野老の里

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奥武蔵へようこそ 平成23年10月29日 武川岳と大持山 紅葉情報

2011年10月31日 | 奥武蔵へようこそ
(横倉山付近の紅葉)

奥武蔵という所は基本的に杉や檜の植林が中心で、紅葉の綺麗な所は少ないのですが、奥武蔵の最深部である大持山の周辺は雑木林が広がり、隠れた紅葉の名所となっています。今回は正丸駅から武川岳を経由して、紅葉が美しい妻坂峠~大持山~鳥首峠間を歩いてきました。

紅葉の状況を先に言ってしまうと、武川岳:色付き始め。台風の影響で葉が落ち、見所は少ない。妻坂峠~大持山:色付き始め。11月5、6日頃が見頃か。ここも葉が少ない。大持山~ウノタワ~鳥首峠:現在見頃。文化の日までは保ちそう。という感じになっています。参考にしてください。

スタートは正丸駅から。ハイシーズンを迎えて多くのハイカーが降り立ちます。ここから大蔵山集落を抜けて長岩峠へ登り、名栗げんきプラザへ下りて、山伏峠から武川岳を目指します。一通りハイカーが出発したのを見届けて、最後尾から歩き始めます。大蔵山集落を抜ける道はもう何度も歩いた道。車道脇には家が建ち並び、未だ集落としての活気を残しています。駅から20分ほど歩くと正丸峠への道を分ける馬頭さま。前を行く若いカップルがお参りしていました。

馬頭さまからは沢沿いを行く樹林の中の緩やかな道を進みます。コンクリで出来た真新しい墓地があったことにちょっと驚き。長岩橋を過ぎると間も無く実谷のふたまた。ここから伊豆ヶ岳~正丸峠間の尾根を目指して急坂を登っていきます。鬱陶しい急な土留めの木段を過ぎると、沢を外れて緩やかな尾根道となります。テントが一張り張れそうなスペースの脇にあるのがふたご岩。ふたご岩を過ぎると再び傾斜が急に。すると尾根側に大きな岩壁が見えてきます。その岩壁がかめ岩。かめ岩の脇をトラバースしていくと長い土留めの木段が現れます。地形図だと伊豆ヶ岳~正丸峠間の尾根から東へ660のピークへ向かって派生する尾根の南側の急斜面に当たります。実谷のふたまたの木段に比べると足場が低く、思ったよりも歩きやすい木段です。木段を登りきれば緩やかな尾根歩き。もう一度短い木段を上がると大蔵山に出ます。大蔵山はピークというよりは尾根上の小突起といった風情です。 

(ふたご岩)


(かめ岩)


(長い木段)


(大蔵山)

大蔵山から北へ少し下ると長岩峠です。巻き道を横切るようにして名栗げんきプラザへの道が下りています。最初は緩やかな下りもすぐに長い木段の続く急坂となります。ツガの木台を過ぎると南側が深い谷となっていてちょっと危ない感じです。谷底へ下りて木の橋で沢を渡り、少し登り返すと永井谷林道に出ます。林道を下ると正丸峠から山伏峠へと至る車道に出ます。バイクやダンプが猛スピードで行き交うので要注意。

(長岩峠)


(永井谷林道への下り)

左に車道を上っていくと名栗げんきプラザがあります。現在はわかりませんが、以前はトイレや自動販売機が使えました。名栗げんきプラザを過ぎると、ヘアピンカーヴの所からゲートの下りた林道が延びています。林道を進んでも武川岳へ登ることはできますが、今日はまだ車道を上がって山伏峠を目指します。のんびり車道を歩いていると「ちちてつタクシー」が追い抜いていきました。こんな所にタクシーとは珍しい。峠の登山口に差し掛かると先ほどのタクシーから沢山ハイカーが降りてきました。どうやら同じルートを歩くようです。若い人中心のグループでとても賑やか。準備をしている最中だったので、一先ず先に行かせてもらうことにします。

山伏峠から武川岳へは初めての単独行で歩いた道。あのときはきつく感じましたが、今日はどうでしょうか。車道に沿って緩やかに登ると次第に植林の中を真直ぐに延びる道となります。傾斜はやや急でペースが落ちます。この辺りで先ほどのグループに抜かれます。まあ向こうは団体だし、ゆっくり追いかけることにしよう。防火帯のように広がった道は下草が繁茂し、以前よりも大分荒れた印象です。歩く人が少ないのでしょうか。名栗げんきプラザへの分岐で先ほどのグループに追いついてしまいました。着替えなどをしているみたいだし、とりあえず先へ行かせてもらいます。ほぼ一定の傾斜で上がる道は以前ならともかく、現在は歩きやすいほうだと言えます。やがて前方が大きく開けてきました。広い伐採地でかつては伊豆ヶ岳がよく見えましたが、現在はどうでしょうか。以前あった丸太のベンチなどはすっかり姿を消して、一面薄が生えています。腰掛に良さそうな切り株を一つ見つけて振り返ると、伊豆ヶ岳とそこから延びる稜線がよく見えます。でも休憩地として使うには下草が生えすぎですかね。

(伐採地から伊豆ヶ岳)

伐採地を過ぎるとこれまで以上に尾根が広がります。ちょうど845のピーク辺りでしょうか。その先の小ピークに上がると木の間越しに前武川岳の姿が見えます。意外と近いですね。前武川岳への登りに差し掛かると紅葉が出てきました。この辺りはまだまだ葉の青さが目立ちますが、いくらか色付いています。ただ葉が少ないですね。明るい広葉樹林を進むと傾斜が緩やかになり、広い小平地になっています。ちょっと不思議な風景だなぁと思っていると暗い樹林の先が前武川岳(1003)です。天狗岩から上がってくるのに比べると随分印象が変わって見えるものですね。

(紅葉)


(前武川岳山頂付近)

前武川岳から武川岳の間もなかなかの紅葉スポット。色付きが始まったばかりで来週くらいが見頃でしょうか。最後の急傾斜の登りをこなすと武川岳(1051.7)の広い山頂に出ます。樹林に囲まれ、展望に恵まれない山頂ですが、この落ち着いた雰囲気はいつ来ても良いものです。山頂には先客が4人。それでもベンチに空きがあるほど余裕があります。ベンチ前は南側が少しだけ開けていて、薄が秋を感じさせます。

(山頂からの眺め)

少しだけ休憩して、先ほどのグループが来る前に出発します。山頂から尾根が二手に分かれるまでが紅葉の綺麗な所なのですが、まだちょっと早いようです。でもそれ以上に目立つのは葉が少ないということです。紅葉を迎える前にこんな葉が少ないとは…。尾根が二手に分岐する地点には道標があります。間違うことは無いと思いますが、左の急坂を下りましょう。分岐からは怖いくらいの急坂が連続します。急すぎて踏み跡が消えている所もあるので要注意。前からここを登ってくるグループがいましたが、さぞ辛いことでしょうね。妻坂峠手前の急坂からは大持山から小持山への尾根が見えるのですが、うーん、色付きが悪いですねぇ。妻坂峠へ下りてきて、ここも紅葉の綺麗な所ですが、まだ色付き始め。この辺りは来週以降でしょうね。

(武川岳の紅葉)


(尾根が二手に分かれる所)


(大持山から小持山への尾根を眺める)

以前は落ち着いた雰囲気が心地良かった妻坂峠(839)も、台風の影響で随分荒れた感じになってしまいました。出来れば倒れた木は片付けたいところなんですけれどねぇ。ここから1000mくらいまでは厳しい登り。そしてここからが美しい紅葉ロード、といきたいところだったのですが、まだ青々しています。ここも来週以降かなぁ。土嚢が積まれるほどに水流で抉られた登山道は踏み跡が交錯しています。歩きやすい所を適当に踏んでいくのでしょうね。この厳しい登りで中高年の男性とご夫婦に追い抜かれます。うわぁ追い付けねぇ…。標高が上がってくるにつれてカエデ類は大分赤く色付いてきました。1050m付近は両側が植林となっていて現在地把握には良い所です。植林を抜けると南側が雑木林となります。いくらか色付いていますが、葉が少ないですねぇ。1090m付近(地形図で輪っかになっている所)には黄色く紅葉する木がありますが、ここもまだ色付き始め。

(妻坂峠のお地蔵様)


(妻坂峠から大持山までの紅葉)

1090mの小ピークから先は色付きが進んでいます。でも物足りないなぁ…。緩やかになった斜面をゆっくり歩いているとさっき追い抜かれた中高年の男性に追い付きます。すると男性が気付いてトリカブトの花が咲いていると教えてくれました。大菩薩では見たことがあるのですが、奥武蔵では初めて。花を撮り終って歩き始めると先ほどの男性が紅葉を撮っていました。男性は妻坂峠~大持山~ウノタワを中心に歩いていて、キャリアは40年以上(!)とのこと。大先輩だ…。この後は男性と話しながら大持山の肩まで歩きました。最後の岩場を越えると大持山の肩の大展望が広がります。鳥首峠方面は少々落葉した木が目立つもののまずます紅葉しているようです。妻坂峠から70分ほどで着いたので、気を良くしてのんびりカップラーメンを食べることにしました。男性は話好きな方で、かつて武川岳には小屋があったことや大持山はハゲ山だったことを教えてくれました。



(色付きが進んだ所)


(トリカブトの花)


(大持山の肩からのパノラマ)

少々のんびりし過ぎたようで、もう13時近くなってしまいました。ぼちぼち出発しないと暗くなってしまいます。大持山へは寄らない予定でしたが、男性が折角だから寄ってけばと仰ったので往復することにします。肩から山頂まではちょうど紅葉の見頃を迎えています。これを見るだけでも山頂へ寄る価値はあるというものです。5分ほどで大持山の山頂(1294.1)に到着。大平山方面と武川岳方面がいくらか開けていますが、正直どうでもいい程度の展望です。展望を楽しみたいのであれば、小持山方面へ縦走したほうがよいでしょう。それにしても人が多いなぁ…。

(大持山の肩から山頂までの紅葉)


(山頂から大平山方面の眺め)

肩へ戻り、男性と別れの挨拶を交わして鳥首峠方面へと下ります。下り始めるとすぐに見事な紅葉が目に飛び込んできます。この辺りもちょうど見頃を迎えています。下りが急でのんびり眺める訳にはいかないものの、ついつい足を止めてしまいます。下りきると広い尾根に出ます。ここからウノタワまでは奥武蔵でも一、二を争う快適な尾根が続きます。縦走路の小突起といった風情の横倉山(1197)には手製の立派なプレートが括りつけられています。その存在を知らなければうっかり通り過ぎてしまいそうです。横倉山から先はやや葉が落ちてしまっている所があります。残念だ。ウノタワへの急坂を下る直前に伊豆ヶ岳・古御岳を望めるビュースポットがあります。腰を下ろすのに使えそうな倒木もあったので、休憩に良い所でしょう。

(大持山の肩直下の紅葉)








(横倉山周辺の紅葉)


(伊豆ヶ岳・古御岳を望めるビュースポットから)

踏み跡が薄くなった急坂を下ると緩やかな広い窪地に出ます。ウノタワです。テントが十張りくらいは張れそうな広場の脇には落葉松の林もあり、ここで一泊したら快適なんでしょうねぇ。細くなった踏み跡を辿っていくと尾根に出ます。この辺りはかなり忠実に地形図にも反映されています。傾斜の急な尾根を登っていくと岩が立ち塞がります。北側を巻くように道が付いているのですが、ここは結構難しい所かもしれません。今回のように登りならまだしも下りだと面倒でしょう。岩場を登りきると岩場注意の標識が立っています。近くの切り開きからは武甲山が頭を覗かせます。尾根を下り、1059のピークとの鞍部には送電鉄塔が立っています。紙の地形図にはまだ送電線が載っているのですが、電子地図には送電線は載らないので現在地把握は難しくなりました。

(ウノタワの落葉松)


(ウノタワの広場)




(ウノタワの紅葉)


(岩場付近の紅葉)


(武甲山が見える)

1059のピーク付近からは石灰の採掘場が見えます。そこからは鳥首峠まで下る一方。途中採掘場を避けるためロープが張られた迂回ルートを歩かされます。周囲は植林ですっかり暗くなった道をひたすら下ります。偽ピークっぽい所から一つ下ると鳥首峠です。祠が置かれただけの暗い峠は明るい妻坂峠と比べると随分と対照的ですね。鳥首峠からは暗い植林帯を九十九折に下っていきます。疲れた体には結構しんどい。鳥首峠から白岩の廃村までは三度沢を横切ります。白岩に一番近い沢で迷う人がいるという話なので、沢は横切るものと覚えておいて下さい。最後の沢を横切れば白岩の廃村に出ます。五軒ほどの廃屋が残る所で、80年代頃までは人が住んでいたそうです。集落の広場からは白岩の名の由来となったであろう石灰岩の岩壁が見えるのですが、訪れる度に小さくなっているように感じます。今も残る廃屋の一つに「しらとり」と書かれた休憩所らしき建物があるのですが、休憩所として使われたことはなかったとの噂もあります。真相はどうなのでしょう。先ほどの男性に聞いておけばよかったかな…。

(採掘場)


(白岩集落のシンボル)


(お休所しらとり)


(二階建ての廃屋)

白岩の廃村を過ぎると運搬用のモノレールが現れます。JFEミネラル(元・鋼管鉱業)が使っていたもののようです。モノレール脇を下っていくとJFEミネラルの工場が見えてきます。現在近づいて撮影することは禁止されているので、遠目に撮影する程度に留めておきましょう。どうしても撮影したい方は事務所で相談すると許可がもらえるそうです。工場の裏手を抜けると林道へ出ます。長い車道歩きの上、ダンプ・キャンプ客の車が行き交うのでここも要注意。山中林道と合流すれば名郷バス停まではあと少し。考えてみたら名郷からバスに乗るのは初めてです。バス停に着くと、うわぁ…ちょうど行ったところか…。バス停前の売店?にある自販機でジュースを買って、30分ほど待って帰途に着きました。



(JFEミネラルの工場)


DATA:
正丸駅8:02~8:24馬頭さま~8:32実谷のふたまた~9:02大蔵山~9:05長岩峠~9:23名栗げんきプラザ~9:31山伏峠~
10:27前武川岳~10:38武川岳~11:14妻坂峠~12:24大持山の肩12:52~13:00大持山~13:18横倉山~13:34ウノタワ
~14:13鳥首峠~14:38白岩廃村~14:53JFEミネラル~15:11林道分岐~15:24名郷(国際興業バス60分)飯能駅

国際興業バス 名郷~飯能駅 790円

地形図 正丸峠 秩父 武蔵日原 原市場

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2 コメント

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秋の夜長に (ジャスミン)
2011-11-03 23:47:47
tokoroさん、こんばんは。
下の「今日の一曲」Greensladeを聴きながら、拝見させて頂きました。

長文でありながら、写真と語りを組み合わせてどんどん読ませる手法はさすがですね~昔、大好きだったNHKFMのクロスオーバーイレブンを連想してしまいました。(^^)
津嘉山正種の声で聴こえてくるという、秋の夜長の妄想…ですかね。(笑)
返信する
>秋の夜長に (tokoro)
2011-11-07 23:05:32
ジャスミンさん、こんばんは。

>長文でありながら、…
本当はもっと短い文章でまとめられたらなぁとは思っているのですが、自分の文章力ではこれが限界です。

今日の一曲のほうは極力哀メロとは心がけていますが、さて次は何にしようかな…。
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