野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

自粛は誰のため

2016年04月19日 | tokoroの日常
熊本で大きな地震が起きた。当ブログの読者の皆様は御承知のとおり、ボクは東日本大震災に福島で被災した一人である。当然ながら今回の地震についても深い同情の念を示したいと思う。

さて今回の地震に際し、ACミラン所属のサッカー選手、本田圭佑さんが自身のサイトに「自粛するのは間違っている」と書かれている。ボクは本田さんの考えに共感する。ボク自身、東日本大震災に遭ったとき、ブックマークに入れている「哀メロ天国」の掲示板に「こんな時こそ哀メロを」と書き込んだ。自粛というのは被災者に対して共感や追悼の意思を示すということなのだろう。しかし実際に被災した者からすれば、被災地以外が元気に活動していることを示すことで、自分もまた普段の日常を取り戻そうという気力が生まれるのではないかと思ったし、また日本はまだ終わっていないと実感できるとも思った。だからボクは「哀メロ天国」の掲示板に「こんな時こそ哀メロを」というタイトルとともに「被災していない皆さんはできるだけ今までの生活を続けていくべきだ」と書き込んだのだ。

自粛という選択は共感や追悼の意思を示すという目的とともに、普段通りの生活を続けることへの後ろめたさや批判を受けることへの恐れなどもあるのだろうと思う。でもそれは自粛が被災者のためというよりは自分自身の可愛さのためという感じをかえって強く受ける。もちろん、被災者の気持ちを逆なでするような発言をしてバカ騒ぎしてもいいというわけではない。ところがネットではむしろ被災生活への不満を述べる被災者への罵詈雑言が溢れている。そんなことをしている暇があるなら、被災地以外に住む人間は普段通りの生活をしておけ、と思う。

ボクは東日本大震災に遭ってから一月後には福島市内で花見に行き、更に一月後には霊山にも登った。被災生活の中でもそうやって楽しみを見い出し、日常生活を取り戻すことが必要だと思ったからだ。しかし被災地以外が自粛ムードに入ってしまえば、そうやって日常生活を取り戻すためのささやかな楽しみさえも不謹慎だと言われかねない。そんな自粛ムードは本当に被災者のためになるのだろうか。本田さんの勇気ある発言をボクは歓迎したい。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日の一曲 The Pop Kids by... | トップ | 奥武蔵へようこそ 平成28年4... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

tokoroの日常」カテゴリの最新記事