泣く子も黙るレンズ界の盟主、ドイツはカールツァイス。写真好き・カメラ好きなら、生涯に1度は使いたい・所有したいブランドの1つではないでしょうか。
斯く言うぼくもそのひとり。生涯に使ってみたいレンズはやはりいくつかあり、カールツァイスもその中の1つでした。
しかし、その製造は遥か1950年代という太古のものに係わらず、中古市場での価格相場は高止まり。○十万円という物もあり、おいそれと簡単に手を出せるようなものではありませんでした。
また、同社のレンズは、現在、日本の(株式会社)コシナがライセンス生産を行っている事もあり、新品が入手出来る事も、購買欲を混乱させるひとつの理由でした。
そんな中、ようやくその夢が叶う日が先日やってきました。
経緯的には、中古屋で見切り品として信じられない価格で出ていたのが理由です。
その日はあまりの値段に頭が混乱してしまい、素性などを確認せずに日を跨いでしまったのですが、翌日すこし冷静になった頭で、落ち着いてお店に電話問い合わせ。
価格は確かに紹介写真の通りだし、まだ売れていない、と。
そこで気になるのは素性。何せ本当にびっくりする特価でしたので、絶対に何かあるだろう、と。
そうしたら、やはりちょっと難点はありました。
レンズの基本スペックである、ヘリコイドの動作感、絞り羽根の作動、全体のガタ、についてはクリアでした。しかし、衝撃ではないと思うのですが(本体に打ち傷などないので)、中玉(ガラスレンズですね)に半月状の欠け、がありました。
お店は「ボディ持ってきて試し撮りしてもらえれば、(傷が)写るか確認できるよ」と電話口で言います。
ここで話をちょっと立ち返らないといけません。
まず、今回紹介している出物のレンズは次のようになります。
Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8 Exakta(カールツァイス イエナ フレクトゴン エキザクタ)
カールツァイスはメーカー名です。イエナについては後述します。フレクトゴンはレンズの固有名称です。海外のレンズはキヤノン・ニコンと違い、レンズに名称が振られているのが一般的です。
そして、エキザクタ。これはレンズとボディが接続される結合部のマウント形式の事で、例えば現役のキヤノンはEFマウント、ニコンはずばりニコンマウント、とそれぞれなっています。
それで、エキザクタ・マウントはもちろん対応するボディ側もあるのですが、現代の流れではそれを使わずに、マウント・アダプターという物を用いて、A社のレンズとB社のボディを繋げる使い方が一般的です。
さらに、これはデジタルカメラで非常に増えている手法です。
ですので、店主は『エキザクタなんて欲しがってるから、デジカメユーザーなんだろ。じゃぁ、すぐにその場で写りがわかるだろうよ』と思ったわけです。
ところがどっこい。今までも散々述べていますが、ぼくは圧倒的フィルム派です。もちろん、このブログではデジカメを多用していますし、PHS付属のカメラだって活用しています。
しかし、「愉しみ」という範疇においてはフィルムなのです。ですので、このフレクトゴンも組み合わせる想定はフィルムカメラ。過去に紹介したオリンパス・ペンF用マウント・アダプターで使う前提です。
なので、レンズ欠けに対する試し撮りはできません。現像までボヤボヤ待っていたら売れてしまうかもしれません。
ところが、ペンFで使う分には今回は難を逃れる事が出来たのです(多分)。
というのが、ペンFはフィルムの判サイズが135のフルサイズではなく、ハーフサイズです。デジタルカメラでいうAPS-Cの様にスタンダードサイズよりエリアが狭いので、レンズについてはその中央部しか使わないのです。
ですから、このフレクトゴンのレンズ欠けは外周部に1箇所あっただけなので、ファインダーを覗く限り、影響があるようには見えませんでした。
もちろん、ファインダーを覗いて見えないからって、フィルムに影響がない、とは言い切れないのですが、そんな事言っていると本当になくなってしまうし、「まあやっぱダメだったんね」で済ませてもいい値段でしたので、決断をしました。
という事で、かなり考えていたよりも早く、念願のカールツァイス・レンズのオーナーとなる事が出来ました。
いや、ホント、メッチャうれしいですよ。いつかはの夢でしたから。しかもフレクトゴンは銘玉として有名です。イエナ、とも書かれています。言うことなしです。
ハーフ判は試写に時間がかかるので(24枚撮りだと倍の48枚撮れる為)、まだ欠けの影響と、今までは誌面でしか見る事がなかった描写の実力は確認できていませんが、梅雨で撮影には向かない日々が続くのにウキウキです♫
以下、写真を使ってそのレンズをすこし紹介したいと思います。
スペックはf2.8/35mm。ペンFで使う場合は約1.44倍になるので、50.4mmと広角にはならない。シリアルが旧いのか新しいのかは勉強不足。
Flektogon という文字の左側に、妙なマークが付いているが、これはVEB = VolksEigene Betriebe (人民公社)時代のCarl Zeissにだけ付くマーク、だそうだ。そう、旧東独時代ものである。戦前のものにも、現代のものにも付いていないそうだ。
Carl Zeiss Jena の文字。現代のツァイス製レンズには、Carl Zeiss としか記されおらず、Jena 付の方が本来の姿とか。ツァイス発祥の地、旧東独領イェーナ市を指す。
エキザクタ用レンズである事がひと目でわかる、特徴的なピン。このピンは押すと羽根が絞られると共に、エキザクタボディにはこの後ろにシャッターボタンがあり、ピンを押す→羽根が絞られると同時にシャッターが切れる、という構造。そう、エキザクタは珍しい左シャッター規格なのだ。
購入の際、一緒に付けてもらったレンズ保護フィルター。基本、使わない主義なのだが、年代的にキャップの入手は難しいと判断した為。何気に高級品だった。
カールツァイスやフレクトゴンというと白黒柄の通称「ゼブラ」柄が有名で、ぼくもその外観が欲しかったが、今回はそれには至らず。
ただ、銀色のレンズ保護フィルターがちょうど白黒のバランスを彷彿とさせ、これはこれで満足。
アダプターを間に挟んでいる事もあり、ボディからはかなり張り出す。ペンFはフランジバックの都合とシンプルなボディ形状で、懸案となるピンとの干渉が起こりにくい。
写りがとても楽しみです。
やかん
斯く言うぼくもそのひとり。生涯に使ってみたいレンズはやはりいくつかあり、カールツァイスもその中の1つでした。
しかし、その製造は遥か1950年代という太古のものに係わらず、中古市場での価格相場は高止まり。○十万円という物もあり、おいそれと簡単に手を出せるようなものではありませんでした。
また、同社のレンズは、現在、日本の(株式会社)コシナがライセンス生産を行っている事もあり、新品が入手出来る事も、購買欲を混乱させるひとつの理由でした。
そんな中、ようやくその夢が叶う日が先日やってきました。
経緯的には、中古屋で見切り品として信じられない価格で出ていたのが理由です。
その日はあまりの値段に頭が混乱してしまい、素性などを確認せずに日を跨いでしまったのですが、翌日すこし冷静になった頭で、落ち着いてお店に電話問い合わせ。
価格は確かに紹介写真の通りだし、まだ売れていない、と。
そこで気になるのは素性。何せ本当にびっくりする特価でしたので、絶対に何かあるだろう、と。
そうしたら、やはりちょっと難点はありました。
レンズの基本スペックである、ヘリコイドの動作感、絞り羽根の作動、全体のガタ、についてはクリアでした。しかし、衝撃ではないと思うのですが(本体に打ち傷などないので)、中玉(ガラスレンズですね)に半月状の欠け、がありました。
お店は「ボディ持ってきて試し撮りしてもらえれば、(傷が)写るか確認できるよ」と電話口で言います。
ここで話をちょっと立ち返らないといけません。
まず、今回紹介している出物のレンズは次のようになります。
Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8 Exakta(カールツァイス イエナ フレクトゴン エキザクタ)
カールツァイスはメーカー名です。イエナについては後述します。フレクトゴンはレンズの固有名称です。海外のレンズはキヤノン・ニコンと違い、レンズに名称が振られているのが一般的です。
そして、エキザクタ。これはレンズとボディが接続される結合部のマウント形式の事で、例えば現役のキヤノンはEFマウント、ニコンはずばりニコンマウント、とそれぞれなっています。
それで、エキザクタ・マウントはもちろん対応するボディ側もあるのですが、現代の流れではそれを使わずに、マウント・アダプターという物を用いて、A社のレンズとB社のボディを繋げる使い方が一般的です。
さらに、これはデジタルカメラで非常に増えている手法です。
ですので、店主は『エキザクタなんて欲しがってるから、デジカメユーザーなんだろ。じゃぁ、すぐにその場で写りがわかるだろうよ』と思ったわけです。
ところがどっこい。今までも散々述べていますが、ぼくは圧倒的フィルム派です。もちろん、このブログではデジカメを多用していますし、PHS付属のカメラだって活用しています。
しかし、「愉しみ」という範疇においてはフィルムなのです。ですので、このフレクトゴンも組み合わせる想定はフィルムカメラ。過去に紹介したオリンパス・ペンF用マウント・アダプターで使う前提です。
なので、レンズ欠けに対する試し撮りはできません。現像までボヤボヤ待っていたら売れてしまうかもしれません。
ところが、ペンFで使う分には今回は難を逃れる事が出来たのです(多分)。
というのが、ペンFはフィルムの判サイズが135のフルサイズではなく、ハーフサイズです。デジタルカメラでいうAPS-Cの様にスタンダードサイズよりエリアが狭いので、レンズについてはその中央部しか使わないのです。
ですから、このフレクトゴンのレンズ欠けは外周部に1箇所あっただけなので、ファインダーを覗く限り、影響があるようには見えませんでした。
もちろん、ファインダーを覗いて見えないからって、フィルムに影響がない、とは言い切れないのですが、そんな事言っていると本当になくなってしまうし、「まあやっぱダメだったんね」で済ませてもいい値段でしたので、決断をしました。
という事で、かなり考えていたよりも早く、念願のカールツァイス・レンズのオーナーとなる事が出来ました。
いや、ホント、メッチャうれしいですよ。いつかはの夢でしたから。しかもフレクトゴンは銘玉として有名です。イエナ、とも書かれています。言うことなしです。
ハーフ判は試写に時間がかかるので(24枚撮りだと倍の48枚撮れる為)、まだ欠けの影響と、今までは誌面でしか見る事がなかった描写の実力は確認できていませんが、梅雨で撮影には向かない日々が続くのにウキウキです♫
以下、写真を使ってそのレンズをすこし紹介したいと思います。
スペックはf2.8/35mm。ペンFで使う場合は約1.44倍になるので、50.4mmと広角にはならない。シリアルが旧いのか新しいのかは勉強不足。
Flektogon という文字の左側に、妙なマークが付いているが、これはVEB = VolksEigene Betriebe (人民公社)時代のCarl Zeissにだけ付くマーク、だそうだ。そう、旧東独時代ものである。戦前のものにも、現代のものにも付いていないそうだ。
Carl Zeiss Jena の文字。現代のツァイス製レンズには、Carl Zeiss としか記されおらず、Jena 付の方が本来の姿とか。ツァイス発祥の地、旧東独領イェーナ市を指す。
エキザクタ用レンズである事がひと目でわかる、特徴的なピン。このピンは押すと羽根が絞られると共に、エキザクタボディにはこの後ろにシャッターボタンがあり、ピンを押す→羽根が絞られると同時にシャッターが切れる、という構造。そう、エキザクタは珍しい左シャッター規格なのだ。
購入の際、一緒に付けてもらったレンズ保護フィルター。基本、使わない主義なのだが、年代的にキャップの入手は難しいと判断した為。何気に高級品だった。
カールツァイスやフレクトゴンというと白黒柄の通称「ゼブラ」柄が有名で、ぼくもその外観が欲しかったが、今回はそれには至らず。
ただ、銀色のレンズ保護フィルターがちょうど白黒のバランスを彷彿とさせ、これはこれで満足。
アダプターを間に挟んでいる事もあり、ボディからはかなり張り出す。ペンFはフランジバックの都合とシンプルなボディ形状で、懸案となるピンとの干渉が起こりにくい。
写りがとても楽しみです。
やかん