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(雨乞山からの眺め 長瀞の市街地 蓑山の後ろには武甲山)
2012年が明けました。今年も宜しくお願いいたします。
年が改まったということもあり、最初の山歩きは今まで歩いたことの無い陣見山と鐘鐘堂山(かねつきどうやま)にしました。陣見山・鐘鐘堂山など荒川北岸の本庄市・美里町・神川町辺りの山域は一般に北武蔵と呼ばれ、奥武蔵では北のはずれに位置します。所沢から電車で行くと少々遠いので今まで敬遠していたのですが、新年なので新しい山に挑戦することにしました。ルートは樋口駅から間瀬峠へ上がり、そこから雨乞山・陣見山・虎ヶ岡城址と縦走して円良田へ下り、鐘鐘堂山へ登った後、羅漢山を越えて少林寺をゴールとします。
まずはスタートとなる樋口駅へ。電車利用で2時間というのは(奥武蔵としては)やはり遠い。国道140号を渡って暫く車道を西に。地形図に描かれた神社や交番を見送ると踏切が見えてきます。地形図によるとこの辺りから山道に入るはずですが、側には大きめの工場らしき建物があるだけ。どうやら工場裏手を通る車道が地形図に描かれた山道のようです。道標の類は無いのでご注意下さい。
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(林道取り付き)
犬を飼っている民家を過ぎると車道は未舗装の林道となります。固い地面ですが舗装路を歩くよりはだいぶマシ。ほぼ地形図通りに付けられた林道は傾斜が緩やかでなかなか歩きやすい道です。左手から尾根が合流してくると沢沿いの道となります。しばらく進むと左手の尾根を乗り越すように付けられた道が分かれていきます。道なりにそのまま進むのが本線だろうと思って進むと道はヘアピンカーヴを描いて東へ進んでいきます。うーん、どうやら間違えたらしい。分岐に戻り左の道を進みます。地形図だとこの辺りは実線で描かれていますが、実際は樋口駅から上がってきた破線路と変わりありません。ゆるゆると高度を上げていく林道はとても歩きやすい。西側が開けて埼玉長瀞ゴルフカントリーも見えます。間瀬峠を乗り越す車道の白いガードレールが見えてくれば、間瀬峠まではあと一息。西側の谷を覗き込むと地形図に描かれた破線路らしき山道も見えています。谷間の山道も見えなくなると車道が乗り越す間瀬峠に出ます。峠を示すものは特にありません。
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(林道の様子)
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(わかりにくいですが間瀬峠分岐 左へ進むのが間瀬峠)
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(ゴルフ場が見える)
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(谷間の道)
北へ少し行くと車道が分かれます。榎峠につながる道に入ると山側に山道が延びています。道標はありませんがここが雨乞山への登山口です。雑木林の広がる緩斜面をややジグザグを描きつつ登っていきます。檜の植林が見えてくると未舗装の林道が走る尾根に出ます。この林道は先ほど間違えて進もうとした林道に違いないでしょう。ゆるやかに尾根を登っていくと芝草の広場が見えてきました。雨乞山(510)の山頂です。パラグライダー場として使われていることもあり、南東側の斜面が大きく切り開かれています。陣見山へと連なる尾根越しには群馬・栃木の山が見え、陣見山の右には筑波山の姿が小さく浮かびます。正面には小林山と長瀞カントリークラブがよく見え、一昨年の小林山での苦労がよみがえります。背後には登谷山そして鋭鋒を突き上げる大霧山が小さく見え、長瀞の市街地の向こうに蓑山が横たわります。蓑山の上には逆光気味ながら武甲山の削られた山容も見ることが出来ます。尾根に上がると西からの冷たい風に曝されるも、芝草に座れば暖かな陽だまりが楽しめます。ここでお昼寝したいくらい。
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(雨乞山登山口)
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(雑木林の広がる緩斜面)
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(雨乞山)
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(筑波山)
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(正面は小林山)
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(雨乞山のパノラマ)
この前買ったみかんを食べて一休みしたところで縦走再開。ここから榎峠まではしばらく林道を進みます。雨乞山の山頂にユンボがあったこともあるせいか、広い林道が延々と続きます。所々残された尾根には踏み跡が付いていることもあり、出来る限り尾根を忠実に辿っていきます。485の小ピークへ上がり、榎峠へ下っていくとハイキングコースと書かれた看板が立っています。どうやらこの辺りは正規のハイキングコースとして整備されているのかもしれません。でももう少し道標が欲しいなぁ…。雑木林の中の急坂を下っていくとここも車道が乗り越す榎峠に出ます。雨乞山からの林道経由の道には野上下郷石塔婆を経て樋口駅へ下る道が延びているため、本庄山岳会の設置した道標が置かれています。そして陣見山へ向かう尾根にも本庄山岳会が設置した「北武蔵ハイキングコース」なる標柱が立っています。ううむ、長瀞町はこの山域の整備にはあまり熱心でないのかな?
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(広い林道)
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(ハイキングコースの看板)
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(榎峠)
暗い植林を抜けると再び車道へ。ロープの付けられた急坂ですがそんなに難しくありません。ロープを使わずに下りきると南側が大きく開けています。雨乞山よりも西側の眺めが得られます。右に宝登山全体が見え、更に右に行った鋭鋒は破風山でしょうか。越し方を振り返れば雨乞山の芝草の山頂も見えます。ここには長瀞八景の看板も置かれているので、長瀞町が力を入れていないという訳ではないようです。
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(ロープの付いた急坂)
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(南側の展望)
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(雨乞山の芝草が見える)
陣見山の西に延びる尾根に取り付くと一面の雑木林が広がります。やや細い尾根道を上がっていくと榛名山と赤城山を望むビュースポットがあります。陣見山方面を見ると雑木林の尾根に一本だけ松の木が植わっていますね。その松の木まで行ってみると初老の男性が一人腰掛けていました。ここも眺めの良い所で赤城・榛名のほか鼻曲山も見えます。榛名山と鼻曲山の間にあるのは四阿山でしょうか。雑木林から檜の植林へと変わると岩谷堂への分岐が二箇所あり、そこを過ぎれば陣見山の山頂(531.0)です。植林に埼玉テレビの電波塔となるほどガイドやネットで指摘される通りの落ち着かない山頂です。それにしても陣見山とは意味ありげな名で、ネットを見ると本庄市の雉ヶ岡城を見張ったことから付けられた名だそうです。確かに今でこそ林道に寸断された山となっていますが、東西に長い尾根と虎ヶ岡城という山城を持ち、また北へも広い尾根や沢道が延びるなど戦略拠点としては重要であったことが窺えます。
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(赤城山)
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(鼻曲山 四阿山 榛名山)
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(雑木林の尾根)
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(陣見山の山頂)
陣見山から下り、車道を横切ると植林の中のやや急な下り坂が続きます。ここにもロープがありますが使うほどじゃないでしょう。というか使うためではなく、ガイド的な形で利用されているのでしょう。急坂を下りきると南側が明るい雑木林となります。広い尾根となっていて馬くらいなら通れそうな感じです。虎ヶ岡城へ伝令が往復していたなんて考えるとなかなか楽しいもんです。424の小ピークには地面に埋まった石に標高がペンキ書きされています。現在地を把握するには便利でしょうか。368.4の三角点ピークへの下りは再び急な斜面となります。ここもそんなに難しくないでしょう。下り切った先の三角点は山ではあまりお目にかかれない立派な標石です。林道がすぐ下にあるせいでしょうかね。三角点ピークから下ると大槻峠に出ます。北にはすぐ下に林道が見えています。南からの峠道も道形は明瞭です。峠に置かれた馬頭観音と如意輪観世音と書かれた二つの碑を見ていると突然「どこ行くんだい」と呼びかけられます。振り返ると初老の男性がいます。全然気付かなかったなぁ…。虎ヶ岡城址へ向かうことを告げて出発します。
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(広い尾根道)
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(424のピーク)
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(三角点峰)
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(大槻峠)
大槻峠から尾根への取り付きは今日最も急であろう斜面を這い上がります。地面が脆く踏ん張れない所もあるので下るときは気を付けたほうがよいでしょう。ここさえ過ぎてしまえばあとはのんびりムード。369の標石を過ぎた辺りからは尾根も細くなってきます。鞍部へ下ってくると雑木林の明るい尾根の向こうに337の丸いピークが見えてきました。近づくとピークに東屋が建っていて、そのピークの手前には掘割が作られています。なんだこりゃ、と思って気付きました。ここは城跡なんだと。これはおそらく堀切の跡でしょう。337のピークは虎ヶ岡城址と呼ばれていて、周囲は疎林に囲まれています。枝越しにですが鐘鐘堂山が見えます。写真で見る分には気持ちの良いピークなのですが、実際はえらく風が強いんですよね。お茶だけ飲んで出発することにします。
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(337のピーク)
さて当初計画では南西の峠へ下った後、峠道を円良田湖へ下る予定でした。ところが337のピークに上がると「ハイキングコース 出口へ30分」と書かれた道標が北東へ向けて立っています。実は今回の山歩きを計画したとき美里ロイヤルゴルフカントリーへ向かって下る尾根を下れないかと考えていました。ハイキングコースとして整備されているのであれば危険な所もないはず。そこで計画書には無いものの、北東尾根を下ってみることにします。土留めの木段で二度の堀切を越えると比較的緩やかな尾根となります。尾根が細くなってくると東側の展望が開けます。鐘鐘堂山の全体がよく見えます。ゴルフ場の向こうには筑波山も見えました。
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(虎ヶ岡城址の堀切)
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(鐘鐘堂山)
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(筑波山)
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(美里ロイヤルゴルフカントリー)
手摺の付いた階段を下りると地形図には描かれていない車道に出ます。さて今度は鐘鐘堂山に取り付かなくてはなりません。車道を南へ進みます。意外と交通量の多い車道を進んでいくと川にコンクリの橋が架かっているのが見えます。橋を渡ると車道が三つに分岐しています。地形図とは少し違うな…。北へ向かう道は美里ロイヤルゴルフカントリーへ入っていくらしく通行止の看板も立っています。南へ向かって山を上がる車道も明らかにおかしいので、正面の谷間の道を進んでいきます。農家らしき民家を過ぎるとまた分岐です。でも今度は山側の道を選びます。
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(鐘鐘堂山への分岐 奥の橋を渡ります)
取り付きは広い林道のような道が続きますが周囲は気分の良い雑木林が広がります。途中山側に分岐がありますがここは椎茸栽培に使っているのでしょう。上のほうにほだ木が置かれていました。分岐は無視してそのまま進むと305のピークから南西に延びる尾根を越える手前でちょっとした展望が得られます。尾根を越える所でようやく「あんずの里」を示す道標が立っています。上り方面には記載が無いという不親切ぶりです。305のピークの南側を巻く辺りは暗い植林帯となっています。時折木の間越しに鐘鐘堂山の山頂が見えてきます。鐘鐘堂山と305のピークとの鞍部に出るとここにも道標が立っています。なおここを北に行った305のピーク周辺は猪俣城址と呼ばれているそうです。尾根伝いに進むと雑木林に囲まれた小ピークに出ます。ここには谷津池への分岐があります。そういえば地形図を見るとここから鐘鐘堂山までは深谷市(旧花園町)との境になっているんですよね。なんとも複雑。
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(山道の様子)
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(ちょっとした展望)
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(雑木林に囲まれた小ピークから鐘鐘堂山へ向かう)
明るい雑木林を進めば鐘鐘堂山の山頂(330.2)です。疎林に囲まれた山頂で東屋と展望台が設置されています。雰囲気は官ノ倉山に似ていますね。案内板によると鉢形城の見張り場として使われていたそうです。山頂からの景色はとっても微妙。展望は良いのだけれども疎林に囲まれているのがマイナス。でも小さな山なので木が生えていたほうが気分は良いっていう感じはしますけれどね。ここも風が強いので、展望台の建物の蔭でみかんを食べて暫し休憩。
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(鐘鐘堂山の山頂)
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(南側の展望 左・大霧山から右・小林山まで)
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(八幡山方面)
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(筑波山)
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(陣見山)
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(背後は小林山)
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(大霧山)
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(釜伏山)
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(登谷山)
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(スカイツリーも見える)
だいぶ日も傾いてきたので最後のピーク羅漢山を目指します。山頂から円良田湖方面へ道標にしたがって下ると大正池分岐に出ます。ここから西に明るい雑木林の尾根を下ると「円良田湖へ」という看板が立っています。看板にしたがって下っていくと沢沿いを下る舗装路となります。疲れた体にこの舗装路は結構応えます。円良田湖に近づくと廃屋となったような民家が数軒建っています。観光地というにはちょっと寂しい雰囲気ですね。円良田湖北にある丁字路に出ると道標があり、左に進めば羅漢山、右に進めば円良田湖に出ます。ちょっと円良田湖を眺めてみようかと足を延ばすと数匹の猫が道路に群がっています。どうやら餌が撒かれているみたいですね。そういや「野良猫に餌をやらないでください」って民家の軒先に書いてあったような。
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(猫)
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(円良田湖)
チラっと円良田湖を眺めたら引き換えして羅漢山に取り付きます。「五百羅漢少林寺ニ至ル登山口」と書かれた看板脇から延々続く木段を登っていくと道標のある肩の部分に出ます。道標には五百羅漢方面しか示してありませんが、西へ登っていくと鳥居があります。鳥居を潜り、石段を登ると羅漢山の山頂(247)です。広い山頂には沢山の板碑が置かれています。往路を戻り東へ進むと五百羅漢と千体荒神と書かれた案内板があります。それによると山頂に釈尊その他と山中に羅漢像・石碑が保存されているとのこと。確かに看板の向いには立派な仏像が置かれています。五百羅漢と書かれたほうへ下っていくとアルわアルわ。九十九折となった道の山側に羅漢像が立ち並んでいます。どれも個性たっぷり。でも中には顔や頭、さらには上半身がなくなった羅漢像もあります。少林寺の境内を見えてきた所で軽装の親子に擦れ違います。初詣の参拝客でしょうか。境内に出ると本堂がブルーシートに覆われています。う~ん残念。改修工事中でしたか。境内を出たら後は長い車道歩き。通常は波久礼駅に向かうところなんでしょうけれど、電車賃をケチって寄居駅まで歩くことにしました。駅に着いたら目の前で小川町行きの電車が出て行くところでした。今年はちょっと幸先悪いかな…?
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(羅漢山登山口)
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(鳥居の脇に置かれた白狐)
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(羅漢山)
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(釈尊像)
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(五百羅漢)
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(少林寺)
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(羅漢山を望む)
今回のルート、分岐に道標がないという所が多いので、できる限り地形図とコンパスをお持ち下さい。分岐で間違いさえしなければほかに難しいところはないと思います。
DATA:
樋口駅8:47~8:59林道取り付き~9:34間瀬峠分岐~9:48間瀬峠~10:05雨乞山10:23~10:52榎峠~11:03長瀞八景の看板のあるビュースポット
~11:27陣見山~12:05大槻峠~12:23虎ヶ岡城址~12:40円良田集落~13:17鐘鐘堂山~13:47円良田湖分岐~14:01羅漢山
~14:19少林寺~15:02寄居駅
地形図 鬼石 寄居
山と高原地図 奥武蔵・秩父 2010年度版
2012年が明けました。今年も宜しくお願いいたします。
年が改まったということもあり、最初の山歩きは今まで歩いたことの無い陣見山と鐘鐘堂山(かねつきどうやま)にしました。陣見山・鐘鐘堂山など荒川北岸の本庄市・美里町・神川町辺りの山域は一般に北武蔵と呼ばれ、奥武蔵では北のはずれに位置します。所沢から電車で行くと少々遠いので今まで敬遠していたのですが、新年なので新しい山に挑戦することにしました。ルートは樋口駅から間瀬峠へ上がり、そこから雨乞山・陣見山・虎ヶ岡城址と縦走して円良田へ下り、鐘鐘堂山へ登った後、羅漢山を越えて少林寺をゴールとします。
まずはスタートとなる樋口駅へ。電車利用で2時間というのは(奥武蔵としては)やはり遠い。国道140号を渡って暫く車道を西に。地形図に描かれた神社や交番を見送ると踏切が見えてきます。地形図によるとこの辺りから山道に入るはずですが、側には大きめの工場らしき建物があるだけ。どうやら工場裏手を通る車道が地形図に描かれた山道のようです。道標の類は無いのでご注意下さい。
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(林道取り付き)
犬を飼っている民家を過ぎると車道は未舗装の林道となります。固い地面ですが舗装路を歩くよりはだいぶマシ。ほぼ地形図通りに付けられた林道は傾斜が緩やかでなかなか歩きやすい道です。左手から尾根が合流してくると沢沿いの道となります。しばらく進むと左手の尾根を乗り越すように付けられた道が分かれていきます。道なりにそのまま進むのが本線だろうと思って進むと道はヘアピンカーヴを描いて東へ進んでいきます。うーん、どうやら間違えたらしい。分岐に戻り左の道を進みます。地形図だとこの辺りは実線で描かれていますが、実際は樋口駅から上がってきた破線路と変わりありません。ゆるゆると高度を上げていく林道はとても歩きやすい。西側が開けて埼玉長瀞ゴルフカントリーも見えます。間瀬峠を乗り越す車道の白いガードレールが見えてくれば、間瀬峠まではあと一息。西側の谷を覗き込むと地形図に描かれた破線路らしき山道も見えています。谷間の山道も見えなくなると車道が乗り越す間瀬峠に出ます。峠を示すものは特にありません。
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(林道の様子)
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(わかりにくいですが間瀬峠分岐 左へ進むのが間瀬峠)
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(ゴルフ場が見える)
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(谷間の道)
北へ少し行くと車道が分かれます。榎峠につながる道に入ると山側に山道が延びています。道標はありませんがここが雨乞山への登山口です。雑木林の広がる緩斜面をややジグザグを描きつつ登っていきます。檜の植林が見えてくると未舗装の林道が走る尾根に出ます。この林道は先ほど間違えて進もうとした林道に違いないでしょう。ゆるやかに尾根を登っていくと芝草の広場が見えてきました。雨乞山(510)の山頂です。パラグライダー場として使われていることもあり、南東側の斜面が大きく切り開かれています。陣見山へと連なる尾根越しには群馬・栃木の山が見え、陣見山の右には筑波山の姿が小さく浮かびます。正面には小林山と長瀞カントリークラブがよく見え、一昨年の小林山での苦労がよみがえります。背後には登谷山そして鋭鋒を突き上げる大霧山が小さく見え、長瀞の市街地の向こうに蓑山が横たわります。蓑山の上には逆光気味ながら武甲山の削られた山容も見ることが出来ます。尾根に上がると西からの冷たい風に曝されるも、芝草に座れば暖かな陽だまりが楽しめます。ここでお昼寝したいくらい。
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(雨乞山登山口)
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(雑木林の広がる緩斜面)
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(雨乞山)
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(筑波山)
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(正面は小林山)
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(雨乞山のパノラマ)
この前買ったみかんを食べて一休みしたところで縦走再開。ここから榎峠まではしばらく林道を進みます。雨乞山の山頂にユンボがあったこともあるせいか、広い林道が延々と続きます。所々残された尾根には踏み跡が付いていることもあり、出来る限り尾根を忠実に辿っていきます。485の小ピークへ上がり、榎峠へ下っていくとハイキングコースと書かれた看板が立っています。どうやらこの辺りは正規のハイキングコースとして整備されているのかもしれません。でももう少し道標が欲しいなぁ…。雑木林の中の急坂を下っていくとここも車道が乗り越す榎峠に出ます。雨乞山からの林道経由の道には野上下郷石塔婆を経て樋口駅へ下る道が延びているため、本庄山岳会の設置した道標が置かれています。そして陣見山へ向かう尾根にも本庄山岳会が設置した「北武蔵ハイキングコース」なる標柱が立っています。ううむ、長瀞町はこの山域の整備にはあまり熱心でないのかな?
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(広い林道)
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(ハイキングコースの看板)
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(榎峠)
暗い植林を抜けると再び車道へ。ロープの付けられた急坂ですがそんなに難しくありません。ロープを使わずに下りきると南側が大きく開けています。雨乞山よりも西側の眺めが得られます。右に宝登山全体が見え、更に右に行った鋭鋒は破風山でしょうか。越し方を振り返れば雨乞山の芝草の山頂も見えます。ここには長瀞八景の看板も置かれているので、長瀞町が力を入れていないという訳ではないようです。
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(ロープの付いた急坂)
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(南側の展望)
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(雨乞山の芝草が見える)
陣見山の西に延びる尾根に取り付くと一面の雑木林が広がります。やや細い尾根道を上がっていくと榛名山と赤城山を望むビュースポットがあります。陣見山方面を見ると雑木林の尾根に一本だけ松の木が植わっていますね。その松の木まで行ってみると初老の男性が一人腰掛けていました。ここも眺めの良い所で赤城・榛名のほか鼻曲山も見えます。榛名山と鼻曲山の間にあるのは四阿山でしょうか。雑木林から檜の植林へと変わると岩谷堂への分岐が二箇所あり、そこを過ぎれば陣見山の山頂(531.0)です。植林に埼玉テレビの電波塔となるほどガイドやネットで指摘される通りの落ち着かない山頂です。それにしても陣見山とは意味ありげな名で、ネットを見ると本庄市の雉ヶ岡城を見張ったことから付けられた名だそうです。確かに今でこそ林道に寸断された山となっていますが、東西に長い尾根と虎ヶ岡城という山城を持ち、また北へも広い尾根や沢道が延びるなど戦略拠点としては重要であったことが窺えます。
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(赤城山)
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(鼻曲山 四阿山 榛名山)
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(雑木林の尾根)
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(陣見山の山頂)
陣見山から下り、車道を横切ると植林の中のやや急な下り坂が続きます。ここにもロープがありますが使うほどじゃないでしょう。というか使うためではなく、ガイド的な形で利用されているのでしょう。急坂を下りきると南側が明るい雑木林となります。広い尾根となっていて馬くらいなら通れそうな感じです。虎ヶ岡城へ伝令が往復していたなんて考えるとなかなか楽しいもんです。424の小ピークには地面に埋まった石に標高がペンキ書きされています。現在地を把握するには便利でしょうか。368.4の三角点ピークへの下りは再び急な斜面となります。ここもそんなに難しくないでしょう。下り切った先の三角点は山ではあまりお目にかかれない立派な標石です。林道がすぐ下にあるせいでしょうかね。三角点ピークから下ると大槻峠に出ます。北にはすぐ下に林道が見えています。南からの峠道も道形は明瞭です。峠に置かれた馬頭観音と如意輪観世音と書かれた二つの碑を見ていると突然「どこ行くんだい」と呼びかけられます。振り返ると初老の男性がいます。全然気付かなかったなぁ…。虎ヶ岡城址へ向かうことを告げて出発します。
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(広い尾根道)
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(424のピーク)
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(三角点峰)
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(大槻峠)
大槻峠から尾根への取り付きは今日最も急であろう斜面を這い上がります。地面が脆く踏ん張れない所もあるので下るときは気を付けたほうがよいでしょう。ここさえ過ぎてしまえばあとはのんびりムード。369の標石を過ぎた辺りからは尾根も細くなってきます。鞍部へ下ってくると雑木林の明るい尾根の向こうに337の丸いピークが見えてきました。近づくとピークに東屋が建っていて、そのピークの手前には掘割が作られています。なんだこりゃ、と思って気付きました。ここは城跡なんだと。これはおそらく堀切の跡でしょう。337のピークは虎ヶ岡城址と呼ばれていて、周囲は疎林に囲まれています。枝越しにですが鐘鐘堂山が見えます。写真で見る分には気持ちの良いピークなのですが、実際はえらく風が強いんですよね。お茶だけ飲んで出発することにします。
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(337のピーク)
さて当初計画では南西の峠へ下った後、峠道を円良田湖へ下る予定でした。ところが337のピークに上がると「ハイキングコース 出口へ30分」と書かれた道標が北東へ向けて立っています。実は今回の山歩きを計画したとき美里ロイヤルゴルフカントリーへ向かって下る尾根を下れないかと考えていました。ハイキングコースとして整備されているのであれば危険な所もないはず。そこで計画書には無いものの、北東尾根を下ってみることにします。土留めの木段で二度の堀切を越えると比較的緩やかな尾根となります。尾根が細くなってくると東側の展望が開けます。鐘鐘堂山の全体がよく見えます。ゴルフ場の向こうには筑波山も見えました。
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(虎ヶ岡城址の堀切)
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(鐘鐘堂山)
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(筑波山)
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(美里ロイヤルゴルフカントリー)
手摺の付いた階段を下りると地形図には描かれていない車道に出ます。さて今度は鐘鐘堂山に取り付かなくてはなりません。車道を南へ進みます。意外と交通量の多い車道を進んでいくと川にコンクリの橋が架かっているのが見えます。橋を渡ると車道が三つに分岐しています。地形図とは少し違うな…。北へ向かう道は美里ロイヤルゴルフカントリーへ入っていくらしく通行止の看板も立っています。南へ向かって山を上がる車道も明らかにおかしいので、正面の谷間の道を進んでいきます。農家らしき民家を過ぎるとまた分岐です。でも今度は山側の道を選びます。
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(鐘鐘堂山への分岐 奥の橋を渡ります)
取り付きは広い林道のような道が続きますが周囲は気分の良い雑木林が広がります。途中山側に分岐がありますがここは椎茸栽培に使っているのでしょう。上のほうにほだ木が置かれていました。分岐は無視してそのまま進むと305のピークから南西に延びる尾根を越える手前でちょっとした展望が得られます。尾根を越える所でようやく「あんずの里」を示す道標が立っています。上り方面には記載が無いという不親切ぶりです。305のピークの南側を巻く辺りは暗い植林帯となっています。時折木の間越しに鐘鐘堂山の山頂が見えてきます。鐘鐘堂山と305のピークとの鞍部に出るとここにも道標が立っています。なおここを北に行った305のピーク周辺は猪俣城址と呼ばれているそうです。尾根伝いに進むと雑木林に囲まれた小ピークに出ます。ここには谷津池への分岐があります。そういえば地形図を見るとここから鐘鐘堂山までは深谷市(旧花園町)との境になっているんですよね。なんとも複雑。
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(山道の様子)
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(ちょっとした展望)
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(雑木林に囲まれた小ピークから鐘鐘堂山へ向かう)
明るい雑木林を進めば鐘鐘堂山の山頂(330.2)です。疎林に囲まれた山頂で東屋と展望台が設置されています。雰囲気は官ノ倉山に似ていますね。案内板によると鉢形城の見張り場として使われていたそうです。山頂からの景色はとっても微妙。展望は良いのだけれども疎林に囲まれているのがマイナス。でも小さな山なので木が生えていたほうが気分は良いっていう感じはしますけれどね。ここも風が強いので、展望台の建物の蔭でみかんを食べて暫し休憩。
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(鐘鐘堂山の山頂)
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(南側の展望 左・大霧山から右・小林山まで)
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(八幡山方面)
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(筑波山)
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(陣見山)
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(背後は小林山)
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(大霧山)
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(釜伏山)
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(登谷山)
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(スカイツリーも見える)
だいぶ日も傾いてきたので最後のピーク羅漢山を目指します。山頂から円良田湖方面へ道標にしたがって下ると大正池分岐に出ます。ここから西に明るい雑木林の尾根を下ると「円良田湖へ」という看板が立っています。看板にしたがって下っていくと沢沿いを下る舗装路となります。疲れた体にこの舗装路は結構応えます。円良田湖に近づくと廃屋となったような民家が数軒建っています。観光地というにはちょっと寂しい雰囲気ですね。円良田湖北にある丁字路に出ると道標があり、左に進めば羅漢山、右に進めば円良田湖に出ます。ちょっと円良田湖を眺めてみようかと足を延ばすと数匹の猫が道路に群がっています。どうやら餌が撒かれているみたいですね。そういや「野良猫に餌をやらないでください」って民家の軒先に書いてあったような。
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(猫)
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(円良田湖)
チラっと円良田湖を眺めたら引き換えして羅漢山に取り付きます。「五百羅漢少林寺ニ至ル登山口」と書かれた看板脇から延々続く木段を登っていくと道標のある肩の部分に出ます。道標には五百羅漢方面しか示してありませんが、西へ登っていくと鳥居があります。鳥居を潜り、石段を登ると羅漢山の山頂(247)です。広い山頂には沢山の板碑が置かれています。往路を戻り東へ進むと五百羅漢と千体荒神と書かれた案内板があります。それによると山頂に釈尊その他と山中に羅漢像・石碑が保存されているとのこと。確かに看板の向いには立派な仏像が置かれています。五百羅漢と書かれたほうへ下っていくとアルわアルわ。九十九折となった道の山側に羅漢像が立ち並んでいます。どれも個性たっぷり。でも中には顔や頭、さらには上半身がなくなった羅漢像もあります。少林寺の境内を見えてきた所で軽装の親子に擦れ違います。初詣の参拝客でしょうか。境内に出ると本堂がブルーシートに覆われています。う~ん残念。改修工事中でしたか。境内を出たら後は長い車道歩き。通常は波久礼駅に向かうところなんでしょうけれど、電車賃をケチって寄居駅まで歩くことにしました。駅に着いたら目の前で小川町行きの電車が出て行くところでした。今年はちょっと幸先悪いかな…?
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(羅漢山登山口)
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(鳥居の脇に置かれた白狐)
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(羅漢山)
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(釈尊像)
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(五百羅漢)
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(少林寺)
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(羅漢山を望む)
今回のルート、分岐に道標がないという所が多いので、できる限り地形図とコンパスをお持ち下さい。分岐で間違いさえしなければほかに難しいところはないと思います。
DATA:
樋口駅8:47~8:59林道取り付き~9:34間瀬峠分岐~9:48間瀬峠~10:05雨乞山10:23~10:52榎峠~11:03長瀞八景の看板のあるビュースポット
~11:27陣見山~12:05大槻峠~12:23虎ヶ岡城址~12:40円良田集落~13:17鐘鐘堂山~13:47円良田湖分岐~14:01羅漢山
~14:19少林寺~15:02寄居駅
地形図 鬼石 寄居
山と高原地図 奥武蔵・秩父 2010年度版