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あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

新たな展開の予感

2019-09-11 | 本(文庫本)
宮部みゆきさんの『三鬼~三島屋変調百物語四之続』を読みました。
三島屋のおちかが、黒白の間で聞く変わり百物語。第4弾の本作は束2.5㎝、670ページほど。たっぷりだね~。

妻子を亡くした絵師の狂気じみた愛情が招いてしまった怪奇現象。亡者が集う家の哀しい顛末を13歳の少女が語る『迷いの旅籠』。絶品の弁当を提供する仕出し屋の主人に憑いた「ひだる神」との共存生活を描いた『食客ひだる神』。山陰の貧しい小藩の元江戸家老が、寒村に住む鬼の秘密を語る『三鬼』。家の守り神として美しい姉を人身御供にとられた14歳のときで心の時間を止めてしまった老婆が、生き霊となっておちかに会いに来た『おくらさま』の4篇。

この分厚い1冊に収められているお話に、スキは1行もありませんでした。もう、本当にお見事としか言いようがなく、4篇がそれぞれまったく違うテイストで「恐ろしい話」を聞かせてくれました。
「恐ろしい」という意味では、表題作の『三鬼』。人の業の深さ。底なしの深さ、醜さ、残酷さが、鬼を生みます。人の中の闇に棲む鬼。どんな怪談話よりも怖いと感じました。
怖い話の中の救いは、2話目の「食客ひだる神」の仕出し屋の夫婦の人の好さと、1話目の『迷いの旅籠』でおちかに村で起きた哀しい出来事を語る少女の無垢さ。生きている人の方が怖いことだらけなのに、ホッとさせてくれる存在です。
この先、物語は違う展開を見せてくれるようです。『おくらさま』では、生霊となった老婆の話のほかに、新たな展開を示すキャラクターが登場します。その分、別れもあったりしますが……。
次へつながる出会いと別れ。すべてを前向きに捉えれば素敵なことです。怖いお話の中にこんなエピソードも忍ばせるだなんて、もう、本当に! これだから宮部さんの作品は読ますにはいられないのよね~。

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