若いころ、よく桜の花の下で酒を飲み、歌を歌うという、所謂「お花見」をしたものだ。
あのころは、仕事が終わった後、数人で誘い合って、出かけた。途中、コンビニでビールとおつまみを買い込み、桜の名所に行き、飲んだり話したりしたものだ。ただ、四月上旬はまだ寒い。ビールをついだコップがガタガタと揺れたものだ。
だが、年を取るにつれ、そういった花見は減った。今、花見と言えば、宴会も酒もつまみもない。ただ歩いて見上げながらの花見だ。こちらのほうが健全だ。
坂本九の歌「上を向いて歩こう」の通りだ。桜を眺めながら、上を向いて歩く。最高の気分だ。桜はなかなか開かないで、人をやきもきさせて、やっと咲いたかと思うと、すぐに散り始める。
それこそいいのだと思う。もしも、桜が年中咲いていたら、これほど日本人の精神を象徴することもなかったと思う。
世の中にたえて桜のなかりせばはるのこころはのどけからまし
そうなかなか咲かず、ようやく咲いたら散るところがいいのだ。
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