避妊去勢の弊害!米国獣医学論文を翻訳紹介 その2
卵巣や睾丸を切除する避妊・去勢手術で犬はいろんな後遺症になるとアメリカで学術論文が公表されている。
Long-Term Health Risks and Benefits Associated with Spay / Neuter in Dogs
犬の避妊・去勢による健康上のリスクと利点 ・・長期観点から統計調査・・
その論文の大意、概要、および、避妊・去勢手術の後遺症の各論の一部はすでにその1 に翻訳文を紹介した。
今回はそのつづきのその2である。
翻訳文
避妊・去勢手術の後遺症の各論
肥満
避妊・去勢手術をした犬は、してない犬に比較して、太り気味、あるいは、肥満の傾向が強い。新陳代謝の変化が原因である。
避妊手術をした雌犬は、してない雌犬に比較して、肥満になるリスクが2倍になることが一つの研究で明らかになった。
他の研究結果でも、不妊手術をした犬は、してない犬に比較して、雌で1,6倍、雄で3,0倍肥満の傾向があることが明らかになった。
更に、雌で1,2倍、雄で1,5倍太り気味の傾向があることがわかった。
イギリスの獣医団体が実施した調査研究によると、21%の犬が肥満であった。
肥満、あるいは、太り気味であることは、犬の健康問題の主題になっている。
太り気味の犬はアドレナリン過剰症、甲状腺機能低下症、下部尿路疾患、口周縁部の疾患と診断される傾向がある。
肥満の犬は甲状腺機能低下症、糖尿病、膵臓炎、新生腫瘍と診断される傾向がある。
ワクチンの副作用
犬のワクチンの副作用について世代を遡って一団の犬を調査研究した結果、犬のワクチンの副作用には、アレルギー反応、蕁麻疹(じんましん)、アナフィラキシー、心拍停止、心臓ショック、および、急死があることがわかった。
避妊した雌犬は、してない雌犬に比較して、副作用が30%以上多く、去勢手術をした雄は、してない雄に比較して、27%多いことがわかった。
犬自体の体内の能力として、性ホルモンはワクチンに対して免疫的に反応する役割を果たしていることも含くめ、研究者たちは避妊・去勢手術とワクチンの副作用については因果関係を示すメカニズムがあると論じている。
愛玩犬種と小型犬種はワクチンの副作用について高いリスクがある。
ボクサー、イングリシュ・ブルドック、ラサアプソ、ワイマラナー、アメリカ・エスキーモー犬、ゴールデン・レトリバー、バセットハウンド、ウェルシュ・ゴーギー、シベリアン・ハスキーグレート・デン、ラブラドール・レトリバー、ドーベルマン、アメリカン・ピット・ブル 、および、秋田犬。
雑種の犬はリスクが低いことがわかった。そのことは、遺伝的な特異体質(混血がもたらす活力)によるものだろうと思っている。
(翻訳者の注釈
アナフィラキシーとは注射薬剤やスズメバチの毒などによるアレルギー反応の悪の親玉みたいな反応。ショック死することが多い。)
精巣腫瘍・睾丸癌
精巣腫瘍の発症前に去勢手術をすると、当然、その後は精巣腫瘍の発病はない。精巣(睾丸)そのものが切除されてなくなっているからである。 ない臓器が発病するわけがない。
だから、この論文では、不妊手術をしてない犬の精巣腫瘍のリスクと比較して論ずる。
精巣腫瘍は、その発生率が7%であるので、一般的ではないとはいえない。
しかしながら、精巣腫瘍は、その転移率が低いために病後の回復の見込みはきわめて良好である。
たとえば、Purdue大学がゴールデン・レトリバーについて犬種ごとの健康調査をした結果によると、精巣腫瘍による死亡はきわめて稀であった。その精巣腫瘍は、獣医師会が実施確認した犬の死亡原因調査報告書に記載されている犬の重大な死亡原因のリストには載ってない。
その調査対象になったゴールデン・レトリバーは40%が不妊手術をしてない雄犬であったことは注目すべきことである。しかも、精巣腫瘍の治療を受けたゴールデン・レトリバーの治癒率は90,9%であった。
このことは犬の精巣腫瘍の転移率が6~14%であると言う他の研究結果とも一致する。
頻繁に発生する精巣腫瘍であっても、その治癒率は高いので、去勢手術をしてない雄犬が精巣腫瘍で死ぬ比率は1%以下であるといえる。
要約すると、犬は若い時に去勢手術をすべきだと言うのが獣医の最も一般的な言い分だが、犬は生涯を通じて精巣腫瘍に罹病するリスクはきわめて低いことを考慮すると、去勢すると雄犬の精巣腫瘍を防止できるというのは正当な理由だと認めるのは難しい。
睾丸が片方だけ、あるいは両方とも腹部に滞留したままで、所定の位置に下りてこない停留睾丸の場合は例外があるかもしれない。停留睾丸は13,6倍も腫瘍が発生しやすい上に、普通の身体検査では腫瘍を見つけることが難しい。
血管肉腫・癌
血管肉腫は犬では普通に見られる癌である。犬種によっては主な死亡原因の一つである。
例えば、 サルーキ、フレンチブルドッグ、アイリッシュ・ウォータース・パニエル、フラッドコーティド・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、ボクサー、アフガンハウンド、イングリッシュセッター、スコットランド・テリア、ボストンテリア、ブルドッグ、およびジャーマン・シェパード。
犬を年齢別に調査研究した結果、避妊手術をした雌犬は、してない雌犬に比較して、脾臓の血管肉腫が2,2倍多く発生していることがわかった。
心臓の血管肉腫に関して世代を遡って調査したところ、避妊手術をした雌犬は、してない犬に比較して、血管肉腫になるリスクの要因が5倍以上大きいことがわかった。また、去勢手術をした雄犬は、してない雄犬に比較して、1,6倍高いこともわかった。
その調査研究をした人たちは、性ホルモンは血管肉腫に対して防御的な効果があると論じている。特に雌犬ではその効果は顕著である。
血管肉腫が重要な死因である犬種の場合、犬の不妊手術をするかどうか決める時に、犬は不妊手術で血管肉腫になるリスクが大きくなることを考慮すべきである。
泌尿生殖器の障害
尿失禁は避妊手術をした雌犬に普通に見られる。その尿失禁は手術をして間もなくか、数年を待たずして見られるようになる。
その尿失禁の発生率は、避妊手術をしてない雌犬はわずか0,3%であるのに対し、避妊手術をした雌犬は4~20%であることが調査研究で明らかになった。
尿失禁は避妊手術と強くリンクしているので、一般に避妊性尿失禁と呼ばれている。尿失禁の生物学的なメカニズムは不明だが、尿道の括約筋によって引き起こされるものである。
多くの(すべてではない)の尿失禁の犬は薬による治療が必要である。しかも、多くの場合、その治療は生涯続けることが必要になる。
世代を遡って犬を調査研究したところ、しつこく再発を繰り返す尿管(膀胱)の感染症が、避妊手術をした雌犬は、してない雌犬に比較して、3~4倍も高かった。
他の世代調査研究では、5歳半以前に避妊手術をした雌犬は、5歳半以後に避妊手術をした雌犬に比較して、尿管(膀胱)の感染症が2,76倍も多く発生していた。
避妊手術をした年齢により、犬は性器の外部に異常な兆候を現す。避妊手術をした雌犬は陰門が奇形になったり、膣の皮膚炎、膣炎、および、尿管(膀胱)の感染症を引き起こす。
思春期以前に避妊手術をした雌犬は、このリスクが高い。
(翻訳者 : ブログ「愛犬問題」管理人Paroowner)
文字数制限を越えたのでつづきに卵巣癌、骨の異常形成、認知症を記載してある。
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Long-Term Health Risks and Benefits Associated with Spay / Neuter in Dogs
犬の避妊・去勢による健康上のリスクと利点 ・・長期観点から統計調査・・
その論文の大意、概要、および、避妊・去勢手術の後遺症の各論の一部はすでにその1 に翻訳文を紹介した。
今回はそのつづきのその2である。
翻訳文
避妊・去勢手術の後遺症の各論
肥満
避妊・去勢手術をした犬は、してない犬に比較して、太り気味、あるいは、肥満の傾向が強い。新陳代謝の変化が原因である。
避妊手術をした雌犬は、してない雌犬に比較して、肥満になるリスクが2倍になることが一つの研究で明らかになった。
他の研究結果でも、不妊手術をした犬は、してない犬に比較して、雌で1,6倍、雄で3,0倍肥満の傾向があることが明らかになった。
更に、雌で1,2倍、雄で1,5倍太り気味の傾向があることがわかった。
イギリスの獣医団体が実施した調査研究によると、21%の犬が肥満であった。
肥満、あるいは、太り気味であることは、犬の健康問題の主題になっている。
太り気味の犬はアドレナリン過剰症、甲状腺機能低下症、下部尿路疾患、口周縁部の疾患と診断される傾向がある。
肥満の犬は甲状腺機能低下症、糖尿病、膵臓炎、新生腫瘍と診断される傾向がある。
ワクチンの副作用
犬のワクチンの副作用について世代を遡って一団の犬を調査研究した結果、犬のワクチンの副作用には、アレルギー反応、蕁麻疹(じんましん)、アナフィラキシー、心拍停止、心臓ショック、および、急死があることがわかった。
避妊した雌犬は、してない雌犬に比較して、副作用が30%以上多く、去勢手術をした雄は、してない雄に比較して、27%多いことがわかった。
犬自体の体内の能力として、性ホルモンはワクチンに対して免疫的に反応する役割を果たしていることも含くめ、研究者たちは避妊・去勢手術とワクチンの副作用については因果関係を示すメカニズムがあると論じている。
愛玩犬種と小型犬種はワクチンの副作用について高いリスクがある。
ボクサー、イングリシュ・ブルドック、ラサアプソ、ワイマラナー、アメリカ・エスキーモー犬、ゴールデン・レトリバー、バセットハウンド、ウェルシュ・ゴーギー、シベリアン・ハスキーグレート・デン、ラブラドール・レトリバー、ドーベルマン、アメリカン・ピット・ブル 、および、秋田犬。
雑種の犬はリスクが低いことがわかった。そのことは、遺伝的な特異体質(混血がもたらす活力)によるものだろうと思っている。
(翻訳者の注釈
アナフィラキシーとは注射薬剤やスズメバチの毒などによるアレルギー反応の悪の親玉みたいな反応。ショック死することが多い。)
精巣腫瘍・睾丸癌
精巣腫瘍の発症前に去勢手術をすると、当然、その後は精巣腫瘍の発病はない。精巣(睾丸)そのものが切除されてなくなっているからである。 ない臓器が発病するわけがない。
だから、この論文では、不妊手術をしてない犬の精巣腫瘍のリスクと比較して論ずる。
精巣腫瘍は、その発生率が7%であるので、一般的ではないとはいえない。
しかしながら、精巣腫瘍は、その転移率が低いために病後の回復の見込みはきわめて良好である。
たとえば、Purdue大学がゴールデン・レトリバーについて犬種ごとの健康調査をした結果によると、精巣腫瘍による死亡はきわめて稀であった。その精巣腫瘍は、獣医師会が実施確認した犬の死亡原因調査報告書に記載されている犬の重大な死亡原因のリストには載ってない。
その調査対象になったゴールデン・レトリバーは40%が不妊手術をしてない雄犬であったことは注目すべきことである。しかも、精巣腫瘍の治療を受けたゴールデン・レトリバーの治癒率は90,9%であった。
このことは犬の精巣腫瘍の転移率が6~14%であると言う他の研究結果とも一致する。
頻繁に発生する精巣腫瘍であっても、その治癒率は高いので、去勢手術をしてない雄犬が精巣腫瘍で死ぬ比率は1%以下であるといえる。
要約すると、犬は若い時に去勢手術をすべきだと言うのが獣医の最も一般的な言い分だが、犬は生涯を通じて精巣腫瘍に罹病するリスクはきわめて低いことを考慮すると、去勢すると雄犬の精巣腫瘍を防止できるというのは正当な理由だと認めるのは難しい。
睾丸が片方だけ、あるいは両方とも腹部に滞留したままで、所定の位置に下りてこない停留睾丸の場合は例外があるかもしれない。停留睾丸は13,6倍も腫瘍が発生しやすい上に、普通の身体検査では腫瘍を見つけることが難しい。
血管肉腫・癌
血管肉腫は犬では普通に見られる癌である。犬種によっては主な死亡原因の一つである。
例えば、 サルーキ、フレンチブルドッグ、アイリッシュ・ウォータース・パニエル、フラッドコーティド・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、ボクサー、アフガンハウンド、イングリッシュセッター、スコットランド・テリア、ボストンテリア、ブルドッグ、およびジャーマン・シェパード。
犬を年齢別に調査研究した結果、避妊手術をした雌犬は、してない雌犬に比較して、脾臓の血管肉腫が2,2倍多く発生していることがわかった。
心臓の血管肉腫に関して世代を遡って調査したところ、避妊手術をした雌犬は、してない犬に比較して、血管肉腫になるリスクの要因が5倍以上大きいことがわかった。また、去勢手術をした雄犬は、してない雄犬に比較して、1,6倍高いこともわかった。
その調査研究をした人たちは、性ホルモンは血管肉腫に対して防御的な効果があると論じている。特に雌犬ではその効果は顕著である。
血管肉腫が重要な死因である犬種の場合、犬の不妊手術をするかどうか決める時に、犬は不妊手術で血管肉腫になるリスクが大きくなることを考慮すべきである。
泌尿生殖器の障害
尿失禁は避妊手術をした雌犬に普通に見られる。その尿失禁は手術をして間もなくか、数年を待たずして見られるようになる。
その尿失禁の発生率は、避妊手術をしてない雌犬はわずか0,3%であるのに対し、避妊手術をした雌犬は4~20%であることが調査研究で明らかになった。
尿失禁は避妊手術と強くリンクしているので、一般に避妊性尿失禁と呼ばれている。尿失禁の生物学的なメカニズムは不明だが、尿道の括約筋によって引き起こされるものである。
多くの(すべてではない)の尿失禁の犬は薬による治療が必要である。しかも、多くの場合、その治療は生涯続けることが必要になる。
世代を遡って犬を調査研究したところ、しつこく再発を繰り返す尿管(膀胱)の感染症が、避妊手術をした雌犬は、してない雌犬に比較して、3~4倍も高かった。
他の世代調査研究では、5歳半以前に避妊手術をした雌犬は、5歳半以後に避妊手術をした雌犬に比較して、尿管(膀胱)の感染症が2,76倍も多く発生していた。
避妊手術をした年齢により、犬は性器の外部に異常な兆候を現す。避妊手術をした雌犬は陰門が奇形になったり、膣の皮膚炎、膣炎、および、尿管(膀胱)の感染症を引き起こす。
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文字数制限を越えたのでつづきに卵巣癌、骨の異常形成、認知症を記載してある。
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