一人ディズニー見聞録

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初代芸能人のディズニー声優は誰?

2022-01-31 19:21:29 | 声優
「たしか前は、オリバーだったな」。昔、不動産会社の「オリバー」がそのビルにあったな、というリアクションの時に使うセリフではない。


先週土曜日(1月29日)の19時からディズニーチャンネルで、『リトル・マーメイド』(1989)が放映されていた。好きなディズニー作品なので、ながら見していた時に先のセリフのことを思い出した。『リトル・マーメイド』の前に公開された作品は『オリバー/ニューヨーク子猫ものがたり』(1988)だ。


ストーリーの説明は割愛するが、個人的に『オリバー~』は、ディズニー社の低迷期に作られた作品だと思っている。説明を割愛したストーリーも分かりやすすぎる展開で、スケッチも1960年代の作品と変わっておらず、どこか子どもっぽい。また原語版声優には、歌手のビリー・ジョエル(ドジャー)とベット・ミドラー(ジョルジェット)が務めるなど、話より話題性で勝負している感じが、駄作感を醸し出している。


さらに、『オリバー~』を駄作にしているのは、日本語吹き替え版の声優だ。なんと、ビリー・ジョエルの役には松崎しげるが、ベット・ミドラーの役には木の実ナナがそれぞれ担当している。原語版同様、歌手出身の二人が声優を務めているため、日本側も話題作りでキャスティングをしているように思える。


しかし、原語版がビリー・ジョエルだから日本語は松崎しげるにしよう、という理論は無理があると思う。歌っている曲調も違えば、肌の日焼け具合も全然違う。「ジョエル=松崎」に疑問を感じていたが、ふとあることに気が付いた。声優以外で有名な芸能人が、ディズニー作品の吹き替えを務めるのは『オリバー~』が一番最初だということだ。


現在販売されている、または視聴可能なディズニー作品に限って調べると、『オリバー~』以前の作品で俳優や歌手など、声優を本職としない芸能人が声優を務めるものはない。今でこそ、芸能人のディズニー声優は当たり前になっているが、昔は声優を生業としている人だけがディズニー作品を吹き替えられたのだ。


現存しないもに限っては、『ピーターパン』(1953)の主人公ピーターパンを榊原郁恵(1983年TBS放映版)、『不思議の国のアリス』(1951)ハートの女王をペギー葉山(1981年TBS放送版)などが務めたこともあった。しかし両作とも、公開からある程度時間が経った後に、民放で放映される際に吹き替えている。一方『オリバー~』は、日本公開と同じタイミングで松崎と木の実が声優を務めている。


『オリバー~』は、ディズニー社の低迷期を代表する作品だが、芸能人がディズニー声優を務める礎を作った作品でもあった。なお、木の実と松崎の声優は違和感がなく、言われなければ本人だと気付かないクオリティとなっている(あくまで個人の感想です)。