(南の耳と北の耳)
連休、皆さんいかがお過ごしでしたか。私は初日に霧ヶ峰へ行ってまいりました。霧ヶ峰は私にとって山歩きの原点とも言える山です。小学生のとき、林間学校で八島湿原から車山まで歩いたのですが、そのときに見た限りなく青い空。そしてどこまでも続く平原。あのときほど山を楽しいと思ったことはありません。その後大人になってから本格的に山歩きをするようになり、三年前には母を連れて霧ヶ峰を歩きました。そのときは最高の天気に恵まれて、南アルプスや北アルプス、浅間山や富士山などが見え、最高の思い出となりました。今回で人生3度目の霧ヶ峰。今度はどんな思い出を私にくれるのでしょうか。
首都圏からはややアプローチの遠い霧ヶ峰。前回は白樺湖に前泊したのですが、今回は日帰りとします。朝始発に近い電車に乗り込み、揺られること4時間。茅野駅に到着です。えっ、4時間も電車に乗って退屈しないかって?うーん、殆ど退屈しませんでしたね。電車からは登ったことのある山が色々見えますし、また憧れの南アや八ヶ岳が目の前に見えますからね。茅野駅からはアルピコ交通(諏訪バスから名称変更となりました)のバスに乗り、1時間ほどで車山高原に到着。10時半というのは山歩きには少々遅い時間ですが、秋の霧ヶ峰なら許容範囲でしょう。リフト乗り場前の駐車場には沢山のクルマが停まっていて、かなりの入山者がいるものと予想されます。準備を整えたらお土産屋の入るスカイプラザ脇から登山道に入ります。
(登山道から車山を見上げる 一番左の建物がスカイプラザ)
登山道は砂利混じりの土留めの木段で、道の両脇には薄が生い茂っています。樹木があまり無い霧ヶ峰では秋を感じさせるのは紅葉ではなく、この薄のようです。土留めの木段は長く続かず、白樺湖への下山ルートが分岐する名無しの峠に出ます。峠からは蓼科山と八子ヶ峰が望め、なかなか雰囲気の良い所です。白樺湖分岐からは大きくカーヴを描きながら登っていきます。緩いスロープでとても歩きやすい道です。ふと霧ヶ峰から東へ延びる稜線を見上げるとひょっこりと突き出す山が見えます。殿城山でしょうか。
(白樺湖分岐から 蓼科山と八子ヶ峰)
(薄の向こうに何やらピークが。 殿城山でしょうか)
リフト乗り場のあるレストラン脇を進むとプロペラの付いた機械が放置されています。どうやら降雪機のようです。プロペラが風でくるくると回っています。そろそろお昼なのですが、まだまだ強い風が吹き付けます。やがて分岐に出るので、車山山頂へ向かう道と分かれて八島湿原と書かれたやや急な道を登っていきます。急な坂もすぐに土留めがされた比較的緩やかなスロープとなり、車山乗越へと向かっていきます。何も遮ることの無い空へ向かって延びる道。私が山を歩くのは、あの空へと向かって延びる道の向こうには何があるのか、それが知りたいためなのです。だから遮二無二どこかのピークを目指すというよりも山を越えた向こうを目指すことが常に山歩きの目的となっています。車山と1832のピークの鞍部である車山乗越(1815)へ出ると蝶々深山が見えます。このまま蝶々深山へ下りる道は前回母と歩いた道。今日はここから北へ山彦尾根を歩くことにします。
(車山乗越へ続く道 あの向こうが見たいのです)
(車山乗越から蝶々深山を眺める 右端は南の耳)
ここからは未知の道ですが、普段と異なり不思議と怖いという感じはありません。周囲が開けているせいでしょうか。これまでの砂利道と異なり所々で草が被る細い道ですが、難しい所はありません。エアリアだと破線扱いなのですが、これなら十分実線ルートでしょう。古い柵が切れると蓼科山から車山、蝶々深山から山彦尾根までが一望できます。この辺りが1832のピークのようです。1832のピークから少し進むと殿城山分岐に出ます。姫木平と書かれた道標が立ち、樹木の生える殿城山が見えます。
(1832のピークからの眺め)
(殿城山を望む)
殿城山分岐を下ると正面に蝶々深山から南の耳・北の耳、大笹峰が見渡せます。南の耳は尖っていてよく目立ちます。一見すると蝶々深山へと向かうかのように見える道は、蝶々深山山頂手前で折れ曲がり南の耳へと向かいます。東の斜面はスキーゲレンデとなっており、スキーリフトの施設が見えます。途中グレートピレニーズらしき大型犬を連れた夫婦と擦れ違います。あれ?ここってペット入れて良かったんだっけ?南の耳が近づくと山頂に人影が見えます。先ほどの御夫婦といい、結構人が入っているようですね。南の耳(1838)に上がるとちょうど出発したところだったのか、山頂には誰もいませんでした。山頂標識の立つ辺りからはこれから向かう北の耳のまろやかなピークから建物の建つ大笹峰、長い裾野を経て盛り上がる蓼科山、そしてスキー場の向こうにドームの建つ車山が一望できます。縦走路側へ下りると物見岩の向こうに八島湿原が広がり、樹木に覆われた鷲ヶ峰の下に男女倉山(ゼブラ山)、そしてのびやかな草原の尾根を経て北の耳までの展望が広がります。
(左から蝶々深山・南の耳・北の耳・大笹峰)
(車山を見上げる)
(南の耳)
(南の耳東側の展望)
(南の耳西側の展望)
(手前左が物見岩 中央の茶色い所が八島湿原)
南の耳で休憩を取った後、北の耳を目指します。南の耳直下は急な下り。石もゴロゴロしていてかなり歩きにくい道です。下りきるとなだらかなスロープが延びていますが、結構藪っぽいですね。草の下に石が転がっていて油断できません。緩やかに登っていくと北の耳(1829)山頂です。先ほど南の耳で見た人達が山頂で寛いでいました。山頂からは北側の樹林帯を除けばほぼ360度の展望が得られます。大笹峰方面はかなり藪っぽそうな感じです。南の耳は東側が急で最も存在感のあるピークですね。
(北の耳から 車山と南の耳)
(北の耳)
(大笹峰方面の眺め)
(北の耳西側の眺め)
北の耳から男女倉山へは緩やかな尾根歩きが続きます。大笹峰の分岐には確りとした道標が立っています。道標を見ると「中央分水嶺トレイル」と書かれた標識が付けてあります。新しい標識だったので、長和町が長門牧場から美ヶ原までのトレイルを整備しているのかもしれません。男女倉山へは山彦尾根と同じく細い道が付いています。傾斜は緩いのですが、石がゴロゴロして時々足を捕られます。最低鞍部まで下ると薄の向こうに男女倉山が見えています。この辺りで中高年の男性二人組と擦れ違いました。蝶々深山のルートほどではないものの、人はそこそこ入っているようですね。それほどきつくない登りを経て男女倉山(おめくらやま ゼブラ山 1776)に到着。ここもほぼ360度の展望が得られます。それでいて静かなところがとても良いですね。一般の観光客がなかなか訪れない所なだけにこの静けさが維持されているのでしょう。
(中央分水嶺トレイルの標識)
(緩やかな尾根が続きます 左手前が男女倉山)
(尾根からのパノラマ)
(三峰山や美ヶ原方面の眺め)
(南の耳の向こうに車山のドームが見える)
(男女倉山へ向かう道)
(1667.6のピーク辺りでしょうか)
(男女倉山 地元表記はゼブラ山)
(ゼブラ山からのパノラマ)
男女倉山からしばらくは緩やかな下り。西へカーヴする辺りからは山彦尾根の向こうに蓼科山が頭を覗かせます。傾斜が急になると樹林帯の中のトレイルに変わり、ザレた滑りやすい道となります。ちょっと疲れが出てきたのか砂利でズルっと滑って尻餅を突きます。コケたのは久しぶりです。八島湿原を時折眺めながら下っていくと芝草の広場の脇を通ります。テントとか張ったら気持ち良いんでしょうねぇ。芝草の広場から少し下ると公衆トイレのある広場に出ます。この辺りから多くの人と擦れ違うようになります。静かな山も終わって喧騒へ引き戻されてしまったようですね。道標にしたがって八島湿原へ向かうと奥霧小屋の廃屋に出ます。ここも以前は良いテン場があったそうで、残念です。
(北の耳の右に蓼科山)
(八島湿原を眺める)
(芝草の広場)
(奥霧小屋)
前回は奥霧小屋から沢渡へ砂利道を行きましたが、今日は八島湿原をぐるっと周ります。このルートを前に歩いたのは20年以上も前。あのときは夏だったし、印象は完全に違っているんでしょうね。綺麗に整備された木道を進むと美しい池が見えてきます。鎌ヶ池です。周りが草紅葉となって良い所ですね。まあ人が多くてのんびりと眺めるという訳にはいきませんが。延々と続くかのような木道からは霧ヶ峰の山々の緩やかな稜線が一望できます。前回来なかったけれども、ここは必ず周るべきですね。八島ヶ池には浮島などもあってここも絵になります。駐車場のある八島ビジターセンターへの道を分けるとビジターセンター方面へ向かう人と多く擦れ違います。今から車山方面へ向かう人なんてそんなにいないんでしょうねぇ。
(鎌ヶ池)
(草紅葉の向こうに霧ヶ峰の稜線)
(周辺は薄が多い)
(八島ヶ池)
(木道 よく整備されています)
(ヤドリギ?)
木道も樹林帯へ突っ込んでいくと湿原を出て登山道へ戻ります。薄の生える分岐からは沢渡へも出られますが、一先ず御射山遺跡へ向かいます(道標だと旧御射山方面)。広い砂利道へ出ると建物が見えてきました。ヒュッテみさやまです。前回母と来たときは開いていなくて途方に暮れたのですが、今回は連休ということもあってカフェが営業しています。ベンチは他の登山者で一杯だったので、休憩を取らずに車山方面へ向かいます。ヒュッテの前を過ぎて山道に戻ると熊出没注意の看板が立っています。これだけ山奥ですからね。熊くらい出るでしょう。かつては八ヶ岳や霧ヶ峰辺りはいなかったというのが常識だったようですが、あの3月の地震以来そんな常識が無意味だってことが皆分かってきたはずです。自然は人間の英知の及ぶところでないことを肝に銘じつつ、やはり熊は怖いので沢渡への砂利道に戻ることにします。御射山神社前を通って前回歩いた砂利道へ出ます。ここは結構歩いている人が多いですね。
(ヒュッテみさやま)
(御射山神社)
(御射山遺跡の薄)
時々クルマの通る砂利道は緩い登り坂を経て沢渡(さわたり)へ出ます。だいぶ疲れているし、車山湿原を抜けて車山高原へ下りることにします。沢渡からクヌルプヒュッテへ上がる砂利道を上がり、ヒュッテ前の小道を上がりますが、道は樹林帯を抜けていかなければなりません。さっきの熊の看板のこともあるしなぁ…。逡巡した上でやはり沢渡へ戻ることにします。沢渡からは他は車山の肩を経るしか道はありません。それなら車山にも登ってしまおう。車山の肩へ向かう土留めの木段を登っていると後から若いカップルに抜かれます。普段は追いかけないのですが、このときは何だか頭にきてカップルを猛然と追いかけます。ヒタヒタと後を付け、車山の肩に出る手前で追い抜きました。ハァ、何だか無駄にエネルギーを使った感じ。まだまだ自分も青いなぁ…。
(クヌルプヒュッテ)
(車山乗越の向こうに蓼科山)
(車山の肩 樹林に囲まれた建物がコロポックルヒュッテ)
前回はここで母をバスに乗せ、自分は車山乗越から大門峠まで尾根を歩いたのですが、今回は車山を経ることにします。車山へは大きく蛇行する砂利道を緩やかに登っていきます。何て無駄なんだ…。でもブログで公開する以上は環境破壊をする訳にもいきませんし、我慢して登っていきます。ここは小学生のときに嬉々として歩いた道ですが、今日はそんな気分になりません。しかし人が多いですね。何人擦れ違ったんだか。もう挨拶する気も起きません。蛇行が終わるとようやくドームが見えてきました。石の転がる歩きにくい道を進み、車山(1925.0)に到着です。リフトを乗り継いできたであろう観光客が多くてなんだか落ち着きません。写真だけ撮ってリフト乗り場脇のベンチで一息吐きます。
(気の遠くなるようなスロープ)
(車山の肩を見下す 車山ロイヤルインのあった所は駐車スペースとなっていました)
(雲間から光が差し込む)
(ゼブラ山・蝶々深山・山彦尾根)
(車山山頂のドーム)
(南東斜面を見下す)
(車山湿原を見下す 蝶々深山や八島湿原もよく見える)
ここまで来れば後は車山高原バス停まで下りるだけです。土留めのされた急な斜面を下りているとリフトに乗っているカップルに笑われてしまいました。そんなに変だったかな…。車山乗越への分岐まで来ると傾斜も緩んで楽な道です。速足で下って何とか16時前に下ることができました。スカイプラザでお土産を買い込み、バス停へ行くとすぐにバスはやって来そうです。バスを待つ間、今度は泊りで来たいものだとつくづく思うのでした。
(白樺湖を見下す)
(カモ?)
DATA:
茅野駅(アルピコ交通バス60分)車山高原10:34~10:24白樺湖分岐~11:04レストラン前~11:24車山乗越~11:34殿城山分岐~12:00南の耳~12:18北の耳
~12:51男女倉山~13:12公衆トイレ~13:18奥霧小屋~13:32鷲ヶ峰分岐~13:53ヒュッテみさやま~14:13沢渡
~14:39車山の肩~15:09車山~15:54車山高原(アルピコ交通バス60分)
アルピコ交通バス 茅野駅~車山高原 1300円 但しラウンドバス一日券2000円で往復でき、お得です
トイレ:車山高原ビジターセンター内、奥霧小屋付近の公衆トイレなど 車山山頂にはありません
地形図 霧ヶ峰
連休、皆さんいかがお過ごしでしたか。私は初日に霧ヶ峰へ行ってまいりました。霧ヶ峰は私にとって山歩きの原点とも言える山です。小学生のとき、林間学校で八島湿原から車山まで歩いたのですが、そのときに見た限りなく青い空。そしてどこまでも続く平原。あのときほど山を楽しいと思ったことはありません。その後大人になってから本格的に山歩きをするようになり、三年前には母を連れて霧ヶ峰を歩きました。そのときは最高の天気に恵まれて、南アルプスや北アルプス、浅間山や富士山などが見え、最高の思い出となりました。今回で人生3度目の霧ヶ峰。今度はどんな思い出を私にくれるのでしょうか。
首都圏からはややアプローチの遠い霧ヶ峰。前回は白樺湖に前泊したのですが、今回は日帰りとします。朝始発に近い電車に乗り込み、揺られること4時間。茅野駅に到着です。えっ、4時間も電車に乗って退屈しないかって?うーん、殆ど退屈しませんでしたね。電車からは登ったことのある山が色々見えますし、また憧れの南アや八ヶ岳が目の前に見えますからね。茅野駅からはアルピコ交通(諏訪バスから名称変更となりました)のバスに乗り、1時間ほどで車山高原に到着。10時半というのは山歩きには少々遅い時間ですが、秋の霧ヶ峰なら許容範囲でしょう。リフト乗り場前の駐車場には沢山のクルマが停まっていて、かなりの入山者がいるものと予想されます。準備を整えたらお土産屋の入るスカイプラザ脇から登山道に入ります。
(登山道から車山を見上げる 一番左の建物がスカイプラザ)
登山道は砂利混じりの土留めの木段で、道の両脇には薄が生い茂っています。樹木があまり無い霧ヶ峰では秋を感じさせるのは紅葉ではなく、この薄のようです。土留めの木段は長く続かず、白樺湖への下山ルートが分岐する名無しの峠に出ます。峠からは蓼科山と八子ヶ峰が望め、なかなか雰囲気の良い所です。白樺湖分岐からは大きくカーヴを描きながら登っていきます。緩いスロープでとても歩きやすい道です。ふと霧ヶ峰から東へ延びる稜線を見上げるとひょっこりと突き出す山が見えます。殿城山でしょうか。
(白樺湖分岐から 蓼科山と八子ヶ峰)
(薄の向こうに何やらピークが。 殿城山でしょうか)
リフト乗り場のあるレストラン脇を進むとプロペラの付いた機械が放置されています。どうやら降雪機のようです。プロペラが風でくるくると回っています。そろそろお昼なのですが、まだまだ強い風が吹き付けます。やがて分岐に出るので、車山山頂へ向かう道と分かれて八島湿原と書かれたやや急な道を登っていきます。急な坂もすぐに土留めがされた比較的緩やかなスロープとなり、車山乗越へと向かっていきます。何も遮ることの無い空へ向かって延びる道。私が山を歩くのは、あの空へと向かって延びる道の向こうには何があるのか、それが知りたいためなのです。だから遮二無二どこかのピークを目指すというよりも山を越えた向こうを目指すことが常に山歩きの目的となっています。車山と1832のピークの鞍部である車山乗越(1815)へ出ると蝶々深山が見えます。このまま蝶々深山へ下りる道は前回母と歩いた道。今日はここから北へ山彦尾根を歩くことにします。
(車山乗越へ続く道 あの向こうが見たいのです)
(車山乗越から蝶々深山を眺める 右端は南の耳)
ここからは未知の道ですが、普段と異なり不思議と怖いという感じはありません。周囲が開けているせいでしょうか。これまでの砂利道と異なり所々で草が被る細い道ですが、難しい所はありません。エアリアだと破線扱いなのですが、これなら十分実線ルートでしょう。古い柵が切れると蓼科山から車山、蝶々深山から山彦尾根までが一望できます。この辺りが1832のピークのようです。1832のピークから少し進むと殿城山分岐に出ます。姫木平と書かれた道標が立ち、樹木の生える殿城山が見えます。
(1832のピークからの眺め)
(殿城山を望む)
殿城山分岐を下ると正面に蝶々深山から南の耳・北の耳、大笹峰が見渡せます。南の耳は尖っていてよく目立ちます。一見すると蝶々深山へと向かうかのように見える道は、蝶々深山山頂手前で折れ曲がり南の耳へと向かいます。東の斜面はスキーゲレンデとなっており、スキーリフトの施設が見えます。途中グレートピレニーズらしき大型犬を連れた夫婦と擦れ違います。あれ?ここってペット入れて良かったんだっけ?南の耳が近づくと山頂に人影が見えます。先ほどの御夫婦といい、結構人が入っているようですね。南の耳(1838)に上がるとちょうど出発したところだったのか、山頂には誰もいませんでした。山頂標識の立つ辺りからはこれから向かう北の耳のまろやかなピークから建物の建つ大笹峰、長い裾野を経て盛り上がる蓼科山、そしてスキー場の向こうにドームの建つ車山が一望できます。縦走路側へ下りると物見岩の向こうに八島湿原が広がり、樹木に覆われた鷲ヶ峰の下に男女倉山(ゼブラ山)、そしてのびやかな草原の尾根を経て北の耳までの展望が広がります。
(左から蝶々深山・南の耳・北の耳・大笹峰)
(車山を見上げる)
(南の耳)
(南の耳東側の展望)
(南の耳西側の展望)
(手前左が物見岩 中央の茶色い所が八島湿原)
南の耳で休憩を取った後、北の耳を目指します。南の耳直下は急な下り。石もゴロゴロしていてかなり歩きにくい道です。下りきるとなだらかなスロープが延びていますが、結構藪っぽいですね。草の下に石が転がっていて油断できません。緩やかに登っていくと北の耳(1829)山頂です。先ほど南の耳で見た人達が山頂で寛いでいました。山頂からは北側の樹林帯を除けばほぼ360度の展望が得られます。大笹峰方面はかなり藪っぽそうな感じです。南の耳は東側が急で最も存在感のあるピークですね。
(北の耳から 車山と南の耳)
(北の耳)
(大笹峰方面の眺め)
(北の耳西側の眺め)
北の耳から男女倉山へは緩やかな尾根歩きが続きます。大笹峰の分岐には確りとした道標が立っています。道標を見ると「中央分水嶺トレイル」と書かれた標識が付けてあります。新しい標識だったので、長和町が長門牧場から美ヶ原までのトレイルを整備しているのかもしれません。男女倉山へは山彦尾根と同じく細い道が付いています。傾斜は緩いのですが、石がゴロゴロして時々足を捕られます。最低鞍部まで下ると薄の向こうに男女倉山が見えています。この辺りで中高年の男性二人組と擦れ違いました。蝶々深山のルートほどではないものの、人はそこそこ入っているようですね。それほどきつくない登りを経て男女倉山(おめくらやま ゼブラ山 1776)に到着。ここもほぼ360度の展望が得られます。それでいて静かなところがとても良いですね。一般の観光客がなかなか訪れない所なだけにこの静けさが維持されているのでしょう。
(中央分水嶺トレイルの標識)
(緩やかな尾根が続きます 左手前が男女倉山)
(尾根からのパノラマ)
(三峰山や美ヶ原方面の眺め)
(南の耳の向こうに車山のドームが見える)
(男女倉山へ向かう道)
(1667.6のピーク辺りでしょうか)
(男女倉山 地元表記はゼブラ山)
(ゼブラ山からのパノラマ)
男女倉山からしばらくは緩やかな下り。西へカーヴする辺りからは山彦尾根の向こうに蓼科山が頭を覗かせます。傾斜が急になると樹林帯の中のトレイルに変わり、ザレた滑りやすい道となります。ちょっと疲れが出てきたのか砂利でズルっと滑って尻餅を突きます。コケたのは久しぶりです。八島湿原を時折眺めながら下っていくと芝草の広場の脇を通ります。テントとか張ったら気持ち良いんでしょうねぇ。芝草の広場から少し下ると公衆トイレのある広場に出ます。この辺りから多くの人と擦れ違うようになります。静かな山も終わって喧騒へ引き戻されてしまったようですね。道標にしたがって八島湿原へ向かうと奥霧小屋の廃屋に出ます。ここも以前は良いテン場があったそうで、残念です。
(北の耳の右に蓼科山)
(八島湿原を眺める)
(芝草の広場)
(奥霧小屋)
前回は奥霧小屋から沢渡へ砂利道を行きましたが、今日は八島湿原をぐるっと周ります。このルートを前に歩いたのは20年以上も前。あのときは夏だったし、印象は完全に違っているんでしょうね。綺麗に整備された木道を進むと美しい池が見えてきます。鎌ヶ池です。周りが草紅葉となって良い所ですね。まあ人が多くてのんびりと眺めるという訳にはいきませんが。延々と続くかのような木道からは霧ヶ峰の山々の緩やかな稜線が一望できます。前回来なかったけれども、ここは必ず周るべきですね。八島ヶ池には浮島などもあってここも絵になります。駐車場のある八島ビジターセンターへの道を分けるとビジターセンター方面へ向かう人と多く擦れ違います。今から車山方面へ向かう人なんてそんなにいないんでしょうねぇ。
(鎌ヶ池)
(草紅葉の向こうに霧ヶ峰の稜線)
(周辺は薄が多い)
(八島ヶ池)
(木道 よく整備されています)
(ヤドリギ?)
木道も樹林帯へ突っ込んでいくと湿原を出て登山道へ戻ります。薄の生える分岐からは沢渡へも出られますが、一先ず御射山遺跡へ向かいます(道標だと旧御射山方面)。広い砂利道へ出ると建物が見えてきました。ヒュッテみさやまです。前回母と来たときは開いていなくて途方に暮れたのですが、今回は連休ということもあってカフェが営業しています。ベンチは他の登山者で一杯だったので、休憩を取らずに車山方面へ向かいます。ヒュッテの前を過ぎて山道に戻ると熊出没注意の看板が立っています。これだけ山奥ですからね。熊くらい出るでしょう。かつては八ヶ岳や霧ヶ峰辺りはいなかったというのが常識だったようですが、あの3月の地震以来そんな常識が無意味だってことが皆分かってきたはずです。自然は人間の英知の及ぶところでないことを肝に銘じつつ、やはり熊は怖いので沢渡への砂利道に戻ることにします。御射山神社前を通って前回歩いた砂利道へ出ます。ここは結構歩いている人が多いですね。
(ヒュッテみさやま)
(御射山神社)
(御射山遺跡の薄)
時々クルマの通る砂利道は緩い登り坂を経て沢渡(さわたり)へ出ます。だいぶ疲れているし、車山湿原を抜けて車山高原へ下りることにします。沢渡からクヌルプヒュッテへ上がる砂利道を上がり、ヒュッテ前の小道を上がりますが、道は樹林帯を抜けていかなければなりません。さっきの熊の看板のこともあるしなぁ…。逡巡した上でやはり沢渡へ戻ることにします。沢渡からは他は車山の肩を経るしか道はありません。それなら車山にも登ってしまおう。車山の肩へ向かう土留めの木段を登っていると後から若いカップルに抜かれます。普段は追いかけないのですが、このときは何だか頭にきてカップルを猛然と追いかけます。ヒタヒタと後を付け、車山の肩に出る手前で追い抜きました。ハァ、何だか無駄にエネルギーを使った感じ。まだまだ自分も青いなぁ…。
(クヌルプヒュッテ)
(車山乗越の向こうに蓼科山)
(車山の肩 樹林に囲まれた建物がコロポックルヒュッテ)
前回はここで母をバスに乗せ、自分は車山乗越から大門峠まで尾根を歩いたのですが、今回は車山を経ることにします。車山へは大きく蛇行する砂利道を緩やかに登っていきます。何て無駄なんだ…。でもブログで公開する以上は環境破壊をする訳にもいきませんし、我慢して登っていきます。ここは小学生のときに嬉々として歩いた道ですが、今日はそんな気分になりません。しかし人が多いですね。何人擦れ違ったんだか。もう挨拶する気も起きません。蛇行が終わるとようやくドームが見えてきました。石の転がる歩きにくい道を進み、車山(1925.0)に到着です。リフトを乗り継いできたであろう観光客が多くてなんだか落ち着きません。写真だけ撮ってリフト乗り場脇のベンチで一息吐きます。
(気の遠くなるようなスロープ)
(車山の肩を見下す 車山ロイヤルインのあった所は駐車スペースとなっていました)
(雲間から光が差し込む)
(ゼブラ山・蝶々深山・山彦尾根)
(車山山頂のドーム)
(南東斜面を見下す)
(車山湿原を見下す 蝶々深山や八島湿原もよく見える)
ここまで来れば後は車山高原バス停まで下りるだけです。土留めのされた急な斜面を下りているとリフトに乗っているカップルに笑われてしまいました。そんなに変だったかな…。車山乗越への分岐まで来ると傾斜も緩んで楽な道です。速足で下って何とか16時前に下ることができました。スカイプラザでお土産を買い込み、バス停へ行くとすぐにバスはやって来そうです。バスを待つ間、今度は泊りで来たいものだとつくづく思うのでした。
(白樺湖を見下す)
(カモ?)
DATA:
茅野駅(アルピコ交通バス60分)車山高原10:34~10:24白樺湖分岐~11:04レストラン前~11:24車山乗越~11:34殿城山分岐~12:00南の耳~12:18北の耳
~12:51男女倉山~13:12公衆トイレ~13:18奥霧小屋~13:32鷲ヶ峰分岐~13:53ヒュッテみさやま~14:13沢渡
~14:39車山の肩~15:09車山~15:54車山高原(アルピコ交通バス60分)
アルピコ交通バス 茅野駅~車山高原 1300円 但しラウンドバス一日券2000円で往復でき、お得です
トイレ:車山高原ビジターセンター内、奥霧小屋付近の公衆トイレなど 車山山頂にはありません
地形図 霧ヶ峰