A君とB君がいっしょにご飯を食べていた。
テーブルの上には、辛子の入ったお椀が置いてあった。
A君はこの辛子を甘いものだと勘違いして、匙(さじ)いっぱいすくって口の中に放り込んだ。
すぐに涙が泉のように湧き出たが、A君は口をしっかりと閉じて何も言わなかった。
B君が「どうしたんだ?」と尋ねると、A君は、
「20年前に亡くなった父のことを思い出したんだ!可哀想な父は生涯こんなおいしいものを食べたことがなかったんだよ。」
B君は何も言わず、お椀の中のものを匙いっぱい掬い取り口に入れた。たちまち涙が雨のように流れ落ちた。
A君が「どうしたの?」と尋ねると、B君は言った。
「ぼくも君のお父さんのことを考えてたんだ。君のお父さんは君のようなろくでなしをどうやって育てたんだろうなって。」
《華風新聞14-02-28週末一笑》
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