アフガニスタンでは、空港近くで爆発があり多くの死傷者が出た。「IS」の自爆テロとの見方があるようだ。
そんな中、人道支援活動を続ける非政府組織(NGO)ペシャワール会は、情勢不安を受けて休止していた診療所を、21日から再開したと明らかにした(西日本新聞の報道)
診療を再開したのは、ナンガルハル州の山間部にあるダラエヌール診療所で、15日から休止し、勤務する現地の医師や看護師、薬剤師ら14人は自宅に待機していた。
診療所周辺では戦闘や混乱が起こっておらず、安全性は確保されていると判断。
周辺では唯一の医療機関で、住民から再開を要望する声も強かったという。
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この報道を受けて、26日、福岡のラジオ局の番組内のコーナーでペシャワール会の村上優会長への電話インタビューがあった。
(8月26日 RKBラジオ「仲谷一志・下田文代のよなおし堂」16:07〜)
以下は、そのやり取りである。(Q→キャスター、A→村上氏)
注:編集なしの放送で一部に聴き取れない箇所もあった。
Q)ニュース映像で見たが、診療所の周辺は再開できる状況でしょうか?
A)多分、カブールの空港周辺は全体から見れば異質な状況にあると思います。
カブールも8月15日の「無血入城」した直後は、用心して静かにしていましたが、8月21日からはジャララバード、カブールの両方ともバザールも開いて日常は戻っています。
日本で報道されているカブールの状況は、特殊なところだけが浮き彫りになっていると思います。
我々が活動している診療所は、山岳地域に入ったところで特に大きな変化はありませんでした。
ただ、やはり無政府状態なので安全第一と考えて、8月15日には診療所、農業、用水路を一応休止して様子を見ていました。
まずは、医療から始めようと言う報告を受けて再開を決定しました。
Q)各地で、例えば略奪が起きたりなどは今のところないのでしょうか?
A)どこでも政権が変わる時は略奪とか混乱はあるものですから、そういうことを起こるかどうかを皆さん固唾を飲んでみていました。
バザールを開けたと言う事は、そういう混乱がないと言う証左だと思っています。
Q)物も、ちゃんとあると言う事でしょうか?
A)そうですね、日常生活の流通は普通にあると思います。
Q)今回の診療所の再開は、地元の要望もあってと聞いていますが、これはどのような要望で、どんな患者さんが多いのでしょうか?
A)だいたい月に3000人から3100人の受診があります。それが7月からは4500人位、1.5倍になっています。
増えたのは新型コロナのデルタ株だと推測しています。急速に増えています。
Q)そこでは、新型コロナで苦しんでいる人たちの診療に当たっているのでしょうか?
A)新型コロナは治療法がありませんので、咳が出て、熱が出て、呼吸困難が起きたら
酸素を与えなくてはならない。肺炎症状があれば、山の方の診療所からジャララバードのセンターに移送させているというのが今の役割になっています。
Q)中村哲先生は用水路に力を注いでいましたが、それはどうでしょうか?
A)用水路の辺りは特に大きな変化はありません。
8月14日にタリバンが州に入ってきました。そして15日にジャララバードにあるオフィスにタリバンがやって来て、我々の活動についての調査がありました。
それから何も大きな変化はありません。
Q)事業は継続していますか?
A)事業は継続しています。
農業の方は230ヘクタールの農地を国から譲与を受けているので、農地の水やりなどのメンテナンスはしています。ただ、新たな、肥料をやるとか大きなものを動かさないといけない事は、もう少し様子を見てからになります。
用水路の方は休止しています。
Q)タリバン側は、ペシャワール会の活動をどう受け止めていますか?
A)我々が活動していた1990年代はタリバンが支配していた時期と重なっています。
2000年の大干ばつが起こったその当時は、タリバン政権でその時は協力的だった。
皆さんが考えているタリバンは、僕たちから見るとちょっと現状とは違うなと言う感じがします。
我々のような農村地域で活動していると、皆さんタリバンが求める伝統的な生活に違和感なく、元々そういう生活だったので反発はなかったと思います。
都市生活者は、ビルが破壊されるなどいろいろな反発があったとは思いますが、我々の活動地域には反発はなかったと思います。
Q)この質問に答えていただけるかどうか分かりませんが、アフガニスタンの今後はどのような方向に進んでいくと考えられますか?
A)我々は現在まで37年間ずっとあの地で活動して事業を継続しています。
その間、様々な政権、様々な戦争がありました。その中で事業を継続している。
ですから政権がどうなろうとも我々の事業は続きます。
今回、どうしてこんなに簡単に政権を取ったかを考えるべきで、逆に言えば、住民とってはあまり違和感のない政権だった、となるんだろうと思いました。それが1つ。
それからもう一つは、40年間ずっと戦争があっているわけで、内戦が起こり、タリバン政権になり、アメリカ軍が入り、戦争が起こっている中で、今回はカブールで戦闘がなかった。
いろいろ批判はあるが、ガニ大統領が逃げたと言うこと、その選択は日本で言えば、江戸城が「無血開場」されたこと。
戦争が起こっていたら、40年続けた戦争がまた起こり、凄惨なことが起こればそれが怨みに繋がっていく。
その混乱が回避されたことが、今回いちばん良かったことだと思います。
それからもう一つは、2000年の大干ばつが我々の用水路を進めるための大きな方向転換になりました。
干ばつはその後もずっと続いていて、2018年にはかなり大きな干ばつがありました。
今年は2000年を超える大きな干ばつがある時期です。ガニ大統領も懸念して全土に緊急事態の要望を出していました。
国連の組織もアフガニスタン全土で、1400万人の方が飢餓状況に陥るだろうと予測を立てています。
まずは戦争が起こらず、その危機に備えると言うことをやることが大事だろうと思います。
今後の予測はつきませんが、戦争が起こらないことを僕らは願っています。
<キャスターの感想>
我々がニュース映像だけで見ている状況とは、現地は少し違うようです。
政権が変わっても、ペシャワール会の活動が地域に密着して継続していることが分かりました。
事後承諾ですが、当ブログをリンクさせていただきました。
よろしくお願いいたします、
信州の自然などいつも楽しみにしています。