あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

優しくて暖かい

2014-06-08 | 本(文庫本)
宮部みゆきさんの『淋しい狩人』と『東京下町殺人暮色』を読みました。
どちらも宮部さんらしい、東京の下町が舞台のミステリーです。宮部さんなら絶対に時代物だと思っているのですが、たまには下町の人情味あふれる作品も読みたくなって、2冊続けて行っちゃいました。


淋しい狩人
荒川土手下にある小さな古書店・田辺書店。店主のイワさんと週末だけ手伝いに来る孫の稔で切り盛りする店だが、さまざまな事件がこの店と関わることになる。
引き出物の本の表紙に書かれた「歯と爪」という謎の言葉、父親の遺品の中にあった302冊の同じ単行本、「うそつき喇叭」という絵本を万引きした少年の体に残る痣、電車の網棚にあった文庫本から出てきた名刺…。
1冊の本をきっかけに起こる謎を、イワさんと稔が解いて行く連作短編集。

東京下町殺人暮色
両親が離婚し、刑事である父と暮らすことを選んだ13歳の少年・八木沢順。新しく生活することになったのは、隅田川と荒川に挟まれた東京の下町。事件に追われてほとんど家にいない父だが、順にはこの道50年のベテラン家政婦・ハナさんや、転校して最初にできた友人・慎吾がいてくれる。
ようやくこの街での生活に慣れてきた頃、町内で“ある家で人殺しがあった”という噂が流れた。そして荒川でバラバラ死体の一部が発見される。刑事である父はもちろん、順や慎吾、ハナさんまでもが事件に関わることになり…。



どちらの作品も舞台は東京下町で、メインの登場人物として少年がいること、殺人などちょっとおっかない出来事があるけれど、それをふんわりと和らげてくれる老人の存在があることなど、宮部作品らしさがあります。それらはとても心地よく、優しくて温かい。「だから宮部さんの小説が好きなんだよな~」となるのです。
そしてもうひとつ。宮部さんの小説の中には、ドキッとするような言葉や、ジ~ンと沁み入るようなセリフがあふれているのでした。それは『淋しい狩人』ならイワさんから、『東京下町殺人暮色』ではハナさんが言うセリフ。やはり人生経験が違うのですよ。
が! これは小説であり、イワさんやハナさんの台詞は宮部さんが書いているもの。しかも2作品とも宮部さんが30代前半の頃に書かれたもの。
やはりすぐれた作家さんは、若いときから違うのですよね~。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 失われないモノ | トップ | 語らない深さ »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

本(文庫本)」カテゴリの最新記事