現代へのまなざし

日本とはなにかを探求します。

橋下市長の権力による暴力、現代の八十神か

2013-01-19 10:40:40 | 日記
先日、因幡の白ウサギの話を書いたが、これには続きがある。

オオクニヌシの兄達(八十神)がヤガミヒメに求婚するが、ヤガミヒメはそれを断りオオクニヌシと結婚すると答えた。
八十神は怒って、オオクニヌシを殺そうと相談し、伯耆国(鳥取県)の手間の山の麓にやって来て、オオクニヌシに言った。

「赤いイノシシ(猪)がこの山に居る。我々(八十神)が追い立てるので、お前は待ち伏せして捕らえろ。もし待ち伏せして捕まえないなら、必ずお前(オオクニヌシ)を殺す」

八十神はイノシシに似た大きな石を焼いて、オオクニヌシに向かって転がし落とし、オオクニヌシは落ちてきた石に焼かれて死んだ。

オオクニヌシが死んだことを知った母(サシクニワカヒメ)は泣き悲しんで、カミムスヒ(神産巣日神)に救いを請い、カミムスヒはサキガイヒメとウムギヒメを派遣して、オオクニヌシを治療・蘇生させた。

※カミムスヒ(神産巣日神)は、アメノミナカヌシ(天之御中主神)、タカミムスヒ(高御産巣日神)とともに、古事記の最初に出てくる神で、この三柱は全員が独神(性別がなく単独の神)で、身を隠された。

オオクニヌシが殺され、その後蘇生する話は、あまり聞かない話だと思う。


ところで、大阪市の橋下市長は、1月17日の記者会見で、教師の体罰による生徒の自殺に関して、桜宮高校の体育系2科の募集中止、さらに校長をはじめ教員の総入れ替え、校長、教頭とクラブ活動の顧問は最低限全員入れ替え、予算の執行権は市長に属していることから、現在、桜宮高校に在籍する体育教師が来年度も在籍していればその職員に係る人件費を執行停止を教育委員会に伝えたと発言した。

橋下市長が予算執行権を振りかざし、教育委員会の人事に介入し、思い通りの人事異動がなければ予算を執行しないと、半ば脅迫まがいの発言をしている。バスケットボール部の顧問の教師は物理的暴力により部員を自殺に至らしめたが、橋下市長がやっているのは自分の権限による暴力、強力なパワーハラスメントと言うべきものである。
自分の思い通りにならなければ、邪魔になったオオクニヌシを謀議によって殺した兄達である八十神と同じような思考形態をしているのかも知れない。

日本の首長は大統領と同じような存在で、直接選挙により選ばれているため権限も強いが、地方自治では同じ住民代表である議会がチェックすることで首長の暴走を止めるシステムを採用している。しかし、議会と首長が蜜月であれば首長は大きな権限を行使できるようになっている。

以前、鹿児島県の阿久根市長が暴走し、市政が混乱したことがある。当時阿久根市長だった竹原氏も市職員を敵にすることで市民から支持を受け、市長に当選していたが、その構図は橋下市長の手法に似通ってるような気がする。

市長は市民の福祉(public welfare)向上のための市政を担うものであり、幅広い視野から市民が健康で文化的に生活ができ、日々の暮らしの中で幸福を実感できるように市政運営をする必要があるにも関わらず、ある一点を殊更大きく捉え、そのために不幸をまき散らすのは本末転倒であり、日本の伝統とは異なるものであると感じる問題である。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 愛国心とは | トップ | 複雑怪奇な古事記-作り上げ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事