現代へのまなざし

日本とはなにかを探求します。

権威主義が残る日本-自民党保守派の権威主義的性格-

2024-10-20 09:36:43 | 政治

 国連の女性差別撤廃委員会は17日、日本の女性政策を審査する会合をスイス・ジュネーブで開いた。委員からは選択的夫婦別姓の導入に向けた取り組みを問う声や、男女平等の観点から皇室典範の見直し検討を促す意見が上がった。(「夫婦別姓、皇室典範に言及 女性差別撤廃委が対日審査―国連」(時事ドットコムニュース))
 これに対し、日本政府の代表は「国民の意見や国会の議論を注視しながら、司法の判断も踏まえさらなる検討を進める」と述べるにとどめた。また、男系男子のみに皇位継承を認める皇室典範について問われると、政府担当者は「歴史や伝統を背景に国民の支持を得て今日に至っている」として、同委で扱うことは「適切ではない」と主張した。(「時事ドットコムニュース」から)

 男系男子のみに皇位継承を認める皇室典範、男女同姓を強制する民法、これらの法律の改正に取り組まない日本政府代表の言い訳には、今の日本の後進性が物語られている。

 まず、選択的夫婦別姓については国民の多くが支持しているが、旧安倍派に代表される自民党保守派と言われる人達や、自民党岩盤支持層と言われる人達は、家族の一体性を壊すものだとして反対をしている。つまり、多くの国民は支持しているものの、一部の保守派が反対することで実現できていない制度なのである。
 次に、皇室典範であるが、これは明治時代の家父長制を色濃く残しているものであり、夫婦同姓と男系男子による皇位継承は根を一つにするものである。つまり、家父長制では当然のことながら男系長男が家の家長となり、家を存続させるのである。これを皇室に適用すれば、男系男子が皇位を継承することになるのである。この皇室典範の存在を知っている国民がどれだけ存在するだろう。また、世論調査結果では女性天皇を認める国民が多数であり、政府担当者の答弁は事実に基づいていないと言えるだろう。(「皇室に関する意識調査」(NHKによる意識調査))
 上記のことから、日本政府は、EBPM(Evidence Based Policy Making(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)。証拠に基づく政策立案)を主張しているものの、実態はエビデンスを無視し、自分達の政策に添って都合の良い証拠を作っている=証拠を捏造した上で政策立案をしていることがわかる。(=Policy Based Evidense Making)。

 家父長制では家長に一切の権限があり、家族の構成員は家長の許可無く婚姻も財産の処分もできない。つまり家長を最高権威者として認め、最高権威者である家長の指示に従う制度であり、非常に権威主義的な制度なのである。
 この家父長制を国家制度にすることで、家長が天皇になり、天皇が最高権威者として国家を統治してきたのが明治維新以降の日本なのである。
 第2次世界大戦で敗北した日本は、戦勝国であるアメリカ合衆国と同様、自由と民主主義を最高の価値観とし、家父長制から転換したはずであるにも関わらず、旧安倍派に代表される自民党保守派や自民党岩盤支持層は自由や民主主義ではなく、家父長制を支持しているのである。

 果たして日本は民主主義国家と言えるのか。安倍政権以降、自民党保守派が自民党の中で大きな地位を占めており、日本の政策が権威主義的な家父長制に影響されているのは、国連の女性差別撤廃委員会での日本政府の代表の発言でも明確になっている。それは、安倍元総理が「戦後レジームからの脱却」を主張したことに象徴されている。
 戦後レジームとは、日本の敗戦後、日本国憲法の制定や民法の改正によって自由と民主主義を基本的な価値観として作り上げられた体制であり、この戦後レジームからの脱却は、明治維新以降の家父長制を中心とする権威主義的制度による体制の構築を意味している。

 自由と民主主義を基本的価値観とする先進国にあって、日本の後進性、権威主義的な性格を守り続けているのが、旧安倍派に代表される自民党保守派であり自民党岩盤支持層なのである。先進国の中で夫婦同姓を強制している国は日本だけであり、皇位継承を男系男子に限定しているのも日本だけである。
 この権威主義的な日本という後進性を維持し続ける日本は、先進国標準から取り残されているのは当然である。このため、日本が先進国から衰退途上国となり、やがて後進国に転落するような状況に置かれているのではないか。

 日本が先進国から取り残される状況をもたらしているのは、権威主義に侵されている旧安倍派に代表される自民党保守派や自民党岩盤支持層が政策決定に影響力を持っているからであり、先進国の一員として国際社会で活躍するためには、旧安倍派に代表される自民党保守派や自民党岩盤支持層の影響を排し、自由と民主主義に基づいた政策を日本の基本的な政策とする必要があるのである。


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