Like A Timの素地には、絶対Larry HeardのGerkin Jerks名義のキチガイ作品がある
― D.J.APRILさん (@deejayapril) 2013年6月8日
↑このTweetをみて、ふと外付けHDDを検索したら10年近く前にLike A Timにインタビューした原稿が出てきたんで掲載します。
当時、自分が主管で運営していたクラブ系携帯サイト(キャリア公式サイト)に掲載した文章なのですけど、そのサイトとっくのとうにないし、原稿の権利は自分にあるだろうし、OKでしょ(掲載サイト名書こうと思ったけど当事複数のサイトに寄稿してたんで失念してしまった(◞‸◟ ))。
like a tim interview
パーティレポートと言う因果な仕事をこなしていく中で実は一番困るのが最高に楽しかったパーティだ。
酒も進んで酔っ払って、友達と駄弁って、踊って……。頭が真っ白になっていくハイな状態。
この日もそんな感じのパーティだった。
オーガナイザーによるハードなエレクトロ、スーミーとTOTALUSEFULによるブレイクビーツ、エレクトロビーツを織り交ぜたエレクトロファンくなライヴ。
そして、本日の主役LIKE A TIMによるたったひとり、ひとつの機材(エレクトライヴ)で行った本邦初のライヴ。
インタビュー
「限られた環境でシンプルに作るのが良いんだ。リフレックスからのアルバムでKORGのエレクトライヴだけで作ったモノがあるけれど特に機材に拘っているわけではないよ。あれを選んだのには赤と青というビジュアルイメージとサンプラーとシンセサイザーというミニマムな組み合わせがセットになっているという以上の意味はないよ」と語るTIMは「86年から89年までのヒップホップにものすごく影響を受けたんだ。EPMDやL.L. COOL J、ULTRA MAGNETIC MC'SやPUBRIC ENEMEYのようなね。特にPEの2ND!! 無人島に持っていくなら何? みたいな質問が良くあるだろ。僕ならPEの二枚目を答えるね」
ヒップホップの特にシンプルなキックとスネアのグルーヴにインスパイアされたTIMは少年の頃見た「SUBWAY ARTという本にVAUGH BODEというアーティストの描くキャラクターが壁に描かれた写真をみたんだ。そのキャラクターはこんな感じなんだけどね(と彼は絵を描いてくれた。それは下半身しかないような抽象的な男の絵だった)。それに凄くインスパイアされた」だったので、そうは口にしなかったけれどグラフティの洗礼も受けているのだろう。
Risky(1991)
「サンプルを使うとそのサンプル元の個性がどうしても音にあらわれてしまうだろ。影響というかさ、オリジナルじゃないじゃない。打ち込みでやれば確かに時間は掛るけれども、より自分の個性が出せるんだ」と語り「MIKE DUNNやSTEVE POINTDEXTERのようなシカゴハウス/アシッドハウスのダイヤの原石を削らないでそのまま出しているようなラフな感じ」にもシンパシーを覚えるという「それとレゲエの無計画な感じもね」。
だからこそのアシッドベースのブギーだったり、アシッド・エレクトロだったり、アシッド・ロックンロールだったりの今日のライヴだったんだろう。近くのレコード屋に区切られているようなわかり易いフォーマットではなく、LIKE A TIMの(例え目隠しで聴いてもそれと判る)唯一無比の音になっている。
avanger(1992)
「LIKE A TIM=エレクトロってイメージを抱いている人は確かに多いと思う。けれども、そういうパブリックイメージだとかレッテルに囚われたくはないんだ。例えばエレクトロが好きだからという理由で、今度の僕の新しいレコード(注:筆者は未聴like a tim によるとTB303のベースに50'S調の女性ヴォーカルが載っているだけというものらしい)を買ったら、ガッカリして返金してくれ! tって来ると思うんだ。でも、僕はそれでかまわない。返金してやっても良いとすら思っているんだ」と朝のファーストフード店で(MEN'S EGGを片手に騒ぐセンターGUYを尻目に)チョコパフェを食べながらも真摯に語る彼からは実直なアーティストという印象を強く受けた。ヒップホップやシカゴハウス、デトロイトテクノというスタイルに影響を受けながらもDJではないのだ。「DREXIYAもAPHEX TWINもSQUAREPUSHERも聴いたことあるし好きだけれども、1枚も持ってないな。……まてよ、1枚貰ったことがあるかな? 」といい「レコード屋に行って新譜を漁るような男ではないよ。N.E.R.Dとか良いとは思うけれどもね」とも言うぐらいなのだから。
つまりこうなのだ。「ダンスというフォーマットに合わせるというか協調はしているけれど、いつも自分のスタイルを探求しているよ。1991年、17歳の時にSee Sawから「Virtual Reality」を出した頃から自分のスタイルがまるで水が染込んでいくように現れてきたと思う。そのリリースの前はジョーイ・ベルトラムやデトロイトテクノそのままのレコードだったけれどね。でも、LIKE A TIMの名前で出し始めたそこからスタイルが出来てきたんだ。こないだある雑誌で”まるでLike A TIMのようなサウンドだ”って書かれているのを読んだんだよ。嬉しかったね!」。
Sundown (Disc O Tim, 2002)
繰り返しになってしまうけれど、彼が紡ぎだす音やステージでのパフォーマンスから感じるユーモアとは裏腹にかなり真面目な人だなぁという印象を受けた。いくらTOTALUSEFULくんが丁寧に訳してくれた日本語を砕けた感じにしてみてもそれは拭えない。「それはオランダ語(つまり母国語)で話してないからじゃない? オランダではジョークばかり口にしてるよ」と言い訳というか理由付けをしてしまうのもその証左に思えてくるぐらい誠実に質問に応えてくれた(しかも、裏にはギャル汚が騒いでるのに、だよ)。
「僕がアンダーグラウンドで謎めいてるって? とんでもない。こうして日本に来てインタビューを受けてプレスシートまで作ってるじゃん! 正直、エイフェックスみたいにビッグネームじゃないからな」
謎めいたイメージがあるけれど……という質問にこう切り返すTIMは何でも応えてくれたので、その音楽性に対しての謎は解けたような気にはなった。……けれど、そのキャラクターはますますなぞが深まった感じだ。
ORIGINSで出会ったというSPEEDY Jといいオランダのヒップホップ好きって一筋縄では行かないなぁ。
スペシャルサンクス YUUSHI FURUMI、KISHIDA(RECORDeR)、TAKAOKA、TOTALUSEFUL
大文字、小文字の表記以外は当事のマンマ。ORIGINS…って何だ? って自分でも思うけど(オリジネーターって意味か?>当事のオレ)。ホントに急遽インタビューになったので、テレコもなくノートの切れ端に速記して、クラブ帰りの明け方に書いた覚えがあります(で寝てから細かいところ修正した)。あと、文字ばっかだと読みにくいから動画はさみました。
あれから来日してないはずだし、当事インタビューした人も少ないので超貴重なインタビューだと思います。
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