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(子の権現の福寿草)
昨年虎秀山に登って橋本山へと縦走した。橋本山から朝に登った虎秀山を眺めることができて、良い気分だった。ただそのとき虎秀山の右背後に見える小さな鋭鋒が気になった。エアリアと地形図とを照らし合せるとりゅうがい山というらしい。当ブログをよくご覧になっている方ならご存知だろうが、「りゅうがい」とは要害が訛ったものであり、中世の城跡であることを示唆している。ネットで調べてみるとりゅうがい山の北にある岡部屋敷と呼ばれる小ピークから取り付いたとの記録があり、これを参考に登ってみることにした。またりゅうがい山だけではあまりにも楽なので、長久保坂や天王山などの歩き残したスポットを巡る周回コースを歩いてみることにした。
年末年始からの寒波でここのところやけに寒い。いつもは雨具一枚だけを上に羽織っているのだが、今日はダウンジャケットを着込む。吾野駅に7時に着くと周囲はまだ薄暗い。駅前の駐車場から国道299号の旧道に出る。この辺りは秩父街道の吾野宿があった所だ。バイパスが出来てからはこの旧道を通る車は少なく、ひっそりと静まり返ったかつての宿場町を進む。全国の例に漏れず吾野地区でも過疎化が進んでいるようだが、吾野宿内は結構商店が残っている。橋の手前に手書きの案内板があり、最初の目的地であるりゅうがい山も載っている(案内板には「龍涯山」と書かれている)。また山城ファンに岡部屋敷と呼ばれている平たい山は、地元では愛宕山と呼ばれているらしい。
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(吾野宿の案内板の一部 愛宕山と書かれているのが岡部屋敷)
弁天様が置かれた大きな岩を見送るといくらか賑わいのある商店街となっている。比較的新しそうな郵便局もある。郵便局を過ぎると大きな岩が見えてくる。その側には白髭神社がある。う~ん、神社はこの岩があったから出来たんじゃなかろうか。西武線のガードを潜り抜けると右手に畑とプレハブの倉庫が見えてくる。坂道を上がると何もない広場と平家の住宅があるだけだ。この辺り尋常小学校があったそうだが、建物はもう残っていないということか。広場の真ん中には大きな桜の木がある。木の前には標識があり、坂石桜と書かれている。坂石尋常小学校は昭和38年3月31日に閉校になったと記されている。
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(弁天岩)
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(吾野宿)
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(白髭神社脇の大岩)
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(白髭神社)
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(坂石桜)
広場の周辺には西にある斜面に取り付ける所はない。やはりネットで調べたように畑を突っ切っていくしかなさそうだ。この畑がある高台は中屋敷と呼ばれる岡部氏の館跡だったらしい。斜面には踏み跡はないが、斜度はそれほど急ではない。杉の葉が散乱する斜面を登っていくと傾斜がいくらか緩み、左手から登ってくる踏み跡に合流する。明瞭な踏み跡は斜面を登らずにそのまま西へ向かってしまう。途中南に向かう薄い踏み跡があるので、そこを登っていく。斜面を登りきると広い平場に出る。ここが山城ファンに岡部屋敷と呼ばれる平場のピークだ。雰囲気は横瀬の大机山西側の城跡に似ている。急峻な東側に比べると西側はなだらかな斜面が広がっている。西武線開通前はもう少しなだらかな斜面が高麗川へ広がっていたのかもしれない。檜が植えられた平場はちょっと見何もない感じだが、南側の斜面近くに突き出した岩があり、小さな祠が置かれている。愛宕山という別名からすると愛宕神社が祀られているのかもしれない。
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(一段下の畑から入る この畑の辺りが中屋敷というそうだ)
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(斜面に取り付いたところ 道は無い)
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(傾斜が緩むと踏み跡が左手から現れる)
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(山頂へ向かって踏み跡らしきものがある)
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(山頂の平場 岡部屋敷と呼ばれる)
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(岩と祠)
平場の南側にある斜面がりゅうがい山から派生する尾根であることは間違いない。やや急な斜面で登るのは手こずりそうだ。躊躇していると斜面を巻く明瞭な踏み跡が付いている。これは尾根を登っていくのか?半信半疑で踏み跡を進むと緩やかに尾根へ出た。尾根上は倒木や杉檜の落ち葉が散乱しているものの、岡部屋敷に取り付くまでよりは明瞭な踏み跡になっている。傾斜が少し緩む辺りで前方20mほどを二頭の獣が通っていった。白いお尻からすると鹿だろう。あまり人が入らない領域では結構見かける。山頂直下は急な斜面でなるほど天然の要害として機能している。感心するけれど登るには大変だ。踏み跡の消えた急斜面を這うように登る。途中野茨に引っ掻かれつつも傾斜が緩むとりゅうがい山(354)の頂上に出る。意外に広い山頂で周囲を伐採すれば物見台として機能しそうだ。りゅうがい山を示すものは何もなく、また岡部屋敷で休憩も十分に取ったので、このまま前坂を越えていくことにした。
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(岡部屋敷からりゅうがい山への踏み跡)
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(踏み跡は意外と明瞭)
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(山頂直下の急斜面 踏み跡は消える)
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(りゅうがい山頂上)
りゅうがい山から西に延びる尾根には薄いながらも踏み跡がある。細い尾根だがややジグザグに切ってあるので、下る分に難しい所はない。途中鹿の物らしき丸い糞が落ちていた。やはりこの辺り鹿の棲家となっているのだろう。りゅうがい山と419のピーク北に派生する尾根との鞍部は平らな広場となっている。大きな岩があるので、前坂から来る場合には目印となりそうだ。踏み跡は419のピークの北側斜面をトラバースしていく。途中山側へ踏み跡が分かれるが、それを見送ると前坂への道に合流する。前坂へはもう歩き慣れた道が続く。419のピークから北に派生する尾根が下りてくる辺りに道標が立っている。大高山・天覚山と書かれた方向とは逆側がりゅうがい山方面だ。薄らとだが踏み跡もあったので、途中の分岐はここへ出たのかもしれない。
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(鹿の糞 尾根上で見かける)
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(尾根を外れると切り立った崖となっている)
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(大岩 りゅうがい山を目指すときの目印になりそうだ)
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(道標と立木の間にも踏み跡がある りゅうがい山に繋がっていそうだが…)
419のピークの西にある鞍部を抜けると小さな沢地形となっている。道標の脇に明瞭な踏み跡がある。おそらく林道へと出られるのだろう。前坂へは緩やかな線形を描く登りになっている。地形に合わせて緩やかに登る辺りに先人の知恵を感じさせる。本当に良い道だ。最後だけやや急な斜面を登り上げると前坂に着く。地形図で想像するよりも広く平たい鞍部だ。飯能アルプスへの道はどちらもよく踏まれている。他方飛村へと下る峠道は小枝が散乱し、やや荒れた雰囲気となっている。前坂へ来たのはおそらく5回目になるが、飛村へ下るのは今回が初めてだ。飛村への道は前坂での予感通り一般ルートにしては荒れている。小枝や倒木が多く、やや草が被る所もある。あまり歩かれていないのだろう。坂石(吾野駅)からの道に比べると傾斜がきついせいか、道がジグザグを描く所もある。それでもあまり困難な所もなく、道標が立つ車道に下り立つ。
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(419のピーク西の鞍部)
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(林道へ下るであろう踏み跡)
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(前坂へ向かって)
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(前坂 峠らしくない)
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(飛村へ下る)
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(飛村に出た所 道標が立つ)
次の長久保坂は地形図には道形が何も載っていない。エアリアによると飛村の集落内を通って山越えをすることになるようだ。現在は車道の分岐点にいるので、そのまま車道を下っていく。民家が見えてきたが、どの辺りから入っていくのだろうか?人気の無い集落を進むと立派な石垣が目立つ民家が見えてくる。するとその先に中沢・竹寺と書かれた道標が立っている。民家が立ち並ぶ車道を進むと再び道標が現れる。道標にしたがって進むと民家の門の前に出てしまった。これ、本当に合っているのか?何となく民家の裏手に回れそうだったので、裏手に回ってみようとすると塀に「子の山・竹寺西方方面に至る」と書かれた道標が付けられていた。
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(大きな石垣がある民家 ここを左に行く)
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(柚子 棘が凄い)
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(長久保坂への入口 民家の左側を抜ける)
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(道標)
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(民家の裏手から振り返る)
民家の裏手へ出ると明瞭な踏み跡が奥山へと延びている。しばらく進むと沢地形の左岸を進むようになる。傾斜が比較的緩やかなので、道はほぼ真直ぐに付けられている。若干荒れた所があるが、それほど歩きにくさは感じない。沢を詰める所で九十九折となり、尾根に出ると壊れかけた小屋掛けに覆われた祠がある。ここからは尾根上をしばらく登っていく。450mの平たい小ピークの手前で尾根の南側をトラバースする。埼玉県の山火事注意の看板がある辺りが長久保坂の最高点だ。山火事注意の看板からは緩やかに下り、尾根の鞍部に着く。エアリアだとここに長久保坂と書かれている。鞍部からは南北に延びる尾根のほうが踏み跡が明瞭である。鞍部からの峠道は荒れた感じで、一般ルートにもかかわらず道標もない。栃屋谷への峠道は下り始めは九十九折となっている。ここも小枝や杉の葉の落ち葉が多い。やはりあまり歩かれていないのだろう。傾斜が緩んでくると沢地形を左岸を行くようになる。飛村からの道も左岸を通っていたのが興味深い。前方が明るくなってくれば栃屋谷に出る。実はこの栃屋谷には奥武蔵を歩き始めて2回目に訪れたことがあった。子の権現から竹寺へと縦走して、更に吾野駅へと出る予定であった。しかし伊豆ヶ岳付近で獣に遭遇して怖くなり、結局中沢バス停で親切なドライバーに乗せてもらい、飯能駅へと出たのを思い出す。
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(長久保坂へ)
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(尾根に上がると祠がある)
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(長久保坂の最高点)
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(長久保坂 ここを右に下る なお尾根通しの道もある)
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(栃屋谷へ下る)
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(栃屋谷)
栃屋谷から今度は山中集落を目指す。山中から天王山へ登り、林道を使って竹寺へと下りる予定だ。栃屋谷にも数軒の民家があり、クルマが停まっている民家もあったので、現在でも住居として使われているようだ。車道をどんどん下っていくと前方に神道形式の建物が見えてきた。正面に回ると鳥居には権五郎神社と書かれている。権五郎(げんごろう)とは面白い名だが、これは鎌倉権五郎景政を祀っていることに由来するものだという。正面から見るとどうってことない建物だが、横から見ると拝殿と本殿がきちんと分かれていて、なかなか立派である。拝殿の建物脇にあるベンチにザックを下ろし、朝食を取ることにした。時計を見るとまだ9時を少し過ぎたところであった。
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(途中の沢で見かけた小さな滝)
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(権五郎神社)
権五郎神社は子の権現への道の分岐点にあり、南沢沿いに車道を進めば子の権現に至る。今日は豆口峠から並沢へ下って最後の登りだけ通る予定だ。一先ずは車道を更に南に下る。再び分岐点に出る。東へ少し下った所には中沢バス停がある。だが今日は逆方向を登っていかなければならない。分岐には子の権現と竹寺を示す大きな看板がある。竹寺の隣には民宿ヒラヌマとあるが、う~ん、全く聞いたことがない…。分岐の近くのトイレに寄って、いざ山中へ。車道はいくらか登り加減であまり歩みは捗らない。こんな所に集落なんてあるのだろうかと思い始める頃、数軒の民家が密集する山中集落に至る。近くにクルマ用の道標が立ち、竹寺までは5分だそうだ。民宿ヒラヌマは休業中となっていた。通りで聞いたことが無い訳だ。バリエーションウォーキングによると山中集落を過ぎてすぐの植林地を上がるらしい。ところがどう見ても周囲は切り立った崖地だ。どうしようか。車道が右に大きくカーヴすると擁壁脇に石段が設けられている。………。もうここを登っていくしかなさそうだ。踏み跡は全くない杉が植えられた急斜面をよじ登る。下は車道なので、石などを落とさないよう気を付けなくてはならない。上部まで上がるといくらか傾斜が緩む。尾根まではもう少し。
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(中沢バス停)
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(看板 奥にトイレも見える)
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(山中集落)
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(この辺りから上がる)
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(尾根が見えてきた)
尾根に上がると荒れた植林地となっている。尾根上だけは伐採がされたのか、常緑の低木(馬酔木か?)が枝を尾根一杯に伸ばしている。尾根上には踏み跡らしきものもあるが、おそらく作業道であろう。最初は緩やかな尾根道もすぐに急な斜面となる。ここはりゅうがい山の斜面に劣らず厳しい。それでも先ほどの取り付きに比べれば楽なほうか。急斜面を登りきると小ピークに出る。右から尾根が合流しているようなので、山中集落からの尾根が合流する所なのだろう。尾根の合流点からは傾斜が少し緩くなる。馬酔木の枝が煩いのは相変わらずだが、それでもいくらかは歩きやすくなった。黙々と尾根を登れば天王山(513)に到着。これまで歩いてきた所と同様に周囲は植林地で眺望は得られない。天王山と書かれたプレートが木に括り付けられている。割れているなと思ったら、破片が地上に転がっていた。踏み跡は東に延びる尾根のほうが明瞭で、おそらく下中沢辺りから取り付くことができるのだろう。もちろん豆口山方面には踏み跡がある。
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(尾根に上がった所)
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(尾根の合流点を目指して)
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(天王山)
天王山は狭い山頂で休憩する気にもならないので、豆口山方面へ向かって歩き始める。この尾根は八王子尾根と呼ばれているそうだ。これまでと異なり、よく整備された踏み跡を進む。以前周助山から竹寺へと歩いたときにも感じたが、尾根上の踏み跡はとにかく整備状況が良い。鞍部となる平場に差し掛かると尾根を掘り割った林道が現れる。細い林道なので、軽トラや小さなショベルカーが通れる程度だ。左に下りると道は地形に沿ってトラバースしていく。あまり整備された感じではなく、登山道のような雰囲気もある。大きく左にカーヴする辺りで支尾根に上がる踏み跡がある。尾根に出てみると眼下に民家が見える。
後でわかったことなのだが、これが民宿ヒラヌマの建物だったらしい。道は大きく蛇行し、民宿ヒラヌマの建物の手前で舗装路となる。民宿ヒラヌマを過ぎれば、数軒の民家が建つ桜久保の集落だ。下へ下へ進むと山中からの車道が合流してくる。道標に竹寺と書かれた方面へ進む。最後はやや傾斜の急な登りだ。クルマなら悠々登っていくのだろう。
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(八王子尾根)
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(林道がある)
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(休業中の民宿ヒラヌマらしき建物を見下ろす)
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(林道 軽トラが限度か?)
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(竹寺へ)
右手に竹林が見えてくると竹寺の境内に着く。ここには何度か来ているが、下から訪れてみると広い境内なんだと実感する。本坊へ行き、いつぞやのようにお守りを購入しようかと思った。しかし人気はあるものの、住職は不在のようであった。この地域では著名な寺であるにもかかわらず、参拝客がボクのほかにいないことに一抹の寂しさを感じた。茅の輪を潜り、大きな本殿でお参りを済ませる。賽銭箱の前にお守りが置かれていたので、賽銭箱にお金を入れて、一つ頂くことにした。本殿脇は見晴台となっていて、今日もスカイツリーを見ることができた。
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(竹寺境内)
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(牛頭明王)
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(高野槇の大木)
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(本坊)
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(茅の輪)
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(本殿)
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(本殿からの眺め)
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(トーテムポールと思いきや)
本殿裏から豆口峠への道に入る。道は沢地形の右岸に付けられていて、緩やかな登り坂となっている。沢をトラバースする道は雨の少ない埼玉では崩れにくく、しかも歩きやすいので、理に適っていると言える。詰めの部分の急斜面を登り上げると鐘楼台経由の尾根道が合流する。豆口山へ上がる道が分岐しているが、今日は寄って行かない。尾根の西側をトラバースする道は杉林となっていて見晴はないが、アップダウンが少なく歩きやすい。緩々と進んで豆口峠に着く。ここは実は五差路となっていて、縦走路のほかに新館・並沢への峠道と豆口山への登路が延びている。新館へと下る道には名栗方面と書かれた道標が立っていて、踏み跡も明瞭である。地形図でも細い実線となっている。他方並沢への道は前坂や長久保坂で出会った荒れた峠道となっているようだ。もちろん道標は無い。
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(豆口峠へ向かって)
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(豆口峠)
並沢への道を下り始める。踏み跡はかなり薄く、歩きやすそうな所を適当に歩いていく。荒れ具合では今日の行程で最も酷い。ここも沢地形の左岸を下っていく。傾斜が緩くて、散乱した小枝や杉の葉さえ無ければ、かなり歩きやすくなるのではないだろうか。まあ現状でも山慣れている人ならば歩きやすい道であることに変わりはない。軽快に下って車道に下り立つ。豆口峠を示す道標はない。一旦車道を下り、橋を渡って並沢の集落へと入っていく。子の権現の境内まで全線舗装されているが、傾斜はかなり急だ。並沢は周辺でも最も奥まった集落だと思うのだが、日当たりが良く、どこの民家にも人気がある。急傾斜の舗装路に苦しみながらも子の権現前にある二本杉が見えてきた。参道に足を踏み入れると観光客が多い。竹寺の静けさと比べると随分対照的である。本坊でお守りを買い、いつも通り福寿草の咲く裏道に入る。するとちょうど同年代の男性が写真を撮っているところであった。福寿草は太陽の下で大きな花を咲かせていた。やはりこうじゃなくちゃ。
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(並沢への道)
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(荒れ方は一番酷い)
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(豆口峠への入口 たぶんこちらからだと登れなかっただろう)
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(右が並沢への道)
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(並沢集落)
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(二本杉)
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(子の権現の山門)
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(本坊)
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(福寿草)
境内に戻り、本堂でお参りを済ませ、鐘楼台へ上がってみる。境内にある案内板によるとこの鐘楼台のピークは経ヶ峰というそうだ。急な石段を登り、鐘撞き堂のある経ヶ峰のピークに上がる。鐘撞き堂の前からは白岩の採掘場から大持山への尾根が見渡せる。東側も大きく伐採され、大高山や天覚山などの飯能アルプスの峰々が見渡せる。西武建材の採掘場の左に見える三角形の山がりゅうがい山だ。経ヶ峰を下り、今度は境内北側の展望台へ向かう。南側の日当たりの良い所は子供連れのグループで一杯だった。ところが北側の展望台には誰もいない。まあ風が通る所だから、冬場は居なくて当然か。ベンチにザックを下ろしてしばし休憩。
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(鐘楼のある経ヶ峰)
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(大持山を望む 左の採掘場は白岩上)
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(スカイツリーが望める経ヶ峰の展望台)
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(一番高い山が大高山 左の小さい山がりゅうがい山)
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(北展望台から古御岳と伊豆ヶ岳)
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(高山集落と関八州見晴台)
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(傘杉峠と八徳)
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(左の山が二子山・甲仁田山 右の山は川越山・正丸山)
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(左奥が丸山)
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(駐車場前の展望地から 顔振峠を望む)
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(りゅうがい山と大高山)
正午を過ぎ、そろそろお腹が空いてきた。今日は青場戸へ下って浅見茶屋でうどんを食べる予定だ。屋根のある駐車場を通り、展望地を見送って青場戸への道に入る。幟のある所が目印…ん?何々、1月7日から水が不通で休業中だと…?!おいおい、飯はどうしたらいいんだよ(涙)。ここまで良い感じで山を歩いてきたというのに…。ここで一気に疲れが噴き出す。とは言え、歩かなければ帰ることはできないので、だらだらと下ることにする。青場戸から小床峠に登るのは止めにした。下り始めは傾斜が急なこともあって、九十九折の道が続く。ゆっくり下っていると同年代のご夫婦に追い抜かれた。あれを追う元気は無いな。杉林の道ながらこれまでの峠道とは違って小枝や杉の葉が落ちていることはない。吾野宿のまちづくり協議会によるとこの辺りのメジャーなスポットは定期的に草刈などが入っているという。傾斜が緩むとほぼ真直ぐに下っていく。途中道標の立つ辺りに分岐らしきものがあった。どこに至るのだろうか。
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(青場戸への道の入口)
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(青場戸への道)
降魔橋(そばに碑が建っている)を渡ると道は舗装路へと変わる。ここから芳延に至るまで点々と民家が立ち並ぶ。滝不動の手前のカーヴには手打ちうどん、最近は古民家カフェとして有名な浅見茶屋がある。ここは気候が良くなったら寄ることにしよう。浅見茶屋からすぐで赤い建物の滝不動がある。青場戸の集会所としても使われているらしい。滝不動のお堂の裏手には沢が流れ、不動滝と呼ばれる小さな滝がある。なかなか良い形だが、近くまで寄れないのが残念だ。滝不動から先は沢沿いの車道を延々と下る。夏場は涼しげで良い雰囲気なのかもしれない。しかし冬場の現在は寒々しいだけだ。
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(降魔橋の碑)
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(青場戸集落)
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(浅見茶屋)
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(滝不動)
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(不動滝)
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(滝不動の庚申塚)
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(青場戸集落にある廃業したらしい民宿)
秩父御嶽神社がある芳延(よしのべ)の辺りは開けた住宅地となっている。橋の手前の道路を右に入ると関東ふれあいの道だ。住宅街を抜けると暗い杉林の砂利道に変わる。北に突き出す尾根をトラバースしていくと西武線を見下ろす位置に出る。線路の向こうに見えるのは中尾の集落だ。トラバースを終えると民家の裏手に出る。ここからは再び舗装路歩き。西武建材の採掘場を横目に橋を渡り、踏切を渡ると吾野駅への近道だ。が、今日はそのまま吾野宿を進む。最後に急な石段を登り、吾野駅前に出る。時刻表を見るとあと4分ほどで電車が来る。浅見茶屋には寄れなかったが、なかなか良い山歩きだった。今年一年、良い年になりそうな気がした。
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(芳延集落)
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(西武線を見下ろす)
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(中尾集落を見下ろす)
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(雰囲気の良い道)
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(吾野宿からりゅうがい山を見上げる)
DATA:
吾野駅7:02~7:12白髭神社~7:27岡部屋敷~7:45りゅうがい山~8:14前坂~8:23飛村集落~8:51長久保坂~9:02栃屋谷~
9:11権五郎神社9:23~9:41天王山への取り付き~10:04天王山~10:13林道出合~10:31竹寺10:47~11:04豆口峠~11:16並沢集落入口~
11:40子の権現12:19~12:42浅見茶屋~12:43滝不動~13:12芳延集落~13:33吾野駅
参考HP 「城跡ほっつき歩き」「埼玉の城館」から参照
「山歩き始めました。」
「バリエーションウォーキング」「山中から豆口山(629M)」を参照
「吾野まちづくり推進委員会」
参考図書 新ハイキング誌 2014年2月号700号 中沢からのルートが載っています。また八王子尾根の林道は桜久保峠というそうです。
地形図 原市場
りゅうがい山・天王山は道の無い山なので、地形図・コンパスが使えることが必要です。また地元とのトラブルには十分に注意してください。歩く人は非常に少ないので、獣除けの対策も十分にしておきましょう。竹寺本殿前にあるお守りは一つ300円。
昨年虎秀山に登って橋本山へと縦走した。橋本山から朝に登った虎秀山を眺めることができて、良い気分だった。ただそのとき虎秀山の右背後に見える小さな鋭鋒が気になった。エアリアと地形図とを照らし合せるとりゅうがい山というらしい。当ブログをよくご覧になっている方ならご存知だろうが、「りゅうがい」とは要害が訛ったものであり、中世の城跡であることを示唆している。ネットで調べてみるとりゅうがい山の北にある岡部屋敷と呼ばれる小ピークから取り付いたとの記録があり、これを参考に登ってみることにした。またりゅうがい山だけではあまりにも楽なので、長久保坂や天王山などの歩き残したスポットを巡る周回コースを歩いてみることにした。
年末年始からの寒波でここのところやけに寒い。いつもは雨具一枚だけを上に羽織っているのだが、今日はダウンジャケットを着込む。吾野駅に7時に着くと周囲はまだ薄暗い。駅前の駐車場から国道299号の旧道に出る。この辺りは秩父街道の吾野宿があった所だ。バイパスが出来てからはこの旧道を通る車は少なく、ひっそりと静まり返ったかつての宿場町を進む。全国の例に漏れず吾野地区でも過疎化が進んでいるようだが、吾野宿内は結構商店が残っている。橋の手前に手書きの案内板があり、最初の目的地であるりゅうがい山も載っている(案内板には「龍涯山」と書かれている)。また山城ファンに岡部屋敷と呼ばれている平たい山は、地元では愛宕山と呼ばれているらしい。
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(吾野宿の案内板の一部 愛宕山と書かれているのが岡部屋敷)
弁天様が置かれた大きな岩を見送るといくらか賑わいのある商店街となっている。比較的新しそうな郵便局もある。郵便局を過ぎると大きな岩が見えてくる。その側には白髭神社がある。う~ん、神社はこの岩があったから出来たんじゃなかろうか。西武線のガードを潜り抜けると右手に畑とプレハブの倉庫が見えてくる。坂道を上がると何もない広場と平家の住宅があるだけだ。この辺り尋常小学校があったそうだが、建物はもう残っていないということか。広場の真ん中には大きな桜の木がある。木の前には標識があり、坂石桜と書かれている。坂石尋常小学校は昭和38年3月31日に閉校になったと記されている。
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(弁天岩)
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(吾野宿)
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(白髭神社脇の大岩)
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(白髭神社)
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(坂石桜)
広場の周辺には西にある斜面に取り付ける所はない。やはりネットで調べたように畑を突っ切っていくしかなさそうだ。この畑がある高台は中屋敷と呼ばれる岡部氏の館跡だったらしい。斜面には踏み跡はないが、斜度はそれほど急ではない。杉の葉が散乱する斜面を登っていくと傾斜がいくらか緩み、左手から登ってくる踏み跡に合流する。明瞭な踏み跡は斜面を登らずにそのまま西へ向かってしまう。途中南に向かう薄い踏み跡があるので、そこを登っていく。斜面を登りきると広い平場に出る。ここが山城ファンに岡部屋敷と呼ばれる平場のピークだ。雰囲気は横瀬の大机山西側の城跡に似ている。急峻な東側に比べると西側はなだらかな斜面が広がっている。西武線開通前はもう少しなだらかな斜面が高麗川へ広がっていたのかもしれない。檜が植えられた平場はちょっと見何もない感じだが、南側の斜面近くに突き出した岩があり、小さな祠が置かれている。愛宕山という別名からすると愛宕神社が祀られているのかもしれない。
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(一段下の畑から入る この畑の辺りが中屋敷というそうだ)
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(斜面に取り付いたところ 道は無い)
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(傾斜が緩むと踏み跡が左手から現れる)
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(山頂へ向かって踏み跡らしきものがある)
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(山頂の平場 岡部屋敷と呼ばれる)
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(岩と祠)
平場の南側にある斜面がりゅうがい山から派生する尾根であることは間違いない。やや急な斜面で登るのは手こずりそうだ。躊躇していると斜面を巻く明瞭な踏み跡が付いている。これは尾根を登っていくのか?半信半疑で踏み跡を進むと緩やかに尾根へ出た。尾根上は倒木や杉檜の落ち葉が散乱しているものの、岡部屋敷に取り付くまでよりは明瞭な踏み跡になっている。傾斜が少し緩む辺りで前方20mほどを二頭の獣が通っていった。白いお尻からすると鹿だろう。あまり人が入らない領域では結構見かける。山頂直下は急な斜面でなるほど天然の要害として機能している。感心するけれど登るには大変だ。踏み跡の消えた急斜面を這うように登る。途中野茨に引っ掻かれつつも傾斜が緩むとりゅうがい山(354)の頂上に出る。意外に広い山頂で周囲を伐採すれば物見台として機能しそうだ。りゅうがい山を示すものは何もなく、また岡部屋敷で休憩も十分に取ったので、このまま前坂を越えていくことにした。
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(岡部屋敷からりゅうがい山への踏み跡)
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(踏み跡は意外と明瞭)
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(山頂直下の急斜面 踏み跡は消える)
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(りゅうがい山頂上)
りゅうがい山から西に延びる尾根には薄いながらも踏み跡がある。細い尾根だがややジグザグに切ってあるので、下る分に難しい所はない。途中鹿の物らしき丸い糞が落ちていた。やはりこの辺り鹿の棲家となっているのだろう。りゅうがい山と419のピーク北に派生する尾根との鞍部は平らな広場となっている。大きな岩があるので、前坂から来る場合には目印となりそうだ。踏み跡は419のピークの北側斜面をトラバースしていく。途中山側へ踏み跡が分かれるが、それを見送ると前坂への道に合流する。前坂へはもう歩き慣れた道が続く。419のピークから北に派生する尾根が下りてくる辺りに道標が立っている。大高山・天覚山と書かれた方向とは逆側がりゅうがい山方面だ。薄らとだが踏み跡もあったので、途中の分岐はここへ出たのかもしれない。
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(鹿の糞 尾根上で見かける)
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(尾根を外れると切り立った崖となっている)
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(大岩 りゅうがい山を目指すときの目印になりそうだ)
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(道標と立木の間にも踏み跡がある りゅうがい山に繋がっていそうだが…)
419のピークの西にある鞍部を抜けると小さな沢地形となっている。道標の脇に明瞭な踏み跡がある。おそらく林道へと出られるのだろう。前坂へは緩やかな線形を描く登りになっている。地形に合わせて緩やかに登る辺りに先人の知恵を感じさせる。本当に良い道だ。最後だけやや急な斜面を登り上げると前坂に着く。地形図で想像するよりも広く平たい鞍部だ。飯能アルプスへの道はどちらもよく踏まれている。他方飛村へと下る峠道は小枝が散乱し、やや荒れた雰囲気となっている。前坂へ来たのはおそらく5回目になるが、飛村へ下るのは今回が初めてだ。飛村への道は前坂での予感通り一般ルートにしては荒れている。小枝や倒木が多く、やや草が被る所もある。あまり歩かれていないのだろう。坂石(吾野駅)からの道に比べると傾斜がきついせいか、道がジグザグを描く所もある。それでもあまり困難な所もなく、道標が立つ車道に下り立つ。
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(419のピーク西の鞍部)
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(林道へ下るであろう踏み跡)
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(前坂へ向かって)
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(前坂 峠らしくない)
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(飛村へ下る)
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(飛村に出た所 道標が立つ)
次の長久保坂は地形図には道形が何も載っていない。エアリアによると飛村の集落内を通って山越えをすることになるようだ。現在は車道の分岐点にいるので、そのまま車道を下っていく。民家が見えてきたが、どの辺りから入っていくのだろうか?人気の無い集落を進むと立派な石垣が目立つ民家が見えてくる。するとその先に中沢・竹寺と書かれた道標が立っている。民家が立ち並ぶ車道を進むと再び道標が現れる。道標にしたがって進むと民家の門の前に出てしまった。これ、本当に合っているのか?何となく民家の裏手に回れそうだったので、裏手に回ってみようとすると塀に「子の山・竹寺
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(大きな石垣がある民家 ここを左に行く)
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(柚子 棘が凄い)
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(長久保坂への入口 民家の左側を抜ける)
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(道標)
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(民家の裏手から振り返る)
民家の裏手へ出ると明瞭な踏み跡が奥山へと延びている。しばらく進むと沢地形の左岸を進むようになる。傾斜が比較的緩やかなので、道はほぼ真直ぐに付けられている。若干荒れた所があるが、それほど歩きにくさは感じない。沢を詰める所で九十九折となり、尾根に出ると壊れかけた小屋掛けに覆われた祠がある。ここからは尾根上をしばらく登っていく。450mの平たい小ピークの手前で尾根の南側をトラバースする。埼玉県の山火事注意の看板がある辺りが長久保坂の最高点だ。山火事注意の看板からは緩やかに下り、尾根の鞍部に着く。エアリアだとここに長久保坂と書かれている。鞍部からは南北に延びる尾根のほうが踏み跡が明瞭である。鞍部からの峠道は荒れた感じで、一般ルートにもかかわらず道標もない。栃屋谷への峠道は下り始めは九十九折となっている。ここも小枝や杉の葉の落ち葉が多い。やはりあまり歩かれていないのだろう。傾斜が緩んでくると沢地形を左岸を行くようになる。飛村からの道も左岸を通っていたのが興味深い。前方が明るくなってくれば栃屋谷に出る。実はこの栃屋谷には奥武蔵を歩き始めて2回目に訪れたことがあった。子の権現から竹寺へと縦走して、更に吾野駅へと出る予定であった。しかし伊豆ヶ岳付近で獣に遭遇して怖くなり、結局中沢バス停で親切なドライバーに乗せてもらい、飯能駅へと出たのを思い出す。
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(長久保坂へ)
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(尾根に上がると祠がある)
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(長久保坂の最高点)
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(長久保坂 ここを右に下る なお尾根通しの道もある)
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(栃屋谷へ下る)
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(栃屋谷)
栃屋谷から今度は山中集落を目指す。山中から天王山へ登り、林道を使って竹寺へと下りる予定だ。栃屋谷にも数軒の民家があり、クルマが停まっている民家もあったので、現在でも住居として使われているようだ。車道をどんどん下っていくと前方に神道形式の建物が見えてきた。正面に回ると鳥居には権五郎神社と書かれている。権五郎(げんごろう)とは面白い名だが、これは鎌倉権五郎景政を祀っていることに由来するものだという。正面から見るとどうってことない建物だが、横から見ると拝殿と本殿がきちんと分かれていて、なかなか立派である。拝殿の建物脇にあるベンチにザックを下ろし、朝食を取ることにした。時計を見るとまだ9時を少し過ぎたところであった。
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(途中の沢で見かけた小さな滝)
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(権五郎神社)
権五郎神社は子の権現への道の分岐点にあり、南沢沿いに車道を進めば子の権現に至る。今日は豆口峠から並沢へ下って最後の登りだけ通る予定だ。一先ずは車道を更に南に下る。再び分岐点に出る。東へ少し下った所には中沢バス停がある。だが今日は逆方向を登っていかなければならない。分岐には子の権現と竹寺を示す大きな看板がある。竹寺の隣には民宿ヒラヌマとあるが、う~ん、全く聞いたことがない…。分岐の近くのトイレに寄って、いざ山中へ。車道はいくらか登り加減であまり歩みは捗らない。こんな所に集落なんてあるのだろうかと思い始める頃、数軒の民家が密集する山中集落に至る。近くにクルマ用の道標が立ち、竹寺までは5分だそうだ。民宿ヒラヌマは休業中となっていた。通りで聞いたことが無い訳だ。バリエーションウォーキングによると山中集落を過ぎてすぐの植林地を上がるらしい。ところがどう見ても周囲は切り立った崖地だ。どうしようか。車道が右に大きくカーヴすると擁壁脇に石段が設けられている。………。もうここを登っていくしかなさそうだ。踏み跡は全くない杉が植えられた急斜面をよじ登る。下は車道なので、石などを落とさないよう気を付けなくてはならない。上部まで上がるといくらか傾斜が緩む。尾根まではもう少し。
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(中沢バス停)
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(看板 奥にトイレも見える)
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(山中集落)
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(この辺りから上がる)
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(尾根が見えてきた)
尾根に上がると荒れた植林地となっている。尾根上だけは伐採がされたのか、常緑の低木(馬酔木か?)が枝を尾根一杯に伸ばしている。尾根上には踏み跡らしきものもあるが、おそらく作業道であろう。最初は緩やかな尾根道もすぐに急な斜面となる。ここはりゅうがい山の斜面に劣らず厳しい。それでも先ほどの取り付きに比べれば楽なほうか。急斜面を登りきると小ピークに出る。右から尾根が合流しているようなので、山中集落からの尾根が合流する所なのだろう。尾根の合流点からは傾斜が少し緩くなる。馬酔木の枝が煩いのは相変わらずだが、それでもいくらかは歩きやすくなった。黙々と尾根を登れば天王山(513)に到着。これまで歩いてきた所と同様に周囲は植林地で眺望は得られない。天王山と書かれたプレートが木に括り付けられている。割れているなと思ったら、破片が地上に転がっていた。踏み跡は東に延びる尾根のほうが明瞭で、おそらく下中沢辺りから取り付くことができるのだろう。もちろん豆口山方面には踏み跡がある。
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(尾根に上がった所)
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(尾根の合流点を目指して)
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(天王山)
天王山は狭い山頂で休憩する気にもならないので、豆口山方面へ向かって歩き始める。この尾根は八王子尾根と呼ばれているそうだ。これまでと異なり、よく整備された踏み跡を進む。以前周助山から竹寺へと歩いたときにも感じたが、尾根上の踏み跡はとにかく整備状況が良い。鞍部となる平場に差し掛かると尾根を掘り割った林道が現れる。細い林道なので、軽トラや小さなショベルカーが通れる程度だ。左に下りると道は地形に沿ってトラバースしていく。あまり整備された感じではなく、登山道のような雰囲気もある。大きく左にカーヴする辺りで支尾根に上がる踏み跡がある。尾根に出てみると眼下に民家が見える。
後でわかったことなのだが、これが民宿ヒラヌマの建物だったらしい。道は大きく蛇行し、民宿ヒラヌマの建物の手前で舗装路となる。民宿ヒラヌマを過ぎれば、数軒の民家が建つ桜久保の集落だ。下へ下へ進むと山中からの車道が合流してくる。道標に竹寺と書かれた方面へ進む。最後はやや傾斜の急な登りだ。クルマなら悠々登っていくのだろう。
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(八王子尾根)
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(林道がある)
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(休業中の民宿ヒラヌマらしき建物を見下ろす)
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(林道 軽トラが限度か?)
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(竹寺へ)
右手に竹林が見えてくると竹寺の境内に着く。ここには何度か来ているが、下から訪れてみると広い境内なんだと実感する。本坊へ行き、いつぞやのようにお守りを購入しようかと思った。しかし人気はあるものの、住職は不在のようであった。この地域では著名な寺であるにもかかわらず、参拝客がボクのほかにいないことに一抹の寂しさを感じた。茅の輪を潜り、大きな本殿でお参りを済ませる。賽銭箱の前にお守りが置かれていたので、賽銭箱にお金を入れて、一つ頂くことにした。本殿脇は見晴台となっていて、今日もスカイツリーを見ることができた。
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(竹寺境内)
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(牛頭明王)
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(高野槇の大木)
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(本坊)
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(茅の輪)
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(本殿)
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(本殿からの眺め)
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(トーテムポールと思いきや)
本殿裏から豆口峠への道に入る。道は沢地形の右岸に付けられていて、緩やかな登り坂となっている。沢をトラバースする道は雨の少ない埼玉では崩れにくく、しかも歩きやすいので、理に適っていると言える。詰めの部分の急斜面を登り上げると鐘楼台経由の尾根道が合流する。豆口山へ上がる道が分岐しているが、今日は寄って行かない。尾根の西側をトラバースする道は杉林となっていて見晴はないが、アップダウンが少なく歩きやすい。緩々と進んで豆口峠に着く。ここは実は五差路となっていて、縦走路のほかに新館・並沢への峠道と豆口山への登路が延びている。新館へと下る道には名栗方面と書かれた道標が立っていて、踏み跡も明瞭である。地形図でも細い実線となっている。他方並沢への道は前坂や長久保坂で出会った荒れた峠道となっているようだ。もちろん道標は無い。
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(豆口峠へ向かって)
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(豆口峠)
並沢への道を下り始める。踏み跡はかなり薄く、歩きやすそうな所を適当に歩いていく。荒れ具合では今日の行程で最も酷い。ここも沢地形の左岸を下っていく。傾斜が緩くて、散乱した小枝や杉の葉さえ無ければ、かなり歩きやすくなるのではないだろうか。まあ現状でも山慣れている人ならば歩きやすい道であることに変わりはない。軽快に下って車道に下り立つ。豆口峠を示す道標はない。一旦車道を下り、橋を渡って並沢の集落へと入っていく。子の権現の境内まで全線舗装されているが、傾斜はかなり急だ。並沢は周辺でも最も奥まった集落だと思うのだが、日当たりが良く、どこの民家にも人気がある。急傾斜の舗装路に苦しみながらも子の権現前にある二本杉が見えてきた。参道に足を踏み入れると観光客が多い。竹寺の静けさと比べると随分対照的である。本坊でお守りを買い、いつも通り福寿草の咲く裏道に入る。するとちょうど同年代の男性が写真を撮っているところであった。福寿草は太陽の下で大きな花を咲かせていた。やはりこうじゃなくちゃ。
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(並沢への道)
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(荒れ方は一番酷い)
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(豆口峠への入口 たぶんこちらからだと登れなかっただろう)
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(右が並沢への道)
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(並沢集落)
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(二本杉)
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(子の権現の山門)
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(本坊)
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(福寿草)
境内に戻り、本堂でお参りを済ませ、鐘楼台へ上がってみる。境内にある案内板によるとこの鐘楼台のピークは経ヶ峰というそうだ。急な石段を登り、鐘撞き堂のある経ヶ峰のピークに上がる。鐘撞き堂の前からは白岩の採掘場から大持山への尾根が見渡せる。東側も大きく伐採され、大高山や天覚山などの飯能アルプスの峰々が見渡せる。西武建材の採掘場の左に見える三角形の山がりゅうがい山だ。経ヶ峰を下り、今度は境内北側の展望台へ向かう。南側の日当たりの良い所は子供連れのグループで一杯だった。ところが北側の展望台には誰もいない。まあ風が通る所だから、冬場は居なくて当然か。ベンチにザックを下ろしてしばし休憩。
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(鐘楼のある経ヶ峰)
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(大持山を望む 左の採掘場は白岩上)
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(スカイツリーが望める経ヶ峰の展望台)
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(一番高い山が大高山 左の小さい山がりゅうがい山)
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(北展望台から古御岳と伊豆ヶ岳)
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(高山集落と関八州見晴台)
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(傘杉峠と八徳)
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(左の山が二子山・甲仁田山 右の山は川越山・正丸山)
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(左奥が丸山)
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(駐車場前の展望地から 顔振峠を望む)
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(りゅうがい山と大高山)
正午を過ぎ、そろそろお腹が空いてきた。今日は青場戸へ下って浅見茶屋でうどんを食べる予定だ。屋根のある駐車場を通り、展望地を見送って青場戸への道に入る。幟のある所が目印…ん?何々、1月7日から水が不通で休業中だと…?!おいおい、飯はどうしたらいいんだよ(涙)。ここまで良い感じで山を歩いてきたというのに…。ここで一気に疲れが噴き出す。とは言え、歩かなければ帰ることはできないので、だらだらと下ることにする。青場戸から小床峠に登るのは止めにした。下り始めは傾斜が急なこともあって、九十九折の道が続く。ゆっくり下っていると同年代のご夫婦に追い抜かれた。あれを追う元気は無いな。杉林の道ながらこれまでの峠道とは違って小枝や杉の葉が落ちていることはない。吾野宿のまちづくり協議会によるとこの辺りのメジャーなスポットは定期的に草刈などが入っているという。傾斜が緩むとほぼ真直ぐに下っていく。途中道標の立つ辺りに分岐らしきものがあった。どこに至るのだろうか。
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(青場戸への道の入口)
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(青場戸への道)
降魔橋(そばに碑が建っている)を渡ると道は舗装路へと変わる。ここから芳延に至るまで点々と民家が立ち並ぶ。滝不動の手前のカーヴには手打ちうどん、最近は古民家カフェとして有名な浅見茶屋がある。ここは気候が良くなったら寄ることにしよう。浅見茶屋からすぐで赤い建物の滝不動がある。青場戸の集会所としても使われているらしい。滝不動のお堂の裏手には沢が流れ、不動滝と呼ばれる小さな滝がある。なかなか良い形だが、近くまで寄れないのが残念だ。滝不動から先は沢沿いの車道を延々と下る。夏場は涼しげで良い雰囲気なのかもしれない。しかし冬場の現在は寒々しいだけだ。
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(降魔橋の碑)
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(青場戸集落)
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(浅見茶屋)
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(滝不動)
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(不動滝)
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(滝不動の庚申塚)
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(青場戸集落にある廃業したらしい民宿)
秩父御嶽神社がある芳延(よしのべ)の辺りは開けた住宅地となっている。橋の手前の道路を右に入ると関東ふれあいの道だ。住宅街を抜けると暗い杉林の砂利道に変わる。北に突き出す尾根をトラバースしていくと西武線を見下ろす位置に出る。線路の向こうに見えるのは中尾の集落だ。トラバースを終えると民家の裏手に出る。ここからは再び舗装路歩き。西武建材の採掘場を横目に橋を渡り、踏切を渡ると吾野駅への近道だ。が、今日はそのまま吾野宿を進む。最後に急な石段を登り、吾野駅前に出る。時刻表を見るとあと4分ほどで電車が来る。浅見茶屋には寄れなかったが、なかなか良い山歩きだった。今年一年、良い年になりそうな気がした。
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(芳延集落)
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(西武線を見下ろす)
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(中尾集落を見下ろす)
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(雰囲気の良い道)
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(吾野宿からりゅうがい山を見上げる)
DATA:
吾野駅7:02~7:12白髭神社~7:27岡部屋敷~7:45りゅうがい山~8:14前坂~8:23飛村集落~8:51長久保坂~9:02栃屋谷~
9:11権五郎神社9:23~9:41天王山への取り付き~10:04天王山~10:13林道出合~10:31竹寺10:47~11:04豆口峠~11:16並沢集落入口~
11:40子の権現12:19~12:42浅見茶屋~12:43滝不動~13:12芳延集落~13:33吾野駅
参考HP 「城跡ほっつき歩き」「埼玉の城館」から参照
「山歩き始めました。」
「バリエーションウォーキング」「山中から豆口山(629M)」を参照
「吾野まちづくり推進委員会」
参考図書 新ハイキング誌 2014年2月号700号 中沢からのルートが載っています。また八王子尾根の林道は桜久保峠というそうです。
地形図 原市場
りゅうがい山・天王山は道の無い山なので、地形図・コンパスが使えることが必要です。また地元とのトラブルには十分に注意してください。歩く人は非常に少ないので、獣除けの対策も十分にしておきましょう。竹寺本殿前にあるお守りは一つ300円。