エンジンが付いている乗り物で主に陸路を走るものは、その多くにエンジンやその周辺にある補器類を保護する目的でカバーが取り付けられている事が多いです。
その主だった目的が下側を覆う事から、総称「アンダーカバー」。アフターパーツでダート走行用に作られた物などは明確に「エンジンガード」なんて呼ぶものもあります。
それでうちのクルマ、タイプ2はまずエンジンは前ではなく後ろに付いています。カバーは大きなものではなく、要所要所を保護するように細切れになったスタイルになっています。
こいつはエンジンとセットになっている物なのか、「付いていない」という話は聞きません(「履いていない」じゃありませんよ!)。ですので、今回のお題であるアンダーカバーはここではありません。
現代のクルマであればそのほとんどがエンジンを載せているフロント側のカバーなのです。エンジンもその補器類もないフロント側になぜカバーがいるのか?
答えは、各操作系部品が集中するからです。パッとあがるだけで、ステアリングギアボックス関係、アクセル・ブレーキ・クラッチペダルのリンケージ部、それにサイドブレーキリンケージ部。それらは古いクルマですからフライバイワイヤーのような電子・無線タイプなどではなく、実用自転車のようにすべて金属ロッドやワイヤーで構成されています。
そして、このどこもが頻繁に動きを繰り返す事になります。可動部が多いので、もちろん潤滑にグリスやオイルアップが欠かせないのですが、これらが例えば雨天走行では流れ落ちてしまう可能性があります。
そうすると、結果は簡単。油切れを起こした各部は、動きがスムーズでなくなりギクシャクし、場合によっては音鳴りが発生します。そして次第に錆びてきます。これをそのままにすれば、当然、錆は酷くなり、頻繁に動かすので固着する事はまずないと思いますが、いい状態にはなりません。
それを防ぐ目的で、工場出荷状態ではアンダーカバーなるものが付いています。
ところがこれ、当然メンテナンスの際は外さなければならず、6箇所ぐらいでボルト固定されているので、人によっては邪魔に感じる事があるようです。というか、ほとんどの人が「邪魔」に感じるようです。
その証拠に、もちろん中古でしか手に入らないこの車両たちのどれにも、アンダーカバーはまず付いていません。メンテナンス本にもその存在の表記はなく、このクルマに乗って5年になりますがつい最近まで存在を知らなかったぐらいです。
で、ぼくがお世話になっているお店では「しっかりグリスなりオイルを塗ってあるので流れ落ちる事はない」といいアンダーカバーを納車時にわざわざ中古で探してきて取り付ける事はしていません。
確かに粘度が硬めの流れ落ち難いグリスが確認でき、激しい雨の中で特に高速走行した後日、気休めでチョッとオイルアップする程度で軋みや錆の兆候にあった事はありません。
でも、カバーがあればより確実な保護が可能になり、気持ち的にもとても楽になるので、殊勝にもわざわざ渡米して中古のアンダーカバー各種(当然、年式・左右ハンドルで形状が異なる)を探してきてくれている他の空冷VW専門店にて、この度ゲットしました。
その中古アンダーカバーがこちらです。
えらい錆々状態ですが、これでもカバーです。各リンケージ部を雨泥から保護する役割はあります(ひょっとしたらちょっとした小石とかも)。お値段はびっくりの9,000円!
しかし、渡米して年式毎の違いを見分けながら探し、それを日本に引っ張ってくる事を個人で考えたら適価なのかもしれません。
で、表はこんなです。
こちらはまだマシですね。裏側の錆は水が当たらないから塗装が手抜きだったのか、長年屋外に放置されていてなのかは謎です……。
それで、ちょっとこのまま使うのは気が引けたので、まずこれ以上錆が進行しないように、錆転換剤を塗布する事にしました。
これは、化学的に錆を別の物質に転換する事で錆止めする物で、いままでも小さなパーツなどには使ってきていました。正直、錆をサンディングしてそこに保護剤を塗るより手軽で確実なのです。それに、今回のカバーのように下手をすればサンディングしたが最後、穴が空きかねない程進攻していそうな錆状態にも効果的と思います。
今までは小瓶の筆塗りタイプを使っていたのですが、さすがに今回はそれでは塗りきれないしたいへんなので、スプレータイプの転換剤を用いました。
これなら重ね塗りも容易です(筆塗りタイプは溶剤が錆と接触した時点から変化しはじめるので、短時間の作業しかできないのです)。
そして、これが錆転換剤の処理が終わった状態。
筆塗りタイプは転換が終わると黒くなるのですが、スプレータイプは銘柄も違うせいか赤錆のままが目立ちます。一応、化学変化は起きているようです。それ程錆が酷い、という事でしょうか……。
この状態だと表面は厚いエポキシ樹脂で覆われるので、それ自体での保護力もかなりあると思うのですが仕上がりも考えて、最終的にブラックのウレタン塗料で仕上げようともくろんでいました。
見えないところですが、そもそも装着するバスも下側のラダーフレームはブラックの錆防止剤を厚く塗られているので、それときれいに揃えようと考えたからです。
ところがです。ウレタン塗料が容易に手に入らない。昔、ヘルメットをセルフペイントした時は手軽に買えたのですが、同じお店で今はひとつもない。
遠い工具類を豊富に揃えるお店に問い合わせても、クリアーしか扱いなし。
テカテカで肉厚なウレタン塗装でピカピカに仕上げたかったのに、あまりにその為のハードルがなぜか高くなっていて、今回は仕方なくエポキシ保護膜のままで妥協する事にしました。
ウレタン塗料は、通常、2液混合方式といって、やはりこれもさきほどの錆転換剤と似て、2つの溶剤を混ぜ合わせる事で化学反応が起き、独特の塗膜面に仕上がるので、基本、使い切りになります。そもそもの値段が高いのに、さらに使い切りでコスト高になるので、そういった点も考慮して諦めました。
まあ、そのうち、どうしても気になったら粉体塗装でもします。1液式の珍しいウレタン塗料も見つけたのですがラインナップがクリアーしかなく、結局、きれいに仕上げるには、1度ブラックペイントして、その上からウレタンなので、これもやはりハードル高くて。
という事で、アンダーカバー装着の図です。
例のごとくPHSカメラで撮ってしまったので見辛いですが、その装着シルエットは個人的には満足です。積極的に雨走行はしたくないですが、そんな日にちょっとだけ気が晴れる材料ができたように思います。
やかん
その主だった目的が下側を覆う事から、総称「アンダーカバー」。アフターパーツでダート走行用に作られた物などは明確に「エンジンガード」なんて呼ぶものもあります。
それでうちのクルマ、タイプ2はまずエンジンは前ではなく後ろに付いています。カバーは大きなものではなく、要所要所を保護するように細切れになったスタイルになっています。
こいつはエンジンとセットになっている物なのか、「付いていない」という話は聞きません(「履いていない」じゃありませんよ!)。ですので、今回のお題であるアンダーカバーはここではありません。
現代のクルマであればそのほとんどがエンジンを載せているフロント側のカバーなのです。エンジンもその補器類もないフロント側になぜカバーがいるのか?
答えは、各操作系部品が集中するからです。パッとあがるだけで、ステアリングギアボックス関係、アクセル・ブレーキ・クラッチペダルのリンケージ部、それにサイドブレーキリンケージ部。それらは古いクルマですからフライバイワイヤーのような電子・無線タイプなどではなく、実用自転車のようにすべて金属ロッドやワイヤーで構成されています。
そして、このどこもが頻繁に動きを繰り返す事になります。可動部が多いので、もちろん潤滑にグリスやオイルアップが欠かせないのですが、これらが例えば雨天走行では流れ落ちてしまう可能性があります。
そうすると、結果は簡単。油切れを起こした各部は、動きがスムーズでなくなりギクシャクし、場合によっては音鳴りが発生します。そして次第に錆びてきます。これをそのままにすれば、当然、錆は酷くなり、頻繁に動かすので固着する事はまずないと思いますが、いい状態にはなりません。
それを防ぐ目的で、工場出荷状態ではアンダーカバーなるものが付いています。
ところがこれ、当然メンテナンスの際は外さなければならず、6箇所ぐらいでボルト固定されているので、人によっては邪魔に感じる事があるようです。というか、ほとんどの人が「邪魔」に感じるようです。
その証拠に、もちろん中古でしか手に入らないこの車両たちのどれにも、アンダーカバーはまず付いていません。メンテナンス本にもその存在の表記はなく、このクルマに乗って5年になりますがつい最近まで存在を知らなかったぐらいです。
で、ぼくがお世話になっているお店では「しっかりグリスなりオイルを塗ってあるので流れ落ちる事はない」といいアンダーカバーを納車時にわざわざ中古で探してきて取り付ける事はしていません。
確かに粘度が硬めの流れ落ち難いグリスが確認でき、激しい雨の中で特に高速走行した後日、気休めでチョッとオイルアップする程度で軋みや錆の兆候にあった事はありません。
でも、カバーがあればより確実な保護が可能になり、気持ち的にもとても楽になるので、殊勝にもわざわざ渡米して中古のアンダーカバー各種(当然、年式・左右ハンドルで形状が異なる)を探してきてくれている他の空冷VW専門店にて、この度ゲットしました。
その中古アンダーカバーがこちらです。
えらい錆々状態ですが、これでもカバーです。各リンケージ部を雨泥から保護する役割はあります(ひょっとしたらちょっとした小石とかも)。お値段はびっくりの9,000円!
しかし、渡米して年式毎の違いを見分けながら探し、それを日本に引っ張ってくる事を個人で考えたら適価なのかもしれません。
で、表はこんなです。
こちらはまだマシですね。裏側の錆は水が当たらないから塗装が手抜きだったのか、長年屋外に放置されていてなのかは謎です……。
それで、ちょっとこのまま使うのは気が引けたので、まずこれ以上錆が進行しないように、錆転換剤を塗布する事にしました。
これは、化学的に錆を別の物質に転換する事で錆止めする物で、いままでも小さなパーツなどには使ってきていました。正直、錆をサンディングしてそこに保護剤を塗るより手軽で確実なのです。それに、今回のカバーのように下手をすればサンディングしたが最後、穴が空きかねない程進攻していそうな錆状態にも効果的と思います。
今までは小瓶の筆塗りタイプを使っていたのですが、さすがに今回はそれでは塗りきれないしたいへんなので、スプレータイプの転換剤を用いました。
これなら重ね塗りも容易です(筆塗りタイプは溶剤が錆と接触した時点から変化しはじめるので、短時間の作業しかできないのです)。
そして、これが錆転換剤の処理が終わった状態。
筆塗りタイプは転換が終わると黒くなるのですが、スプレータイプは銘柄も違うせいか赤錆のままが目立ちます。一応、化学変化は起きているようです。それ程錆が酷い、という事でしょうか……。
この状態だと表面は厚いエポキシ樹脂で覆われるので、それ自体での保護力もかなりあると思うのですが仕上がりも考えて、最終的にブラックのウレタン塗料で仕上げようともくろんでいました。
見えないところですが、そもそも装着するバスも下側のラダーフレームはブラックの錆防止剤を厚く塗られているので、それときれいに揃えようと考えたからです。
ところがです。ウレタン塗料が容易に手に入らない。昔、ヘルメットをセルフペイントした時は手軽に買えたのですが、同じお店で今はひとつもない。
遠い工具類を豊富に揃えるお店に問い合わせても、クリアーしか扱いなし。
テカテカで肉厚なウレタン塗装でピカピカに仕上げたかったのに、あまりにその為のハードルがなぜか高くなっていて、今回は仕方なくエポキシ保護膜のままで妥協する事にしました。
ウレタン塗料は、通常、2液混合方式といって、やはりこれもさきほどの錆転換剤と似て、2つの溶剤を混ぜ合わせる事で化学反応が起き、独特の塗膜面に仕上がるので、基本、使い切りになります。そもそもの値段が高いのに、さらに使い切りでコスト高になるので、そういった点も考慮して諦めました。
まあ、そのうち、どうしても気になったら粉体塗装でもします。1液式の珍しいウレタン塗料も見つけたのですがラインナップがクリアーしかなく、結局、きれいに仕上げるには、1度ブラックペイントして、その上からウレタンなので、これもやはりハードル高くて。
という事で、アンダーカバー装着の図です。
例のごとくPHSカメラで撮ってしまったので見辛いですが、その装着シルエットは個人的には満足です。積極的に雨走行はしたくないですが、そんな日にちょっとだけ気が晴れる材料ができたように思います。
やかん