うそうそ、うそなのよ

先代サオシュ様から伝わる黄色い枕で寝ている
ウルタ君。うそうそ、猫に志なんてあるわけない
じゃない。とふて寝するウルタ君。
飼主はウルタ君を起こしてねこ缶を与えようと台所
へ向かいます。

???ウルタ君の夢???
「今日から君が猫山の主だ」とサオシュが王座から
降りて、ウルタ君に黄色いまたたび袋を手渡します。
権威のシンボルなのです。

きゃっふー、たなぼたで猫王なの

猫王になったウルタ君、やりたいことを全部やります。
とりあえず、王国の一番高いところに寝所を造って、
周囲をおもちゃだらけにします。
いつも清潔な「砂が流れるトイレ」を各地に設置して
国民に感謝されます。
レバーをパンチするだけで煮干しやチーズや生肉が出て
来るフードディスペンサーを開発。こっそり自分で使って
楽しんでみたけど、なぜかレバーをパンチする度に息苦し
くなるので、量産許可は出さなかった。
20年経って、国もほどよく治まったころ、引退して国老に
なっていたサオシュが隣の国のカラスの大公に誘拐されて
しまう事件が発生。これをきっかけにして猫国とカラス国
との全面戦争が開始される。
ウルタ統治24年目、カラス国に猫鳴半島と三毛島の信託統治
権を譲る。実質的な敗北となったが、臥薪嘗胆、大好きな
おもちゃも小うるも我慢して国力を増強すること6年。
ウルタ統治31年目の明けた月の三日目、３歳半のオスネコだ
けで編成した、猫カタパルト部隊の創設と即時投入によって
宣戦布告。猫カタパルト部隊は、５匹で１チーム。４匹が射
出機能を持った大きな弓をひきしぼって、一匹が猫弾になり
ます。ものすごい勢いで発射された猫弾は、空中のカラスを
なんとかして爪で羽交い締めにして、地上に落とす。落ちた
ところをみんなで飛びかかる。
ウルタ統治36年、５年間の戦争でほぼカラス国を併合した猫
国は国老サオシュとウルタとの２頭政治体制を施行。小動物
世界でかつてない殷賑を極めたのであった。
やったよ、うるやったよ！
??????????????????????????????
もういいだろう、それを返せ
サオシュが突然ウルタ君から黄色いまたたび袋を取り上げます。
あ、それは

それは、じゃない。ていうか、黄色い枕から頭落として何じたばた
してるんだ、うる、と飼主がウルタ君を起こします。台所で猫缶を
開け終わって、皿に準備できたから起こしに来たのです。
ウルタ君が猫の栄華を極めて世界を獲得した長年の苦闘は、サオシュ
の黄色い枕の上でじたばたし、飼主がねこ缶を用意するまでの間の
ほんの数分の間の夢でした。

おなじみ、「邯鄲の夢」。
猫の世にあること、白駒の隙を過ぐるが如し