京都市中京区竹屋町通富小路東入ル魚屋町439
「京料理 ふじ亭」 【1741】

地下鉄「丸太町駅」を下車し、出入口⑤から竹屋町通に入り鴨川に向かって七筋東進した、ちょうど富小路通と麩屋町通の粗中間地点左手に佇む、落ち着いた風情漂う総二階の京町家が目印の京料理専門店です。

見た目チョイ敷居の高そうな雰囲気も漂っているため、入るのに躊躇しましたが、玄関口に掲げられているこの看板を見て、暖簾を潜ることにしました。

なるほど店内に足を踏み入れると、どことなく庶民派のような温かみのある演出が施されており、ホッとしましたよ。

左手に在る1階の客間には小上がりの座敷と、土間の部分にテーブル席が設けてあり、懐かしい昭和の香りが立ち込めていました。

2階にも客間があるということで、ご無理をいって見学させていただきました(階段の木枠にも味がありますね)

京町家の奥座敷の天井に多く見られる「竿縁天井*」と、飾り棚、床の間の設えが、当時の面影を静かに囁いていましたよ。 尚女将さんのお話によると、この町家は大正末期に建てられたものだそうです。
*天井板に意匠として細い角材をつけた様式で、一般には杉材や檜材が用いられる。

続きの間の、屏風扇子の艶やかなこと!

お品書き。
シンプルな献立から、昔より町衆に愛されていることが容易に想像できます。

「京風弁当 1,100円」
華美さはないものの、慎ましい中にも、上品さを感じるお弁当箱ですね。

心をときめかせながら蓋を静かに開けると、まるで宝石箱のような所作に、一瞬見入ってしまいましたよ。 もちろんお吸い物には湯葉がゆらりと、小鉢にはちりめん山椒が添えられ、しっかりと京の食文化を貫いています。

メインとなるおばんざいは、鶏の炊いたものに、かぼちゃとさといもの煮物、きゅうりの酢の物、高野豆腐と、食材に合わせたメリハリの効いた味付けで、ホッと心を和ませてくれます。 またおやじがいつも注目する定番の出し巻きは、穏やかな旨味の中に潜む出汁の味わいが秀逸で、後1.2個追加したいくらいでしたよ!
始めにイメージしていた雰囲気とは真逆の、おもてなしの精神が此処彼処に溢れ、僅かな時間でしたが静かにのんびりと過ごすことができました。 ありがとう。 また伺います。
*京都の町衆は昔より、ひいきの仕出し屋からお弁当や膳を取り、来客をもてなしてきました。 その独自の食文化(仕出し)が、日本のおもてなしの心の原型といわれています。