時々眺める富士山

父とパソコン(16)

父はパソコンにほとんど電源を入れなくなった。

ところで、VISTAはウイルスソフトが必須の構成となっている。ウイルスソフトは定期的にパターンファイルの更新をしなければならないが、パソコンの電源を入れないため、更新は週末に私がしていた。また、月一回のウインドウズアップデイトの適用も週末に行っていた。

そのたびに、少しは使うように、こんなに面白いサイトがある、といったことを父に勧めたが、一向に興味を示さなくなった。

私が子育ての時期、テレビ育児というのが問題となった。私のところでも、夫婦で働いていたので、子供にテレビを見せておいて、その間に家事を片付けるといった生活をしていた。夜泣きするときに、ビデオで漫画を見せるとおとなしくなるから、助かったということもよくあった。ただ、その時は、こちらが手をかけて子供の面倒を見れば、子供はこちらの言うとおりに動くものであった。

一方、歳をとった父は、自分からテレビの世界に入り込み、朝から晩までひたすらテレビを見ていた。母は、テレビでこんなことをやっていたと、1週間分のテレビの内容を教えてくれたりした。父にはそれがなかった。どんな番組を見たのと聞いても、返ってくる言葉はなかった。

そのテレビの音も、次第に大きくなってきた。尋ねていくと、いつも大きな音でテレビを見ていた。こちらの話が聞こえない状態で、見方によれば、こちらとの話を拒否しているようにも思えてしまう。

毎週末、一緒に食事をしたが、食事時もテレビを見ることが優先された。夕飯のときはこの番組を見ながら食べるからの、夕飯はこれこれの時間にする、といった具合だった。せっかく東京から来ている息子との会話を拒否している状態だった。

まさに、そのテレビ番組を見ている、いやテレビ画面に顔を向けているというのが重要なことのようだった。番組の直後に、その内容を尋ねても、まともな答えは返ってこなくなった。

かといって、痴呆状態になったわけではなかった。テレビを見ていない時の、日常生活の会話は普通だった。これらのことから、子供のテレビ育児よりも、高齢者のテレビ介護の方が悪影響がずっと大きいというのが私の持論となった。テレビばかり見るようになったら、人生終わりだと、自戒するようになった。

2008年の夏は雷が多かった。ある週末、ウイルスパターンの更新をしようとして父のパソコンのスイッチを入れたが、インターネットにつながらなかった。その時のことが2008年9月20日の当ブログに記載されている。当時は、父はまだ、1週間の間にあったことを聞けば答える状態だったので、父の語りとして記載されている、それを以下に再掲する。

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パソコンをインターネットに接続できなくなった  日記
8月下旬から、パソコンをインターネットに接続できなくなっている。落雷の影響でパソコンの一部が壊れてしまったようだ
今年は雷が多い日が続いたが、近くに雷が落ちた時に、たまたまパソコンにスイッチが入っていた。
息子の話では、パソコンだけでなくADSLモデムも調子悪そうだ。
そのため、ブログの更新もできず、メールのチェックも出来ていない。
LANのコネクター部分のLEDが無点灯だそうだ。息子のADSLモデムをつないでみると、緑色のLEDが点灯すべきところが橙色だという。
息子が自分のADSLモデムとUSB-LANアダプターを持ち込んで試したが、インターネットには接続できなかったという。
この症状から考えると、修理代がかさみ、安いのを買い直すのとあまり変わらないという。インターネット接続以外の機能には異常がないようなので、年賀状の印刷ぐらいはできそうだ。とりあえず今修理するのは止めておくことになった。

しばらくは、息子に代理投稿してもらうことにする。

ここのところ、夫婦で体調がすぐれないのだが、9月23日は父の命日なので、彼岸でもあり、谷中に墓参りに出かけるつもりだ。たぶんこれが最後の墓参りになると思う。父は1962年に亡くなっているので、47回忌でもある。無事にお墓参りに行けるようにしたい。

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それまで、一切パソコンのスイッチを入れなかった父が、雷が鳴っているときに限ってパソコンのスイッチを入れたそうだ。なぜそのようなときにパソコンの電源を入れる必要があったのかをずいぶん聞いたが、答えてはくれなかった。
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