
今回はリクエストにお応えして、アルテックの優しさ難しさと魅力について書きたいと思います。
ALTECを鳴らし始めてからどれだけの月日が流れたのか?
そう思って確認したところ、5年しか経っていないとはとても短い様に感じて驚きました。
実際は5年間の内1年半は鳴らしていません。
3年半しかALTECのセッティングに取り組んでいなかったわけですが、そのセッティングに取り組んでいる間の喜怒哀楽は倍する年月を感じます。年齢を重ねると1年が早くなると言いますが、僕のALTECの3年半は長く感じています。
今年4月に転職したために余裕がなく、音楽を楽しみつつもオーディオシステムの粗を見詰め続ける毎日です。
前回の記事でプアーマンさんにいただいたコメントにある通称“銀箱”ALTEC 612は所有したことがありません。
しかし、複数のオーナーにセッティングされた銀箱を聴く機会がありました。この経験は6年前だったと思います。
その他にも、604Gや604Hが収まった612や620は店頭で聴く機会もあって、604Eが収まった銀箱ついての個人的に好ましく感じた部分の印象は今もハッキリと覚えています。
その、銀箱について好ましく感じた部分というのは低域の“軽さ”です。
604Eはツイーターの様に小型のホーンの高域と、一般的なサイズのウーハーを組み合わせているので、クロスオーバー付近の帯域の再生が非常に苦しい設計です。非常に苦しい筈なのですが、604Eはそれ以降のユニット、特に604Gと比べると明らかなのがウーハー部分がツイーターに追従できている点です。
しかし、追従できているといっても相対的な表現であって、十分ではありません。その部分を以下にセッティングでまとめることが出来るかが銀箱のセッティングの難しさだろうと想像しています。
でも、604Gが劣っているとは思っていません。
604Gの方が明らかにローエンドの帯域が広く、芯がある音です。
セッティング次第なのかも知れませんし、個人の好みの問題かも知れません。
一方、銀箱のセッティングの難しさを想像してみると、やはり長所の裏返しだろうと思います。
低域が軽いためにローエンドを不足感なく鳴らすことは難しいでしょうし、高域も10kHz以上は急激に音圧が低下します。そして、無理なクロスオーバーのために中域の粗も目立ちやすいです。
そんな、微妙なバランスで成り立っているユニットが604Eであると感じます。
でも、明確な定位と1インチスロート&15インチウーハーからなる高能率で張りのある音、そしてアルテック独特の歌声の自然さは他のユニットでは得難いものだと思います。
ですから、踏み込んだセッティングを行う際にも、微妙なバランスを壊さぬように注意しなければなりません。
例えば、マルチアンプで駆動する際には公称の1.6kHzでクロスオーバーしてはいけません。
アルニコの416や515と共通して604のウーハー部分も2kHz辺りに鋭いピークがあり、高域の802相当のツイーターとホーンの組み合わせは高域ダラ下がりの周波数特性です。これを公称の1.6kHzでクロスオーバーさせると、ウーハーの歪みが強調されると同時に中域が盛り上がって相対的に両エンドの音圧がなくなります。オリジナルのクロスオーバーネットワークは高域を1.6kHzより高い周波数でカットしていて、低域は逆に1.6kHzより低い周波数でカットすることで音圧を云わば中抜け状態にする補正を掛けているのです。
続く
ALTECを鳴らし始めてからどれだけの月日が流れたのか?
そう思って確認したところ、5年しか経っていないとはとても短い様に感じて驚きました。
実際は5年間の内1年半は鳴らしていません。
3年半しかALTECのセッティングに取り組んでいなかったわけですが、そのセッティングに取り組んでいる間の喜怒哀楽は倍する年月を感じます。年齢を重ねると1年が早くなると言いますが、僕のALTECの3年半は長く感じています。
今年4月に転職したために余裕がなく、音楽を楽しみつつもオーディオシステムの粗を見詰め続ける毎日です。
前回の記事でプアーマンさんにいただいたコメントにある通称“銀箱”ALTEC 612は所有したことがありません。
しかし、複数のオーナーにセッティングされた銀箱を聴く機会がありました。この経験は6年前だったと思います。
その他にも、604Gや604Hが収まった612や620は店頭で聴く機会もあって、604Eが収まった銀箱ついての個人的に好ましく感じた部分の印象は今もハッキリと覚えています。
その、銀箱について好ましく感じた部分というのは低域の“軽さ”です。
604Eはツイーターの様に小型のホーンの高域と、一般的なサイズのウーハーを組み合わせているので、クロスオーバー付近の帯域の再生が非常に苦しい設計です。非常に苦しい筈なのですが、604Eはそれ以降のユニット、特に604Gと比べると明らかなのがウーハー部分がツイーターに追従できている点です。
しかし、追従できているといっても相対的な表現であって、十分ではありません。その部分を以下にセッティングでまとめることが出来るかが銀箱のセッティングの難しさだろうと想像しています。
でも、604Gが劣っているとは思っていません。
604Gの方が明らかにローエンドの帯域が広く、芯がある音です。
セッティング次第なのかも知れませんし、個人の好みの問題かも知れません。
一方、銀箱のセッティングの難しさを想像してみると、やはり長所の裏返しだろうと思います。
低域が軽いためにローエンドを不足感なく鳴らすことは難しいでしょうし、高域も10kHz以上は急激に音圧が低下します。そして、無理なクロスオーバーのために中域の粗も目立ちやすいです。
そんな、微妙なバランスで成り立っているユニットが604Eであると感じます。
でも、明確な定位と1インチスロート&15インチウーハーからなる高能率で張りのある音、そしてアルテック独特の歌声の自然さは他のユニットでは得難いものだと思います。
ですから、踏み込んだセッティングを行う際にも、微妙なバランスを壊さぬように注意しなければなりません。
例えば、マルチアンプで駆動する際には公称の1.6kHzでクロスオーバーしてはいけません。
アルニコの416や515と共通して604のウーハー部分も2kHz辺りに鋭いピークがあり、高域の802相当のツイーターとホーンの組み合わせは高域ダラ下がりの周波数特性です。これを公称の1.6kHzでクロスオーバーさせると、ウーハーの歪みが強調されると同時に中域が盛り上がって相対的に両エンドの音圧がなくなります。オリジナルのクロスオーバーネットワークは高域を1.6kHzより高い周波数でカットしていて、低域は逆に1.6kHzより低い周波数でカットすることで音圧を云わば中抜け状態にする補正を掛けているのです。
続く
いよいよ核心ですね。私が本当に知りたかったことは、「アルテックとは何者か」ということでした
プロケーブルさんでは「ALTECには絶対近づくな」といいますが、現実にALTECを鳴らしている、鳴らそうとしている人は大勢いらっしゃいますし、昔は現にスタジオや映画館で鳴らされていたわけですし、またローゼンクランツの貝崎社長は、本来はALTEC職人です(あの方の場合、数十年ALTECと寝起きを共にしている間に、何か啓示をうけているだろう。と思いたくなりますw)。残念ながらALTECは広島にあるようで、東京にはフルレンジだけがあります。
くだんの和田博巳さんは、NS10Mが普及してからレコーディング業界入りした人なので、銀箱がレコーディングモニターだったことは知らずにWEや銀箱を聞いてのけぞっておられましたが、今でもPREMIER Engineeringというスタジオでは、あえてNS10Mと銀箱を併用してます。(ここのサイトでは、以前は「プロケーブル社にケーブルについて指導した」と書かれていましたが、サイトのリニューアルと共にその部分だけ消されています)
シオーヤさんの文章を読むだけで、ALTECをインストールするには、電気屋さんかつオーディオファイルの両方に精通していなければならない、ということが分かります。
プロケーブル社ではその困難さについてまったく触れず、例のスタジオのサイトでも「今の日本の環境では困難を極める(たぶん電源汚染の関係でしょう)」と言うのみで、今日その一端が明らかにされたように思います
本当にスピーカー相手の攻防戦ですね
余談ですが、プロケーブルさんはALTECから「逃げて」しまったのではないかと思います
というのは、鎌倉試聴室の音はALTECの特徴として言われる「魂を直撃する」要素が全くなかったからです
むしろ一聴はハイエンド風な優等生っぽく聞こえます
オン・ザ・ステージ感はまったくないんですが
私はALTECを聞いたことがありません。しかしALTECの歌う精緻でありながら心を強く揺さぶる世界とはかけ離れているだろうとは思いました
最近は、この世界には「最終回答」なぞなくて、異なる世界観それぞれが空に向かってそびえてるのだろうと思うようになりました
勝手なことばかり言って申し訳ありませんでした
続きをお待ちしております
プロケーブル社が「ALTECには絶対近づくな」という意見を僕は否定することは出来ません。
万人に奨めることができないのは確かだと思います。仰るように電気屋程度の知識があった方がセッティングの幅が広がりますが、その分より深い落とし穴に嵌るリスクも発生します。鬼門コーナーの記述のとおり、高額な機器や線材等に振り回される落とし穴もあり、その二つの落とし穴に嵌り易いのはオーディオファイルだと思います。音楽への欲求が仇となって嵌っていく方を、僕は知っています。
レコーディングスタジオ等では仕事の道具として妥協するべきところを、アマチュア故に技術がないという事もありますが、それよりも妥協できない音楽への思いから挑戦をしてしまうこと、結果として苦悩を生んでしまう。
ですので、ALTECを万人に推奨できないと考えます。
でも、音楽へのアプローチは人それぞれで、僕の懸念など全く見当外れではないのか?っと思うような、理想的な付き合い方を出来ている方もいます。
この辺りのことを次回以降の記事で書けたらと思います。
僕個人の狭い意識が逆に嘘を流布することになってはいけませんので、ALTECユーザー諸氏の突込みなど頂けないかな~・・・っと、他力本願な逃げ腰になっておりますw。
アルテックというスピーカーが「伝説」となってしまった昨今、なぜかオーナーの方がネット上で口を閉ざしてらっしゃることが多いので、私にとってはおそろしく謎めいた、「正体不明のメガネさん(レモンハート)」になっておりました
実は語るのにも覚悟がいるのですね
ただ、今後も他のオーナーさんの発言は、お師匠さん以外はないように思います
貴ブログがアルテックを扱って数年、そういう方が現れていないようですので
貴ブログ以外でアルテックを扱うブログは、2つしか知りません
片方の方は、怪しげなアクセサリーを収集するオカルテイスト的になられましたし、もう片方の方はデジタルイコライザーで周波数特性を補正しながら、管球アンプをチャンネルごとにあてがうという方でした
アルテックには何か住み着いているのでしょうか・・・
というわけで、オーディオ的アプローチと観点からアルテックに取り組まれている方ならば、アルテックの本質をお聞きできるともいまして、あのようなお願いをした次第です
では、続きをお待ちしております
ALTECが一躍脚光を浴びて現代にリバイバル?したのはプロケーブル社の活躍によるものですが、当時のJRX115ユーザーの方々もブログで積極的に発言される方は少数だったと記憶しています。
JRX115を踏まえた上でALTECに挑戦された方とそうでない方がいますし、JRX115を踏まえた上でALTECに挑戦された上で、ALTEC以外に行かれた方もいます。
ALTECは万能ではないんです。
ですが、音楽に対する欲求がALTECの得意な部分に重なると、僕の様に嵌る方と上手くお付き合いされる方に分かれて、前者の中には妖刀のように感じる方も多くいらっしゃるということではないかと想像しています。
604-8Gを入れたCだとAの欠点を大幅に改善してます。生音相手の場合だと特に極端な分解能が必要な場合や40Hz以下、10kHz以上の成分再生と膨大なS/Nが必要な場合を除けば十分なモニター能力を有するスピーカーだと感じました。
但し、両方共にバイアンプ仕様が条件です。
同軸ユニットに拘らなければ828C箱に515B又はCのバスドライバーを装着し、バスレフポート部に511Bホーンと802-8Gドライバーを組み込んだ物の方がモニター能力が高いでしょう。クロスはパワーが要らなければ500、パワーが要れば800Hz辺りって所でしょうね。
ただ、2kHzのピークが僕のように気になる方は耐えられないと思いますから、その部分が問題です。セッティング次第で抑えることが出来るのか?趣向の問題であって抑制不可能なのか?
もしかすると、ALTEC 612に511や811を載せて使用しているユーザーが珍しいことではないのは、このことに関連しているのかもしれませんね。
但し常人離れした能力を要するでしょう。
古いAltecやJBL愛好者の中には色々な人達が居るんですよ。
一人のアルテック・ファンとして、ベテランの方々のセッティングのイロハを是非ともインターネットに残していただけないものかと思っております。
Nong-KhaiさんのHPは僕にとって理想的でした。しかし、積極的に自作してセッティングを行う手法は一般的に敷居が高いと思うので、もっと様々なアプローチの情報が複数あれば、若い世代もALTECやGPAに挑戦しやすくなるのではと感じております。
・・・出てくる出てくる、みんなのあこがれALTEC、ですね
そんなALTECがなぜ衰退し、ヘッドフォンとPCスピーカーだけ作っている会社になったのかなあと思い、歴史を調べてみましたら、やっぱり屈曲点がありました
もし、アルテックランシングがランシングさんに家庭用オーディオスピーカーを自由裁量で作らせるという決断をしていたら
・ランシングさんは、自殺しなかったでしょう
・「ALTECのスピーカーは世界一ぃぃぃぃ!!」になっていたでしょう
・かわりにJBLという会社は生まれなかったでしょう
・ホログラフィックサウンドの技術は、20年早く出現したでしょう
・そのかわりに、サラウンドはどうなったかわかりません
・ボーズ教授は研究者として生涯を終えたと思われます
・シオーヤさんが悪戦苦闘することはなかったと思われます
・プロケーブルは存在せず、社長はPA業者になっていたでしょう
いや、いろんな意味で歴史は間違ったのではないかと・・・
大幅に未来は変わったのではないかと思いますが、意外と変わらなかったのかも?
個人的には過去は変わって欲しくないです。
ALTECとの悪戦苦闘の日々は、僕の音楽人生にとって必要なものだったと感じていますし、その結果として音楽的幸福を感じることが出来ています。
より貪欲に音楽的欲求を満たすべく取り組みたいところですが、仕事が殺人的に忙しく生活が荒んでおりますw。こういう状況では芸術的な取り組みは不可能な性格でして、そのために続編の記事も遅れております。
転職を失敗したようですw。