あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

老いを迎えられる幸せ

2022-02-05 | 本(文庫本)
稲垣栄洋さんの『生き物の死にざま』を読みました。
ここでは珍しい小説ではない作品ですが、書店で平積みになっているのを見て、もうどうしても表題が気になって仕方なかったので購入してしまいました。
「生きざま」じゃないです。「死にざま」なんです。

本書に登場する「生き物」は、セミ、ハサミムシ、カゲロウ、カマキリなどの昆虫系。サケ、チョウチンアンコウ、タコ、マンボウ、クラゲ、ウミガメなどの水に住む生き物、シマウマ、ライオン、イヌ、ゾウなどの陸上で生きる動物系など全30種。
その中で、いちばん衝撃的だったのはハサミムシ。このエピソードは始めの方で紹介されているのだけど、ここでいきなり強烈なストレートパンチを食らってしまって「おいおいおい、この先どんな『死にざま』を見せられるんだ?」となりました。
確かに、いちばん最初のセミから衝撃的ではありました。ネタバレになっちゃうから「空が見えない最期」というタイトルから展開を想像してもらうしかありませんが、セミ以外の生き物たちも、最期のときまでそれぞれ壮絶なまでに懸命なのです。

「生き物」の仲間であるヒトはどうなんでしょう。ここに描かれている生き物ほどの凄まじい生きざまも死にざまもあるでしょうか。
ゾウのように仲間の死を悼むことはできるけど、タコのように守り続けたタマゴの孵化を見届けると力尽きて死ぬという命のプログラミングはされてはいません。何か不幸なことに見舞われない限り、老いて死ぬことができる生き物です。神であったニホンオオカミ(大神)のように絶滅することは、「現時点では」考えられないでしょう。

ミノムシのメスが「蓑を出ることなく生涯を閉じる」ことを思えば、なんと自分は恵まれた人生を送れているだろうと思わずにはいられませんでした。
たまには小説ではなくこういうジャンルの読書をするものいいかな。

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