にはこの道につながっているのではないだろうか。というのも以前間違えてこの道を下った時、だいぶ西へ向かっているように感じたからだ。
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(車両通行禁止の張り紙がされた林道 柏木線につながっているのではないだろうか)
センズイ(飯盛山 816.3)を越え、飯盛峠までやってくる。池田和峰氏のブログによると地元の人は「いいもり」と呼んでいるとのこと。まあ峠から南東にあるもう一つの飯盛山である龍ヶ谷富士は遠くから見ると飯盛り形なので、「めしもり」でも間違いではなさそうにも思える。さて峠から北西へ砂利道の林道が下っている。埼玉県のHPによると花ノ木平線という作業道とのこと。林道と異なり、作業道については一般車両の通行は認めていないというのが埼玉県の方針だ。ただこの道は他の道路には通じていないから好き好んで入り込むオフロードライダーもいないだろう。
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(センズイの山頂)
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(かつては飯盛峠の近くにあった馬頭観音と石造りの道標)
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(飯盛峠 今回は左手前の道に入る)
2018年に柏木尾根から弓立山へと歩いた際、この道を使う予定だったのだが、その時は道が崩落しているとの注意書きがあって結局利用しなかった。今日は立入禁止を示すロープが地面に落ちており、特に注意書き等もないので、歩いて下る分には問題なさそうだ。綺麗に整備された砂利道が続き、のんびり歩くのになかなか良い。気分良く下っていると前方からトレイルランのカップルがやってくる。こんなルートを歩くとは珍しい。どこからこの林道に入ったのだろう?地形図を見てもわかるくらいの九十九折に差し掛かると男性の大きな声が聞こえてくる。おそらく飯盛峠の峠道である尾根道に人がいるのだろう。そう考えていると突然カーブでトレイルランナーが現れる。そういえば尾根の掘割道に横道があったことを思い出した。ここにつながっていたのか。ランナーは中国の人だったらしく、仲間と大声を上げながら駆け上がっていく。中国語は日本語と発声の違いもあって張り上げるように話す特徴があるのだが、あの大声にはどうしても驚いてしまう。
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(作業道の花ノ木平線 よく整備されている)
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(九十九折を下る)
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(花ノ木平線周辺地図 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに赤文字を追記して掲載)
九十九折が終わると再び長いトラバース道を進む。周囲は終始樹木に覆われ、見晴らしが得られるルートではないが、時折木の間越しに遠くの街が見える。古い峠道を歩くのと同じように遠くの景色が見えることが多く、その度に安心感や寂しさの入り混じった感傷的な気分にさせられる。それは近代以降に造られた立派な林道を越えたときでも変わらない。峠越えは特別なものなのだ。進路を南に変える辺りで大きな岩が見えてくる。狼岩と書かれた看板が立っているところを見ると、観光ルートとしての利用も予定されていたのかもしれない。せせらぎも聞こえるほどの水量がある沢を横切ると山頂部が伐採された山が見える。中腹に集落もあるので、おそらく弓立山だろう。周囲に落葉樹が多くなると道が急に狭くなる。小道を上がり、岩場を越えると猿岩峠へと向かう尾根道に出る。
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(この辺りからときがわ町辺りの街が見えた)
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(狼岩)
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(弓立山が見える)
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(この木が見えてきたら終わりも近い)
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(この先、道が細くなる)
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(ここで尾根道に合流)
大築山と山入の庚申塔
尾根を下り始めるとすぐに道は東側斜面をトラバースする。この道を歩くのは2018年以来だが、当時かなり歩きやすかったと記憶している。その記憶通り緩やかな道が下っていく。547m峰の南側にある広い鞍部が馬場と呼ばれる所だ。山と高原地図には「あしっこ」とも書かれているが、飛騨観光陽山亭のHPによると地元の人がダイダラボッチの足跡(あしっこ)と呼んでいるためだという。確かに道の西側には広い窪地がある。道の脇で休憩を取っていると若い男性のトレイルランナーが通り過ぎていく。この後小築山を過ぎるまで十数人のトレイルランナーとすれ違うことになる。この時、皆マスクを着けていないことも気になったが、それ以上にトレイルランナー以外の登山者に全く出会わないのが解せなかった。
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(馬場)
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(左手に窪地があり、それが足跡に似ているのだろうか)
馬場を過ぎると道は掘割となり、また斜面もやや急な所を横切っていく。道が二重になっている所で大きく下り、麦原分岐に出る。麦原への道は崩落地点があるとのことなので、当ブログでは難路と注意書きしておくことにする。分岐より先は再び緩斜面の歩きやすいトラバース道が続く。傾斜が急になる辺りが硯水で、そこを下りきると道標が立つ尾根に下り立つ。道標は馬場方面しか示していないのでややわかりにくいが、尾根を進まずに更にトラバースしていけばよい。トラバースが終わって尾根を下るようになると猿岩峠に着く。細い尾根の小さな鞍部だが、明瞭な峠道が横切っている。
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(掘割の道 古道っぽさがある)
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(どちらを下っても同じなので、右のほうが楽だろう)
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(麦原分岐 通行注意との張り紙もある)
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(歩きやすいトラバース道)
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(硯水 水はすっかり枯れている)
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(硯水のすぐ下に尾根が分岐している 猿岩峠へ行くには左へ入る)
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(猿岩峠 明瞭な峠道が横切っている)
猿岩峠から尾根に上がるとしばらくは緩やかな登り坂だ。道標の立つモロドノ郭への道を分けると徐々に急になる。途中椚平一望見晴台があるが、手前の木に邪魔されてほとんど見晴らしは得られなくなっていた。山頂直下はかなり急な斜面でハイキングコースと考えれば厳しい部類に入る。事実「山と高原地図 奥武蔵・秩父 2018年版」(昭文社)だと山頂から南西へ下る道が描かれていないくらいなのだ。急斜面を登り切れば大築山(おおづくやま 466)の頂上だ。東西方向に広い山頂で、中間辺りに大築城址の案内板が設置されている。案内板の裏からは木の間越しに展望が得られ、レンズ形の弓立山の左隣にこんもりと小さく盛り上がった西平の飯盛山が見える。飯盛山の左背後に見えるのは慈光寺のある都幾山かと思ったのだが、弓立山との位置関係を考えると雷電山だろう。
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(中央辺りに道標がある 大築山へは尾根を直登する)
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(見晴台からの眺め かつてほどの展望は得られない)
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(大築山の頂上)
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(山頂は道の部分以外はやや藪っぽい)
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(山頂の案内板)
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(案内板の裏からの眺め 中央の山が飯盛山 右は弓立山 左は雷電山)
山頂から東へ下り、小築山へ向かう。大築城の遺構である空堀を見つつ鞍部へ下り、新緑美しい尾根を緩やかに登り返す。途中雷電山と宮平の集落が見える見晴らしがある。最後はあの宮平まで下るのだ。小築山(現地看板だと448)は丸い山頂で、ここも結構広い。2018年に訪れた時はこの山頂から山入方面へ下る道がわからなかったのだが、やや古びた道標に西行杉が示されており、それに従えば明瞭な道がある。小築山の東は広い緩斜面になっていて、この道が無いと若干わかりにくいかもしれない。420m峰を右から巻く辺りはやや急だが、ここを下りきってしまえばなだらかな尾根道が続く。飛騨観光陽山亭や画廊天地人の記事によるとこの辺りの緩やかな坂道をウージー坂というそうだ。
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(大築城の遺構である空堀)
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(小築山へ向かう途中雷電山と宮平・宿の集落が見える)
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(小築山の頂上)
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(小築山東の広い鞍部)
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(420m峰を巻く やや急な道)
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(この辺りの緩やかな坂をウージー坂というそうだ)
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(大築山周辺地図 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに赤文字を追記して掲載)
西行杉への尾根道を見送り、なだらかな小ピークを悉く南に巻くと竹林に覆われた分岐に出る。陽山亭の記事によると山入からこの分岐を広見越へと抜ける道が慈光道だという。つまり六万部塚・弓立山を訪れた際に一部については既に歩いているのだ。今回は前回見落とした山入の庚申塔を探すため竹林を抜けて山入の集落に入る。ベンチの置かれた展望地の先には舗装路が乗り越している。ここを左に行くと上谷の大クス、右へ下れば麦原方面へと出られる。さて庚申塔はどこにあるのだろう。山と高原地図にも書かれているのだがどこなのかわからない。陽山亭の「古の巡礼道・慈光道」の記事をもう一度確かめてみると古木の側に石仏が置かれた画像が載っている。う~む、前にどこかで見たような気がする。ベンチの向かいに小さな丘があり、柵で仕切られた向こうに何かある。柵の前まで上がると件の庚申塔がある。以前訪れた時も気になって覗いてみたのだが、そのときはこれが山入の庚申塔とは知らなかったのだ。
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(西行杉・麦原への分岐)
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(尾根を南から巻きつつ進む)
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(広見越への分岐 ここから慈光道に入る)
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(山入の庚申塔前のベンチからの眺め)
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(奥の尾根の真ん中の尖った山が龍ヶ谷富士 鉄塔が立つのはセンズイ)
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(右は麦原、左は大クスへと下る)
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(山入の庚申塔)
慈光道を下る
往路を戻り、竹林の分岐から広見越を目指す。竹林の中は掘割の道が延び、如何にも古道といった雰囲気がある。332m峰を西から巻いた辺りからやや細い尾根道を進む。地形図上では広くフラットな尾根に見えても、実際は細かなアップダウンがあることが多い。大きな馬頭観音像が置かれた広見越は地理院地図では三叉路だが、北へ明瞭な道がもう一本延びている。地理院地図を見ると西川原から大附への道が載っており、おそらくこれにつながっているのだろう。ただ大附への道はゴルフ場の中を通っているので、これを利用するのは問題がありそうだ。
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(竹林の中の慈光道を行く)
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(広見越に近づくと尾根が細くなる)
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(広見越)
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(大きな馬頭観音像 忿怒の表情には迫力がある)
広見越から西へ下る小道も掘割となっている所があって古道らしさがある。舗装された車道に出た辺りは西川原集落の最上部に当たる。山と高原地図ではここを広見越としている。車道の周囲は檜が植えられ、日差しを遮ってくれる。大附へ下るものと思われる山道を見送るとゴルフ場の敷地の脇を進む。2018年に訪れた時はゴルフ場が管理する原っぱから見晴らしが得られたが、新緑の時期では枝葉が邪魔してよく見えない。ゴルフ場のクラブハウスへの道を分け、宮尾根方面へ下る。ここからは未踏のルートだ。
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(西川原へ下る道 小道だが掘割もある)
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(舗装された慈光道脇にある石仏)
相変わらず檜に覆われた車道が続く。途中山道があり、西平の飯盛山へと通じていないかと入ってみるが、上へ向かう道は無いようだ。再び車道を下ると開けた農地が広がる宮尾根の集落に入る。立派なお宅を過ぎると西へ下る山道がある。地理院地図を見る限り、これは清水の集落へ下る道で、向かいには飯盛山方面への道があるはずだが、痕跡らしきものは全くない。次の民家の向かいにはときがわ町乗合タクシーの宮尾根バス停と名付けられた共通乗降所がある。登録さえすれば観光でも利用できるとのことだが、
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(舗装された慈光道 宮尾根林道と名付けられている)
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(宮尾根の集落に入る)
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(清水集落へ下る道 トレランコースとなっているらしい)
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(ときがわ町乗合タクシーの共通乗降所j)
結局道を見つけられず、車道をどんどん下る。すると車道が西へ延びる尾根にぶつかる所で大カヤへの道が分岐する。地理院地図を見た感じではこの道を使えば飯盛山の頂上直下の急坂に差し掛かる前の緩斜面までは登れそうだ。大カヤへは整備された木段の道が続く。傾斜はそれほど急ではないが、疲れた身体には厳しい。木段が終わると伐採地が見えてくる。伐採地の上部にあるのが大カヤだ。ここは飯盛山から下りるときにじっくり見ていくことにする。大カヤから先も踏み跡があり、まだ登っていけるようだ。順調に登っていけるものと思いきや、道は次第にトラバースしながら下っていく。そこでコンパスで方向を定めて踏み跡の無い斜面を上がっていく。緩斜面に出ると山頂を巻く踏み跡があり、飯盛山遊歩道と書かれた標識もある。踏み跡を辿ってみるが一向に山頂へ向かう気配はない。かといって山頂へ直登しようにも常緑の灌木に覆われた急坂が待ち受け、登れそうにない。ここで諦めて引き返すことにした。
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(大カヤへの道 土留めの木段があるが歩きにくさは無い)
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(飯盛山北の緩斜面 あと60mほど登り切れば山頂だが…)
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(飯盛山遊歩道の標識 道はあるが山頂へ向かっているかは不明)
大カヤへ戻って休憩を取っているとトレイルランナーの男性とすれ違う。やけに多いなと思って調べてみると小江戸大江戸トレニックワールドというNPO法人がこの辺りの山道をルートとして設定しているとのこと。山道を走ることの是非はともかく、人が入ることで山道が整備されるのは素直に有難いと思う。車道に出て下り始めるとすぐに萩日吉神社の裏手に出る。拝殿も立派なものだが、それ以上に驚くのが入口にある鳥居の側にある杉の古木だ。児持杉と呼ばれているという。
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/e1/e966de4a9a0fcbc569eb21772cdc2420.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/a1/46e14c2f4f13a11e2a6a88ca99643adf.jpg)
(大カヤ)
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(萩日吉神社 拝殿を水平に撮れていない かなり疲れていたんだな…)
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(児持杉)
宮平の集落を抜け、都幾川を渡ると宿という集落に入る。宿の交差点を曲がれば間もなく慈光寺入口バス停だ。さてバスは何時にやってくるかなと時刻表を見ると土休日は運休と書いてある。これはどういうことなの…?イーグルバスのHPにアクセスするとせせらぎバスセンターから日向根・都幾川四季彩館・竹の谷を結ぶバスは廃止になったという。そして平日の早朝のみ竹の谷からせせらぎバスセンター行きが出ているとのことだ。う~ん、これには参った。
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(都幾川)
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(慈光寺入口バス停)
慈光寺入口バス停から明覚駅までは約1時間の長い車道歩き。駐在所を過ぎると都幾本という和菓子店があり、羊羹と柏餅を買っていく。高齢の店主に路線バスのことについて尋ねるとあまり詳しいことは知らなかったようだ。この辺りの人は高齢でもバスを使うことなどほとんどないのだろう。都幾川のつくった谷を下り、市街地を抜けてようやく明覚駅に着く。列車は5分ほど前に行ってしまったか…。周囲に売店も無いので、ホームのベンチでのんびり待つことにする。それにしてもときがわ町のバスがこれほど廃止になってしまうとは予想できなかった。明覚駅から直接歩けるルートや周辺自治体の路線バスに乗れるルートはともかく、椚平地区や慈光寺周辺はかなり訪問しにくくなってしまった。
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(明覚駅 駅舎の奥に見えるのは弓立山)
DATA:
正丸駅6:40→6:56北川正丸林道入口→7:16三田久保峠→7:44岩井沢観音堂7:50→8:20松尾山と650m峰との鞍部→8:34檥峠入口(岩井沢林道・旧道分岐)→8:57奥武蔵グリーンライン→9:10飯盛山(センズイ)→9:16飯盛峠→9:35狼岩→9:50花ノ木平線終点(尾根への取り付き地点)→9:55馬場→10:02麦原(難路)分岐→10:10硯水→10:16猿岩峠→10:22椚平一望見晴台→10:27大築山→10:46小築山→11:01麦原・西行杉分岐→11:09山入の庚申塔11:20→11:29広見越→11:34西川原→11:51宮尾根→12:12大カヤ入口→12:17大カヤ→(飯盛山で迷う)→12:43萩日吉神社→12:57慈光寺入口バス停→14:13明覚駅
地形図 正丸峠 越生
トイレ 萩日吉神社 慈光寺入口バス停
交通機関
西武池袋・秩父線 小手指~正丸 409円 飯能~小手指 242円
JR八高線 明覚~東飯能 330円
関連記事:
平成24年(2012年)6月30日 越生あじさい山から大築山
平成27年(2015年)5月6日 ツツジ山から丸山
平成28年(2016年)5月1日 天久保山から松尾山を経て顔振峠
平成30年(2018年)2月17日 柏木尾根から六万部塚を経て弓立山
2020年9月22日 正丸から上大満
岩井沢集落から檥峠入口(岩井沢林道・旧道分岐)までと飯盛山周辺を除き全て一般ルートです。ただ岩井沢集落から檥峠入口までについてもほぼ一般ルート扱いで問題ないかと思います。
ときがわ町路線バスについては山岳路線(竹の谷・日向根・慈光寺など)に関しては事実上の廃止となりました。代替交通機関としてときがわ町乗合タクシーが利用できます。詳しくはこちらをご参照ください。