わたしは落語が大好きだ。若いころから、テレビやラジオよく聞いて聞いていた。聞き始めたきっかけは、自分が教師をしていたので、「間」を勉強したいと思ったことだった。先輩の先生はいい趣味ですねと言ってくれた。それからよく新宿や池袋の寄席にも通うようになったのだった。
寄席で実際に見た落語家と言えば、桂歌丸、先代の三遊亭円楽などだが、実は実際に演じるのを見たことがないけど一番大好きなのは5代目古今亭志ん生だ。よく、CDやテープで聞いた。ジャズメンが彼の落語はスイングしていると言っていたのを聞いてますます気に入った。
CDなどで聞いた中で、いちばんおもしろいと思ったのは、彼が脳出血で倒れた後、高座に姿を現したとき、彼が何も話さないうちに、お客が笑い出したものだ。笑いが少しおさまったところで、志ん生が言う。「ええ、まだ何も言っちゃいないんですが!」それを聞いた客がまた笑い出すというものだ。
彼の噺の枕もいろいろ頭に残っている。「蛇が血を出してABCD!」だとか、何ともユーモラスな雰囲気が大好きだ。それに彼は50歳を過ぎてから、人気が出た。いわゆる化けるというやつだ。年を経て味わいが出てくる。これは最高だと思った。年を取って円熟する、そんなところに今自分を重ねてみている。
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