(松枝のザゼンソウ)
以前甲仁田山を登った際に横瀬町の追分と松枝地区を結ぶ旧名栗街道を歩いたことがあった。その松枝地区はザゼンソウの自生地として知られていたが、縦走ルートから外れた所にあるため、奥武蔵を10年以上歩いているにもかかわらず、ザゼンソウの花を一度も見たことがなかった。
3月に入り、桜の開花の便りを聞くようになったので、ザゼンソウの花も咲き始めているかもしれない。そこで松枝地区を中心にルートを考えた結果、正丸駅から武川岳に登り、縦走路を歩いて蔦岩山・焼山を踏んだ後、林道焼山線を使って松枝地区に下りる計画を立てた。松枝からは旧名栗街道を使って追分に出て旧正丸峠を登り返す予定だったが、結局長渕へ下りてバスを使った。
正丸駅から山伏峠
朝7時過ぎに正丸駅に着く。電車内は通常通りの乗車率で、正丸駅を降りた人もそれなりにいる。外出自粛が叫ばれてはいるが、空いた電車で移動し、人の少ない山を歩くのなら新型コロナウイルス感染の危険性は少ないだろう。大半の登山客はボクと同じく大蔵山地区に入っていく。
(朝日を浴びる正丸駅)
それほど早い時間ではないのだが、地区内に人の気配は感じられない。平地ではとっくに終わってしまった梅の花がまだ咲き残っている。静まり返った集落を30分ほど歩くと伊豆ヶ岳への道が分岐する馬頭さまに着く。当ブログでもここは何度となく訪れているが、来る度に明るい雰囲気になっている気がする。山道の入口には三椏が黄色い花を付けている。個人的には3月頃というと三椏の花というイメージが強い。
(大蔵山地区に咲く水仙)
(梅の花がまだ残っている)
(中丸屋 新型コロナウイルスの影響でしばらく休業とのこと)
(馬頭さまの下にある三椏の花)
沢沿いの道は昨年の台風の影響を感じさせないほど綺麗に整備されている。相当の被害があったはずだが、かなりの労力を割いて枝などを撤去したに違いない。傾斜の緩やかな坂を登り、大蔵山への分岐である実谷の二又に着く。大蔵山への道はやや荒れ気味だ。
(沢沿いを行く 台風の影響は感じさせない)
(実谷の二又 大蔵山への道は荒れ気味)
大蔵山に登るルートは以前歩いたときには急な坂が連続するという印象があった。だが「奥武蔵登山詳細図」(吉備人出版)を見ると亀岩に上がる所だけが厳しいようだ。実際歩いてみると土留めの木段が点在するものの、傾斜はそれほどきつくない。ふたご岩の手前にある平場に出る手前に崩落があり、迂回ルートが付けられている。このルートは台風通過直後には通行止めになっていたのだが、おそらくこの崩落個所が原因だったのだろう。
(崩落個所 ここは下に迂回路ができていた)
ふたご岩から傾斜は急になる。ふたご岩の片割の側を上がっていくと大きな亀岩が見えてくる。登山詳細図では長岩と括弧書きされている。確かに大きな岩だ。周囲は雑木林で杉木立が続いたこれまでに比べるとかなり明るい。但し平らな所がないので休憩には適さないのが残念だ。木段で岩の脇を上がるとフラットな尾根に出る。緩やかなアップダウンを経て、短い木段を登りきると大蔵山に出る。尾根のちょっとした高まりなので、道標がなければピークという認識はしないだろう。
(ふたご岩)
(亀岩 周囲は雑木林で明るい)
(尾根に出る この岩場の下は亀岩辺りだろう)
(正丸尾根へ最後の登り)
(大蔵山)
北へ尾根を下ると長岩峠に着く。現在の地理院地図では大蔵山と長岩峠は区別が明確になっているが、昭和前期までの地形図は5万分の1だったこともあり、大蔵山と長岩峠は一つの峠道という認識だったようだ。峠からツガの木台までは比較的歩きやすい道が続く。ツガの木台からは急な木段の九十九折となっており、かなり歩きにくい。特に下りは気を付けた方がいい。沢まで下りた所で永井谷林道に出る。名栗街道はすぐそこだ。
(長岩峠)
(ツガの木台から二子山(左)と甲仁田山(右))
(ここの下りは慎重に)
(永井谷林道始点)
普段はダンプカーが猛スピードで通り過ぎる名栗街道だが、今日は圧倒的にスポーツカーとオートバイが多い。爆音を上げて次々と通過していくので耳が痛くなる。10分ほど歩いて山伏峠に着く。交通量の多い車道ということもあり、全く風情はない。峠から武川岳への山道に入るとしばらくは広くて緩やかな尾根が続く。武川岳を目指すルートは天狗岩を越えるものや妻坂峠を経るもの、二子山から縦走するもの、名栗げんきプラザを経るものなどがあるが、一番安全に歩けるのはこの山伏峠からのルートだろう。それだけにもう少しアプローチが良くなってほしい。現状ではバスを使うと湯の沢か松枝から長い車道歩きをしなくてはならない。
(山伏峠 現在の名栗街道が越えていく)
(峠から上がるとしばらくは菖蒲ヶ入沿いの緩やかな道を行く)
武川岳を登る
名栗げんきプラザへの道(菖蒲ヶ入を渡って林道を下るもの)を分けると傾斜は急になる。ジグザグの九十九折となっていて、意外と厳しい登りだ。体がなかなか上がっていかない。40歳を過ぎてから体力の低下を如実に感じるようになった。伐採地の手前で犬を連れた同年代の男性に会う。男性は山中からウノタワへと登る予定だったが、林道が崩壊していて断念したという。登山詳細図の著者の一人である池田和峰さんのブログによると妻坂峠・ウノタワの分岐である山中へ向かう山中林道と横倉林道が崩壊、ウノタワルートは廃道化が進んでいるとのこと。ウノタワルートは沢と雑木林が美しい所だっただけに残念でならない。
(見た目ではわかりにくいがなかなかの急傾斜 ジグザグに登る)
伐採地へ上がると北側に延びる尾根も伐採が進んでいるのが見える。このルートを歩いたのは6年以上前なので、かなり変化も進んでいる。ところが変化はこれだけでなかった。伐採地を過ぎると広い林道が出来上がっていたのだ。西名栗線と呼ばれるもので、ゆくゆくは天狗岩ルートも横切って山中林道に接続する予定らしい。林道を北へ下れば展望も得られるらしいが、今日は松枝が目的地なので先を急ぐ。
(北側にある尾根も広く伐採されている)
(伐採地から伊豆ヶ岳を望む)
(西名栗線が横切る)
林道から上がるとすぐに845m峰に出る。ここから前武川岳手前までは比較的緩やかな道だ。杉檜が植林された暗い急坂を登りきると明るい冬枯れの雑木林に出る。前武川岳は展望の無い山だが、この雑木林は心落ち着く所で一見の価値はある。山頂(1003)にはベンチが二基あり、休憩を取るのに良い。道標には失われたものと思っていた山頂標識が置かれている。かつての写真と見比べると標高の部分が欠落しているが、馴染みのあるものだっただけに嬉しい限りだ。
(西名栗線を過ぎれば比較的緩やかな道が続く)
(前武川岳が見えてきた)
(急坂を登り切れば明るい雑木林に出る)
(前武川岳の頂上)
前武川岳で一息入れ、武川岳へ向かって最後の登り。肩の部分に出るまでがやや急だが、これまでと比べればそうきつくはない。南側の植林帯が切れると山頂(1051.7)だ。地形図を見ると十字型の山頂に思えるが、実際は東西に長い山頂という印象だ。展望に恵まれないのは相変わらずで、南側が一部だけ開けている。目の前に見える尾根は白岩の853m峰(白岩ノ頭)辺りだろうか。そうすると左奥の尾根は蕨山ということになりそうだが。
(武川岳へ向かう)
(ここを登り切れば頂上だ)
(武川岳頂上)
(頂上からの眺め)
縦走路を歩いて焼山へ
武川岳でも一息入れ、同年代の男性がやって来たのと入れ違いで出発する。武川岳から焼山までの稜線はこの近辺では雑木林が多い所だ。今は冬枯れの時期なので明るい陽だまりの道が続く。普段なら春はこの陽だまりの暖かさに助けられるのだが、今日は秩父で24℃になる予報が出ていて、暑いくらいだ。それでも時折吹き抜ける風が心地良い。
(二子山~武川岳間の縦走路は雑木林が多い)
蔦岩山との鞍部に着くと蔦岩山の岩場が木の間越しに覗える。尾根の単なる高まりという印象が強い蔦岩山だが、個人的には好きな山だ。雑木林に覆われていていつ来ても気分が良いし、木の間越しに見える武川岳や伊豆ヶ岳などの眺めもそれほど悪くはない。難点は山頂(1004)が狭いという所だろうか。
(右の雑木林に覆われた山が蔦岩山 下には岩場も見える)
(蔦岩山頂上)
蔦岩山の肩ともいえる小ピークを越えると急斜面の下りが待ち受ける。登りに採る分にはそれほど難しくないが、下りだと踏み跡が薄くなっていてわかりづらい。ザレた急坂の脇にロープがかけられた道もつくられているが、そちらも台風の影響なのか踏み跡は不明瞭になっている。30前後の男性二人組が登ってきていたので、ロープがかけられた道を下ったが、正規ルートを歩いても脇道を下っても難しく感じた。
(相変わらず雑木林が広がる)
(ここの急坂を下りきれば林道は近い)
急坂を下りきると右手に林道が現れる。林道ファンによると作業道の牛喰線であるとのことだ。道標にしたがい林道を進むとぶった切る峠に着く。秩父側へ向かってガードレール付きの林道が下っているが、どこまで工事は進んでいるのだろうか。登山詳細図によると展望が得られるとのことで、実際武甲山が間近に見える。ただ木が邪魔しているので、冬枯れの時期限定であろう。
(尾根が寸断されているため林道へ下るよう指示がある)
(尾根を寸断する林道)
(林道からは小持山と武甲山が見える)
峠から尾根に登り返し、林道とはしばしお別れ。気持ちの良い雑木林から杉檜の植林帯に入る手前で再び林道と接する。下山ルートはここを使う。だがその前に焼山へ向かおう。山頂まで続く急坂は疲れた体にはしんどい。以前歩いた時は倒木が目立つ所もあったが、今日は道を塞ぐようなことはなかった。植林帯を抜けると雑木林に囲まれた開けた焼山の頂上(850)に出る。先ほどの林道の峠よりも武甲山が間近に見え、反対側には二子山や丸山も見える。ただ何となく木の枝が以前より煩くなった印象だ。山頂ではボクより年上らしき男性が憩っていて、丸山や二子山の登山道の状況を教えてもらう。どちらも歩ける程度には復旧しているらしい。
(尾根に登り返すとこんな張り紙がある)
(ここから林道へ下りることになる)
(焼山直下の急坂)
(焼山頂上)
(武甲山がよく見える)
(二子山や丸山が見える)
林道を下って松枝のザゼンソウ自生地
往路を戻って林道に降り立つ。ここからは未踏の道だ。焼山線と呼ばれる林道はよく整備されていて、軽四より大きなクルマでも十分通れそうだ。問題は焼山頂上から東に派生する尾根を越えた辺りから傾斜が急になることだ。おまけに道が舗装されているので、靴底の硬い山靴で歩くのはかなりの苦痛だ。10分ほど歩くと沢地形にぶつかる所で山道が合流してくる。地理院地図だと焼山線と縦走路からの分岐した破線が接する辺りだ。ここから沢の左岸に沿って道が下る。台風の影響か舗装の下が崩れて土砂が流失している所があり、重機が通れるかは心配なところだ。
(林道を下り始める まだ歩きやすい)
(傾斜が急になる辺りから舗装路となる)
(縦走路からの道が接する所 わざわざここを使う意味はなさそうだが)
(沢沿いを行くようになると始点は近い)
鎖がかけられたゲートの辺りで舗装が終わる。ここまで作業道で、この先が林道という扱いらしい。地理院地図を見ると南東に延びる沢道があるが、登山詳細図によると廃道になっていて、道形らしきものもないようだ。下り始めるとすぐに道標が立ち、縦走路から分岐した尾根道が合流してくる。地理院地図だと沢道になっているが、道の維持管理には尾根のほうが容易なのだろう。林道は焼山沢沿いを下っていく。登山詳細図にもあるように5つの橋があり、目安にはなる。小屋場沢にかけられた第4橋を過ぎると第1橋までは綺麗な舗装路が続く。傾斜は緩くなってきているので、それほど足への負担はない。古い地形図を見るとこの焼山線が登山道として載っており、かつては緩やかな沢筋の生活道として使われていたのかもしれない。
(作業道焼山線の始点 ここまでは作業道という扱いらしい)
(縦走路からの尾根道が合流してくる)
(歩きやすい舗装路が延びる)
(橋を渡る度に沢を横切る 手前から流れるのは和尚小屋沢 奥の本線が焼山沢)
第一橋を過ぎると採石場に出る。一旦舗装が切れるのでかなり埃っぽい。採石場から10分歩くとようやく名栗街道へ出る。この辺りは松枝と呼ばれる地区で、甲仁田山を登った際に一度訪れている。名栗街道は山伏峠へ向かって上り坂となっており、ザゼンソウの自生地へはその坂を登っていかなければならない。芦ヶ久保川に架かる松枝橋を渡った先が以前歩いた旧名栗街道だ。ザゼンソウ自生地は2か所あるが、まずはこちらの旧名栗街道脇のものから見ていく。2軒の民家があり、奥の御宅の敷地にある梅林脇から川沿いへ下る。暗い杉林に入ると湿地帯となっており、そこが自生地だ。ザゼンソウのものらしき葉はいくつかあるが、花は無い。こちらは少し早かったようだ。
(第一橋で焼山沢を渡る)
(採石場 未だ現役)
(名栗街道に出る 右へ進むと松枝だ)
(松枝橋を渡った先のザゼンソウ自生地 左奥を下る)
(自生地は湿地帯)
(こちらは花が無かった まだ早かったかあるいは花にならずに葉が出てしまったか)
(自生地入口にある梅林)
往路を戻り、更に名栗街道を登る。途中松枝バス停があり、ここからバスを使って芦ヶ久保や西武秩父の駅に出られるが、13時台が最終だ。初花地区の長渕バス停まで出れば16時台が最終で、更に先の初花バス停まで行けば飲食店もある。意外と下山時間に応じた過ごし方が可能だ。バス停の先の資材置き場を過ぎるともう一つの自生地に着く。こちらは先ほどのものよりも広い。いくつか花を付けたザゼンソウがあり、鶏の卵くらいの大きさがありそうだ。写真などでは赤紫のものがよく見られるが、ここでは緑色のものもある。横瀬町観光協会のHPによると今年は花が咲かずに葉が大きくなってしまったものが多いという。
(松枝バス停 ベンチはあるので待つ分には困らない)
(もう一つの自生地はここから入る)
(ザゼンソウ あまり花が付いているものはなかった)
旧名栗街道を歩いて長渕バス停
念願のザゼンソウの花も見られたので後は帰るだけだ。時刻は12時前で旧正丸峠を越えるのには十分だが、無理して歩きたい気分ではない。とは言えこの辺りに休憩に適した飲食店などはなく、バスを待つには時間が有り過ぎる。そこで以前歩いた旧名栗街道を使って時間を潰すことにした。最悪13時台のバスに乗り遅れても初花バス停近くの蕎麦屋で食事を取って16時台のバスに乗ればよいという腹積もりだ。
松枝橋に戻り、奥にある民家の手前の広い砂利道を行くと更にもう一軒民家が見えてくる。登山詳細図に書かれているように木造の祠があり、祠の下から旧名栗街道の山道が延びている。特に道標などはないので、山慣れていない人には勧め難い。古くからの街道だったこともあり、歩く人は少なくても薄い踏み跡はある。鞍部や緩斜面のトラバースなど歩きやすい工夫もされている。ただかつて架かっていたであろう橋は落ち、枝が踏み跡を覆い隠すなど一般のハイキングコースに比べれば整備の度合いは格段に落ちる。それでも家族連れらしき人たちとすれ違った。ザゼンソウ目当てであろうか。そうでないなら随分と渋い趣味だ。
(右を行くのが旧名栗街道 なお祠は右手の斜面上にある)
(鞍部を越えると沢に出る)
(ここの石積みはおそらく橋を架けていたのだろう)
(街道らしい歩きやすさを感じさせる所もある)
南川左岸の尾根を越えると追分に下りてくる。ミツデカエデの古木と石の道標が目印だが、どうにも枝が繁茂するミツデカエデが恐ろし気で、あまり長居したい場所ではない。追分からは舗装路で、川を渡ると民家の敷地に入る。奥武蔵ではこうした民家の庭先を通る道が多くて気まずくなってしまう。県道でもある名栗街道を少し下れば長渕バス停だ。40分ばかし初夏を思わせる日差しの下でバスを待つ。松枝を折り返してやって来たバスには登山姿の女性グループが乗っているだけだ。割と早い時間から歩き始めたせいか山で出会った人は普段より少なかった印象だ。
(ここは尾根上ではなく、右に見える谷を下る)
(ミツデカエデの古木)
(追分の道標)
(追分 右に旧名栗街道が延びるが荒れ気味)
(長渕バス停 ベンチがあるだけでも有難い)
芦ヶ久保駅バス停で降り、道の駅あしがくぼへ向かうと山の静けさが嘘のような賑わいだ。何か食べて帰ろうかと思っていたのだが、飲食店前に行列が出来ているのを見て萎えた。いくら屋外といえどもあれでは新型コロナウイルスに感染してしまっても不思議ではない。自販機でジュースだけ買って駅のホームに上がる。やって来た電車の車内は普段に比べるとやはり乗客が少ない。感染拡大への不安から外出を控える人が多いのだろう。ウイルス感染が早く収束してほしいところだが、現在の状況ではしばらく山歩きも難しくなってしまいそうだ。
DATA:
正丸駅7:07→7:33馬頭さま→7:42二又の実谷→7:50ふたご岩→7:57亀岩→8:12大蔵山→8:13長岩峠→8:17ツガの木台→8:26永井谷林道始点→8:35山伏峠→9:28前武川岳9:33→9:45武川岳9:52→10:06蔦岩山→10:40焼山→11:29林道焼山線始点→11:51松枝地区のザゼンソウ自生地→12:07旧名栗街道入口→12:24追分の道標→12:28長渕バス停(西武観光バス 西武秩父駅行き)芦ヶ久保駅
地形図 正丸峠
トイレ 正丸駅・芦ヶ久保駅のみ 道中にはありません
交通機関
西武池袋・秩父線 小手指~正丸 409円 芦ヶ久保~小手指 471円
西武観光バス 長渕~芦ヶ久保駅 178円(ICカード利用)
以前甲仁田山を登った際に横瀬町の追分と松枝地区を結ぶ旧名栗街道を歩いたことがあった。その松枝地区はザゼンソウの自生地として知られていたが、縦走ルートから外れた所にあるため、奥武蔵を10年以上歩いているにもかかわらず、ザゼンソウの花を一度も見たことがなかった。
3月に入り、桜の開花の便りを聞くようになったので、ザゼンソウの花も咲き始めているかもしれない。そこで松枝地区を中心にルートを考えた結果、正丸駅から武川岳に登り、縦走路を歩いて蔦岩山・焼山を踏んだ後、林道焼山線を使って松枝地区に下りる計画を立てた。松枝からは旧名栗街道を使って追分に出て旧正丸峠を登り返す予定だったが、結局長渕へ下りてバスを使った。
正丸駅から山伏峠
朝7時過ぎに正丸駅に着く。電車内は通常通りの乗車率で、正丸駅を降りた人もそれなりにいる。外出自粛が叫ばれてはいるが、空いた電車で移動し、人の少ない山を歩くのなら新型コロナウイルス感染の危険性は少ないだろう。大半の登山客はボクと同じく大蔵山地区に入っていく。
(朝日を浴びる正丸駅)
それほど早い時間ではないのだが、地区内に人の気配は感じられない。平地ではとっくに終わってしまった梅の花がまだ咲き残っている。静まり返った集落を30分ほど歩くと伊豆ヶ岳への道が分岐する馬頭さまに着く。当ブログでもここは何度となく訪れているが、来る度に明るい雰囲気になっている気がする。山道の入口には三椏が黄色い花を付けている。個人的には3月頃というと三椏の花というイメージが強い。
(大蔵山地区に咲く水仙)
(梅の花がまだ残っている)
(中丸屋 新型コロナウイルスの影響でしばらく休業とのこと)
(馬頭さまの下にある三椏の花)
沢沿いの道は昨年の台風の影響を感じさせないほど綺麗に整備されている。相当の被害があったはずだが、かなりの労力を割いて枝などを撤去したに違いない。傾斜の緩やかな坂を登り、大蔵山への分岐である実谷の二又に着く。大蔵山への道はやや荒れ気味だ。
(沢沿いを行く 台風の影響は感じさせない)
(実谷の二又 大蔵山への道は荒れ気味)
大蔵山に登るルートは以前歩いたときには急な坂が連続するという印象があった。だが「奥武蔵登山詳細図」(吉備人出版)を見ると亀岩に上がる所だけが厳しいようだ。実際歩いてみると土留めの木段が点在するものの、傾斜はそれほどきつくない。ふたご岩の手前にある平場に出る手前に崩落があり、迂回ルートが付けられている。このルートは台風通過直後には通行止めになっていたのだが、おそらくこの崩落個所が原因だったのだろう。
(崩落個所 ここは下に迂回路ができていた)
ふたご岩から傾斜は急になる。ふたご岩の片割の側を上がっていくと大きな亀岩が見えてくる。登山詳細図では長岩と括弧書きされている。確かに大きな岩だ。周囲は雑木林で杉木立が続いたこれまでに比べるとかなり明るい。但し平らな所がないので休憩には適さないのが残念だ。木段で岩の脇を上がるとフラットな尾根に出る。緩やかなアップダウンを経て、短い木段を登りきると大蔵山に出る。尾根のちょっとした高まりなので、道標がなければピークという認識はしないだろう。
(ふたご岩)
(亀岩 周囲は雑木林で明るい)
(尾根に出る この岩場の下は亀岩辺りだろう)
(正丸尾根へ最後の登り)
(大蔵山)
北へ尾根を下ると長岩峠に着く。現在の地理院地図では大蔵山と長岩峠は区別が明確になっているが、昭和前期までの地形図は5万分の1だったこともあり、大蔵山と長岩峠は一つの峠道という認識だったようだ。峠からツガの木台までは比較的歩きやすい道が続く。ツガの木台からは急な木段の九十九折となっており、かなり歩きにくい。特に下りは気を付けた方がいい。沢まで下りた所で永井谷林道に出る。名栗街道はすぐそこだ。
(長岩峠)
(ツガの木台から二子山(左)と甲仁田山(右))
(ここの下りは慎重に)
(永井谷林道始点)
普段はダンプカーが猛スピードで通り過ぎる名栗街道だが、今日は圧倒的にスポーツカーとオートバイが多い。爆音を上げて次々と通過していくので耳が痛くなる。10分ほど歩いて山伏峠に着く。交通量の多い車道ということもあり、全く風情はない。峠から武川岳への山道に入るとしばらくは広くて緩やかな尾根が続く。武川岳を目指すルートは天狗岩を越えるものや妻坂峠を経るもの、二子山から縦走するもの、名栗げんきプラザを経るものなどがあるが、一番安全に歩けるのはこの山伏峠からのルートだろう。それだけにもう少しアプローチが良くなってほしい。現状ではバスを使うと湯の沢か松枝から長い車道歩きをしなくてはならない。
(山伏峠 現在の名栗街道が越えていく)
(峠から上がるとしばらくは菖蒲ヶ入沿いの緩やかな道を行く)
武川岳を登る
名栗げんきプラザへの道(菖蒲ヶ入を渡って林道を下るもの)を分けると傾斜は急になる。ジグザグの九十九折となっていて、意外と厳しい登りだ。体がなかなか上がっていかない。40歳を過ぎてから体力の低下を如実に感じるようになった。伐採地の手前で犬を連れた同年代の男性に会う。男性は山中からウノタワへと登る予定だったが、林道が崩壊していて断念したという。登山詳細図の著者の一人である池田和峰さんのブログによると妻坂峠・ウノタワの分岐である山中へ向かう山中林道と横倉林道が崩壊、ウノタワルートは廃道化が進んでいるとのこと。ウノタワルートは沢と雑木林が美しい所だっただけに残念でならない。
(見た目ではわかりにくいがなかなかの急傾斜 ジグザグに登る)
伐採地へ上がると北側に延びる尾根も伐採が進んでいるのが見える。このルートを歩いたのは6年以上前なので、かなり変化も進んでいる。ところが変化はこれだけでなかった。伐採地を過ぎると広い林道が出来上がっていたのだ。西名栗線と呼ばれるもので、ゆくゆくは天狗岩ルートも横切って山中林道に接続する予定らしい。林道を北へ下れば展望も得られるらしいが、今日は松枝が目的地なので先を急ぐ。
(北側にある尾根も広く伐採されている)
(伐採地から伊豆ヶ岳を望む)
(西名栗線が横切る)
林道から上がるとすぐに845m峰に出る。ここから前武川岳手前までは比較的緩やかな道だ。杉檜が植林された暗い急坂を登りきると明るい冬枯れの雑木林に出る。前武川岳は展望の無い山だが、この雑木林は心落ち着く所で一見の価値はある。山頂(1003)にはベンチが二基あり、休憩を取るのに良い。道標には失われたものと思っていた山頂標識が置かれている。かつての写真と見比べると標高の部分が欠落しているが、馴染みのあるものだっただけに嬉しい限りだ。
(西名栗線を過ぎれば比較的緩やかな道が続く)
(前武川岳が見えてきた)
(急坂を登り切れば明るい雑木林に出る)
(前武川岳の頂上)
前武川岳で一息入れ、武川岳へ向かって最後の登り。肩の部分に出るまでがやや急だが、これまでと比べればそうきつくはない。南側の植林帯が切れると山頂(1051.7)だ。地形図を見ると十字型の山頂に思えるが、実際は東西に長い山頂という印象だ。展望に恵まれないのは相変わらずで、南側が一部だけ開けている。目の前に見える尾根は白岩の853m峰(白岩ノ頭)辺りだろうか。そうすると左奥の尾根は蕨山ということになりそうだが。
(武川岳へ向かう)
(ここを登り切れば頂上だ)
(武川岳頂上)
(頂上からの眺め)
縦走路を歩いて焼山へ
武川岳でも一息入れ、同年代の男性がやって来たのと入れ違いで出発する。武川岳から焼山までの稜線はこの近辺では雑木林が多い所だ。今は冬枯れの時期なので明るい陽だまりの道が続く。普段なら春はこの陽だまりの暖かさに助けられるのだが、今日は秩父で24℃になる予報が出ていて、暑いくらいだ。それでも時折吹き抜ける風が心地良い。
(二子山~武川岳間の縦走路は雑木林が多い)
蔦岩山との鞍部に着くと蔦岩山の岩場が木の間越しに覗える。尾根の単なる高まりという印象が強い蔦岩山だが、個人的には好きな山だ。雑木林に覆われていていつ来ても気分が良いし、木の間越しに見える武川岳や伊豆ヶ岳などの眺めもそれほど悪くはない。難点は山頂(1004)が狭いという所だろうか。
(右の雑木林に覆われた山が蔦岩山 下には岩場も見える)
(蔦岩山頂上)
蔦岩山の肩ともいえる小ピークを越えると急斜面の下りが待ち受ける。登りに採る分にはそれほど難しくないが、下りだと踏み跡が薄くなっていてわかりづらい。ザレた急坂の脇にロープがかけられた道もつくられているが、そちらも台風の影響なのか踏み跡は不明瞭になっている。30前後の男性二人組が登ってきていたので、ロープがかけられた道を下ったが、正規ルートを歩いても脇道を下っても難しく感じた。
(相変わらず雑木林が広がる)
(ここの急坂を下りきれば林道は近い)
急坂を下りきると右手に林道が現れる。林道ファンによると作業道の牛喰線であるとのことだ。道標にしたがい林道を進むとぶった切る峠に着く。秩父側へ向かってガードレール付きの林道が下っているが、どこまで工事は進んでいるのだろうか。登山詳細図によると展望が得られるとのことで、実際武甲山が間近に見える。ただ木が邪魔しているので、冬枯れの時期限定であろう。
(尾根が寸断されているため林道へ下るよう指示がある)
(尾根を寸断する林道)
(林道からは小持山と武甲山が見える)
峠から尾根に登り返し、林道とはしばしお別れ。気持ちの良い雑木林から杉檜の植林帯に入る手前で再び林道と接する。下山ルートはここを使う。だがその前に焼山へ向かおう。山頂まで続く急坂は疲れた体にはしんどい。以前歩いた時は倒木が目立つ所もあったが、今日は道を塞ぐようなことはなかった。植林帯を抜けると雑木林に囲まれた開けた焼山の頂上(850)に出る。先ほどの林道の峠よりも武甲山が間近に見え、反対側には二子山や丸山も見える。ただ何となく木の枝が以前より煩くなった印象だ。山頂ではボクより年上らしき男性が憩っていて、丸山や二子山の登山道の状況を教えてもらう。どちらも歩ける程度には復旧しているらしい。
(尾根に登り返すとこんな張り紙がある)
(ここから林道へ下りることになる)
(焼山直下の急坂)
(焼山頂上)
(武甲山がよく見える)
(二子山や丸山が見える)
林道を下って松枝のザゼンソウ自生地
往路を戻って林道に降り立つ。ここからは未踏の道だ。焼山線と呼ばれる林道はよく整備されていて、軽四より大きなクルマでも十分通れそうだ。問題は焼山頂上から東に派生する尾根を越えた辺りから傾斜が急になることだ。おまけに道が舗装されているので、靴底の硬い山靴で歩くのはかなりの苦痛だ。10分ほど歩くと沢地形にぶつかる所で山道が合流してくる。地理院地図だと焼山線と縦走路からの分岐した破線が接する辺りだ。ここから沢の左岸に沿って道が下る。台風の影響か舗装の下が崩れて土砂が流失している所があり、重機が通れるかは心配なところだ。
(林道を下り始める まだ歩きやすい)
(傾斜が急になる辺りから舗装路となる)
(縦走路からの道が接する所 わざわざここを使う意味はなさそうだが)
(沢沿いを行くようになると始点は近い)
鎖がかけられたゲートの辺りで舗装が終わる。ここまで作業道で、この先が林道という扱いらしい。地理院地図を見ると南東に延びる沢道があるが、登山詳細図によると廃道になっていて、道形らしきものもないようだ。下り始めるとすぐに道標が立ち、縦走路から分岐した尾根道が合流してくる。地理院地図だと沢道になっているが、道の維持管理には尾根のほうが容易なのだろう。林道は焼山沢沿いを下っていく。登山詳細図にもあるように5つの橋があり、目安にはなる。小屋場沢にかけられた第4橋を過ぎると第1橋までは綺麗な舗装路が続く。傾斜は緩くなってきているので、それほど足への負担はない。古い地形図を見るとこの焼山線が登山道として載っており、かつては緩やかな沢筋の生活道として使われていたのかもしれない。
(作業道焼山線の始点 ここまでは作業道という扱いらしい)
(縦走路からの尾根道が合流してくる)
(歩きやすい舗装路が延びる)
(橋を渡る度に沢を横切る 手前から流れるのは和尚小屋沢 奥の本線が焼山沢)
第一橋を過ぎると採石場に出る。一旦舗装が切れるのでかなり埃っぽい。採石場から10分歩くとようやく名栗街道へ出る。この辺りは松枝と呼ばれる地区で、甲仁田山を登った際に一度訪れている。名栗街道は山伏峠へ向かって上り坂となっており、ザゼンソウの自生地へはその坂を登っていかなければならない。芦ヶ久保川に架かる松枝橋を渡った先が以前歩いた旧名栗街道だ。ザゼンソウ自生地は2か所あるが、まずはこちらの旧名栗街道脇のものから見ていく。2軒の民家があり、奥の御宅の敷地にある梅林脇から川沿いへ下る。暗い杉林に入ると湿地帯となっており、そこが自生地だ。ザゼンソウのものらしき葉はいくつかあるが、花は無い。こちらは少し早かったようだ。
(第一橋で焼山沢を渡る)
(採石場 未だ現役)
(名栗街道に出る 右へ進むと松枝だ)
(松枝橋を渡った先のザゼンソウ自生地 左奥を下る)
(自生地は湿地帯)
(こちらは花が無かった まだ早かったかあるいは花にならずに葉が出てしまったか)
(自生地入口にある梅林)
往路を戻り、更に名栗街道を登る。途中松枝バス停があり、ここからバスを使って芦ヶ久保や西武秩父の駅に出られるが、13時台が最終だ。初花地区の長渕バス停まで出れば16時台が最終で、更に先の初花バス停まで行けば飲食店もある。意外と下山時間に応じた過ごし方が可能だ。バス停の先の資材置き場を過ぎるともう一つの自生地に着く。こちらは先ほどのものよりも広い。いくつか花を付けたザゼンソウがあり、鶏の卵くらいの大きさがありそうだ。写真などでは赤紫のものがよく見られるが、ここでは緑色のものもある。横瀬町観光協会のHPによると今年は花が咲かずに葉が大きくなってしまったものが多いという。
(松枝バス停 ベンチはあるので待つ分には困らない)
(もう一つの自生地はここから入る)
(ザゼンソウ あまり花が付いているものはなかった)
旧名栗街道を歩いて長渕バス停
念願のザゼンソウの花も見られたので後は帰るだけだ。時刻は12時前で旧正丸峠を越えるのには十分だが、無理して歩きたい気分ではない。とは言えこの辺りに休憩に適した飲食店などはなく、バスを待つには時間が有り過ぎる。そこで以前歩いた旧名栗街道を使って時間を潰すことにした。最悪13時台のバスに乗り遅れても初花バス停近くの蕎麦屋で食事を取って16時台のバスに乗ればよいという腹積もりだ。
松枝橋に戻り、奥にある民家の手前の広い砂利道を行くと更にもう一軒民家が見えてくる。登山詳細図に書かれているように木造の祠があり、祠の下から旧名栗街道の山道が延びている。特に道標などはないので、山慣れていない人には勧め難い。古くからの街道だったこともあり、歩く人は少なくても薄い踏み跡はある。鞍部や緩斜面のトラバースなど歩きやすい工夫もされている。ただかつて架かっていたであろう橋は落ち、枝が踏み跡を覆い隠すなど一般のハイキングコースに比べれば整備の度合いは格段に落ちる。それでも家族連れらしき人たちとすれ違った。ザゼンソウ目当てであろうか。そうでないなら随分と渋い趣味だ。
(右を行くのが旧名栗街道 なお祠は右手の斜面上にある)
(鞍部を越えると沢に出る)
(ここの石積みはおそらく橋を架けていたのだろう)
(街道らしい歩きやすさを感じさせる所もある)
南川左岸の尾根を越えると追分に下りてくる。ミツデカエデの古木と石の道標が目印だが、どうにも枝が繁茂するミツデカエデが恐ろし気で、あまり長居したい場所ではない。追分からは舗装路で、川を渡ると民家の敷地に入る。奥武蔵ではこうした民家の庭先を通る道が多くて気まずくなってしまう。県道でもある名栗街道を少し下れば長渕バス停だ。40分ばかし初夏を思わせる日差しの下でバスを待つ。松枝を折り返してやって来たバスには登山姿の女性グループが乗っているだけだ。割と早い時間から歩き始めたせいか山で出会った人は普段より少なかった印象だ。
(ここは尾根上ではなく、右に見える谷を下る)
(ミツデカエデの古木)
(追分の道標)
(追分 右に旧名栗街道が延びるが荒れ気味)
(長渕バス停 ベンチがあるだけでも有難い)
芦ヶ久保駅バス停で降り、道の駅あしがくぼへ向かうと山の静けさが嘘のような賑わいだ。何か食べて帰ろうかと思っていたのだが、飲食店前に行列が出来ているのを見て萎えた。いくら屋外といえどもあれでは新型コロナウイルスに感染してしまっても不思議ではない。自販機でジュースだけ買って駅のホームに上がる。やって来た電車の車内は普段に比べるとやはり乗客が少ない。感染拡大への不安から外出を控える人が多いのだろう。ウイルス感染が早く収束してほしいところだが、現在の状況ではしばらく山歩きも難しくなってしまいそうだ。
DATA:
正丸駅7:07→7:33馬頭さま→7:42二又の実谷→7:50ふたご岩→7:57亀岩→8:12大蔵山→8:13長岩峠→8:17ツガの木台→8:26永井谷林道始点→8:35山伏峠→9:28前武川岳9:33→9:45武川岳9:52→10:06蔦岩山→10:40焼山→11:29林道焼山線始点→11:51松枝地区のザゼンソウ自生地→12:07旧名栗街道入口→12:24追分の道標→12:28長渕バス停(西武観光バス 西武秩父駅行き)芦ヶ久保駅
地形図 正丸峠
トイレ 正丸駅・芦ヶ久保駅のみ 道中にはありません
交通機関
西武池袋・秩父線 小手指~正丸 409円 芦ヶ久保~小手指 471円
西武観光バス 長渕~芦ヶ久保駅 178円(ICカード利用)