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【主張】英離脱延期 EUの危機に目を離すな

2019-04-16 00:03:52 | 国際情勢

産経デジタル 平成31年4月14日 05:00



 英国の欧州連合(EU)離脱期限が10月末まで再延期される。EU首脳会議で承認された。
 先の期限である12日に「合意なき離脱」に突入する危険はひとまず回避された。ただし離脱問題をここまでこじらせた最大の原因である英国の「決められない政治」は何ら変わっていない。
 EUのトゥスク大統領は「時間を無駄にしないでほしい」とメイ英首相にクギを刺した。全く同感だ。英政治が事態打開を果たさぬ限り、「合意なき離脱」という危機を先送りしただけに終わる。

 

 与えられた猶予に、メイ政権と議会は危機感を緩めることなく、確実に合意形成に至るよう全精力を注ぐ責任がある。
 また、ポピュリズム(大衆迎合主義)勢力の台頭を許したEU自体が、統合の重大な岐路にあることも、忘れてはならない。
 当面の焦点は、5月23日からの欧州議会選だ。それまでに英国が離脱していなければ、選挙参加は義務となる。参加を拒否すれば、合意の有無にかかわらず、6月1日に離脱を迫られる。
 「主権回復」を叫ぶ英保守党の強硬離脱派は同議会選の参加は固く拒む。党内の求心力をすでに失ったメイ首相に残された道は野党労働党との交渉であるが、労働党は関税同盟残留を唱えるなど両党には大きな開きがある。妥協点を早期に見いださねばなるまい。

 

 今日までの混迷の起点となった2016年の国民投票から間もなく3年となる。離脱へ民意をあおったポピュリズムはその間に、欧州大陸全体に拡大した。
 警戒を要するのはイタリアの動きだ。右派政党「同盟」を率いるサルビーニ副首相は、欧州議会選に向け、他の欧州ポピュリズム政党との連携を呼びかけている。
 閣僚理事会と共同で立法権を握る欧州議会でこうした勢力が議席を伸ばしていけば、欧州統合は後退し、やがては分離や解体の悪夢に向かいかねない。
 亀裂につけ入った中露という「現状変更勢力」が欧州のポピュリズム政権を次々に籠絡していることも無視できない。イタリアは単独で中国と巨大経済圏構想「一帯一路」の覚書を交わし、欧州対中外交の分裂をさらけ出した。
 英離脱問題はすでに欧州統合最大の危機に発展している。その現実に、価値を共有するわれわれも目をそらしてはならない。



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