絶滅危惧種・ミズアオイ日記 vol.1
☆☆はじめに☆☆
昨年11月。 ひょんなことから行政より、絶滅危惧種の域外保護のオファーを受け、植物に携わって約30年の経験を活かし、チャレンジすることに。 多少なりとも自信があったものの、それは見事に粉砕され、一時は全滅の瀬戸際まで追い込まれ、今更ながら自然と向き合う難しさを痛感した次第。 この日記は開花までの日々をしたためたもので、おやじ自身の戒めでもあります。 少し専門的になりますが、環境問題の一端として理解を深めてもらうためにも、ご一読いただければ幸いです。
☆☆ミズアオイについて☆☆
ミズアオイは田んぼなどの、水深の浅い水辺に生息するミズアオイ科の一年草ですが、今では除草剤や田んぼの宅地化により全国的に減少し、環境省レッドリスト2020では「準絶滅危惧」、鳥取県では「絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)」に分類され、各地で保護活動が展開されています。 尚本県では東部の水路に一か所のみ自生が確認されており、県が定めた希少野生動植物保護条例の指定種として、種子を含めた個体を許可なく採取したり損傷すると、厳しく罰せられ注意が必要です。
☆☆ご理解ください(注意)☆☆
上述のとおり、おやじは許可を得たうえ、域外保護を行っております。
またミズアオイは、水生植物を取り扱う業者から、出所不明の苗を容易に購入することができますが、あくまでもそれは個人宅の敷地内での栽培にとどめるようにし、決して敷地外や、まして近隣の水辺などに持ち出すようなことは絶体に避けなければなりません(同種であっても、地域により遺伝子が微妙に異なり、交雑する可能性があるため)
【ミズアオイ日記・播種から開花まで】
2022年9月9日早朝・一番花、開花!! 🎉🎉🎉
播種(はしゅ)から150日、待ちに待ったこの日がついにやってきました ❕ ❕ ❕
サファイア色の清楚感漂う可憐な花をながめていると、心洗われ惹きこまれます✨
2021年11月21日・依頼を受けた県唯一の、自生地から採取されたミズアオイの種
種はシードバンクといわれ、約70年のあいだ静かに環境が整うのを待つことができるという。 なお2011年3月11日に発生した東日本大震災後、沿岸地域に突如として現れた(復活した)ことから、植物界の災害遺産との別名をもつ。
2022年4月22日・双葉展開
翌年4月3日、平均気温が10度を越えるのを見計らい、冷蔵保存していたボトルを野菜室より取り出し室温にならすと、1週間ほどで発根。 そののち黒土7割・赤玉(小粒)3割のジフィーセブンに撒き、同時に水位を約2センチ程度に保つ。
2022年5月22日・停滞
双葉が展開して約1ヶ月経つも生育が止まった幼苗。 原因は土質?日照量?(約3時間)それとも水位?
2022年6月12日・移植
試行錯誤の上、ジフィーセブンから取り出し、田んぼの土に緩効性肥料を施したパレットに、緊急避難的に移植。
本来の自生地である田んぼには、春、牛糞や化成肥料などの元肥が大量にすきこまれるため、肥料分の欠如が生育不良を招いているのではないかと推察し実行したもの。
葉色も薄く、黄変して瀕死状態のものまででてくるありさまで、ギリギリの選択が功を奏するか否か、、
2022年6月22日・復活
やはり原因は肥料不足だったとみえ、10日後には舟形の若い本葉が、水面から出るまでに復活!
2022年6月25日・水生植物専用プランター移植
若い本葉が4,5枚充実したところで、専用プランターに3株ごと移植し、同時に半日、日の当たる場所に移動。
2022年7月2日・成長期①
水温も常時25度以上と安定し、一気に成長スピードがあがる。
2022年7月9日・成長期②
特徴的なハート形の葉が展開しはじめ、日いちにちの成長が目に見えて分かるようになる。
2022年7月18日・成長期③
力強い葉茎が次々と立ち上がり、ますます株が充実。 ただしこの時点で自生地では一番花が開花しており、約2ヶ月の遅れ。
2022年9月4日・花茎①
9月の声を聞くと、一斉に待望の花茎があがりはじめ、あと少し! 頑張れー!!!
2022年9月8日・花茎②
青紫色の華麗な蕾房が、顔を覗かせる! ついに、開花のカウントダウンスタート!!
冒頭に帰る🐸
このあと花がおわり、種子を採取するまで大切に管理し、地域の生態系を考慮しつつ、保護にむけての新たな栽培候補地を、行政と相談しつつ進めてゆきます。 尚 vol.2 は、採取終了後の12月中旬ごろの予定です✌✌