Live なおニールは歌っていない
1990年に発表されたアルバム"Behaviour"から。
70年代ディスコ調ダンスミュージックからの脱却を図った作品で、ドビュッシーなどの印象派の影響を感じさせる。
地味だけど聞きやすい。PSBのアルバムとしては最初に薦めるものではないけれども、二枚目には最適だと思う。
歌詞はロシア革命を歌ったもの。社会主義というのは人間を隷属から解放する思想だった、というのはエドマンド・ウィルソンの
「フィンランド駅へ」(みすず書房)を読めばわかる。じゃあ、何故エリートが庶民を隷属する体制へと変質したのか。それは
現実の政治を無視したから。あるいは人間は本来怠惰なものであることを見過ごしていたから。もっと言えば社会主義が否定しよ
うとしていた宗教が指摘している人間の悪い本性を過小評価していたから。理想だけで突っ走ってもロクなことは無いのだ。
社会主義ないし共産主義はもはや亡霊を通り越して忘れられた宗教のようになってしまったけれども、代わりに世界を揺り動かそ
うとしているのが「イスラム国」。でも彼らの試みが上手くいくかどうかは社会主義の失敗に学べるかどうかだと思う。理想を作
り出すという行為に酔っている内は上手くいくだろう。ところで彼らの宗教は人間の悪い本性を矯正することに熱心である。でも
矯正しようとする側が悪い本性を持っているとしたら…?結局のところどこかで現実と折り合いを付けなければならないのではな
いだろうか。そう考えると外からの攻撃を続けていくことが得策かどうか。まだ世界には考える時間があると思うのだが。