
佐々木譲さんの『廃墟に乞う』を読みました。
第142回直木賞受賞作…。あまり得意ではない「直木賞受賞作」ですが、何となく「乞う」とつけられたタイトルと文庫本カバーの表紙デザインが気になって手にしました。
北海道警の敏腕刑事だった仙道はある事件でミスを犯し深く心に傷を負ってしまう。その傷を癒すため休職中の仙道のもとに、さまざまな「相談事」が持ち込まれる。休職中であるから本格的な捜査をするわけにはいかないが、それらの「相談事」に関わりながら、刑事として再起していくまでの物語を、6つの短編で綴る連作小説。
刑事を主人公にした小説ではあるけれど、犯人を逮捕するに至るまでの緊迫した場面とか、大胆な逮捕劇とか、ドラマチックな展開とかはほとんどありません。実に淡々と、人間関係がじっくりと描かれています。
それは単なる「休職中の刑事」が主人公だから、ということだけではなく、休職中の刑事が休職に至った経緯があって、相談事に対して若干引いた目線で関わっている、というところにこの作品の面白さがあるように感じました。
そして、他の小説ではほとんどみられない「語られない部分」の多さ。犯人逮捕のプロセスを描いた小説ではないので、語られない部分の多さが気になることはほとんどなく、新鮮な気持ちで1冊を読み終えることができました。こんな描き方もあるのだなぁ、と…。
全体的に暗いトーンなのですが、仙道が徐々に過去を乗り越えて再生していく過程に希望が見え、そこにも深さとか広さを感じられました。
何だろう、不思議と感じるこの懐の深さ・広さ…。
まさかそれって、物語の舞台が北海道の各地だから? 北海道の風土がそう感じさせるからなのか?
多くを語る必要はないのです。語らない方が深みが出ることだってあるのです。
「一面の雪景色の中に佇んでる高倉健さんみたいな小説だな~」
メチャメチャ感動したわけではないけど、かなり気になる、読後にジワジワくる、好きなタイプの作品でした。
第142回直木賞受賞作…。あまり得意ではない「直木賞受賞作」ですが、何となく「乞う」とつけられたタイトルと文庫本カバーの表紙デザインが気になって手にしました。
北海道警の敏腕刑事だった仙道はある事件でミスを犯し深く心に傷を負ってしまう。その傷を癒すため休職中の仙道のもとに、さまざまな「相談事」が持ち込まれる。休職中であるから本格的な捜査をするわけにはいかないが、それらの「相談事」に関わりながら、刑事として再起していくまでの物語を、6つの短編で綴る連作小説。
刑事を主人公にした小説ではあるけれど、犯人を逮捕するに至るまでの緊迫した場面とか、大胆な逮捕劇とか、ドラマチックな展開とかはほとんどありません。実に淡々と、人間関係がじっくりと描かれています。
それは単なる「休職中の刑事」が主人公だから、ということだけではなく、休職中の刑事が休職に至った経緯があって、相談事に対して若干引いた目線で関わっている、というところにこの作品の面白さがあるように感じました。
そして、他の小説ではほとんどみられない「語られない部分」の多さ。犯人逮捕のプロセスを描いた小説ではないので、語られない部分の多さが気になることはほとんどなく、新鮮な気持ちで1冊を読み終えることができました。こんな描き方もあるのだなぁ、と…。
全体的に暗いトーンなのですが、仙道が徐々に過去を乗り越えて再生していく過程に希望が見え、そこにも深さとか広さを感じられました。
何だろう、不思議と感じるこの懐の深さ・広さ…。
まさかそれって、物語の舞台が北海道の各地だから? 北海道の風土がそう感じさせるからなのか?
多くを語る必要はないのです。語らない方が深みが出ることだってあるのです。
「一面の雪景色の中に佇んでる高倉健さんみたいな小説だな~」
メチャメチャ感動したわけではないけど、かなり気になる、読後にジワジワくる、好きなタイプの作品でした。