「普通にいいですよ…。90s当時に出てれば普通に名盤になった……いや、いまでも」とアトロクへのスタジオ・ライヴ出演の際、宇多丸は言った。
同意である。”普通に”と付けてしまうのも込みで。
同意である。”普通に”と付けてしまうのも込みで。
日本のヒップホップ/日本語ラップ史最重要グループ=Microphone Pager。
生きる伝説のPagerに憧れるあまりマイクを握った人は多いだろう。が、まんまPAGERが好きだという気持ちを高めて「Pagerがいいそうなライン・フロウ」でラップをするグループ。
だっせぇクソボケそこどけと「Don't Forget My Men」でMUROはスピットする。「どきなスタイル泥棒と」Masaoはスピットする。
それでは上記のようなコンセプトで活動するコピーキャットなのか?(Mousou Pagerが猫好きであることには違いないと思うが)。
否、否。「二次創作なのに本物(アトロクにて宇多丸の発言)」。
同時代を共に駆け抜け日本のヒップホップを築いてきた盟友=宇多丸をしてこう言わせるほどにMOUSOU PAGERはホンモノである。
そしてなにより本物=Twigyまでも参加しているのだ。
元よりヒップホップには「盗みの美学」がある。
トラックはもとより歌いまわし、言い回しも”サンプリング”し自分たちのスタイルにするところに(も)BBoyイングの醍醐味がある。
Microphone PagerがN.Y.に憧れ、オールド・(ミドル)スクールなヒップホップというフィルターを通して20年・30年前のソウルやファンク、ジャズのエッセンスを取り入れたようにMousou PagerもMicrophone Pagerというフィルターを通してソウルやファンク、ジャズのエッセンスを取り入れる。
おそらくMicrophone Pagerにとっての手本はLord FinnesやBlack Moonだったのかもしれない。Lord FinnesやBlack MoonにとってみればそれはRun DMCやRakimだったのかもしれない。
Mousou PagerのリリックはほぼMicrophone PagerならびにメンバーであるMUROのリリックからの引用で出来ている。
そして、言葉というのは不思議なもので借り物であることがにじみ出てしまう。
首相がプロンプターをみてスピーチすることが批判されるのはカンニング・チートだからではなく首相のために書かれた原稿を自分の言葉として消化せずただ読んでいるように響くからだ。
それが借り物、スタイル泥棒に響かないのはMousou PagerがPargerの価値観を吸収し自分たちの言葉にしているからだ(言い回しは引用でも言っていること自体は彼らの言葉である)。
MuroがN.Y.マンハッタンで見た光景を「並び並んだフライヤー」と歌った時の心境とShowgunnが宇田川町のフライヤーをみて「並び並んだ~」といった心境はおそらく同じものだ。
なにより、根底に流れているユーモア感覚。
元々ヒップホップが持っていたユーモア感覚―例えばデ・ラ・ソウル、例えばデジタル・アンダーグラウンドが持っている感覚)が失われてきているように感じるのだけれど、それがあるのが嬉しい。
なにより、根底に流れているユーモア感覚。
元々ヒップホップが持っていたユーモア感覚―例えばデ・ラ・ソウル、例えばデジタル・アンダーグラウンドが持っている感覚)が失われてきているように感じるのだけれど、それがあるのが嬉しい。
そして、Mousou Pargerを語るのにトラック・ビートを忘れてはいけない。このアルバムを名盤たらしめている功績の多くはトラックにもあるのだから。
上記の節分でグダグダと語ってきたのは要はヒップホップにおけるサンプリング・マナーを弁えたセンスを発揮しているということなのだが、トラックについても同様にMicrophone Pager的価値観=つまり90年代のNew York的価値観の元、2010年代(製作期間はそれなりの年数が掛けられた筈)の響きで打ち出している。
更にアトロクのスタジオ・ライヴでも発揮していたように抜群にKuma The SureshotのライヴDJは上手い。
楽曲の構成もライヴを意識した二枚掛けが生えるような構造になっている(ことはライヴを冷静にステイホームで聴いて気が付いた)。
なによりも40代のオッサンがデビューアルバムを、こんな傑作という形で発表したことに喝采をおくりたい。
こんなシーンをまってたぜ!
上記の節分でグダグダと語ってきたのは要はヒップホップにおけるサンプリング・マナーを弁えたセンスを発揮しているということなのだが、トラックについても同様にMicrophone Pager的価値観=つまり90年代のNew York的価値観の元、2010年代(製作期間はそれなりの年数が掛けられた筈)の響きで打ち出している。
更にアトロクのスタジオ・ライヴでも発揮していたように抜群にKuma The SureshotのライヴDJは上手い。
楽曲の構成もライヴを意識した二枚掛けが生えるような構造になっている(ことはライヴを冷静にステイホームで聴いて気が付いた)。
なによりも40代のオッサンがデビューアルバムを、こんな傑作という形で発表したことに喝采をおくりたい。
こんなシーンをまってたぜ!
……そういえばMicrophone Pagerの”Pager”の意味はもう伝わらないのかもしれないな。”Pager”ってポケベルのことなんだけど、要するにマイクを通じて(ポケベルのように速攻で)言葉を届けるぜって意味だと思う。
Mousou Pagerは単に捩りなのかもしれないけれど、妄想を瞬時に文字情報として送るぜって意味にも取れるね。……それってTWITTER?! あ、King OF Twitter……!
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