兵庫県は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第15条第4項の規定により、「株式会社カネカ高砂工業所の産業廃棄物処理施設設置許可申請書及び生活環境影響調査書」の縦覧を開始した。
産業廃棄物処理施設の種類、
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第7条第13号
ポリ塩化ビフェニル汚染物又はポリ塩化ビフェニル処理物の洗浄施設又は分離施設
産業廃棄物処理施設の処理能力
ポリ塩化ビフェニル汚染物 4.15t/日(24時間)
ア 汚泥等 2.4t/日(24時間)
イ ウエス等 1.0t/日(24時間)
ウ 空ドラム 0.75t/日(24時間)
計 4.15t/日(24時間) ←「兵庫県公報」には、PCB廃棄物の保管量及び処理する総量の記載なし
施設の概要
カネカの高砂工業所に保管しているPCB廃棄物は、JESCOの受入基準で水分含有量が超過しているので、受入条件を満たすための「洗浄・分離処理を実施する施設」を設置するということのようだ。--水分含有量が多い高濃度PCB汚染物(汚泥状物など)中のPCBと水分をイソプロピルアルコールで抽出・分離し、高濃度PCB液と低濃度PCB廃棄物に分離する。分離後のPCB廃棄物はJESCO及び認定処理施設で処分する。--
こういう場合、、PCBの洗浄や分離施設であれば、、、
PCBの無害化処理施設ではないので、大臣認定申請などは不必要なのだ、、
一応、兵庫県の「産業廃棄物処理施設設置許可申請書及び生活環境影響調査書」の縦覧
イソプロピルアルコール
しかし、高濃度PCB液と低濃度PCB廃棄物に分離というのは、考えようによっては、PCBの無害化よりもかなり危険を伴う作業といえるのではないか。イソプロピルアルコールは、PCB東京事業所の洗浄でも使用しているが、引火点12°Cの非常に引火性が高い液体である。
カネカといえば、言わずと知れた、PCBの製造を始めた鐘淵化学工業
鐘淵化学工業高砂工業所ではさまざまなPCB製品の製造がおこなわれた。また、カネミ油症事件を経て、昭和46年にPCB及びPCB使用製品の生産中止後、国内で唯一、高濃度PCBを高温焼却したところでもある。(昭和50年までに5,541 tを回収し、昭和62年11月~平成元年12月までに液状廃PCBを約5.500t 焼却処理) PCBを高温焼却した焼却炉は、長年そのままに、、、平成26年に、その焼却炉解体へ向けた専門家による事前調査で、清掃済みのタンクからPCBが検出されたというニュースもあったが、、その後、どうなったのか、無事焼却炉は解体されたのか?
それにしても、いまなお、、、
カネカは高砂工業所にどのようなPCB廃棄物をどれくらい保管しているのやら、、、
高砂西港PCB汚泥盛立地問題
また、昭和40年代後半に、高砂西港の底質土砂がPCBで汚染されていることが明らかになった。その周辺でPCB製品の製造をしていた鐘淵化学工業 高砂工業所と三菱製紙 高砂工場は、土砂を浚渫、固化処理後、敷地内に広さ約5ヘクタール高さ5メートルのアスファルトで覆ったPCBの盛立地をつくっている。その盛立地のPCB汚染土の現地封じ込め対策の安全性もいかなるものか、高砂は、いまなおPCBという負の遺産を抱え込んでいる地である。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく生活環境影響調査書等縦覧
株式会社カネカ高砂工業所における産業廃棄物処理施設設置計画の縦覧
兵庫県は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第15条第4項の規定により、「株式会社カネカ高砂工業所の産業廃棄物処理施設設置許可申請書及び生活環境影響調査書」の縦覧を次のとおり行っています。
<兵庫県公報 平成30年2月13日 兵庫県告示第113号 [304KB pdfファイル]>
1.縦覧期間
2月13日(火曜日)から3月13日(火曜日)まで
2.縦覧場所
兵庫県東播磨県民局地域振興室環境課
高砂市生活環境部環境経済室環境政策課
3.産業廃棄物処理施設の種類
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第7条第13号
ポリ塩化ビフェニル汚染物又はポリ塩化ビフェニル処理物の洗浄施設又は分離施設
4.事業の概要
株式会社カネカ高砂工業所に保管しているポリ塩化ビフェニル廃棄物(PCB廃棄物)について、処分先である中間貯蔵・環境安全事業株 式会社(JESCO)の受入条件を満たすための洗浄・分離処理を実施する施設を設置する(水分含有量が受入条件を超過)。
水分含有量が多い高濃度PCB汚染物(汚泥状物など)中のPCBと水分をイソプロピルアルコールで抽出・分離し、高濃度PCB液と低濃度PCB廃棄物に分離する。
分離後のPCB廃棄物はJESCO及び認定処理施設で処分する。
5.環境対策
建屋内に設置した洗浄・分離施設は全覆養生内で行い、負圧集じん機で吸引することにより負圧にし、排気は活性炭塔で処理する。
排水は放流せずに産業廃棄物として処理する。
PCB処理技術ガイドブック(2005年8月改訂版)「日本におけるPCBの生産量、輸入量及び用途別使用量」より作成
生産者又は用途
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生産・使用量(t)
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中止時期
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PCB
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三菱モンサント化成(株) |
2,461
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1972(昭和47)年3月 |
鐘淵化学工業(株) |
56,326
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1972(昭和47)年6月 | |
PCB使用製品
|
PCB入り感圧紙 |
5,350
|
1971(昭和46)年2月 |
塗料等の開放系用途 |
2,910
|
1971(昭和46)年末 | |
コンデンサ等の電気機器 |
37,156
|
1972(昭和47)年8月末 | |
加熱機等の熱媒用途 |
8,585
|
1972(昭和47)年6月末 |
国の財政支援のもとに、JESCO全国5カ所の事業所でPCB廃棄物の処理がおこなわれている。環境アセス当時から、常に気にかかっていたのは鐘淵化学工業や三菱モンサント化成のPCB製造者責任はどうなっているのかということである。
それを尋ねたらまことしやかにPCB廃棄物処理基金にお金をだすから~というようなことをいわれた記憶がある。しかしPCB廃棄物処理基金は、ほとんどが国や都道府県で負担している。 詳細は~
今日、カネミ油症関連でカネカのことを話していて再びそのことが気になり始めた。
1987年から89年に鐘淵化学工業(現:カネカ)高砂工業所において、液状廃PCB(5,500t)を高温焼却している。
また、2004年から05年に三菱化学四日市事業所は自社保管分(三菱モンサント化成分)のPCB(968t)をプラズマ分解で無害化処理している。
製造メーカーとして回収したPCBのみを処理すればいいというものなんだろうか?
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PCB廃棄物の処理責任は、
すべてPCB製品の使用事業者の責任、保管事業者の責任で処理する
PCB特別措置法で処理期限が大幅延長となって、、、
PCB廃棄物処理基金の拠出割り当てがどうなるのか気になる~、、
当初は、平成12年度、中小企業者が保管しているPCB廃棄物に係る処理コストを概ね1.160億円と見積もった上で、中小企業者の自己負担額を600億円、残り560億円を国及び地方公共団体で平成26年度末までに案分して見込額を出していたが、、、
■PCB廃棄物処理基金のしくみ(環境再生保全機構HPより)
PCB廃棄物処理基金は、国、都道府県からの補助金と産業界等民間からの出えん金で造成されています。この基金は、環境 大臣が指定した処理事業者に対し、中小企業者等が保管するPCB廃棄物の処理費用の軽減及びPCB廃棄物処理の研究・研修等の促進を目的として助成を行い ます。
ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金の状況(平成28年3月31日現在)(PDF、1.27MB)
環境再生保全機構HPに拠出金の内訳↑↑など詳しくでていたのでグラフにした~
ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金の状況(平成28年3月31日現在)
①補助金(国): 25,900,000,000円
②補助金(都道府県):25,375,758,000円
③民間出えん金: 480,800,000円
④運用収入: 1,760,284,541円
⑤助成事業: △14,935,256,772円
⑥消費税・戻り分: 20,525,787円
PCB基金残金: 38,602,111,556円 ←残金386億円もあるのだ!!
詳細は~
●PCB廃棄物処理基金の拠出状況
残金が多くなって、、、民主政権の頃、事業仕分けでも話題に出ていたような
さすが、近年は拠出額は少なくなって、、、しかし、安定器や汚染物の処理が進めば助成額も増えるのだろうか?
民間出えん金の4億8千万円は(財)電気絶縁物処理協会(現在は解散して存在しない)、
80万円は㈱サンリブ (福岡県に存在するスーパーマーケット)
●PCB廃棄物処理基金の助成状況
PCB廃棄物の保管事業者が負担する無害化処理(中小企業者等の助成はあれど)
--PCB製造者責任は不問で--