郷土料理と聞いて思い付くものはいくつかあるが、その1つに栃の実を使ったものがある。一見すると、栗に似た外見だが、トゲトゲのイガに包まれておらず丸っこい、灰汁抜きをしないととても食べられたものではないなどといった違いがある。生まれ育った地域では、秋に収穫した栃の実を灰汁抜きして、冬に食べた。お粥の具として、或いは、お餅に混ぜて。左義長や餅つき行事の際にふるまわれた。白いお粥に黄色い栃の実。わずかに残る苦味も良いアクセントであり、寒い時期にはもってこいの料理だった。