あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

バッドエンド?

2024-12-20 | 本(文庫本)
又吉直樹さんの『火花』を読みました。
これも積読の中の1冊。なかなか読めなかった(読まなかった)のは、芥川賞受賞作という冠と「文學界」を大増刷させたというエピソードが凄すぎて、あまのじゃくな私は「じゃあ、私が読まなくてもいいんじゃない?」な考えに至っていたから。でも「ポーズの又吉」は好きな芸人さんだから、ようやくここにきて読んだ、というわけです。

熱海での花火大会の夜。売れない漫才コンビ「スパークス」の徳永は、大阪から来たコンビ「あほんだら」の神谷と出会う。神谷の芸人としての生きざまに衝撃を受けた徳永は、神谷の伝記を書くことを条件に神谷の弟子となる。会うたびに深酒をする飲み友達のような日々が過ぎ、お互いの芸人生活に変化が起きてやがて…。

私は子どものころからのお笑い好きです。
西日本で生まれ育ちましたから、吉本や松竹の舞台中継やお笑い番組などは当たり前のように観ていました。そして今は、「M-1グランプリ」は敗者復活戦から毎年きっちり見ているくらい。
その私ではありますが、本作を読んで「これは芸人さんの話なの?」と盛大に「?」がついてしまいました。

まず「芸人とは?」というところで作者の主張と読者である私に隔たりがありすぎたのかもしれません。
神谷は斬新なお笑い哲学を持って追及するタイプなのだけど、ただ追及しているだけでは売れることってないのではないかと。芸人であれば憧れる生き方かもしれないけど、その芸を見る方は理解しがたいものでしかないのではないかと。結果、「それじゃ売れないよね」になるのではないかと。
そして10年後に神谷の行動に至るわけです。誰も笑わない。笑えない。
徳永も神谷を先輩として慕っているだけならよかったでしょう。ラストライブで観た「普通の人」の心に残る漫才ができる力があったのだから、神谷を師と仰がなければよかったのかも。自分の生き方を最優先にして、現実との折り合いをつけながら「芸人」として成長できたら、まだ舞台に立てていたのかも。

こんな感じで読んでいたから、理解できないラストを迎えてしまいました。「神谷、終わった」としか感じられなかったです。
バッドエンドにしか思えなかったけど、神谷と徳永にとってはまったくそうじゃないのかもしれません。彼らのこの先に何があるのか、そっちばかりが気になりました。モヤモヤ。


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