あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

天晴です

2013-01-20 | 本(文庫本)
伊坂幸太郎さんの『SOSの猿』を読みました。
新しい年になって最初に読む作品は、スカッと気持ち良くなる作品が良いだろうと考え、本作を選びました。タイトルからして何だか面白そうでしょ? 伊坂作品らしくないかもしれないけど…。

「伊坂作品らしくない」と言えば、どうもタイトルだけではないようなんです。長く伊坂作品のファンである人たちからの評判が、あまり良くないようなんです。
例えば「最後にどんでん返しがない」とか「ミステリ色が薄い」とか「初期作品を読んだときのような驚きがない」とか「作風変わりすぎ」とか…。
でもなぁ~、正直私はかなり面白く読んだんですけど。確かに伊坂初期作品とはカラーが違うかもしれないけど、これはこれで、新しい伊坂作品として魅力的だったと思います。

物語は「西遊記」「エクソシスト」「300億円の株の誤発注」「ユングとフロイト」などのたくさんのキーワードがちりばめられ、それぞれが解決すべき問題とは違う事件につながって行きます。そこに導いているのが孫悟空で、「本当に悪いのは誰?」と「善と悪」を問いかけます(ここは以前読んだ『あるキング』に通じていますね)。
この孫悟空が、マチャアキとか慎吾ちゃんのような悟空ではなく、ましてや「押忍!オラ悟空」の悟空でもなく、ほとんど野生の猿。人のような格好をしている獣臭の強い猿ですが、嫌な感じがまったくしませんでした。問いかける方も問いかけられる方も「善」だからでしょうか。

魅力的なキャラクターの登場人物ばかりが出てくるのは伊坂作品らしいところでしょう。二郎のお母さんなどは、その言葉や行動に春の風のような温かさとか幸福感とかを感じさせてくれ、物語の素敵なアクセントになっていると思います。そして何よりも、読後の爽快感と幸福感を感じられたのは、この物語が「誰かを救いたい」という思いが、誰もの心にあったからだと思います。
年の初めに、素敵な作品が読めました。
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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ハナキャップ)
2013-01-28 05:53:46
またしても
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Unknown (ハナキャップ)
2013-01-28 06:03:31
↑最近、携帯から投稿してみてるのですが、慣れなくてうっかり途中で飛ばしちゃいました(汗)ゴメンなさい。

気を取り直して…
またしても、気になる読評ですね!
これはでも、伊坂作品を色々読んでから出会った方がよさそうな感じかな?

返信する
ハナキャップさん (とみ)
2013-01-29 08:38:26
携帯からどうもありがとうございます。
慣れないよね~。私も全然携帯メールとかダメなのよね~。
文字打つの面倒でしょ。キーボードの方が慣れているから、サクサクできるし。
ま、これがおばちゃんの証明ですけどね~

この『SOSの猿』、ここから伊坂さん作品に入ってもOKだと思う。
そのくらい、今までとは違うテイストだったと思うのです。
是非!
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