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クルシャの天地

猫は恩返しなどしない




風呂に入っていないのと、風邪で弱っていて毛繕いもブラッシング
もあまりしていないので、毛が海藻のひじきみたいになっている
クルシャ君です。







飼主はいつも古人の直感力や表現力や、そうしたものを総合した洞察力
っていうのに感心し続けているのですが、この数年の経験から猫のことを
新たに知った部分だけを比較してみても、ますます学ぶことが多いのに
驚いているわけです。






タイトルを見て反感持ったり、違うぞと言い立てたくなったりする方もある
と思います。というよりそんな感じ方を敢えて誘ったわけなんですけれども。

しばらく付き合って下さい。クルシャ君が療養中なので、構ってくれる相手
がいないのですよ。






「猫は恩返ししない」という命題は、もちろん民話レベルのお話のパターンを
比較すると、「犬などよりはそうだ」という程度に、「恩返ししない」という
ことなのです。豪徳寺の招き猫、島津義弘のヤス、こういうのは大名に愛され
利用されたに過ぎないわけで、何も恩返しなどしていません。

今戸焼の猫。あれはもう呪術みたいなものです。恩返しの話と言うより、
「モノ筋系」の話であります。しかし、ここに実は一片の答えが。







民話の犬がどう描かれているか、比較すると明確になります。
飼主は以前四日四晩かけて、日本の猫が出てくる話を三百くらい見たのですが、
猫の扱いは時代が降るにつれて良くなっていきます。また、愛情がかけられて
いっております。古くなるほどバケモノじみていて、陰獣の性格が誇張され、
「人を取って食う」などという敵対的な印象で悪者扱いされているのが分かります。

一方、犬はというと「桃太郎」の頃から忠義一徹、身命を賭してバケモノと戦う
忠良な身内か、堕落しても犬神のような盲目的な「筋モノ」となる悲しい存在。




猿神退治




早太郎になってますね。「白羽の矢」の出典であります。
竹篦(しっぺい)太郎と呼ばれることもあります。

この話、実は元の話が中国の『幽冥録』の白猿の話なのですが、いろいろと変更されて
早太郎大活躍の話となっております。早太郎は特に恩返しなんか考えていないわけで
す。己の宿命を自覚して、目覚めたひとつの個性として生き抜いたわけなのですが、その
点では猫も同じです。ただし、「奇跡の起こし方」が違う。






民話の犬の奉公の仕方というのは、大抵自己犠牲的に振る舞うのです。花咲爺の犬。
結果を自分の能力とか、本性とか、身体に引き受けてしまう。だから、愛する飼い主
にとっては、恩返しが同時に悲劇的な結果になる。「君がそんなことになるくらいなら
奇跡なんていらないのに」と思わせるわけです。そして、そんな思い方ができる飼い主
だから、犬も自己犠牲的になるわけで、基本的に悲劇なんですね。そのためなんだか
「恩返し」という異種間の交流テーマには悲劇的なニュアンスがある。








ところが、猫が飼主を思って動く場合は全く違います。彼等は必ず「縁を運ぶように働く」
のがほとんど唯一と言っていいくらいのパターンとなっています。長靴を履いた猫の類話
では、賢い猫が自分も得をして飼主も得するように働きます。結果は、喜劇的になるか、ある
いは「飼主が既に滅した場合」には惨劇的となります。お松大権現とか鍋島猫騒動とか。

猫はどうも、命と縁とが続く世界に住んでいるのではないかという洞察を古人が持って
いたように飼主には思われるわけです。今戸焼の猫がまさにそうでしたね。猫は自分が
いなくなっても、ずっと愛する者と関係が続くことを知っていて、その次元を生きています。
だから、自分を滅して報いるという美学が潜んだ「恩返し」なんかしないのです。

「猫は恩返しなどしない」。







「筋モノ」で言うと、もちろん「猫憑き」というのもあるわけです。
ただ、家系でもって継承される「筋」ではない。犬神人(つめるそ)なんていうのが一族
職能集団を形成していたのとは違うわけです。猫は紹介し、訴え、それなりに知力を使う
ことで、縁を運ぶ。招くわけですね。
ウルタ君がまさにそういう猫でした。







犬のことを悪く言っているわけではない証拠に、犬儒派の祖のアンティステネスの言葉
で終わりにしましょう。犬のように生きた、孤高の仙人みたいな人ですが、彼の言葉こそ
すべての猫たちの生き方を我々に教えてくれます。

「賢者とは、自分に似た者の友である」 アンティステネス






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コメント一覧

飼主
はじめまして
ももママさん、はじめまして。

ラガマフィンのクルシャ君はなんとか健康状態を
維持しながら、ようやく明日ワクチン接種を受ける
予定です。

ネットの状態がなんだか不安定になっております。
ご紹介のブログがまだ拝見できていないのです。
実はクルシャ君もチンチラシルバーとよく間違われて
います。
ももママ
初めまして!
私ももママと申します
gooブログ猫を見ていて遊びに来ちゃいました(*^^*)

クルシャ君カックイイ!イケニャンですね(*´∀`)
ラガマフィン珍しいですね
早く元気になるといいですね
少しでもいつもと様子が違うだけで心配ですもの

猫の恩返し…私にとっては側に居てくれるだけで恩返しかしら…
そもそも恩返ししてほしいと思った事もない(^o^)

うちにはチンチラゴールデンのもも太郎4才がいます
同じくgooブログ猫をやってます
『もも太郎とママの華麗なる沈黙の戦い』 です
アホみたいなブログですが遊びにいらしてくれたら嬉しいにゃん♪
よろしくお願いします(^-^)
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