遅ればせながら。
この1月の武道館の評判は自分にも届いたし、九段下から遠く離れた(歩いて行くのはキツイ距離。前は徒歩圏だったけれど)我が部屋でもそれが歴史的な公演だったことは分かった。
この『新小岩』は昭和レコードから独立して満を持して武道館という大舞台へ向けて制作されたものなのだろう。伝聞形で書いていることからお察しのとおり不勉強ながらZorn(The Darkeness)というラッパーはその評判しか存じ上げませんでした。
でも、流石に『新小岩』はさながら『ILLMATIC』のように日本のシーンが総力で名盤にすべく動いた盤であるという雰囲気は感じたので、なるべく旬(つまり新譜であるうちに)聴こうと思った次第です。
そういう『新小岩』で初めてZORNというラッパーを聴いた自分が思うのは彼は「普通」というのを勝ち取ろうとしている人なんだなぁということ。
”洗濯物を干すのもヒップホップ”というのは、つまり、そういうことなのではないだろうか。リリックから窺える彼の置かれた環境では「普通」はストラグして掴み取るものなのだ。
”Thug LifeじゃなくHug Life ”
で、「普通」ってなに? って話なんですけれど、なんとなく「おかあさんとおとうさんがいるまいにち」ってのを座標軸の原点に置いているイメージないですか? 肯定するにせよ否定(いまはそうでなくて多様な生活があるのだから、とか)するにせよ。
なんか上から目線に響いてしまうかもしれないけれど、そういう意図はなくて、「普通」をストラグルの果てに手にするというのはこの時代のスタンダードだと思うのだ。オレもそうだという実感はあります。
Moment Joonの動きはTwitterを通じて知っていたし、『Passport & Garcon』 はSportifiで聴いてはいた。けれど、やっぱ自分はフィジカル(CDなりレコードなり)を出して”ゲーム”にエントリーという意識があるのだ。というわけでクラウドファンディングのリターンで『Passport & Garcon DX』 が届いたことによって彼のメッセージも自分に届いたイメージ。
先のZORNとは立ち位置も置かれた環境も全く違うが、「普通」を求めるストラグル をいう意味では同じだ(もしかして、それがヒップホップということなのかもしれない)。
Moment Joonは曖昧な日本の私を揺さぶるような言葉を投げてくる。
それは井口堂という大阪の郊外(土地勘ないんですけれどグーグルマップを見た印象からそう表現しました)からみた外様ならではの視点だと思ったし、初めてTha Blue HerbやShing02を聴いた時の感覚を思い出した。
外様というか村社会の空気に忖度しない態度。
そして『Passport & Garcon DX』で新たに追加された楽曲にFeat.された名前(鎮座Dopeness、あっこゴリラ、アジカンのGotch)もそれを補強する。
コロナとオリンピックのゴタゴタで振り回され2021年の4月はそんなことを思いながら過ごしました。
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