40年ちょっとの人生で、いちばん最初に関わった猫が、ジュンと呼ばれていた野良だった。
聞くところによれば、元はどこぞの飼い猫だったらしいが、何か理由あって野良として生きることを選んだのだとか。
それ故にか、確かに人懐っこい猫だった。
出会ったとき既に年寄り猫だったジュン。
祖母が猫を嫌うので飼うことは叶わなかったが、庭先や玄関先に来るようになってからはご飯やミルクをあげた。「すまんのう」といった感じの表情でハグハグと食べていたのを覚えている。
先に書いたように、元は飼い猫だったからか、ご飯のあとにはすぐ立ち去らず、撫でさせてくれたりゴツンと頭をぶつけてきたりした。
いちど祖母に追い払われてからは、祖母が居ないときに来るようになった。その割合は3日に1度ほど。
要領が良いらしく、他のお宅でもご飯をもらっていたようだ(そこでは別の名前で呼ばれていた)
実家の面々と親しくなるにつれて、よく姿を見せるようになったが、食は足りているのか、ご飯が欲しくないとき?は呼び掛けても「ニャー」と返事をするだけで玄関先には来なかった。
知り合って2年ほど経った頃、ジュンが庭先に一匹の子猫を伴ってやって来た。よく似た外見から察するに、ジュンの子だったのだろう。
続く