(女滝)
今年の紅葉は早かったとよく聞く。先日墓参りに訪れていた福島でも行った頃には磐梯吾妻スカイラインの紅葉が既に終わっていた。そこでちょっと早そうな気はするが、奥武蔵の紅葉を観に行くことにした。例年なら大持山辺りや二子山辺りの紅葉が見頃だろう。だが二週間ほど早いとすれば吾野周辺の紅葉も良さそうだ。そこで高山不動から関八州見晴台へ登り、尾根伝いで行って、傘杉峠から黒山三滝へ下りることにした。時間があればそこから更に越上沢(越辺川)を遡行して、顔振峠を経て吾野駅へ下りてみたい。結論から言ってしまうと紅葉にはまだ早くて、越上沢の遡行には失敗してしまった。まずは前編として高山不動から黒山三滝を見ていきたい。
朝7時前に西吾野駅へ降り立つ。福島であればこの時間帯はかなり寒いのだが、こちらでは薄手のシャツ1枚でも過ごせるほどの気温でしかない。この調子では紅葉は期待薄だろうか。駅前の道路を下って道なりに歩いていく。今日はもっとも一般的なシバハラ坂を登って高山不動へと向かう。西武線のガードを潜り、休憩所の看板のある分岐はパノラマコースへの分岐。さらに先へ進むと住宅街が見えてくる。川向うの住宅街へと架かる橋を渡り、急坂を登っていく。道なりに進むと道標があるので迷うことはないだろう。まあ最初に来たときはわかりにくかったのではあるが。道標のある所で曲がり、民家の脇から山道に入る。最初は杉の植えられた急斜面を九十九折に登っていく。高山不動への参道となっている道なので、整備状況はすこぶる良い。ただ杉林の中は日が当たらないので、早朝だとヘッドライトが必要だろう。
(西吾野駅付近から本陣山を望む)
(間野の住宅街を抜けていく)
(登り始めの九十九折 実際は写真で見るよりも暗い)
いくらか傾斜が緩んでくると登山道にも日が差し込んでくるようになる。道が複線となる所もあるが、どちらを選んでも同じだ。奥武蔵の中でも比較的易しい道で、筋力が落ちた体には優しい。やがて左手に青い屋根の小屋掛けが見えてくる。萩の平茶屋跡だ。ボクが山歩きを始めた7,8年前はお婆さんが店を営んでいたのだが、現在は小屋だけが残されている。何年前だったかは忘れてしまったが、屋根の部分だけが雪で落ちてしまい、現在もそのままになっている。小屋の本体は今年の大雪でも無事だったのが驚きだ。ベンチが残されているので、少し休憩を取っていくことにした。
(日が差し込む道)
(萩の平茶屋)
萩の平茶屋跡から少し歩くと石地蔵と呼ばれる平場に出る。パノラマコースへの分岐点だ。名称の由来となったお地蔵様も健在である。ここから先は道がさらに緩やかとなる。尾根の南側を巻き気味に進むため、杉林でもそれほど暗くは感じない。途中尾根道への分岐があり、高山不動を経ずに関八州見晴台へと行くこともできる。と言っても途中で高山不動への道に戻ることもできるのではあるのだが。その戻ってくる道が次の分岐であり、不動三滝を示す道標が立っている。この道は以前白滝から歩いたときに使ったもので、三滝巡りをしてから高山不動を目指すと尾根越えとなってやや労力が大きい。この分岐を過ぎると道は高山不動へ向かって少し下る。右手に民家らしき建物が見えてくると高山不動の境内に入る。ガイドブックによく載っている大イチョウがあるのだが、やはり紅葉には早かった。広場となっている境内からは手前に子ノ権現から古御岳へ延びる尾根が見え、背後には蕨山そして奥多摩の峰々が広がっている。
(石地蔵)
(左が関八州見晴台への分岐)
(大銀杏のある広場)
(大銀杏)
(モミジはまだ紅葉していない)
(右手前は古御岳 左奥は三ツドッケ)
(左手前は子ノ権現 中央奥は川苔山)
(広場からのパノラマ)
長く急な石段を登りきると大きな本堂の前に出る。傍にあるモミジの木との対比が良いのだが、こちらも紅葉には早い。自販機とトイレが置かれた東屋があり、休憩するには良い所だ。ただ今日は工事関係者が入っていて、のんびりとしていられる雰囲気ではない。トイレの右手に付けられた木段を登っていくと先ほど分かれた尾根道に合流する。そのまま道を進むと不動茶屋跡の前に出る。この茶屋は歩き始めたときから既に閉まっていたが、萩の平茶屋ほど建物が傷んではいない。それでも見晴らしの良いテラスには穴が開き、そろそろ立ち入るのが危険な状態になってきたとも云える。テラスからは手前に子ノ権現があり、その背後には棒ノ折山・川苔山・蕨山・日向沢ノ峰・蕎麦粒山などが呼称の内にある。
(長い石段)
(高山不動の本堂)
(モミジがもう少し紅葉していたらなぁ…)
(お茶の花かな?)
(不動茶屋のテラス)
(不動茶屋からの眺め 左奥は大岳山だろうか 中央奥右寄りの平たい山は棒ノ折山)
(不動茶屋からのパノラマ)
不動茶屋跡の駐車場から上がると雑木林が広がる丸山(700)に出る。山というよりは尾根上の小さな平場という感じだ。この辺りはいくらか紅葉が進んでいて、高山不動と一週間くらい見頃がずれているかもしれない。一旦車道に出て、立派な石造りの標柱脇から最後の登りに取り掛かる。山頂までは開けた尾根道で、紅葉する木が多く植えられている。この辺りはあと一週間もすれば見頃となりそうだ。緩やか道を登りきると関八州見晴台(771.1)の頂上に着く。中心に高山不動の奥ノ院のお堂があり、脇には立派な東屋が設けられている。疎林に囲まれているものの、南西側の眺めは良い。中でも目を引くのは採掘が進む武甲山だ。そこから右に目をやると紅葉が進む甲仁田山と二子山が見える。その背後には両神山があるが、今日はやや霞んでしまっている。またここは奥武蔵の中心部にしては珍しく富士山が見えるのだが、ちょうど雲に隠れてしまっていた。南東側には天覚山や大高山のほかにこれから歩く傘杉峠への尾根も見える。
(丸山周辺)
(関八州見晴台周辺の紅葉)
(奥ノ院)
(手前に子ノ権現 奥は川苔山 大岳山と富士山は雲に隠れている)
(武甲山と二子山 右奥に両神山)
(武甲山)
(二子山 鉄塔のあるのが甲仁田山 奥は両神山)
(南西側のパノラマ)
(南東側のパノラマ)
(東松山市方面)
(赤城山あたりが見えそうだが)
少々長めの休憩も取り終わり、傘杉峠へ向かって尾根道を下っていく。この道は何度歩いたことだろうか。整備状況は良好で奥武蔵としては標準的だ。若干傾斜が急な所もあるが、雪でも降らない限りは滑落する危険は少ないだろう。尾根を寸断するかのような鞍部は七曲峠と呼ばれている(バリエーションウォーキング様より)。ここからは四寸道が延びているが、ここは別の機会に歩いてみたいと思う。名無しのピークを越えて下り立った車道が花立松ノ峠。峠と言っても現在は車道が分岐しているだけだ。683のピークを南から巻いていき、再び車道へ下りたところで黒山展望台へ向かって車道を下っていく。見えてきた駐車スペースの上に展望テラスがある。東側は双耳峰のような越上山が顕著なので、見えている平野部は東松山市辺りだろう。西側には大きめの峰々が連なっている。う~ん、赤城山か榛名山辺りだろうか。
(傘杉峠への尾根道)
(七曲峠)
(花立松ノ峠)
(黒山展望台)
(赤城山方面らしい)
(東松山市辺り)
黒山展望台からは車道を道なりに進む。下り坂なので歩く分には有り難い。杉や檜に覆われた傘杉峠に着くと数人の登山者が休憩していた。今日は雨上がりで空気が澄み、山中で出会った登山者は多いほうだ。峠からは黒山三滝へ峠道を下っていく。以前は八徳へ下ったので、峠越えをしたようなものか。峠道は出だしから急坂が続く上、沢水が登山道へも流れ込み、かなり滑りやすい。気を付けてはいたものの、濡れた岩で滑って尻餅を搗く。これはなかなか厳しい。さらに下るには難しい岩場もあり、難儀させられる。慎重に下っていると登ってきた小父さんに「下る分には大変だよねぇ」と声を掛けられる。確かにその通り。岩場を過ぎるとやや道は歩きやすくなる。沢を高巻く道は結構びびる。10時台ということもあってか、登ってくる人が多い。黒山三滝から顔振峠や関八州見晴台へ向かう人が多いのだろうか。傾斜が緩んでくると沢を何度か渡らされる。下り始めが厳しかったので、心休まる光景だ。やがて道はブルドーザーで作ったかのように広くなる。だいぶ黒山三滝は近くなったようだ。やがて役行者への分岐を示す道標が現れる。この辺り、見覚えがある。以前、役行者像から下ってきた所だ。
(グリーンラインの紅葉)
(傘杉峠)
(ちょっと厳しい岩場)
(沢を高巻く)
(何度か小沢を渡る)
(道は広くなる)
少し進むと不動滝と男滝・女滝への分岐に出る。さてどちらから行くとしようか。というかどんな風だったか忘れてしまった。とりあえず道なりに下りていくと黒山三滝の入口へと出てしまった。おまけに入口に架かる橋が苔でツルツルになっていて、思いっきり滑って転びそうになる。ちょ…止めてくれよ。まあまずは男滝・女滝へと向かう。売店脇の石段を登っていくと上下二段の滝が見えてくる。下段の小さな滝が女滝、上段の大きな滝が男滝。男滝にはちょうど日が当たっているため、女滝とセットで写そうとするとどうしてもハレーションが酷くて消えてしまう。別々に撮るしかなさそうだ。その代わり男滝の下部には水飛沫で小さな虹が出来ていた。一旦入口に戻り、今度は不動滝を見るため登り返す。で、九十九折に下っていくと不動滝のだいぶ手前から見上げる位置まで来る。狭い谷の奥に滝があるのだが、これ以上近づくことができない。おそらく両岸の崖が崩落する危険があるのだろう。谷を下っていけば、そのまま黒山バス停への道に出られる。まあここまでで今日の行程の半分といったところだ。問題は残り半分の越辺川遡行なのだが、時間もまだ早いし、このときは奥武蔵なんだから楽に行けるだろうと楽観視していた。この舐めた態度のせいで後に地獄を見ることになるのだが…、それは後編に続く。
(入口にある売店)
(女滝)
(男滝)
(不動滝)
(不動滝から車道へ向かって)
(不動滝からの流れ)
DATA:
西吾野駅7:07~7:22間野登山口(シバハラ坂入口)~7:55石地蔵~8:15高山不動~8:55関八州見晴台9:16~9:26七曲峠~9:35花立松ノ峠
~9:49黒山展望台~10:00傘杉峠~10:33黒山三滝~後編に続く
トイレ 高山不動
地形図 正丸峠
今年の紅葉は早かったとよく聞く。先日墓参りに訪れていた福島でも行った頃には磐梯吾妻スカイラインの紅葉が既に終わっていた。そこでちょっと早そうな気はするが、奥武蔵の紅葉を観に行くことにした。例年なら大持山辺りや二子山辺りの紅葉が見頃だろう。だが二週間ほど早いとすれば吾野周辺の紅葉も良さそうだ。そこで高山不動から関八州見晴台へ登り、尾根伝いで行って、傘杉峠から黒山三滝へ下りることにした。時間があればそこから更に越上沢(越辺川)を遡行して、顔振峠を経て吾野駅へ下りてみたい。結論から言ってしまうと紅葉にはまだ早くて、越上沢の遡行には失敗してしまった。まずは前編として高山不動から黒山三滝を見ていきたい。
朝7時前に西吾野駅へ降り立つ。福島であればこの時間帯はかなり寒いのだが、こちらでは薄手のシャツ1枚でも過ごせるほどの気温でしかない。この調子では紅葉は期待薄だろうか。駅前の道路を下って道なりに歩いていく。今日はもっとも一般的なシバハラ坂を登って高山不動へと向かう。西武線のガードを潜り、休憩所の看板のある分岐はパノラマコースへの分岐。さらに先へ進むと住宅街が見えてくる。川向うの住宅街へと架かる橋を渡り、急坂を登っていく。道なりに進むと道標があるので迷うことはないだろう。まあ最初に来たときはわかりにくかったのではあるが。道標のある所で曲がり、民家の脇から山道に入る。最初は杉の植えられた急斜面を九十九折に登っていく。高山不動への参道となっている道なので、整備状況はすこぶる良い。ただ杉林の中は日が当たらないので、早朝だとヘッドライトが必要だろう。
(西吾野駅付近から本陣山を望む)
(間野の住宅街を抜けていく)
(登り始めの九十九折 実際は写真で見るよりも暗い)
いくらか傾斜が緩んでくると登山道にも日が差し込んでくるようになる。道が複線となる所もあるが、どちらを選んでも同じだ。奥武蔵の中でも比較的易しい道で、筋力が落ちた体には優しい。やがて左手に青い屋根の小屋掛けが見えてくる。萩の平茶屋跡だ。ボクが山歩きを始めた7,8年前はお婆さんが店を営んでいたのだが、現在は小屋だけが残されている。何年前だったかは忘れてしまったが、屋根の部分だけが雪で落ちてしまい、現在もそのままになっている。小屋の本体は今年の大雪でも無事だったのが驚きだ。ベンチが残されているので、少し休憩を取っていくことにした。
(日が差し込む道)
(萩の平茶屋)
萩の平茶屋跡から少し歩くと石地蔵と呼ばれる平場に出る。パノラマコースへの分岐点だ。名称の由来となったお地蔵様も健在である。ここから先は道がさらに緩やかとなる。尾根の南側を巻き気味に進むため、杉林でもそれほど暗くは感じない。途中尾根道への分岐があり、高山不動を経ずに関八州見晴台へと行くこともできる。と言っても途中で高山不動への道に戻ることもできるのではあるのだが。その戻ってくる道が次の分岐であり、不動三滝を示す道標が立っている。この道は以前白滝から歩いたときに使ったもので、三滝巡りをしてから高山不動を目指すと尾根越えとなってやや労力が大きい。この分岐を過ぎると道は高山不動へ向かって少し下る。右手に民家らしき建物が見えてくると高山不動の境内に入る。ガイドブックによく載っている大イチョウがあるのだが、やはり紅葉には早かった。広場となっている境内からは手前に子ノ権現から古御岳へ延びる尾根が見え、背後には蕨山そして奥多摩の峰々が広がっている。
(石地蔵)
(左が関八州見晴台への分岐)
(大銀杏のある広場)
(大銀杏)
(モミジはまだ紅葉していない)
(右手前は古御岳 左奥は三ツドッケ)
(左手前は子ノ権現 中央奥は川苔山)
(広場からのパノラマ)
長く急な石段を登りきると大きな本堂の前に出る。傍にあるモミジの木との対比が良いのだが、こちらも紅葉には早い。自販機とトイレが置かれた東屋があり、休憩するには良い所だ。ただ今日は工事関係者が入っていて、のんびりとしていられる雰囲気ではない。トイレの右手に付けられた木段を登っていくと先ほど分かれた尾根道に合流する。そのまま道を進むと不動茶屋跡の前に出る。この茶屋は歩き始めたときから既に閉まっていたが、萩の平茶屋ほど建物が傷んではいない。それでも見晴らしの良いテラスには穴が開き、そろそろ立ち入るのが危険な状態になってきたとも云える。テラスからは手前に子ノ権現があり、その背後には棒ノ折山・川苔山・蕨山・日向沢ノ峰・蕎麦粒山などが呼称の内にある。
(長い石段)
(高山不動の本堂)
(モミジがもう少し紅葉していたらなぁ…)
(お茶の花かな?)
(不動茶屋のテラス)
(不動茶屋からの眺め 左奥は大岳山だろうか 中央奥右寄りの平たい山は棒ノ折山)
(不動茶屋からのパノラマ)
不動茶屋跡の駐車場から上がると雑木林が広がる丸山(700)に出る。山というよりは尾根上の小さな平場という感じだ。この辺りはいくらか紅葉が進んでいて、高山不動と一週間くらい見頃がずれているかもしれない。一旦車道に出て、立派な石造りの標柱脇から最後の登りに取り掛かる。山頂までは開けた尾根道で、紅葉する木が多く植えられている。この辺りはあと一週間もすれば見頃となりそうだ。緩やか道を登りきると関八州見晴台(771.1)の頂上に着く。中心に高山不動の奥ノ院のお堂があり、脇には立派な東屋が設けられている。疎林に囲まれているものの、南西側の眺めは良い。中でも目を引くのは採掘が進む武甲山だ。そこから右に目をやると紅葉が進む甲仁田山と二子山が見える。その背後には両神山があるが、今日はやや霞んでしまっている。またここは奥武蔵の中心部にしては珍しく富士山が見えるのだが、ちょうど雲に隠れてしまっていた。南東側には天覚山や大高山のほかにこれから歩く傘杉峠への尾根も見える。
(丸山周辺)
(関八州見晴台周辺の紅葉)
(奥ノ院)
(手前に子ノ権現 奥は川苔山 大岳山と富士山は雲に隠れている)
(武甲山と二子山 右奥に両神山)
(武甲山)
(二子山 鉄塔のあるのが甲仁田山 奥は両神山)
(南西側のパノラマ)
(南東側のパノラマ)
(東松山市方面)
(赤城山あたりが見えそうだが)
少々長めの休憩も取り終わり、傘杉峠へ向かって尾根道を下っていく。この道は何度歩いたことだろうか。整備状況は良好で奥武蔵としては標準的だ。若干傾斜が急な所もあるが、雪でも降らない限りは滑落する危険は少ないだろう。尾根を寸断するかのような鞍部は七曲峠と呼ばれている(バリエーションウォーキング様より)。ここからは四寸道が延びているが、ここは別の機会に歩いてみたいと思う。名無しのピークを越えて下り立った車道が花立松ノ峠。峠と言っても現在は車道が分岐しているだけだ。683のピークを南から巻いていき、再び車道へ下りたところで黒山展望台へ向かって車道を下っていく。見えてきた駐車スペースの上に展望テラスがある。東側は双耳峰のような越上山が顕著なので、見えている平野部は東松山市辺りだろう。西側には大きめの峰々が連なっている。う~ん、赤城山か榛名山辺りだろうか。
(傘杉峠への尾根道)
(七曲峠)
(花立松ノ峠)
(黒山展望台)
(赤城山方面らしい)
(東松山市辺り)
黒山展望台からは車道を道なりに進む。下り坂なので歩く分には有り難い。杉や檜に覆われた傘杉峠に着くと数人の登山者が休憩していた。今日は雨上がりで空気が澄み、山中で出会った登山者は多いほうだ。峠からは黒山三滝へ峠道を下っていく。以前は八徳へ下ったので、峠越えをしたようなものか。峠道は出だしから急坂が続く上、沢水が登山道へも流れ込み、かなり滑りやすい。気を付けてはいたものの、濡れた岩で滑って尻餅を搗く。これはなかなか厳しい。さらに下るには難しい岩場もあり、難儀させられる。慎重に下っていると登ってきた小父さんに「下る分には大変だよねぇ」と声を掛けられる。確かにその通り。岩場を過ぎるとやや道は歩きやすくなる。沢を高巻く道は結構びびる。10時台ということもあってか、登ってくる人が多い。黒山三滝から顔振峠や関八州見晴台へ向かう人が多いのだろうか。傾斜が緩んでくると沢を何度か渡らされる。下り始めが厳しかったので、心休まる光景だ。やがて道はブルドーザーで作ったかのように広くなる。だいぶ黒山三滝は近くなったようだ。やがて役行者への分岐を示す道標が現れる。この辺り、見覚えがある。以前、役行者像から下ってきた所だ。
(グリーンラインの紅葉)
(傘杉峠)
(ちょっと厳しい岩場)
(沢を高巻く)
(何度か小沢を渡る)
(道は広くなる)
少し進むと不動滝と男滝・女滝への分岐に出る。さてどちらから行くとしようか。というかどんな風だったか忘れてしまった。とりあえず道なりに下りていくと黒山三滝の入口へと出てしまった。おまけに入口に架かる橋が苔でツルツルになっていて、思いっきり滑って転びそうになる。ちょ…止めてくれよ。まあまずは男滝・女滝へと向かう。売店脇の石段を登っていくと上下二段の滝が見えてくる。下段の小さな滝が女滝、上段の大きな滝が男滝。男滝にはちょうど日が当たっているため、女滝とセットで写そうとするとどうしてもハレーションが酷くて消えてしまう。別々に撮るしかなさそうだ。その代わり男滝の下部には水飛沫で小さな虹が出来ていた。一旦入口に戻り、今度は不動滝を見るため登り返す。で、九十九折に下っていくと不動滝のだいぶ手前から見上げる位置まで来る。狭い谷の奥に滝があるのだが、これ以上近づくことができない。おそらく両岸の崖が崩落する危険があるのだろう。谷を下っていけば、そのまま黒山バス停への道に出られる。まあここまでで今日の行程の半分といったところだ。問題は残り半分の越辺川遡行なのだが、時間もまだ早いし、このときは奥武蔵なんだから楽に行けるだろうと楽観視していた。この舐めた態度のせいで後に地獄を見ることになるのだが…、それは後編に続く。
(入口にある売店)
(女滝)
(男滝)
(不動滝)
(不動滝から車道へ向かって)
(不動滝からの流れ)
DATA:
西吾野駅7:07~7:22間野登山口(シバハラ坂入口)~7:55石地蔵~8:15高山不動~8:55関八州見晴台9:16~9:26七曲峠~9:35花立松ノ峠
~9:49黒山展望台~10:00傘杉峠~10:33黒山三滝~後編に続く
トイレ 高山不動
地形図 正丸峠