(野外活動センター跡付近から大霧山を望む)
注意:曽沢右岸の集落から金昌寺分岐の間は伐採作業中のため通行止めとの注意書きがあります。
2019年がスタートしました。今年も宜しくお願いします。
2018年は長いこと登り残していた奥武蔵の縁辺の山を大体登ることができた。2019年は昨年のような長年の課題に煩わされることなく自由に歩いていきたいと思う。さて一年の初歩きは比較的軽めで寺社を巡るようなものにしたい。そこで以前から歩いてみたいと考えていた芦ヶ久保駅から四萬部寺(しまぶじ)までを計画した。未踏区間は日向山地区(野外活動センターハイキングコース入口)から(金昌寺へと続く)丸山西尾根と二番札所真福寺への道だ。真福寺への道は「山の写真集」の金森さんが2016年に歩いているルート(山行の記録(検索)から2016年12月24日の記事を参照)でもある。ただ今回は閉鎖された旧野外活動センターの跡地状況がわからないので、この区間は車道を延々と歩く予定とした。
芦ヶ久保駅から日向山
朝8時過ぎに芦ヶ久保駅にやって来る。まだ松の内ということもあって登山客が結構下りる。今日は14度くらいまで気温が上がりそうとの予報なので、年末のような体調不良は避けられそうだ。駅前で準備をしているとカメラを家に忘れたことに気付く。ううむ、仕方がない。スマートフォンのカメラで我慢するか。最初の目的地である野外活動センターハイキングコースの入口である日向山地区(木の子茶屋がある辺り)へは風の道コースと農村公園コースがある。今回は車道歩きを短縮できる風の道ルートを上がる予定だ。国道から車道を上がり、住宅街を抜けて源寿院に着く。観音様のお顔を拝見した後はその奥の山道を進んで風の道コースとなっている尾根道を上がる。歩きやすい雑木林の道で冬枯れの今は陽だまりが暖かい。農家らしき民家脇から車道に出れば公衆トイレのある琴平神社前に出る。
(芦ヶ久保駅から芦ヶ久保大観音と日向山頂を望む)
(芦ヶ久保大観音と武甲山)
(源寿院からの眺め)
(風の道コースで武甲山を望む)
(風の道コースは雑木林が魅力 冬は陽だまりで暖かい)
(琴平神社前から日向山頂を望む)
普段は琴平神社を経由して日向山へと上がるが、今日は車道を西に進む。この辺りは二反沢と呼ばれる地区に当たるらしい。南側斜面に作られた集落にはイチゴやプラム、ブドウなどの果樹農園が多い。アップダウンを繰り返しつつ上がると山の花道と書かれた案内板がある。この辺りはセツブンソウやカタクリなどの花が楽しめる公園になっているのだが、蝋梅の木が伐採されたため、この時期は何も観られる花がない。しかし今日は著名な山頂を通る予定がないので、日向山だけは登っていくことにした。整備された公園を上がり、尾根に出る。一箇所急坂に付けられた土留めの木段がある以外はそれほど苦も無く山頂(633)に着く。展望台のある南側だけが伐採されているので、北からの冷たい風は大分遮られていて暖かい。ベンチが無いので、落ち葉が積もった斜面に腰を下ろしてしばし休憩。
(山の花道の案内板)
(山の花道から二子山を望む)
(日向山頂上 ザックを置いているのは山座同定盤)
(日向山頂上からのパノラマ)
(山頂からは芦ヶ久保大観音が見える)
伐採作業が進むハイキングコースを上がる
日向山頂上から往路を戻り、公園内を西へ下る。案内板のある広場は分岐となっているが、曽沢(「山と高原地図」(昭文社)によると関入ノ川)の谷へ下る道は野草の鑑賞路で野外活動センターへのハイキングコースには繋がっていない。一旦丸山の登山口につながる林道に出る道に入る。林道に出た辺りは木の子茶屋などがある日向山地区だ。山と高原地図を見るとこの辺りからハイキングコースが延びているはずなのだが…。振り返ると北東方向にも道が延びており、「野外活動センター ハイキング道3.5km」と書かれた道標が倒れていた。野外活動センター(野活)は2016年3月で営業を廃止しており、この先道が維持されているのか不安な所ではある。
(案内板のある広場 左に下ると野草の鑑賞路に至る 野活ハイキングコースへは右に)
(右が野活ハイキングコース)
ハイキングコースに入ると小枝が散乱しているものの、道形は明瞭で道普請はされているようだ。緩やかな擂鉢状の斜面を半分に切ったような地形を通過していくので道は割と歩きやすい。途中沢を二本渡るが、後から渡ったのが曽沢だったようだ。曽沢から上がると立木にテープが巻かれており、「伐採作業中 通行止め」と書かれている。これは参ったな…。とりあえずチェーンソーの音はしていないし、今日は正月休みで通過できるかもしれない。一先ず曽沢右岸の集落までは上がってみる。地形図には描かれていない林道を過ぎ、左程急でない斜面を上がると車道に出る。道標にしたがって向かいの斜面から道を上がるとしばらくは民家の裏手を進んでいく。別荘地か何かのような感じもするが、人の声も聞こえるので邪魔にならないように足早に通過する。
(まずは曽沢を目指して下っていく 道形は明瞭)
(沢を二本渡る 丸太橋はしっかりしている)
(二本目の沢を渡ると林道に出る ここから舗装路はすぐ上)
(舗装路に出た所 向かいの道を上がって進むと集落の裏手に出る)
集落上の配水施設の辺りから集落を離れて北へと進む。最初は尾根を上がるが、そのまま乗り越して急傾斜の斜面をトラバースしていく。最初こそある程度の幅で道が維持されていたが、すぐに路肩が崩れた危険な道へと変わる。奥武蔵では割とありがちな道とはいえ、いつもながらあまり歩きたい気分ではない。危険なトラバースを過ぎて尾根に上がると地形図には無い林道がある。やはり通行止めを示すテープが巻かれているが、林道の向かいにはラミネート加工された道標が括り付けてあり、道形は何とか維持されているようだ。周辺は檜が植えられた広い緩斜面で林道が何本か横切っているようだ。踏み跡が薄くなっている所もあり、所々に付けられているラミネートの道標がなければ迷ってしまいそうだ。伐採作業は何となく終わっているような感じがしなくもないのだが、単に正月休みなのかもしれない。
(尾根を乗り越した辺り 踏み跡が消えているが奥へ真直ぐ進むとトラバース道が延びている)
(急斜面のトラバース道 奥に行くと路肩の崩れた所が多い)
(トラバースが終わると緩斜面に出る 伐採作業があったせいで道がわかりにくい)
(道を振り返ったところ ラミネート看板が頼り)
緩斜面をトラバースしつつ上がっていくと道が尾根を回り込んでいく辺りでようやく伐採作業地から脱することができたようだ。尾根を回り込む道はそのまま続いていたが、その尾根にラミネートの道標が括り付けてあり、その尾根を上がっていくのが順路になっている。「山と高原地図」と地形図を照らし合せてみると緩斜面から南へ小さな尾根が張り出している位置にいるらしい。尾根道はなかなか急な上に真直ぐ付けられているので、正月太りした身体にはきつい。それでも10分弱で登りは終わり、広い緩斜面の鞍部のような所に出る。地形図で大棚山(718.0)の東にある緩斜面の辺りにいるとは思うのだが、正直な話どの辺りにいるのかまではわからない。鞍部から道は左に曲がり、緩斜面を上がると雑木林の小ピークに出る。地形図には表れない小ピークという奴だろう。小ピークを越えると前方に尾根が延びているのが見える。左へ下る道もあるが、これは大棚山を巻く金昌寺への道につながっているのだろう。今日は丸山方面へ登り返さなければならないので、そのまま尾根道へと合流する。
(この辺りで伐採作業は終わる 奥の尾根に取り付くことになる)
(尾根を回り込むとこんな感じで道が続いている)
(傾斜は写真で見るよりも急だが真直ぐ登れないほどでは無い)
(広い緩斜面の鞍部)
(地形図に表れない小ピークを越えると金昌寺へつながる尾根が見えてくる)
(金昌寺への尾根道に合流した所 左が今まで歩いてきた道)
(野活を示す道標がある かつては金昌寺へ下る道の途中で野活へ至る道もあったのかもしれない)
冬枯れの雑木林の尾根を越えて野外活動センター跡
丸山から金昌寺へと延びる尾根道は以前当ブログでも2度紹介していて歩き慣れた道である。しかし登るのは今回が初めてだ。地形図を見てもわかるように840m峰にかけて急坂を越えていかなければならない。また840m峰周辺は南側が杉檜、北側は雑木林となっていて、冬枯れの時期は北風が寒い。年末の熊倉山でも寒さにやられてしまったので、あまりのんびりと歩いてもいられない。840m峰を越えると尾根上はすっきりとした雑木林へと変わる。ここから野外活動センター跡分岐までが新緑・紅葉の時期に金昌寺へ下る道の中で最も美しい所だ。次の小ピークの頂上直下に道標が立ち、「セントラルロッジ近道」と書かれている。手持ちの地形図には道が無く、地理院地図を見ると野外活動センター跡へと延びる林道に下りられたようだ。ただ近道に入ると立入禁止を示すラミネート看板が地面に落ちていたので、念のためここを通るのは止めておいた。
(840m峰の辺り)
(この辺り雑木林が多い)
(セントラルロッジ近道を示す道標)
道が南側をトラバースするようになると林道が近い。880m峰を巻くと林道に下り立つ。ここから先は四萬部寺まで長い林道歩きだ。かつて野外活動センターの入口があったであろう辺りまで下ると駐車スペースが残っている。ここで舗装路は二手に分かれる。どちらも工事現場用のバリケードが置かれていて一瞬迷う。地形図を見て右の道に入ると入口に「路肩崩壊 注意」と書かれたとおり、水流で抉れた砂利道になっている。これではクルマは通れないが、歩く分には特に問題はない。林道脇は樹木に覆われているので特に展望が得られるわけではないが、冬枯れの今は時折木の間越しに山頂部を三角に突き上げた大霧山を望むことができる。
(道は南側をトラバースしていく)
(林道に出る 左が野活方面)
(野外活動センターの入口があった辺り)
(真福寺方面は通行止めになっているが徒歩なら通過できる)
(真福寺方面へ入ってすぐに大霧山を望める所がある)
(路肩の右側が水流によって抉られている 砂利道はずっとこんな感じである)
(ヘアピンカーブが多いせいか笠山(左)も見えた)
(大霧山の山頂が段々見えなくなってきた)
林道がどこで分岐したか気付かない内に道は舗装路へと変わる。一箇所旧定峰峠から701m峰辺りを望む展望地があり、定峰峠へ向かってクルマが走り抜けていくのが見えた。大霧山は山頂が辛うじて見える程度で大分下ってきたことがわかる。舗装路を快調に下っていくとアンテナ施設の建物がある。手持ちの地形図にも描かれていて、標高も500mくらいまで下ってきたらしい。やがて車道が尾根に乗る辺りで「野活 車道3km 野活 登山道1.9km」と書かれた道標が立っている。金森さんの記事に「林道の入口には「野活→」と書かれていた。」とあるのはここのことだろう。
(舗装された林道 落石注意の看板が立っていた)
(旧定峰峠方面を望む 大霧山は辛うじて見える程度)
(701m峰を望む 山腹を車道が通っていて、右の鞍部辺りに定峰峠がある)
(左手奥にアンテナ施設が見える)
(ここから登山道を使って野活へ入ることができたようだ)
真福寺から四萬部寺へ
野活への登山道入口から10分弱で秩父札所2番真福寺に着く。スマホで写真を撮っているとついに充電が切れてしまった。幸いモバイルバッテリーは持っているので、休憩を兼ねて充電していくことにした。本尊が安置された観音堂は100年以上前のもので立派だが、管理は麓の光明寺が行っていて、御朱印を受け付ける納経所も光明寺にある。ただここまでやって来る人は結構いるらしく、赤ちゃんを連れた家族連れや四萬部寺から歩いてくる親子連れなどに会った。
(真福寺観音堂)
(真福寺の案内板)
(大棚禅師と老婆との逸話を描いた板絵)
真福寺周辺には急斜面に開けた集落がある。しかし四萬部寺へは暗い杉林の谷間を下っていく。前方に蓑山が見えてくると中郷地区は近い。新しい建物が多い中郷地区を抜けると交通量の多い県道に出る。すぐ傍に栃谷バス停があり、何気なく時刻表を見ると12時47分発西武秩父駅行きがあるという。四萬部寺の前にある札所一番バス停だと12時21分発しかなくバスに乗れないものと思っていたので驚いた。47分発に間に合った以上はこれに乗って帰りたい。まだ20分以上あるので何とか往復できるだろう。
(杉林を抜けると蓑山が見えた)
(画面奥には小鹿野の二子山と毘沙門山が見える)
(中郷地区 画面奥に見えるのは城峰山)
栃谷の交差点で左に入り、道なりに歩けば四萬部寺に着く。ここは以前広町から粥新田峠に向かって歩いた際、皆野駅行きのバス車内から見かけたことがあり、一度訪れてみたいと思っていたのだ。車内から見える山門を潜るといくつかの堂宇伽藍がある。思ったよりは狭い感じがしたが、かつては秩父市立高篠小学校の前身が置かれていたというからそれなりに広い。確かに二階建ての庫裏などは秩父札所指定されたお寺でもなかなか見られるものではない。秩父観音霊場発願の寺ということもあり、御朱印帳や装束を扱う売店も併設されていた。時間があれば近所にある旅館なども眺めていきたいところであったが、バス時間が心配なので急いで戻ることにした。栃谷バス停で待っているとほぼ定刻通りバスがやって来た。定峰からやって来るバスなので、遅れたりすることはないのだろう。バスは県道を南へ下り、羊山公園の北まで来た所で西武秩父駅へは向かわずに一旦北上して秩父駅へ遠回りする。どうせなら秩父駅で降りてしまおう。秩父駅前の地場産業振興センターでお土産を買った後は番場町の古い街並みを眺めながら西武秩父駅まで歩いて帰った。
(四萬部寺の案内板)
(四萬部寺の山門 バスの車内からもよく見える)
(四萬部寺境内の様子)
(立派な庫裏)
(施食殿)
(四萬部寺の前にある旅館「旅籠一番」 建物は奥にも別棟がある)
(栃谷バス停 奥の交差点が栃谷の交差点で四萬部寺へは交差点を左に入る)
今回初めて山の景色をスマートフォンで撮影してみた。明るさ調整の方法がわかっていなかったので、暗い所だとかなりハレーションを起こしているが、それ以外は思ったよりも綺麗に撮れていたようだ。今使っているデジカメは古くてオーバーホールもできないので、今後はスマホを使った撮影が増えていくかもしれない。
DATA:
芦ヶ久保駅8:09→8:23源寿院(芦ヶ久保大観音)→8:55琴平神社前→9:04山の花道入口→9:17日向山(633)→9:35日向山地区(野外活動センターハイキングコース入口)→9:40曽沢→9:46曽沢右岸の集落→10:10尾根道→10:24金昌寺ルート合流点→10:42セントラルロッジ近道分岐→10:53真福寺(野外活動センター跡)分岐→11:05野外活動センター跡→11:45野外活動センター登山道分岐→11:53札所2番真福寺12:06→12:21中郷地区→12:33札所1番四萬部寺→12:43栃谷バス停(西武観光バス)秩父駅→西武秩父駅
地形図 正丸峠 安戸 皆野
トイレ 琴平神社前 山の花道(木の子茶屋前) 四萬部寺
交通機関
西武池袋・秩父線 小手指~芦ヶ久保 463円
西武観光バス 栃谷~秩父駅 290円
西武秩父・池袋線 494円
参考記事
平成29年11月13日 日向山の紅葉
平成28年1月10日 浅間山から金昌寺
全ルート一般向けで特に難しい所はありません。但し上記注意のとおり曽沢右岸から大棚山近くまでは伐採作業中なので通行できない可能性があります。また四萬部寺へは本文中にあるとおり札所一番バス停が最寄りですが、手前の栃谷バス停までだと定峰峠行きのバスも使えて本数が増えます。
注意:曽沢右岸の集落から金昌寺分岐の間は伐採作業中のため通行止めとの注意書きがあります。
2019年がスタートしました。今年も宜しくお願いします。
2018年は長いこと登り残していた奥武蔵の縁辺の山を大体登ることができた。2019年は昨年のような長年の課題に煩わされることなく自由に歩いていきたいと思う。さて一年の初歩きは比較的軽めで寺社を巡るようなものにしたい。そこで以前から歩いてみたいと考えていた芦ヶ久保駅から四萬部寺(しまぶじ)までを計画した。未踏区間は日向山地区(野外活動センターハイキングコース入口)から(金昌寺へと続く)丸山西尾根と二番札所真福寺への道だ。真福寺への道は「山の写真集」の金森さんが2016年に歩いているルート(山行の記録(検索)から2016年12月24日の記事を参照)でもある。ただ今回は閉鎖された旧野外活動センターの跡地状況がわからないので、この区間は車道を延々と歩く予定とした。
芦ヶ久保駅から日向山
朝8時過ぎに芦ヶ久保駅にやって来る。まだ松の内ということもあって登山客が結構下りる。今日は14度くらいまで気温が上がりそうとの予報なので、年末のような体調不良は避けられそうだ。駅前で準備をしているとカメラを家に忘れたことに気付く。ううむ、仕方がない。スマートフォンのカメラで我慢するか。最初の目的地である野外活動センターハイキングコースの入口である日向山地区(木の子茶屋がある辺り)へは風の道コースと農村公園コースがある。今回は車道歩きを短縮できる風の道ルートを上がる予定だ。国道から車道を上がり、住宅街を抜けて源寿院に着く。観音様のお顔を拝見した後はその奥の山道を進んで風の道コースとなっている尾根道を上がる。歩きやすい雑木林の道で冬枯れの今は陽だまりが暖かい。農家らしき民家脇から車道に出れば公衆トイレのある琴平神社前に出る。
(芦ヶ久保駅から芦ヶ久保大観音と日向山頂を望む)
(芦ヶ久保大観音と武甲山)
(源寿院からの眺め)
(風の道コースで武甲山を望む)
(風の道コースは雑木林が魅力 冬は陽だまりで暖かい)
(琴平神社前から日向山頂を望む)
普段は琴平神社を経由して日向山へと上がるが、今日は車道を西に進む。この辺りは二反沢と呼ばれる地区に当たるらしい。南側斜面に作られた集落にはイチゴやプラム、ブドウなどの果樹農園が多い。アップダウンを繰り返しつつ上がると山の花道と書かれた案内板がある。この辺りはセツブンソウやカタクリなどの花が楽しめる公園になっているのだが、蝋梅の木が伐採されたため、この時期は何も観られる花がない。しかし今日は著名な山頂を通る予定がないので、日向山だけは登っていくことにした。整備された公園を上がり、尾根に出る。一箇所急坂に付けられた土留めの木段がある以外はそれほど苦も無く山頂(633)に着く。展望台のある南側だけが伐採されているので、北からの冷たい風は大分遮られていて暖かい。ベンチが無いので、落ち葉が積もった斜面に腰を下ろしてしばし休憩。
(山の花道の案内板)
(山の花道から二子山を望む)
(日向山頂上 ザックを置いているのは山座同定盤)
(日向山頂上からのパノラマ)
(山頂からは芦ヶ久保大観音が見える)
伐採作業が進むハイキングコースを上がる
日向山頂上から往路を戻り、公園内を西へ下る。案内板のある広場は分岐となっているが、曽沢(「山と高原地図」(昭文社)によると関入ノ川)の谷へ下る道は野草の鑑賞路で野外活動センターへのハイキングコースには繋がっていない。一旦丸山の登山口につながる林道に出る道に入る。林道に出た辺りは木の子茶屋などがある日向山地区だ。山と高原地図を見るとこの辺りからハイキングコースが延びているはずなのだが…。振り返ると北東方向にも道が延びており、「野外活動センター ハイキング道3.5km」と書かれた道標が倒れていた。野外活動センター(野活)は2016年3月で営業を廃止しており、この先道が維持されているのか不安な所ではある。
(案内板のある広場 左に下ると野草の鑑賞路に至る 野活ハイキングコースへは右に)
(右が野活ハイキングコース)
ハイキングコースに入ると小枝が散乱しているものの、道形は明瞭で道普請はされているようだ。緩やかな擂鉢状の斜面を半分に切ったような地形を通過していくので道は割と歩きやすい。途中沢を二本渡るが、後から渡ったのが曽沢だったようだ。曽沢から上がると立木にテープが巻かれており、「伐採作業中 通行止め」と書かれている。これは参ったな…。とりあえずチェーンソーの音はしていないし、今日は正月休みで通過できるかもしれない。一先ず曽沢右岸の集落までは上がってみる。地形図には描かれていない林道を過ぎ、左程急でない斜面を上がると車道に出る。道標にしたがって向かいの斜面から道を上がるとしばらくは民家の裏手を進んでいく。別荘地か何かのような感じもするが、人の声も聞こえるので邪魔にならないように足早に通過する。
(まずは曽沢を目指して下っていく 道形は明瞭)
(沢を二本渡る 丸太橋はしっかりしている)
(二本目の沢を渡ると林道に出る ここから舗装路はすぐ上)
(舗装路に出た所 向かいの道を上がって進むと集落の裏手に出る)
集落上の配水施設の辺りから集落を離れて北へと進む。最初は尾根を上がるが、そのまま乗り越して急傾斜の斜面をトラバースしていく。最初こそある程度の幅で道が維持されていたが、すぐに路肩が崩れた危険な道へと変わる。奥武蔵では割とありがちな道とはいえ、いつもながらあまり歩きたい気分ではない。危険なトラバースを過ぎて尾根に上がると地形図には無い林道がある。やはり通行止めを示すテープが巻かれているが、林道の向かいにはラミネート加工された道標が括り付けてあり、道形は何とか維持されているようだ。周辺は檜が植えられた広い緩斜面で林道が何本か横切っているようだ。踏み跡が薄くなっている所もあり、所々に付けられているラミネートの道標がなければ迷ってしまいそうだ。伐採作業は何となく終わっているような感じがしなくもないのだが、単に正月休みなのかもしれない。
(尾根を乗り越した辺り 踏み跡が消えているが奥へ真直ぐ進むとトラバース道が延びている)
(急斜面のトラバース道 奥に行くと路肩の崩れた所が多い)
(トラバースが終わると緩斜面に出る 伐採作業があったせいで道がわかりにくい)
(道を振り返ったところ ラミネート看板が頼り)
緩斜面をトラバースしつつ上がっていくと道が尾根を回り込んでいく辺りでようやく伐採作業地から脱することができたようだ。尾根を回り込む道はそのまま続いていたが、その尾根にラミネートの道標が括り付けてあり、その尾根を上がっていくのが順路になっている。「山と高原地図」と地形図を照らし合せてみると緩斜面から南へ小さな尾根が張り出している位置にいるらしい。尾根道はなかなか急な上に真直ぐ付けられているので、正月太りした身体にはきつい。それでも10分弱で登りは終わり、広い緩斜面の鞍部のような所に出る。地形図で大棚山(718.0)の東にある緩斜面の辺りにいるとは思うのだが、正直な話どの辺りにいるのかまではわからない。鞍部から道は左に曲がり、緩斜面を上がると雑木林の小ピークに出る。地形図には表れない小ピークという奴だろう。小ピークを越えると前方に尾根が延びているのが見える。左へ下る道もあるが、これは大棚山を巻く金昌寺への道につながっているのだろう。今日は丸山方面へ登り返さなければならないので、そのまま尾根道へと合流する。
(この辺りで伐採作業は終わる 奥の尾根に取り付くことになる)
(尾根を回り込むとこんな感じで道が続いている)
(傾斜は写真で見るよりも急だが真直ぐ登れないほどでは無い)
(広い緩斜面の鞍部)
(地形図に表れない小ピークを越えると金昌寺へつながる尾根が見えてくる)
(金昌寺への尾根道に合流した所 左が今まで歩いてきた道)
(野活を示す道標がある かつては金昌寺へ下る道の途中で野活へ至る道もあったのかもしれない)
冬枯れの雑木林の尾根を越えて野外活動センター跡
丸山から金昌寺へと延びる尾根道は以前当ブログでも2度紹介していて歩き慣れた道である。しかし登るのは今回が初めてだ。地形図を見てもわかるように840m峰にかけて急坂を越えていかなければならない。また840m峰周辺は南側が杉檜、北側は雑木林となっていて、冬枯れの時期は北風が寒い。年末の熊倉山でも寒さにやられてしまったので、あまりのんびりと歩いてもいられない。840m峰を越えると尾根上はすっきりとした雑木林へと変わる。ここから野外活動センター跡分岐までが新緑・紅葉の時期に金昌寺へ下る道の中で最も美しい所だ。次の小ピークの頂上直下に道標が立ち、「セントラルロッジ近道」と書かれている。手持ちの地形図には道が無く、地理院地図を見ると野外活動センター跡へと延びる林道に下りられたようだ。ただ近道に入ると立入禁止を示すラミネート看板が地面に落ちていたので、念のためここを通るのは止めておいた。
(840m峰の辺り)
(この辺り雑木林が多い)
(セントラルロッジ近道を示す道標)
道が南側をトラバースするようになると林道が近い。880m峰を巻くと林道に下り立つ。ここから先は四萬部寺まで長い林道歩きだ。かつて野外活動センターの入口があったであろう辺りまで下ると駐車スペースが残っている。ここで舗装路は二手に分かれる。どちらも工事現場用のバリケードが置かれていて一瞬迷う。地形図を見て右の道に入ると入口に「路肩崩壊 注意」と書かれたとおり、水流で抉れた砂利道になっている。これではクルマは通れないが、歩く分には特に問題はない。林道脇は樹木に覆われているので特に展望が得られるわけではないが、冬枯れの今は時折木の間越しに山頂部を三角に突き上げた大霧山を望むことができる。
(道は南側をトラバースしていく)
(林道に出る 左が野活方面)
(野外活動センターの入口があった辺り)
(真福寺方面は通行止めになっているが徒歩なら通過できる)
(真福寺方面へ入ってすぐに大霧山を望める所がある)
(路肩の右側が水流によって抉られている 砂利道はずっとこんな感じである)
(ヘアピンカーブが多いせいか笠山(左)も見えた)
(大霧山の山頂が段々見えなくなってきた)
林道がどこで分岐したか気付かない内に道は舗装路へと変わる。一箇所旧定峰峠から701m峰辺りを望む展望地があり、定峰峠へ向かってクルマが走り抜けていくのが見えた。大霧山は山頂が辛うじて見える程度で大分下ってきたことがわかる。舗装路を快調に下っていくとアンテナ施設の建物がある。手持ちの地形図にも描かれていて、標高も500mくらいまで下ってきたらしい。やがて車道が尾根に乗る辺りで「野活 車道3km 野活 登山道1.9km」と書かれた道標が立っている。金森さんの記事に「林道の入口には「野活→」と書かれていた。」とあるのはここのことだろう。
(舗装された林道 落石注意の看板が立っていた)
(旧定峰峠方面を望む 大霧山は辛うじて見える程度)
(701m峰を望む 山腹を車道が通っていて、右の鞍部辺りに定峰峠がある)
(左手奥にアンテナ施設が見える)
(ここから登山道を使って野活へ入ることができたようだ)
真福寺から四萬部寺へ
野活への登山道入口から10分弱で秩父札所2番真福寺に着く。スマホで写真を撮っているとついに充電が切れてしまった。幸いモバイルバッテリーは持っているので、休憩を兼ねて充電していくことにした。本尊が安置された観音堂は100年以上前のもので立派だが、管理は麓の光明寺が行っていて、御朱印を受け付ける納経所も光明寺にある。ただここまでやって来る人は結構いるらしく、赤ちゃんを連れた家族連れや四萬部寺から歩いてくる親子連れなどに会った。
(真福寺観音堂)
(真福寺の案内板)
(大棚禅師と老婆との逸話を描いた板絵)
真福寺周辺には急斜面に開けた集落がある。しかし四萬部寺へは暗い杉林の谷間を下っていく。前方に蓑山が見えてくると中郷地区は近い。新しい建物が多い中郷地区を抜けると交通量の多い県道に出る。すぐ傍に栃谷バス停があり、何気なく時刻表を見ると12時47分発西武秩父駅行きがあるという。四萬部寺の前にある札所一番バス停だと12時21分発しかなくバスに乗れないものと思っていたので驚いた。47分発に間に合った以上はこれに乗って帰りたい。まだ20分以上あるので何とか往復できるだろう。
(杉林を抜けると蓑山が見えた)
(画面奥には小鹿野の二子山と毘沙門山が見える)
(中郷地区 画面奥に見えるのは城峰山)
栃谷の交差点で左に入り、道なりに歩けば四萬部寺に着く。ここは以前広町から粥新田峠に向かって歩いた際、皆野駅行きのバス車内から見かけたことがあり、一度訪れてみたいと思っていたのだ。車内から見える山門を潜るといくつかの堂宇伽藍がある。思ったよりは狭い感じがしたが、かつては秩父市立高篠小学校の前身が置かれていたというからそれなりに広い。確かに二階建ての庫裏などは秩父札所指定されたお寺でもなかなか見られるものではない。秩父観音霊場発願の寺ということもあり、御朱印帳や装束を扱う売店も併設されていた。時間があれば近所にある旅館なども眺めていきたいところであったが、バス時間が心配なので急いで戻ることにした。栃谷バス停で待っているとほぼ定刻通りバスがやって来た。定峰からやって来るバスなので、遅れたりすることはないのだろう。バスは県道を南へ下り、羊山公園の北まで来た所で西武秩父駅へは向かわずに一旦北上して秩父駅へ遠回りする。どうせなら秩父駅で降りてしまおう。秩父駅前の地場産業振興センターでお土産を買った後は番場町の古い街並みを眺めながら西武秩父駅まで歩いて帰った。
(四萬部寺の案内板)
(四萬部寺の山門 バスの車内からもよく見える)
(四萬部寺境内の様子)
(立派な庫裏)
(施食殿)
(四萬部寺の前にある旅館「旅籠一番」 建物は奥にも別棟がある)
(栃谷バス停 奥の交差点が栃谷の交差点で四萬部寺へは交差点を左に入る)
今回初めて山の景色をスマートフォンで撮影してみた。明るさ調整の方法がわかっていなかったので、暗い所だとかなりハレーションを起こしているが、それ以外は思ったよりも綺麗に撮れていたようだ。今使っているデジカメは古くてオーバーホールもできないので、今後はスマホを使った撮影が増えていくかもしれない。
DATA:
芦ヶ久保駅8:09→8:23源寿院(芦ヶ久保大観音)→8:55琴平神社前→9:04山の花道入口→9:17日向山(633)→9:35日向山地区(野外活動センターハイキングコース入口)→9:40曽沢→9:46曽沢右岸の集落→10:10尾根道→10:24金昌寺ルート合流点→10:42セントラルロッジ近道分岐→10:53真福寺(野外活動センター跡)分岐→11:05野外活動センター跡→11:45野外活動センター登山道分岐→11:53札所2番真福寺12:06→12:21中郷地区→12:33札所1番四萬部寺→12:43栃谷バス停(西武観光バス)秩父駅→西武秩父駅
地形図 正丸峠 安戸 皆野
トイレ 琴平神社前 山の花道(木の子茶屋前) 四萬部寺
交通機関
西武池袋・秩父線 小手指~芦ヶ久保 463円
西武観光バス 栃谷~秩父駅 290円
西武秩父・池袋線 494円
参考記事
平成29年11月13日 日向山の紅葉
平成28年1月10日 浅間山から金昌寺
全ルート一般向けで特に難しい所はありません。但し上記注意のとおり曽沢右岸から大棚山近くまでは伐採作業中なので通行できない可能性があります。また四萬部寺へは本文中にあるとおり札所一番バス停が最寄りですが、手前の栃谷バス停までだと定峰峠行きのバスも使えて本数が増えます。